« 2009年6月 | トップページ | 2009年8月 »

2009年7月

【試聴記】TQ『S.E.X.Y.』

153
TQの前作『パラダイス』も試聴して気に入ってました。何となく買いそびれましたが、機会が有ればゲットしたい所です。

「西海岸ラッパーの専属ヴォーカリスト」というポジションから、西海岸を代表するクリエイター兼シンガーになったのではないでしょうか?

私の個人的嗜好ではラップはスローなものが好きで、しかもTQのようにラップを解きほぐした感じのヴォーカルは一層好きです。そこには抜群のグルーヴ感/リズム感が要求されますが、TQは見事にその期待に応えています。

ヴォーカルの自在さに加え、否それ以上に強調すべきは、音創りの隙の無さでしょうね。ミディアム・テンポに拘っているものの、決してワンパターンに陥らず、ラップ+演奏+ヴォーカルの“編み込み”を楽しめるし、ヴォーカルが中心に立つ場合のバランス感覚も素晴らしく、耳が離せません。

曲のベースとなるリズム展開がユニークなものが数曲有り、斬新でありながら定番的ブラックネスに溢れ、中々魅力的です。

尚タイトル曲の「S.E.X.Y.」は前作『パラダイス』内に「Sexy」名でフィーチャーされていますが、全く同じ物かどうか各資料を見ても判らず、聴き分けも出来ませんでした。ご存知の方ご教示下さい。YouTubeへのアップも一年前となっています。

http://www.amazon.co.jp/S-E-X-Y-TQ/dp/B0029MAXEK

http://www.youtube.com/watch?v=WlAifM-hQpI

| | コメント (0) | トラックバック (0)

夏の初体験

娘は大学入学以来、アルバイトをしようとコンビニ、牛丼屋等当たってましたが中々決まりませんでした。しかし、先日某コンビニに何とか決まったようです。バイトとはいえ、働くのは初めてです。

日頃家ではグータラしてる事が多く、母親に何か突っ込まれると直ぐにふてくされる娘ですが、どんなでしょうかね~。

意外と内と外では違うもんだろうし、小さい頃から物怖じはしなかったんで、まあ何とか勤まるとは思います。

そういう心配も一番してるのは母親だったりしますね。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

黒くて確かなカケラ

795665678_90s 795665678_108s

795665678_102s

ジャヒームのデビュー作で「ゲットー三部作」のスタートである『ゲットー・ラブ』を聴いてみました。三部作の仕上げとなった『ゲットー・クラシックス』はヴォーカルを丁寧に重ねたり、引き締まったグルーヴを体験させてくれたりとオールドソウル感覚が比較的豊富でした。最新作『ザ・メイキングス・オブ・ア・マン』は王道R&Bの完成を見た隙のない一枚かと思います。

それらと比べると『ゲットー・ラブ』はヒップホップ度が強いです。さらに1曲がやや短めなので「ジャヒーム像」が小出しに出ている感が有ります。最新作を一軒の出来上がった家とすると、『ゲットー・ラブ』の音世界は家具や調度品、壁紙といった家を構成する物たちではないかと思います。「完成品」ではなくてもジャヒームらしさは出ているのです。「いかにもあなたが選びそうな素敵な壁紙ね」という感想と同じです。

そもそも音楽は完成したものでなければならないでしょうか?というか「完成」の基準さえ実は曖昧ではないでしょうか?ジャヒームの最新作は単に「今の所最高作の可能性が高い」だけであって、それは「完成」というわけではないです。また当然聴く人による「基準」の違いも有ります。

かつてチャーリー・パーカーの<ダイアル>時代の3枚組か4枚組(LP)を買ったのですが、これにはパーカーがチョロッとだけ吹いたフレーズも収録されています。最初は何じゃ?と思いましたが確かにパーカーなのです。ライトニンがギターをジャランとかき鳴らしただけで彼のブルースなのと一緒です。特に黒人音楽は「フレーズ命」みたいな部分が有り、一つの曲というよりジャヒーム的感覚、チャーリー・パーカー的感覚、ライトニン・ホプキンス的感覚を楽しむ側面が濃いものだと思います。

『ゲットー・ラブ』はそういった面で、ジャヒームの基本を知る事が出来る一枚ではあります。ただ、終盤の連続バラード攻撃は個人的には今一つでした。ちょっとポップス寄りだったり、R・ケリーの影が見えたりして(私が考える)ジャヒームらしい「壁紙」とは少し違う感じもします。しかし、あくまでブルース野郎の感想ですから、そんなには気にしないで下さい。

http://www.youtube.com/watch?v=qpj-K9IjwLA

http://www.youtube.com/watch?v=ACXBLmVfa5w&feature=fvw

| | コメント (0) | トラックバック (0)

