彼女の声をなぞるように・・・
94年作『マイ・ライフ』。「ヒップホップ・ソウル・クイーン」の称号の通り、新しい音と旧い音をうまくつないでいる感じ。彼女の前に旧いタイプの歌手がいて、彼女の後に新しいタイプの歌手がいるとも言えるかも知れません。そういう意味では黒人音楽の歴史上重要アルバムでしょう。チャッキー・トンプソンの功績も大。私が持っているのは輸入盤です。
①イントロの後、
②メアリー・ジェーン(オール・ナイト・ロング)・・・ボトムがしっかりしていながら柔らかなサウンドの中、実に気持ちよく漂うメアリー。スキャットの後ろでサビを歌うところなんぞグッときます。不朽の名作。
http://www.youtube.com/watch?v=XWP9LWeE0-I
③ユー・ブリング・ミー・ジョイ・・・昔ながらのファンキーサウンド。こうして聴いてみると、このアルバム最近の物に比べれば旧いですね。それだけ我々世代には聴き易いサウンドと言えるかも・・・。
④マーヴィン・インタールード・・・40秒で次曲につながります。
⑤アイム・ジ・オンリー・ウーマン・・・今に比べれば歌唱が大人しめなのも、旧いサウンドに合っているような気がします。ドラマチックな側面を持つこの曲とか今だったらもっと入れ込んで歌いそうです。
⑥K・マレー・インタールード・・・24秒。キース・マレイです。
⑦マイ・ライフ・・・アルバムタイトル曲も落ち着いた感じ。このアルバム全体にジャジーな感覚も有りますね。彼女のかすれ声がソウル歌手というよりジャズ歌手のように聴こえる「瞬間」も有ります。
⑧ユー・ガッタ・ビリーヴ・・・フェイス・エヴァンスとK-Ci&JoJoが参加。しかし、ガンガンに絡むという感じではないです。サビの部分など得意の「入れ込み唱法」が聴けますが、それでも後年よりは大人しめ。
⑨アイ・ネヴァー・ウォナ・リヴ・ウィズ・ユー・・・基本的に丁寧に歌う人では有るんですよね。歌唱力としてはランクは下がるかも知れないけど、「フレーズや一音に込める力」は引き付けるものが有ります。この曲でもユッタリした中、音を縁取りしていくような丁寧さを感じます。
⑩アイム・ゴーイン・ダウン・・・気持ちを切り替えるようなイントロ。ちょっとサザンソウル系の感覚さえ感じます。それでいて新しい。興味深い曲です。ギターの入り方、ストリングスの使い方とかも過去へのリスペクトを感じます。メアリーの「こぶし」も一層リキが入ります。メロディアスな曲では無いけど、彼女の歌唱を楽しめます。この曲地味だけど好きだなあ。
http://www.youtube.com/watch?v=OrW-x6LVThs
⑪マイ・ライフ・インタールード・・・1分15秒。
⑫ビー・ウィズ・ユー・・・また、ジャジーな感じかと思いきや、引き締まったドラムが入り、ヒップホップ感も漂います。このアルバムはほとんどチャッキー・トンプソンのプロデュースですが、この人の感覚にもオールドスクーラーとして注目すべきものがあります。
⑬メアリーズ・ジョイント・・・バックグラウンド・ヴォーカルにラトーニャ・J・ブライジと有るのは身内でしょうか?
⑭ドント・ゴー・・・重た目のドラムの後、心地よくたゆたう感覚といえば良いでしょうか?・・・このアルバム全体にそれは有るんですが。
⑮アイ・ラブ・ユー・・・軽やかなピアノの中、ベースの弾みも心地良くアルバムの中ではダンサブル。しかし、つくづくメアリー・J・ブライジという歌手は惚れ込まないと聴きづらいんじゃないだろうか。逆に惚れ込んだら溜め息さえ聴き込んでしまう魅力が有ります。
⑯ノー・ワン・エルス・・・終盤にふさわしい盛り上がりを見せる曲。メアリーのヴォーカルも一段と心地良く広がります。
⑰ビー・ハッピー・・・チョッパーもまぶしいオールドファンク仕上げ。ショーン・“パフィー”・コムズのプロデュースです。
後のアルバムでは、自分の声を重ねたり、ゲストを招いたりしているのを考えるとこのアルバムは自分の基本的ヴォーカル力だけで成り立たせており、メアリー・Jの基本を聴かせてくれたといえるかも知れません。『ノー・モア・ドラマ』や『メアリー』が料理なら、『マイ・ライフ』は食材そのものと言えば良いでしょうか?但し、料理も食材の味がそのまま色濃く残る物ですけどね。
もう一点。本ブログの途中に、彼女のヴォーカルが音を縁取るように丁寧であるみたいな事を書きましたが、聴く側としては彼女のヴォーカルの細かい所まで(溜め息や唸りのレベルまで)なぞりながら聴いてるんだよなあ、と思った次第です。これだけのめり込める歌手はそうは居ません。
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コメント
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突然、失礼しました。
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投稿: hikaku | 2009年5月 5日 (火) 15時34分