イントロダクション

このブログは、旧いブルースから現代のR&Bまで広く愛する男のブログです。1957年生まれ、熊本在住です。以下の言葉等をキーワードにしています。

●変わりゆく変わらぬもの by リロイ・ジョーンズ ●曲を聴くより人を聴く ●問題はツールじゃない、その使い方だ by マイルス・デイヴィス ●世の中には歌の上手い歌手と、歌い方の巧い歌手がいる by 阿久悠 ●世の中に真理はない。あるのは無数の解釈だけ by ニーチェ 

●表記の取決め・・・アルバム・書名は『』、シングルは「」、レーベル・出版社は<>、発表年は()で囲みます。

●所属SNS・・・Facebook , Twitter , mixi  , 読書メーター ,  本が好き! , 週刊ドリームライブラリ ,  ブクログ

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ
にほんブログ村 にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村 にほんブログ村 音楽ブログ 好きな曲・好きなアルバムへ
にほんブログ村 にほんブログ村 ライフスタイルブログ こころの風景へ
にほんブログ村 にほんブログ村 哲学・思想ブログへ
にほんブログ村

| | コメント (4) | トラックバック (0)

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.74

R1158386515861957816888jpeg

 

[83枚目]●ジョージ・クリントン&ザ・Pファンク・オール・スターズ『プラッシュ・ファンク』<Pヴァイン>(92)

 

 

※本文を書くに当たり、河内幸一さんのライナーノーツ及び山辺容子さん訳のジョージ・クリントンインタビューを大いに参考にしました。

 

 

最初に整理しておくと、いわゆる「Pファンク一派」は、パーラメント、ファンカデリックを二本柱とする他、Pファンク・オール・スターズ名義で『アーヴァン・ダンス・フロア・ゲリラズ』やライブ盤も出している。本盤も「Pファンク・オール・スターズ」名義だが、ここでは幅広くメンバー名義の曲なども含めているという意味での「オール・スターズ」である。そして未発表作品集。<Pヴァイン>発で、ジョージ・クリントンの助力を得て92~93年の間5作品がリリースされている。本盤はその2作目だ。discogsによれば「ジョージ・クリントン・ファミリー・シリーズ」として計7枚US盤が出ている。因みに『プラッシュ・ファンク』という同タイトル・同内容の一枚があるが、US盤ではVol.3と銘打たれている。

 

 

①まずはファンカデリックでスタート。ヴォーカルやコーラスも含め各々のパートが放つグルーヴが組み合わさり、「グルーヴの輻輳状態」を呈している。これはもちろんファンカデリックに限らず、Pファンク全般に感じられる魅力である。これで全ての曲の解説となると言っても過言ではないかも。81年作。②ロン・ダンバーは2018年に亡くなっているが、クリントンより2歳上の39年生まれ。<モータウン>のライターとしてスタート(クリントンの弁によればかなり有名な曲のゴースト・ライターもやってたとか)。その繋がりだろうH=D=Hに協力してチェアメン・オブ・ザ・ボード「ギブ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイム」「パッチズ」(クラレンス・カーター版も著名)、フリーダ・ペイン「バンド・オブ・ゴールド」のコンポーズに関わっている。Pファンク一派では、パーレットのプロデューサー兼ライターとしての功績が大きい。82年作。引き摺るようなリズムが効果的な中、気勢を上げるロンだ。③ドラム、ベース、ヴォーカルにクレジットされているダニー・スターリングを中心とするユニット。80年作。そもそもは、パーレットのバンド・リーダーでベーシスト。ギターのカッティングも冴えている(トニー・トーマス、ロドニー・クラッチャー)。④クリントン総帥のお気に入りシンガー、ジェシカ・クリーヴス。クセのある歌い方だがイヤミが無い。ホーニー・ホーンズ&ブレッカー・ブラザーズのホーン陣もカッコ良く、デヴィッド・スプラッドリーのジャズ的ピアノも効果的。80年作。ジェシカはEW&Fに在籍していた事も。2014年65歳の若さで亡くなっている。⑤フレッド・ウェズリー率いるホーニー・ホーンズ。メイシオ・パーカーも参加し、キレの良いサウンドを聴かせている。ブーツィーのベースも流石。79年作。⑥フロウはフローレンスという名前で元アイケッツのメンバーでもある。ほど良いハスキー・ヴォイスで力感も十分。72年の録音という事は、ブーツィーが正式加入する前にハウス・ゲスツと共に録音しているのが貴重とライナーに。

 

 