辺見じゅん著『収容所(ラーゲリ)からきた遺書』

816432566_7s
「シベリア抑留」という言葉は知っていても、実態までは把握していませんでした。俘虜として囚われていた人々は約70万人(日本人以外も居る)。収容所は旧ソ連邦の広い範囲に千数百ヵ所。最終的に全員が“解放”されたのは昭和31年、社会一般的には「もはや戦後ではない」と言われ出した頃かと思います(正に昭和31年の経済白書からでした)。因みに私は昭和32年生まれの52歳。小学校の講堂には天皇陛下の写真は掲げてなかったと思いますが、日の丸は有り、壇上に上がる場合は一礼しなければなりませんでした。防空壕も傷夷軍人も見かけました。しかし、子供だった事も有り、「戦争」を身近に感じるような事は無かったと思います。

抑留者の「完全帰国」が達成した頃も、関係者でなければ戦争に対する思いが薄れ始めた時期ではないかと思います。

このルポルタージュは、日本の地を踏む事なく病死された山本幡男氏の「遺書」を仲間達が遺族の元へ届ける話を軸に、収容所内での悲惨な日常の中逞しく生きる被収容者たちの姿が細かく綴られています。解説で吉岡忍さんが触れておられるように、収容所の内側からの視点がほとんどの為、被収容者の立場や思いがひしひしと伝わります。

山本氏は、ロシア語に堪能な為通訳めいた事もしていたのですが、或る時期になると逆に「ソ連事情」に詳しすぎるとの理由からスパイ扱いを受けてしまいます。インテリ肌で、体の線は細く「兵士」とは呼び難い背格好で、力仕事に向かえばへっぴり腰です。しかし、帰国(ダモイ)に人一倍の熱意を持ち、周囲にも明るく振る舞う事で希望を失わずに収容所生活を送れるよう周りを“活性化”させていました。日本の自然や文化、文学をこよなく愛した彼は、俳句の会やさまざまな勉強会を作り、心を豊かにする事で、希望を失わない姿勢、苦難に耐える精神力、日本人としてのアイデンティティーを持たせ続けたのだと思います。

収容所から外部への文書類の持ち出しは一切厳禁。それどころか収容所内での所持も規制されていました。そんな状態で山本氏の遺書(複数有り)を遺族に届けようとする仲間たちは、手分けして“記憶”する事を基本として実行しました(しかも1通当たり複数名で)。彼らにとって山本氏の遺書は、シベリア抑留者全体の思いが込められたものだったと思います。遺書を届ける事が自分たちの存在意義に繋がるものだったのでしょう。


作者の辺見じゅんさんが山本氏の遺書を目にしたのは、選者だった雑誌の企画に応募されてきた時だそうです。心打たれた辺見さんが遺族の元を訪ね、一冊の本に纏めようと決意した1年後、最後の「遺書」が届いたそうです。昭和53年の事です。

私は通常書評を書く時「紹介」する事を意識して書いていましたが、今回に限り是非色んな方に読んで頂きたいと強く思いました。山本氏とシベリア抑留者の思いが辺見さんに伝わったように、この本を通して私に伝わり、私はその「思い」を誰かに伝えなければならない気がしたのです。

シベリアで亡くなられた方は約7万人。小さな墓標には認識番号しか書かれてないそうです(その後状況が変わったかも知れませんが・・・)。

| | コメント (0) | トラックバック (0)

夏なんです

「風物詩」の数が最も多い季節は、夏のような気がします。ただ暑いだけならやってられないので、風物詩を考え出したような気もします。

今は無くなってしまった物も含めると色々思い付きます。というか、あまり見られなくなった物に、より夏を感じます。

風鈴、蚊帳、渦巻き型蚊取り線香、スイカ割り、扇風機・・・。

はっぴいえんどの「夏なんです」という歌には、そんな具体的な「風物詩」はあまり出てこないんですが、とても夏を感じさせます。日本のフォークソングの叙情的な部分とポップソングの自然な交わり。とても詩的な歌詞なのに、妙にユーモラス。のったりと歌っているのに爽やか。

はっぴいえんどのメンバーは、大瀧詠一、細野晴臣、松本隆、鈴木茂と、後の日本の音楽界を支える人たちなのですが、とても自然体で、大仰な所は全くないです。マニアックでもなく、聴きやすい「大衆音楽」です。

強烈な印象を与えて過ぎ去っていく夏のように、感慨深いグループです・・・はっぴいえんどこそ夏なんです。でも、ハッピーエンドに終わらないのも夏なんです。だから風物詩も似合うのね。

http://www.youtube.com/watch?v=TMSfi0CrQL4

http://music.goo.ne.jp/lyric/LYRUTND23584/index.html

| | コメント (2) | トラックバック (1)

