【創作】シックス・センス
●人がもし、突然他人の心を読めるようになったら・・・。
結婚する人、離婚する人、どちらが増えるだろうか?
善人と悪人、どちらが増えるだろうか?
自殺者は増えるだろうか、減るだろうか?
●【未来A】人に心を読まれない薬が密かに開発され、闇ルートで大量に流出する。多くの人が薬の効果で心を閉ざし、自らコミュニケーションを取る術も失う。会話は携帯端末でのやり取りに限られていく。喋る事が無くなり、硬い食べ物も殆んど存在しなくなっていたので、それまでも小さくなっていた顎は、矮小化する。口も筒状に退化してしまう。その代わり、複雑化する携帯端末に対応するため指の本数が・・・。
【未来B】人の心を読み取る速度が速くなり、パッと見ただけで気の合う人間かどうかが判るようになる。やがて人々は、自分に合う人間だけを求め、小さなコミュニティーが無数に出来る。コミュニティー同士は決して繋がらない。最も読みの速い人物がリーダーとなる。しかし、速さを競い過ぎて読みが粗雑になっていく。やがて、いわれの無い疑いをかけられコミュニティーを追い出される人物も出て来る。自分の居場所を探し求めてさまよう“コミュニティー難民”も現れる。人間はコミュニティーの存続ばかり気にして、様々な立場から協力し、英知を結集するような事をしなくなった。人類共通の課題である、地球環境や動物との共存、食の問題等に致命的な綻びが発生し、人類は人類の手で地球の歴史を閉じる。
【未来C】一人の人間には、美しい心と醜い心が共存するものだという思想が主流となる。人々は“赦すこと”を覚え始める。と同時に、赦される事に重荷を感じ、深く自省した上自ら命を断つ者も現れる。皆が皆に気を遣い、世の中にアクが無くなり、品行方正な善人の集団となる。アクが無い為、芸術や文化活動に刺激的なものが現れず、精神的に退行していく。ヴォキャブラリーさえ極端に少なくなり、人々はただニコニコしながら挨拶を交わすだけの毎日となる。
●「創造の神様、それではやはり他人の心を読み取る能力までは付けない事にしますか?」
「そうじゃのう。確かに人間には地球のリーダーシップを執ってもらわなきゃならん。しかし、他の動物に比べ極端に能力を高めるのも考えものじゃ」
「承知しました。それではこれでスタートしますか?」
「いや、さっきの話だが、微妙に危険や悲劇を察知する能力を付けてやろうか?何となくアヤシイと気付くぐらいなら良いだろう」
「なるほど」
「それと、この能力は女性の方に多く配分しよう。女性は子孫を産む役割が有るし、男性に比べ体力的に劣るので危険にも遭遇しやすいじゃろう。それと男女関係なく、こういう神秘的な能力を持っていれば、ミステリアスな事柄を受け入れやすくなるはずじゃ。地球の監視人として配置してもらうお前たちが、もし姿を見られても事実として追及されず、ミステリーとして片付けられるだろう」
「なるほど、なるほど。素晴らしいです。高度な知性、深い愛情、ほど良い体力、子孫を残す為の旺盛な生殖欲、それに僅かな神秘的能力。人間ってパーフェクトじゃないですか?地球の未来は明るいですね!」
「そう願いたいものじゃのう」
結婚する人、離婚する人、どちらが増えるだろうか?
善人と悪人、どちらが増えるだろうか?
自殺者は増えるだろうか、減るだろうか?
●【未来A】人に心を読まれない薬が密かに開発され、闇ルートで大量に流出する。多くの人が薬の効果で心を閉ざし、自らコミュニケーションを取る術も失う。会話は携帯端末でのやり取りに限られていく。喋る事が無くなり、硬い食べ物も殆んど存在しなくなっていたので、それまでも小さくなっていた顎は、矮小化する。口も筒状に退化してしまう。その代わり、複雑化する携帯端末に対応するため指の本数が・・・。
【未来B】人の心を読み取る速度が速くなり、パッと見ただけで気の合う人間かどうかが判るようになる。やがて人々は、自分に合う人間だけを求め、小さなコミュニティーが無数に出来る。コミュニティー同士は決して繋がらない。最も読みの速い人物がリーダーとなる。しかし、速さを競い過ぎて読みが粗雑になっていく。やがて、いわれの無い疑いをかけられコミュニティーを追い出される人物も出て来る。自分の居場所を探し求めてさまよう“コミュニティー難民”も現れる。人間はコミュニティーの存続ばかり気にして、様々な立場から協力し、英知を結集するような事をしなくなった。人類共通の課題である、地球環境や動物との共存、食の問題等に致命的な綻びが発生し、人類は人類の手で地球の歴史を閉じる。
【未来C】一人の人間には、美しい心と醜い心が共存するものだという思想が主流となる。人々は“赦すこと”を覚え始める。と同時に、赦される事に重荷を感じ、深く自省した上自ら命を断つ者も現れる。皆が皆に気を遣い、世の中にアクが無くなり、品行方正な善人の集団となる。アクが無い為、芸術や文化活動に刺激的なものが現れず、精神的に退行していく。ヴォキャブラリーさえ極端に少なくなり、人々はただニコニコしながら挨拶を交わすだけの毎日となる。
●「創造の神様、それではやはり他人の心を読み取る能力までは付けない事にしますか?」
「そうじゃのう。確かに人間には地球のリーダーシップを執ってもらわなきゃならん。しかし、他の動物に比べ極端に能力を高めるのも考えものじゃ」
「承知しました。それではこれでスタートしますか?」
「いや、さっきの話だが、微妙に危険や悲劇を察知する能力を付けてやろうか?何となくアヤシイと気付くぐらいなら良いだろう」
「なるほど」
「それと、この能力は女性の方に多く配分しよう。女性は子孫を産む役割が有るし、男性に比べ体力的に劣るので危険にも遭遇しやすいじゃろう。それと男女関係なく、こういう神秘的な能力を持っていれば、ミステリアスな事柄を受け入れやすくなるはずじゃ。地球の監視人として配置してもらうお前たちが、もし姿を見られても事実として追及されず、ミステリーとして片付けられるだろう」
「なるほど、なるほど。素晴らしいです。高度な知性、深い愛情、ほど良い体力、子孫を残す為の旺盛な生殖欲、それに僅かな神秘的能力。人間ってパーフェクトじゃないですか?地球の未来は明るいですね!」
「そう願いたいものじゃのう」
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