⑦軍団一の才人、ジュニー・モリソン。クリントンのインタビューによれば、少しのヒントから、テーマにピッタリはまる曲を作りあげるそうだ。ヴォーカル、演奏ともジュニーがプレイしている。78年作。オハイオ・プレイヤーズの初期メンバーでPファンクでの活躍の後は、90年ソウルⅡソウルのプロデュースも手掛けている。97年にはPファンク絡みでロックの殿堂入り。2017年に亡くなっている。⑧ライナーによればロン・ダンバーによる<インヴィクタス>感覚が感じ取れるとの事。確かにファンクというよりはソウル。良い意味での耳休め。80年作。ブライズの経歴を改めて書いておくと、ファミリーストーンのメンバーだったドーン・シルバとリン・メイブリーでスタート。リンが抜けた後はシーラ・ホーンとジーネット・マグルーダーの2名が参加。リンは79年に抜けたとの事なので本曲は3人体制のものかと。⑨ジョージ・クリントンの息子トレイ・ルイスとウェディング・ドレスのギタリスト、アンドレ・フォックスのコラボ。キレキレのファンクを聴かせる。ブライズの合いの手もノリノリ。81年作。⑩ロン・フォードは、パーレットやブーツィー『ウルトラ・ウェイヴ』のバック・ヴォーカリストがスタート。ショックというファンク・バンドの感覚ありとライナーに。カオス的というよりシャープだ。80年作。2015年67歳で他界。⑪マイケル・ハンプトンの独壇場!80年作。⑫がクリントンのインタビューとなる。

 

 

ボブ・ディランが80歳を迎えたというのが話題となっていたが、ジョージ・クリントンも同い年の80歳である。本盤のインタビューでは各メンバーの素晴らしい面を褒め称えているが、クリントン自身も言うまでもなく素晴らしいファンカーであり、プロデューサーである。ディランが彼らしさを失わずに一途に音楽道を突き進んでいるのと同じく、クリントンも「変わりゆく変わらぬ人」である。

 

 

 

 

① Funcadelic May Day(S.O.S.)

 

② RON DUNBAR- these feet are made for dancin

 

③ Sterling Silver Starship - Booty body ready for the plush Funk

 

④ I Really Envy the Sunshine - Jessica Cleaves

 

⑤ HORNY HORNS- lickety split

 

⑥ Flo - Common Law Wife

 

⑦ Junie Morrison / Super Spirit

 

⑧ Brides Of Funkenstein - Love Don't Come Easy

 

⑨ Tracey Lewis & Andre Foxxe with Flastic Brain Flam-I Can't Stand It

 

⑩ Ron Ford– Monster Dance

 

⑪ Michael Hampton–We're Just Funkers

 

 

 

 

 

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 音楽ブログ 好きな曲・好きなアルバムへ
にほんブログ村

 

ブログランキング・にほんブログ村へ

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

| | コメント (0)

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.73

R1542142215912811339378jpeg

 

[82枚目]●ボビー・ブランド『トゥー・ステップス・フロム・ザ・ブルース』<デューク/MCA>(61/01)

 

問答無用の大名盤。何度もリイシューされている内、私が所有するCDは、2001年に<MCA>名義でリリースされたもの。オリジナル盤に2曲のボーナストラックが付け足されている。

 

 

御大は、30年メンフィス近郊のローズマークという街に生まれる。48年にメンフィスに移住、ゴスペル・グループやビール・ストリーターズで活動。初レコーディングは、51年<モダン>にシングル1枚、続いて52年<チェス>にシングル1枚残した後<デューク>入り。73年<デューク>が<ABC>に買収されると<ABC>へ、79年<ABC>が<MCA>に買収されると<MCA>へ異動している。そして85年最終の地<マラコ>に移籍した。

 

 

一般的に<デューク>時代と<マラコ>時代が高評価で、全く異論が無いが、まず<デューク>時代のボビーをひと通り味わって頂きたい。本人の歌唱の素晴らしさはもちろん、サウンドの黒い味わいが何とも言えない。ちょっとカッコつけて「漆黒の音像」とでも呼びたくなるディープさだ。<マラコ>が劣るという訳ではないが。特に、デビュー盤である本作は必聴盤と強調しておきたい。57年~60年、シカゴとヒューストンでの録音。ウェイン・ベネットがギターの時は"ジャボ"・スタークスがドラム。クラレンス・ハラマンの時はソニー・フリーマンがドラムである。オーケストラのリーダーは⑪以外、ジョー・スコット。⑪はビル・ハーヴェイのオーケストラと記載されている。調べて判ったが、ジョー・スコットはこのアルバムに限らずデューク・サウンドの立役者として、ジョニー・エイス、ビッグ・ママ・ソーントン、ジュニア・パーカーの作品等でも存在感を示している。

 

 

①タイトル曲は静かな立ち上がり。アルバム全般に言えるが、オーケストラ・サウンドでも不必要に盛り上げず淡々としているが力強い。声質・唱法を生かしたサウンド創りが成されている。②慈雨のような音世界の中、ウェイン・ベネットのギターが軽く絡み、シャウト部分ではサックスがさりげなく寄り添う。③ややソウル的。サム・クックを連想する局面も。角度を変えるとソウル寄りのゴスペル・ソウルという感じか。ギターはクラレンス・ハラマン。④テンポが面白い。ドラムは"ジャボ"・スタークス。⑤妙に日本民謡のような感触もある。オーケストレーションのいなたさがそう思わせるのか。⑥結局「ボビーらしさ」という事になるが、包容力のある歌声から力のこもったシャウトといったボビーの魅力が一層味わえる。ギターはウェイン・ベネット。⑦落ち着いたブルースが続く。哀愁漂う名曲。

