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ラヒーム・ディヴォーン『ラブ・エクスペリエンス』

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ラヒーム・ディヴォーン『ラブ・エクスペリエンス』・・・聴きながらレヴューしますので、同じ事を何度も書くかも知れません。あえてそのままにします。

歌唱力はさることながら、この人の持ち味は、サウンド・プロデュースにも有ると思います。プリンス辺りにもつながりがあるそうで、現代R&Bの感覚というより人数が多かった頃のアイズリーズ辺りの、ロックを上手く取り入れた感覚が有ります。彼らほど際立ってはいませんけど。もちろんブラックネスは充分。レーベルは<ゾンバ/ジャイブ>。

①ザ・ヴォイス(イントロ)

②ザ・ラブ・エクスペリエンス・・・表題曲は70年代ソウル風出だしで、ヴォーカルを丁寧に重ねてしなやかなバックの演奏によく絡み付いてます。

③ゲス・フー・ラブズ・ユー・モア・・・特徴の有るベースをフィーチャーし、まだこの辺りまでは静かな立ち上がり。マーヴィン・ゲイの再来とか言われるけどマーヴィンのようにセクシーさを醸し出している感じでは無いです。しかし、聴き進むと「唸り」が軽く入ったりしてじわじわと盛り上がります。丁寧に創られている印象です。

④フー・・・このアルバムは「楽器の音」を上手く使っています。ここではディストーションが微かに掛かったギターのフレーズが印象的です。

⑤ホウェア・アイ・スタンド・・・今度はピアノ。Pファンクというか、ジョージ・クリントンのソロ初期の様な「スットン・スットン」というリズム(軽くやってますけど)にパラパラと「音を落とす」感じでしょうか?しかし、盛り上がってくると、重層的ヴォーカルや饒舌過ぎないストリングスがメインとなり曲は展開されます。ホント、ヴォーカルより音の組み立てが面白いです。そういう意味ではマーヴィン・ゲイが完成したかったことに近いかも知れません。

⑥ブレス・・・ストリングスと多層ヴォーカルの対決。充分歌は歌えるけど、もうちょっと上手かったら凄い事になってただろう。ゴスペル的になったかも知れません。私的にはあまり面白くない曲、多分ストリングス苦手のせいでしょう。

⑦ユー・・・ヴォーカルの重なりが相変わらず印象的。それにしても単語一つのタイトル多いですね。

⑧スウィート・トゥース・・・ちょっとシンコペーションが付きましたが、多層的ヴォーカルとバックの音を絡めるという基本は外れていません。

⑨アスク・ユアセルフ・・・これは又70年代ソウル的。語りから始まり、ディスの掛かったギターと、段階を追って熱っぽくなるヴォーカル。アーニー・アイズリーほどべとつかないけどギターが静かに泣いています。

http://www.youtube.com/watch?v=d0w1vW16zFI

⑩ビリーブ・・・クールだが熱いバラード。内ジャケットに正面を向いた彼の顔写真が有るんですが、真面目そうな顔立ちで、変な書き方かも知れませんが「信用できる」感じ。この曲辺りも、流行を追うとか創り出すとかそういうレベルでは無く、自分の内に溢れる感情を素直に音にして、素直に歌い組み合わせてみた結果のアルバムだと思います。

⑪イズ・イット・ポッシブル・・・やっぱり旧い感覚が有りますね。それに、この曲辺りはソウルはソウルなんだけど、黒人音楽に影響を受けた白人シンガー・ソングライターのような感じも無きにしも有らず・・・。

⑫キャッチ22・・・アルバム全体は確かに淡々とはしているんです。しかし、芯はブラックネスに満ち、オーガニック・ソウルの流れともちょっと違う感じです。新しい形のブラックネスの表出と言ってしまいたい。

⑬アンティル・・・印象的なフレーズを持ち、これはシングルでも行けそうと思っていたら、アイズリーズのサンプルでした(「フットステップス・イン・ザ・ダーク」)。やっぱり好きなんだな、アイズリーズ。最後から2、3曲手前に「力」の入った曲を置く人が多いという私の持論が証明された?ロナルド・アイズリー風猫撫で声もちょっと聴こえる。

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