シカゴ・バウンド
●ジミー・ロジャース『ルデラ』(90年)
ライブ・ハウスも経営しているブルース・レーベルの<アントンズ>発。私が持っているのは<Pヴァイン>を経由した日本盤。因みに邦題は『シカゴ・バウンド』です。
スタジオ録音とライブ録音を混ぜていますが、明確な違いは感じられず、統一感はあります。プロデュースとハープ演奏をファビュラス・サンダーバーズのキム・ウィルソン(金日成じゃないよ)が担当。パイントップ・パーキンスやヒューバート・サムリンといった“職人”も参加しています。
全体に、緊張感と勢いの有る素晴らしい演奏ではあります。しかし、シカゴ黄金期の、くすんだような切羽詰まったような独特の空気感は感じられません。時代が違うのもあるでしょうが、メンバー個々の絡みが生み出すゾクゾクする瞬間が少ないんですよね・・・勿論、必ずシカゴに戻らなきゃいけない訳じゃないですが、ついつい比較してしまいます。“ブルースネス”というモノサシで測るなら、やはり“黄金期”の名に相応しい時代であったと痛感します。
パイントップ・パーキンスは味の有る演奏が時々聴こえますが、サムリンは余り存在感を感じませんでした。一番気になったのは、キム・ウィルソン。ちょっと“吹き過ぎ”な感じです。ライナーで小出斉さんが、サンダーバーズの時の方が抑制されているみたいな事を書かれてたので、普段より躁状態だったのかも知れません。しかし、邪魔というより、その闊達さが微笑ましくもあり、気になってしまうといった所です。
ジミー・ロジャースは流石で、特にヴォーカルはデルタの薫りを感じ、マディのような逞しさと哀切感に、聴き惚れてしまいます。つい、ギター・プレイに耳が向きがちですが、ヴォーカルからも味わい深さは滲み出ています。
ジミーは本盤の8年後に、シカゴ黄金期を再現したといわれるアルバムを発表しています(未聴)。黄金期では、リーダー作でも脇役に回っても定評の有ったジミーだけに、シカゴ・サウンドが体内に染み込んでいるのは間違いないようです。
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※ファビュラス・サンダーバーズは、スティーヴィー・レイ・ヴォーンの兄貴であるジミー・ヴォーンがギターを弾いている白人ブルース・バンドです。私はレイ・ヴォーンよりいなたい兄ちゃんのプレイが好きで、バンド自体も、アルバムは持ってないんですが、割りとイケるなあと思った記憶が有ります。結構ダウンホームです。
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コメント
うちにある「シカゴ・バウンド」は。リトル・ウォルター、オーティス・スパン、ウィリー・ディクソンとかがバックのヤツです。それとはまた別のものがあるんですね?
彼の歌は決して上手いってわけじゃないけど、なんだか聴いてて切なくなってくる、じわーっとした良さがありますねー。
投稿: Django2 | 2009年6月14日 (日) 10時01分
これはメンバーが新しい人ばかりのヤツです。原題は『ルデラ』ですね。Djangoさんが仰る方のメンバーが間違いなくイイでしょう。
ジミー・ロジャース、目立たないけどリアル・シカゴ・マンですね。
投稿: k.m.joe | 2009年6月14日 (日) 17時09分