 

 

⑧クラレンス・ハラマンのギター。終盤のシャウトが全く破綻しないのが見事。⑨スタンダードの「聖ジェームス病院」。私はキャブ・キャロウェイ版を先に聴いたので、味わいの違いが新鮮だった。⑩これも憂いを帯びた一曲。ボビーでなければ凡庸に終わりそうだ。⑪モダン・ブルースにも繋がりそう。どうしてもギター主体のブルースが注目されがちなので取っつきやすいかも。クラレンス・ハラマン。⑫低音を効かせた導入部がディープさを演出する。⑬⑭が本CDのボーナス。⑬ウェイン・ベネットのギターのさりげなさにも注目。⑭ボビーにしては軽快な曲。⑥のフリップ・サイドとなる。これでアルバムを閉じるのもオツだ。

 

 

まずはデューク・サウンドを堪能してほしいと書いたが、実は、2ステップほどブルースの世界に踏み込んだ人ほど感じる部分が多いのではないだろうか。

 

 

① Two Steps From The Blues

 

② Cry Cry Cry

 

③ I'm Not Ashamed

 

④ Don't Cry No More

 

⑤ Lead Me On

 

⑥ I Pity The Fool

 

⑦ I've Just Got to Forget You

 

⑧ Little Boy Blue

 

⑨ St. James Infirmary

 

⑩ I'll Take Care Of You

 

⑪ I Don't Want No Woman

 

⑫ I've Been Wrong So Long

 

⑬ How Does A Cheatin' Woman Feel

 

⑭ Close to You

 

 

 

 

 

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 音楽ブログ 好きな曲・好きなアルバムへ
にほんブログ村

 

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

 

| | コメント (0)

ツイッター12周年

2_20210822194901


 


ツイッターが、登録してから今日で満12年だと教えてきた。


 


生まれた子供が小学6年生になると思うと感無量。


 


Facebookもほぼ同じぐらいと思う。SNSは自分の発信だけでは決して続かないもの。多くの人に感謝し、まだまだ続けていきます。

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 ライフスタイルブログ こころの風景へ
にほんブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へ

PVアクセスランキング にほんブログ村

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

| | コメント (0)

歩きはじめ

歩く事を覚え始めた子供は、みんなニコニコしている。歩みはたどたどしく時には転んでビックリしている事もあるが、歩いている時は心底楽しそうだ。自分が今まで出来なかった事が出来るようになった喜びからだろう。
大人になって大抵の事は出来るようになると、いちいち楽しそうにはしていない。ただ、努力の結果今まで出来なかった事が出来れば嬉しい気分になり自然と笑みもこぼれよう。
もう一つ、「お初のもの」に出会うとウキウキした気分になりがちだ。新しく買った本の最初のページを開く時、新しく買ったCDの最初の音が聴こえる瞬間、喜びが心に沁みるように溢れ出る。
大切にしたい感覚だ。

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 ライフスタイルブログ こころの風景へ
にほんブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

| | コメント (0)

楽しみな映画2作

黒人音楽好きの私としては、最近は興味深い映画に出合う事が多い。直近では、アレサ・フランクリンのゴスペル・ライブを堪能できた『アメイジング・グレイス』だ。

そのアレサの伝記映画が、日本では11月頃公開の『リスペクト』。実力派歌手で2006年の映画『ドリームガールズ』でも重要な役を演じたジェニファー・ハドソンがアレサ役だ。抜群の歌唱力を持ちながら派手さはないジェニファーは、適役といえる。ダイナ・ワシントン役にメアリー・J・ブライジというのも嬉しい配役だ。


2

もう一本は、ウッドストック・フェスティバルが行われた69年、NYハーレムで開催された黒人音楽と文化の祭典『サマー・オブ・ソウル』を取り上げたものだ。副題に「あるいは、革命がテレビ放映されなかった時」とあるように、長年お蔵入りしていたフェスティバルの記録である。

スティーヴィー・ワンダー、スライ&ザ・ファミリーストーン、マヘリア・ジャクソン、デヴィッド・ラフィン、ニーナ・シモンなどなど。ステージの素晴らしさと同時に深いテーマを感じられるだろう作品だ。監督がザ・ルーツのクエストラブ。彼のこれまでの活動を考えても、充実した一作である事が窺える。


Text_0summer_of_soul__sly_stone_courtesy


 

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へ

PVアクセスランキング にほんブログ村

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

| | コメント (0)

成功か勝利か?

