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キャディラック・レコーズ

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去年暮れから、アメリカでは公開が始まった音楽映画『キャデラック・レコーズ』。ブルースの老舗レーベル<チェス>をモデルにした作品だそうです。創設者のレナード・チェスをはじめ、マディ・ウォーターズ、リトル・ウォルター、チャック・ベリー、ハウリン・ウルフらが登場人物として挙がっています。それと話題を呼んでいるのがビヨンセ扮するエッタ・ジェイムス。

♪サイト
http://www.sonypictures.com/movies/cadillacrecords/

♪登場人物
http://www.imdb.com/title/tt1042877/

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自分が聴いてきた音楽をレーベルで分けたら、たぶん<チェス>が一番多いと思います。他にも好きなブルース・レーベルはありますが、気持ちの中では<チェス>が最高に輝いています。 <チェス>のレディー・ソウル陣も好きです。エッタ・ジェイムス、ミッティー・コリア、フォンテラ・バス、ローラ・リー、シュガー・パイ・デサント(私の中ではブルース・レディー)・・・時代性も有りますが、ノーザン系ともサザン系とも微妙に違う感覚が私好みです。エッタとかローラ・リーとかマッスル・ショールズ詣でをしているのでジャンプ曲は確かにサザンの香りがします。しかし、バラードに南部女とは違う種類の艶っぽさが有ります。それはリズム&ブルースからの流れを繋いだ感覚ではないでしょうか?ルース・ブラウンやリトル・エスター、ビッグ・メイベルなどの次に並べられる女性たちのような気がします。あと、ゴスペル度の強さも特長だと思います。

今回、ビヨンセの歌唱をYouTubeで見つけました。凄く雰囲気を出してます。『ドリームガールズ』の時のダイアナ・ロスをモデルにした主人公も笑っちゃうほど似てましたが、これもよく似せています。ただ、元々パワーの有る歌手なのでダイアナよりはやりやすかったかも知れません。持てるパワーを一気に出さずに溜めてる感じがなんともいえません。私は、日頃のビヨンセの元気一杯のサウンドが苦手です。個人的には、こういう風にネットリと色っぽくやってくれると彼女の魅力も映えるような気がします。ただトレンドにはならんでしょうね・・・。前のアルバム?の『B・デイ』にブルース調の曲が一つ有りましたが、あの感覚は好きです。それにしても改めて大した歌手だと思います。 ひさしぶりに一刻も早く観たいと思う映画ができました。

♪ビヨンセ版「アット・ラスト」
http://jp.youtube.com/watch?v=Q8FHwsATN0E&feature=related

♪エッタ・ジェイムスの「アット・ラスト」。但し最近の映像です。
http://jp.youtube.com/watch?v=ADDigK8LwyE&feature=related

♪こちらの方がビヨンセと比較しやすい。「All I Could Do Was Cry」。
http://jp.youtube.com/watch?v=gBU1iH1IAQs

♪トレイラー
http://jp.youtube.com/watch?v=7QJyAXfG8NM

♪<チェス>レコードについて
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%81%E3%82%A7%E3%82%B9%E3%83%BB%E3%83%AC%E3%82%B3%E3%83%BC%E3%83%89
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ネット仲間の方から「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」も涙モノだよと教えて頂きました。NHKFMのピーター・バラカンさんの番組で、これは誰が歌っているでしょうとビヨンセの「アット・ラスト」と「アイド・ラザー・ゴー・ブラインド」が掛かったのですが、最初「ブラインド」の方はエッタ版じゃないかと思ったぐらいです。YouTubeで探してみました。いや、ホント凄いですね。唸りに入る時にちょっと声が割れて少しだけソックリ返るとこまで似せています。むしろエッタの方が唸りが直線的な所もあるなあと思った次第。ただ、全体的な声の太さはエッタの方があります。ビヨンセはその辺は自分なりの声量で上手く合わせている感じ。声で演技できる数少ない歌手だと思います。これもネット仲間の方からのコメントで交わしたんですが、次回は是非、最も似てると思われる(ハスキーじゃないけど)ティナ・ターナーにハマッてもらい、アイク&ティナ物語を創ってほしいものです。

http://jp.youtube.com/watch?v=IRrBihMJbZo


サザン風味という事でいえばエッタに分が有りかな?

「I'd rather go blind」っていうのも好いタイトルですよね。英語下手を承知で意訳しますと「あなたしか見えなくなっていく」みたいなものでしょうか?・・・と思いましたら、調べて歌詞を読んでみると違ってました。愛し合った男性が、新しい彼女と歩いているのを見て、二人でいるのを見るぐらいなら「見えなくなってしまいたい」といった感じのようです。

http://www.stlyrics.com/lyrics/martinscorsesebestoftheblues/idrathergoblind.htm

とにもかくにもビヨンセの歌唱に女性の切なさ、悶々とした気持ちが込められているのに思い至ります。一方エッタのは声量があるだけに、恋情の奔流みたいなものを感じます。いずれにしても心の籠った歌唱です。

ところで、また改めて書こうかと思っていたんですが、とりあえず一筆。『キャディラック・ブルース』に関して調べる過程で、エッタ・ジェイムスのことを「伝説の歌手」で片付けているブログ等が多かったです。ファンとしては大変悔しいです。彼女は今も現役で活躍している歌手です。確かに往年の迫力は薄れ、貫禄で歌っているのが昨今かと思います。しかし、貫禄で歌えるだけでも大したもの。十分感動は伝わります。ソウルのみならず、ブルース、ゴスペル、ジャズ、ポップス、ロックと幅広く歌えてどれも最高水準の出来です。私も同じかも知れませんが、「ビヨンセ凄い凄い」で終わらず、今回の映画がエッタ・ジェイムスの再評価に繋がってほしいものです。ビヨンセも演じた甲斐が有ったというもの。

http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewProfile&friendID=128015578

http://profile.myspace.com/index.cfm?fuseaction=user.viewProfile&friendID=345753857

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コメント

日本で公開されるでしょうかね?
どこかの小さな映画館でやるんじゃないかとは思ってるんですけど、見逃したくないなぁー。
情報入ったら教えてくださいね。
レナード・チェスとミュージシャンたちとの関係とか、どう描かれてるのか楽しみ!

投稿: Django2 | 2009年5月16日 (土) 15時42分

もうだいぶ経ってるけど果たしてどうなんでしょうね?アメリカで見た人の話だとウルフとかマディー(役)も出ているそうです。ビヨンセは歌で演技ができる貴重な人ですね。

投稿: k.m.joe | 2009年5月16日 (土) 16時12分

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