「成功」と「勝利」は微妙に違う。


挑戦していた事が首尾よく出来れば「成功」。その時競っていた相手がいて自分だけが「成功」もしくはより強力な形で「成功」すれば「勝利」となる。


ただ、「勝利」も実質「成功」である。ただ目標を達成しただけであり、勝利した事で敗北者や、挑戦していない人より上に立っている訳ではない。もっとも、そもそも人に上下は無い。


世の中に「勝ち組」とか「マウントをとる」という言葉が流布しているように、成功を重ねる事で、自分は「勝利者」で、中々成功しない人を下に見ても構わないと思ってしまう。その浅墓さがたまらなく悲しい。

にほんブログ村 哲学・思想ブログ 思想へ
にほんブログ村

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 ライフスタイルブログ こころの風景へ
にほんブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へ

PVアクセスランキング にほんブログ村

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

| | コメント (0)

少しの運動でも

ぱっとしない天気に加えコロナ禍で、外出も最小限に止めている。


インドア派なので自宅で過ごすのはやぶさかではないが、何か気分が晴れないのも事実。読書やネットの閲覧、SNSでの交流や投稿は面白いのだがずっとは続けられない。


今日、ショッピングセンターで、書店が開く前に15分ほどスタスタ歩いてみた。身体が硬い上に運動不足なので快適には歩が進まないが、少し気分も晴れた。


積極的に外出したり、飲みに出たりしようとは全く思わないが、身体を動かしたい欲求はやはりくすぶっているようだ。今までは時々洗車したりしていたが、それもままならないので、軽い運動の機会を見つけたり、風呂掃除したりあちこち掃除機かけたりしてみるかな。

にほんブログ村 ライフスタイルブログへ
にほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へ

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

| | コメント (0)

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.72

 

373

 

[81枚目]●V.A.『グッド・トゥ・ザ・ラスト・ドロップ』<ファンタスティック・ヴォヤージ/フューチャー・ノイズ>(09)

 

 

60年、ロンドンで発足した<エンバー>(ember)レコードの作品集。61年~75年の作品が収められている。自身の名を冠したジャズ・バンドのピアニストで、ジャズ・クラブの経営者でもあるジェフリー・S・クルーガーが発起人だ。英文ライナーで正確には読み取れないが、デトロイトの<GM>スタジオとも関係があるようだ。因みに、本コンピ盤をリリースしている<ファンタスティック・ヴォヤージ/フューチャー・ノイズ>もロンドンの会社である。

 

 

①ジーン・マクダニエルズの作曲で、69年<アトランティック>よりレス・マッキャン&エディ・ハリスが発表。本曲は71年のリリース。同名の米ロック・バンドもあるようだ。内容は、快調なイントロから一貫してクールだが、十分に熱い。ジャズ・エリアで取り上げられたのにも納得がいく。17年英<アウタサイト>からはB面別曲でシングル盤が出ている。両方ともディスク上のレーベルは<GM>。②聴き憶えのある楽しい曲だ。アシュフォード&シンプソン+ジョー・アームステッド作品。ジョーは64年~67年の間アシュフォード&シンプソンと曲創りをしていたそう。65年のリリースだが、同じ年に<ABC>からザ・ヤム・ヤムズというガールズ・グループが発表している。というかそちらが本家。ブラザーズ・グリムはまごう事なき一発屋のようだ。③は61年と記載してあるが、discogsによれば65年。シングル「ダンシング・ジェニー」のB面曲。④ザ・カジノスは写真で見ると白人の9人グループ。64年彼らの地元<テリー>レコードから出ており、<エンバー>盤は67年となる。サム・クック風の一曲だ。⑤元はニューオーリンズのレーベルからリリースされている。温かみ有る一曲。58年、ディーン・マーティンが発表している。62年発。⑥女性コーラスやストリングスも含め安定したサウンドの楽曲。ミルト・マシューズのヴォーカルは絞り気味の声で強弱が効いている。終盤には灼けつくシャウトをチラリ。71年発。⑦<モータウン>の重要コンポーザーのひとり、ミッキー・スティーヴンソン。本曲と同じ72年<エンバー>にアルバムを残している。<ファンタスティック・ヴォヤージ>からもキャロル・ウッズと並んでCD化されている。モータウン・サウンドとはまた違うドラマチックな構造を持った曲。歌唱は可もなく不可もなく。⑧エステル・アクストンの息子チャールズ・"パッキー"・アクストンはマーキーズにも所属していて<スタックス>黎明期に名を残している。ザ・パッキーズはパーカッショニストのジョニー・キーズと組んだインスト・グループ。なかなか軽快な一曲。録音は<ハイ>スタジオでバーケイズのメンバーも参加しているそう。66年発。

 

 

⑨本盤に4曲収録されているミルト・マシューズINCの2曲目。スモーキーなギターが絡む中、⑥よりゆったりと歌われる。71年発。⑩は⑨に似たようなサウンドのギターが彩る中、ディー・エドワーズの潤いとメリハリのある声が響く。72年発。⑪女性シンガーが続く。キャロル・ウッズは高音が目立つが耳障りではない。ベース・パターンやギターのカッティングがクールにキマる中、颯爽と歌いこなす。71年発。クラレンス・ポール作。⑫デトロイト出身の男性デュオ。目指す所はサム&デイヴか。しかし、彼らほどのパワーは無し。その分ノリの良さは抜群。70年発。⑬モータウン・サウンドぽい。70年発。⑭三姉妹のジョーンズ・ガールズが競うように且つ溶け合って歌っている。絶妙なアゲアゲソウル。70年発。⑮ミルト・マシューズINC本盤3曲目はロック・テイスト。歌い出しがクラプトンを彷彿させるが、ギターはレイドバックせず弾きまくる。71年発。⑯は⑬に次ぎ登場。ファンキーな一曲。70年発。⑰は⑫に次ぎ登場。前の曲よりはデュオならでは感がある。70年発。⑱ディー・エドワーズ2曲目は⑩と同じシングル盤となる。ミッキー・スティーヴンソン、シルヴィア・モイ、ハンク・コスビーのコンポーズ。アルバム一枚丸々聴いてみたくなる充実の歌唱だ。72年発。

 

 

⑲ミルト・マシューズINC最後の1曲はややサイケ感あり。⑮と同一シングル。表裏ギターが活躍するという次第。⑳タイトルからしてディープなテーマを孕んでいそうだが、意外と聴きやすい。<コティリオン>にリースされR&Bチャート44位に。エド・ロビンソンは後に<アトコ>からシングルを2枚出しているとの事。因みに⑬⑯のフォーク・イン・ザ・ロード2曲の作者でもある。70年発。㉑ジョーンズ・ガールズの母親が登場。元々はデトロイトのゴスペル・シンガーだ。本曲は71年のリリースで、59年、ジャッキー・デシャノンが発表している。㉒そして再び娘たち。どの方か、力を込めるとちょっと母親に似ている。⑭と同一シングル、ここにもエド・ロビンソンの名が。とりあえず安定の歌唱だ。㉓最後はレジェンド中のレジェンド、ジョニー・オーティス!但し、往年のリズム&ブルースサウンドではない。息子シュギー・オーティス絡みでは仕方ないか。だが、サウンド的には悪くない。個人的にはもう少し締まった音だとピッタリはまる。75年発。

 

 

 

① Compared to What · Mr. Flood's Party

 

② The Brothers Grimm - Looky Looky

 

③ Jewel Akens Wee Bit More Of Your Lovin'

 

④ The Casinos– That's The Way

 

⑤ The Values – Return To Me

 

⑥ Milt Matthews Inc. - Oh Lord (You gotta help me)

 

⑦ Mickey Stevenson Here I Am (Single Edit)

 

⑧ The Pac-Keys Dig In

 

⑨ Milt Matthews Inc That's What I Feel For You (Single Edit)

 

⑩ Dee Edwards– Why Can't There Be Love

 

⑪ Carol Woods - Baby Don't You Leave Me

 

⑫ Tony & Tyrone - Everyday Fun

 

⑬ Fork In The Road Can't Turn Around You

 

⑭ The Jones Girls - My Own Special Way

 

⑮ Milt Matthews Inc - Disaster area

 

⑯ Fork In The Road - Skeletons In My Closet

 

⑰ TONY & TYRONE - WHIP YOUR LOVING ON ME

 

⑱ Dee Edwards - Hurt A Little Everyday

 

⑲ Milt Matthews Inc - Can't See Myself Doing You Wrong

 

⑳ Ed Robinson- Hey Blackman - Part 1

 

㉑ Marry Frazier Jones - Put A Little Love In Your Heart

 

㉒ Jones Girls - Learn How To Love

 

㉓ Johnny Otis - Good To The Last Drop

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 音楽ブログ 好きな曲・好きなアルバムへ
にほんブログ村

 

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

| | コメント (0)

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.71

R695240514302648254053jpeg

 

 

 

[80枚目]●キム・ウェストン『グレイテスト・ヒッツ・アンド・レア・クラシックス』<モータウン>(91)

 

 

 

<モータウン>の女性歌手は「ダイアナ・ロス至上主義」のあおりを受けて目立たない人が多いかと。キム・ウェストンも61年~67年の在籍中、ヒット曲はあるもののアルバムはお蔵入りの憂き目に遭っている。但し、マーヴィン・ゲイとのデュエット・アルバムは出ている(66年)。マーヴィンの相方としてしか見られていなかったのかと勘繰りたくなる。確かに①「イット・テイクス・トゥー」がR&B4位の好成績。しかし、ソロ作の②「テイク・ミー・イン・ユア・アームス」も4位である。本盤では①⑤⑪⑮がデュエットで、確かに悪くは無いのだが、ソロ作の方が魅力は味わえると思う。

 

 

では、彼女の最大の魅力は何か?私が思うに「声の伸び」ではないだろうか。声自体にも潤いと張りがあるが、グーーッと声を伸ばすとパワフルというより、温かく包み込まれる感触がある。逆に言えば<モータウン>お得意のノーザン・ビートに必要な、キレの良さはあまり感じられない。ちょっともたつく感じさえある。それに比べて歌い上げるタイプの曲はシックリくる。アップ曲がダメとまでは言わないけれど・・・。

 

 

代表曲①②に続く③も典型的モータウン・サウンド。④から徐々に落ち着いてくる。スタンダード曲のデュエット⑤。マーヴィンも得意な分野だ。甘く優しく歌い込む。切り替わってのキムの歌い出しの浮遊感が何とも魅力的。繰り返し楽しめる。本盤におけるデュエット曲は「替わりばんこ」に歌う体裁がほとんどで、タミー・テレルとのデュエットみたいに声を合わせた感じは⑮ぐらい。それでも⑤の替わりばんこは秀逸である。マーヴィンのデュエット遍歴からいくとメアリー・ウェルズ→キム・ウェストン→タミー・テレルの順番。ウィキペディアに拠ればキムとのデュエットの成功が、タミー・テレルへと繋がったとの事だ(タイプの違いはあると思うが)。

 

 

⑥は女性コーラスがやや過剰。肝心のシャウト部分に被り過ぎと思える。⑦は落ち着いた展開。女性コーラスも⑥に比べれば抑え気味。⑧もモータウンらしい一曲。彼女の魅力が十分伝わるという意味で好曲。⑨も彼女らしさがよく生かされている。⑩スモーキー・ロビンソンらしい軽快さ。⑪マーヴィン側の歌唱がどうも今ひとつかな?⑫H=D=Hらしいメリハリの効いたミッド・スロー。⑬⑭モータウンらしい愁いを帯びている。⑮前述の通り両名の声の合わさりが聴き応えに繋がっている。⑯落ち着いた雰囲気の曲だが「彼女ならでは」という部分は乏しい。⑰は⑯より盛り上がり、存分に声の伸びが味わえる。⑯⑰はキム・ウェストンがコンポーザーに名を連ねている。⑱ドラマチック度はより高まる。シャーリー・バッシーとか思い出すが、このパターンは彼女にはよく合う。⑲曲としては今ひとつメリハリに欠けるが、哀愁味が感じられる。⑳大人しめな立ち上がりから、後半高まりを見せる。

 

<モータウン>後の彼女は<MGM><ヴォルト>などを経由し90年<モーターシティ>からアルバムを出しているのが今のところラスト。20年には78年当時のデトロイトに於けるライブ盤が英<ノット・オン>からリリースされている。ダイナ・ワシントン・メドレーなども歌っており、なるほど彼女らしい。現在81歳である。

 

 

① It Takes Two

 

② Take me in your arms

 

③ HELPLESS

 

④ DO LIKE I DO

 

⑤ Teach Me Tonight

 

⑥ I'm Still Loving You

 

⑦ A Little More Love

 

⑧ It should have been me

 

⑨ Love me all the way

 

⑩ looking for the right guy

 

⑪ What Good Am I Without You

 

⑫ A Love Like Yours (Don't Come Knocking Everyday)

 

⑬ Another Train Coming

 

⑭ Feel Alright Tonight

 

⑮ Baby (Don't You Leave Me)

 

⑯ I'll Never See My Love Again

 

⑰ A Thrill A Moment

 

⑱ Just Loving You

 

⑲ Don't Compare Me With her

 

⑳ Go Ahead and Laugh

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

にほんブログ村 音楽ブログへ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 音楽ブログ 好きな曲・好きなアルバムへ
にほんブログ村

 

にほんブログ村 ライフスタイルブログ こころの風景へ
にほんブログ村

 

ブログランキング・にほんブログ村へ

 

PVアクセスランキング にほんブログ村

 

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

| | コメント (0)

【創作】死なせてあげない

リンク


 


※お世話になっております『週刊ドリームライブラリ』さんの三題話に挑戦しました。お題は「お盆」「ノート」「せいか」、縛りとして「怖い話」。以上の条件で創りました。どうぞお楽しみください。


 


【以下本文】


 


「ごめんなさい。私が勘違いさせるような態度を取ったかも知れないわね。きっとあなたには、もっとお似合いの女性がいるわよ。会ったらお喋りするぐらいのお友達でいましょう」


 


20歳の大学生、駒込 章、失恋の瞬間である。元々、女性を前にすると緊張するタイプで、自分から積極的に話しかけるような事はまず無い。今回も、学内食堂で同じ講義を受けている女子学生から「ノート貸してくれない?」と頼まれ、その時一緒に居た金澤鏡子に惹かれたのだ。女子達は3人組で、一緒に喋ったというより、3人が喋るのを聞いていたというのが正しい。


 


鏡子は初対面にも関わらず「章くん」と呼び、3人の中で一番、章に話を振ってくれた。その後、向こうからデートに誘ってくれ、映画を観に行き、ディナーを食べてバーで少し飲んだ。章は気の利いた話も出来なかったが、鏡子が楽しんでいるように思え、思い切って告白したのだが、思惑通りにはいかなかったのだ。


 


鏡子はその後も悪びれた様子もなく、親しげに振る舞ってきた。あっけらかんとした性格なんだろうなあと思う反面、少しいらつくような気持ちも正直、章にはあった。


 


そんなある日、鏡子がマンションに入ろうとしてた所に出くわす。


 


「あら、章くん、私の事つけてきた?」


「えっ?」


 


「まさかね。私ここに部屋借りてるのよ。良かったらコーヒーでも飲む?」


 


有無を言わさぬ雰囲気に、ひとり暮らしの女性の部屋に入るという、未経験ゆえの戸惑いさえ感じるヒマも無かった。男性の部屋と言っても良いくらい、茶色やベージュのシックな色合いでまとめた部屋だった。キッチンから鏡子が話しかける。


 


「章くんはバイトとかやってんの?」


 


「いや……」


 


「このマンションの1階にファミリーマートがあったでしょ。私はそこでバイトしてる。通勤は楽で良いわぁ」


 


かぐわしい香りと一緒に、お盆に載せたコーヒーを、鏡子はニコニコしながら運んできた。


 


「はい、どうぞ」章の前にコーヒーを置くと、自分もひと口飲み、まだ少しにやついた顔で鏡子が続けた。


 


「大体、章くんアレだよね。おとなしすぎるんだよ。真面目なのも良いけど、もうちょっとねぇ……」


 


「うーん、と言うか、」


 


鏡子は章の言葉を遮って喋り続ける。「ねぇねぇ、もしかして童貞?」


 


「う、うん」


 


「キャハハー、ウケるー」鏡子は仰け反って笑った。章は反射的に頭に血が上り、顔が紅潮していくのが自分でも判った。


 


「やーだ、顔赤いよ。童貞ぐらい大丈夫大丈夫!」鏡子は軽い調子で言ったのだが、章は正常な判断が出来なくなっていた。あまりに勢いよく自分に近付いてきたので、さすがに鏡子も危険を感じ、とにかく謝った。


 


「ごめんなさい、からかうつもりじゃなかったのよ」必死の訴えも章には届かなかった。理不尽な両手が鏡子の首を締め付けた。わめく事も泣く事も間に合わず、彼女は最期の時を迎えてしまった。


 


章にとっては唐突に、鏡子の苦悶の表情が目に入った。だが、力を緩めるのが遅かった。真っ白な時間が訪れた。それは自分の感覚では永遠のような時間だった。どうにか我に返った章は、ショックの余り震えが止まらず、彼女の様子を確かめる事もなくその場を去った。


 


その時、鏡子の魂は天井付近を漂い、自分自身と章の姿を見ていた。


 


「く、苦しい……なんてこと! 私死んでるの? 一体どういうこと、ううー、あいつ許さない! 絶対許さない!」


 


やがて大きな力に引っ張られるように、鏡子の魂は部屋を"抜けた"。


 


章は何度も嘔吐しながらどうにか自分のアパートにたどり着き、眠れぬ夜を過ごした。朝を迎えると、霞に覆われたような頭で昨日の出来事が現実なのかどうか考えた。ふと、鏡子に電話を掛けてみようと思い、携帯の履歴を見たが、ボーッとしているせいか見つけ切れない。電話帳で検索しても出てこない。おそらく無意識に自分で消したんだと思い、自分の罪が現実性を帯びてきた。自首しようと思い、近場の交番に向かった。しかし、どういう訳かたどり着けない。場所は確かに記憶しているのだがたどり着けない。暗澹とした気持ちで歩道橋の上に立ち、飛び降りようとした。だが、足が動かない。恐怖心というより物理的に動かないのだ。諦めてただひたすら歩き続けた。やがて鏡子のマンションに着いた。彼女が1階のコンビニでバイトしていると言ったのを思い出す。中に入り従業員に聞いてみた。


 


「こちらでバイトしている金澤鏡子さんは今日はいらっしゃいませんか?」従業員は鏡子を知らない様子で店長を呼んでくれた。


 


「かなざわきょうこさん? いや、ウチにはいないですね。ここのマンションに住んでる人? いや、マンションの住人でバイトしている人はいないよ」


 


一体どういう事だ。彼女が口止めをしているのか? とにかくマンションを離れ、鏡子といつもつるんでいたノートを貸した女子学生に電話してみた。


 


「あら、駒込君、どうしたの? えっ? かなざわさん? 誰? そんな人知らないわ。誰かと間違えてるんじゃない?」「いつも3人一緒にいたじゃない」「私はどっちかというと恵と2人でつるんでるわよ。誰かと勘違いしてるんじゃ?」ある程度予測はしていたが、鏡子の消息がつかめないどころか、彼女の存在さえ消されている。章は自分の罪を「確認」する術さえ失ったのか……。


 


その後、章は鏡子のマンションを度々訪れ、コンビニも再三利用していた。その内なぜか店長に気に入られ、そこで働き出した。鏡子に関する手がかりを得られるかもという意識もあった。やがて、実家の両親や兄弟が次々に不幸に見舞われ亡くなり、彼は天涯孤独となった。大学も辞め、コンビニ勤めを続ける内、店長が異動し、なぜか章が店長に抜擢された。鏡子と自分の罪に関する意識で、仕事は正直身に入らなかったのだが、従業員が優秀で、章は生活するのに十分な報酬を保証された。


 


40歳、50歳となり、せめて鏡子を供養しようと思い仏壇を購入した。位牌には金澤鏡子様と書き、遺影の代わりに彼女の似顔絵を書いてみた。朝な夕なに涙を流しながら謝り続けたが、いまだに自首しようとすれば警察にたどり着けず、死のうとしても思いを果たせなかった。一度、夜の街に繰り出しヤクザ者らしい男に喧嘩を売ってボコボコにされたが、殺せ殺せ!と強要したら気味悪がられ逃げられた。


 


中高年から老年に差し掛かる頃、身体中に痛みを感じるようになった。絶え間ない頭痛だけでなく、肩と背中の異常な張り、内臓から来る腹部の痛み、膝や関節の痛み……病院に行っても「異常なし」と言われるばかり。仕事を辞めて年金暮らしになったが、一日中寝ていなければならない日もあった。食欲もないのだが、体重は減らず。苦痛は増しても死に至るような事態にはならなかった。何の為に生きているのか判らず、死なない自分が悲しくてならなかった。首を括ろうとしたら紐が切れ、包丁で腹を刺そうとしたが自然に反れてしまう。


 


起き上がるのもやっとの身体で仏壇に拝み続けたが、来る日も来る日も絶え間ない苦痛の中で生きた。齢90を迎える頃、どうにか入院させてもらえる事になった。ひたすらベッドで過ごし、動きと言えば、手にした数珠を握り締め鏡子への謝罪を続けるぐらいだった。そんなある日、見覚えのない看護師がコップを持って近づいてきた。


 


「駒込さん、これを飲んで下さい。これで楽になります」笑みを浮かべる看護師の指示に素直に従い、彼の人生は終わった。


 


遠方に、色とりどりの花が咲く一帯が見えた。章は、ゆっくりした川の流れに浮かぶ舟に、ひとり乗っていた。舟は花畑の方には行かず、ゴロゴロした岩だらけの岸に着いた。おどろおどろしいまでの空の黒さと閑散とした風景に、章は自分がどこに来たか了解した。画に描いたような、金棒を担いだ赤鬼と青鬼が現われ彼の両脇を抱えた。そして、イメージ通りの閻魔大王の前に引き連れてきた。


 


「おお、来たか。駒込 章だな。お前の人生カルテを今読んでた所だ。これは、あれだな。お前が殺した女は悪魔と取り引きしている」


 


章には、現実感がなく夢の中の出来事に思えていた。


 


「どんな取り引きかというと、女の魂を悪魔に渡す代わりにお前を、苦しみながら生き続けるように願ったのだ。魂は悪魔の好物だ。魂を喰われた女は存在自体が無くなるのだ。たぶん女はそこまで聞いてないかも知れない。というか、お前が女を殺す所から悪魔の差し金かも知れんな」


 


章はただただ茫然とした。


 


「通常、この地獄ではお前のようなケースの場合、相手が心からお前を赦したら成仏できる。だが、これは無理だろうな。相手がいないんだから。可能性として考えられるのは、魂を喰った悪魔が代理になる事だが、これは考えにくい。悪魔は全くお前を気にしてないだろうから」


 


「私は永遠に地獄で暮らすのですか。私はそれで構いません。よろしくお願いします」「いや、違う。お前は生き地獄コースだ。刑を決めようがないからな」


 


「生き……地獄」「そうだ。また生まれ変わってもらう。ワシらもその方が助かる。最近、あの世、お前たちからするとこの世の人間どもが悪さをする事が多いせいか地獄が忙しくてたまらん」


 


「生まれ変わって私はどうなるんですか?」「同じだよ。苦しみ続けるんだ。ただ、今度は生まれた時から苦悩がついて回る」


 


「何とかなりませんか! 地獄に置いて下さい!」


 


「ワシの力ではどうにもならん。諦めるんだな」閻魔大王は席を立ち、最後のひと言を放った。


 


「それじゃ90年後にまた!」


 


(おわり)


 


 

にほんブログ村 哲学・思想ブログへ
にほんブログ村

にほんブログ村 ライフスタイルブログ こころの風景へ
にほんブログ村

ブログランキング・にほんブログ村へにほんブログ村

PVアクセスランキング にほんブログ村

はじまりはブラックミュージックSE - にほんブログ村

| | コメント (0)

«勉強の哲学