【試聴記】ローラ・イジボア『レット・ザ・トゥルース・ビー・トールド(素顔のローラ)』

598
アイルランド出身の新進女性シンガー・ソングライター。<アトランティック>発。

ブラックミュージックというよりは、ポップス感覚の方を強く感じますが、前半は黒いです。

1stシングルの1曲目が、彼女の中のアップ~ミディアムテンポの「基本型」でしょう。タイトなドラムに絡んで漂うギター、キレの有るホーンセクションや流れるようなオルガン等、随所にメンフィスの薫りを感じます。しかもそれらを強く表面に出していないのが、却って功を奏しているようです。
5曲目もヒップホップに近いのですが、完全には染まっていない所が正解だと思います。ボーナストラックが、この曲のDJプレミアのリミックスとの事で、どう変化しているのか聴いてみたい感じです(試聴出来ませんでした)。

その後の中盤からバラードが入るんですが、「暗め」とまではいかないものの落ち着いた感じになります。後半に進むにつれて、バラードの「美メロ」が目立ち始め、これはこれで悪くないです。
総括しますと、黒人音楽ファンの私としては、前半のテンポの好い曲が気に入りました。後半の、メロディーが際立つバラード群は、私的には多分聴き飽きるんじゃないかなと思う次第です。

もちろんこれは個人的意見であって、ローラの才能を否定的に見ている訳ではありません。何より素晴らしいのは「自分らしさ」をシッカリと持っている点。なので、さまざまなジャンルの音楽を「味付け」程度に取り入れる事が出来る人だと思います。

最後にヴォーカルですが、最近のネオソウル系によく聴かれる、ビリー・ホリデイみたいに語尾をこねくり回す歌い口が彼女にも聴かれます。しかし、“自然形”なのでサマになってます。

買って損はないアルバム。

http://www.wmg.jp/lauraizibor/

http://www.lauraizibor.com/

http://www.youtube.com/watch?v=nPGRMMn90bo

http://www.youtube.com/watch?v=8GQV1maw1zw

| | コメント (0) | トラックバック (0)

初夏の収穫(3)

CD紹介を中断して本を3冊。アンケートに答えるサイトでポイント溜めて貰った図書カードを利用し購入です。

An
●清沢洌著『暗黒日記』<岩波文庫>(90年)

終戦直前に亡くなった一本筋が通ったリベラリストの戦中日記。岩波版は、実際の日記の3分の1の量に編集。上下2巻の<ちくま学芸文庫>版はフルで読めるようです。因みに、この本を紹介している松岡正剛さんのサイトが非常に興味深かったです。リンク!

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%85%E6%B2%A2%E6%B4%8C

http://www.isis.ne.jp/mnn/senya/senya0648.html

Ka
●池田晶子著『考える人 口伝(オラクル)西洋哲学史』<中公文庫>(98年・単行本は94年)

以前から読みたかった人。惜しくも亡くなられてますが、中学生とか若い層に「哲学する」面白さを教えてくれた人ですね。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B1%A0%E7%94%B0%E6%99%B6%E5%AD%90

http://www.hmt.u-toyama.ac.jp/socio/lab/koudoku/98/watanabe.html
Img201a0e55w259hc
●『チャップリン自伝』<新潮文庫>(81年改装版)

面白いと評判の一冊ですね。最近は、「創作物」よりこういった自伝物や日記、歴史の考察等に個人的には興味があります。

http://plaza.rakuten.co.jp/mizuta/diary/200610230000

※ちょっと関係ない話。マルコムXは学業優秀だったんですが、信頼していた教師から「黒人としての現実を知れ」といわれ絶望し、悪の道へ、やがて犯罪人として収監されます。しかし、イスラム教と出会い刑務所で一日2,3時間の睡眠で読書に集中します。ヤクザ暮らしでほぼ文盲化していた彼はまず辞書を読み、ノートに全て書き写し、言葉の意味を反芻し言葉を覚えることから始めます。恐ろしい執念。彼の自伝を読んでいて趣味は読書です、というのが恥ずかしいような気分になりました。なぜかそれ以来本を買う手が戸惑います。選び方がより慎重になりました。マルコムにとって読書行為は知識を得る以上の意味合い・・・自分自身を取り戻す事だったんだと思えます。的外れな考えかも知れませんが、私はマルコムの本(知識)との対峙にとても重要な示唆を覚えます。

| | コメント (2) | トラックバック (1)

初夏の収穫(2)

1216628746_80s
●ミュージック・ソウルチャイルド『オン・ザ・レイディオ』<アトランティック>(08年)

彼を好きな理由の一つはアルバムに統一感がある事です。私にとってはニーヨより、現代R&Bの解釈要領を教えてくれる人。

http://hajibura-se.cocolog-nifty.com/blog/2009/04/post-37...

http://www.musiqsoulchild.com/

http://www.youtube.com/watch?v=irmkFCpDKTU

1216628746_89s
●シャンテ・ムーア『ラブ・ザ・ウーマン』<ピーク>(08年)

素敵な女性だ。しっとりと落ち着いたR&Bがほしい方是非どうぞ。これは半額ワゴンでゲット。安い値段で買うのが申し訳ない。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2724696

http://www.chantemooreonline.com/

http://www.youtube.com/watch?v=TNZ08g503Cc

http://www.youtube.com/watch?v=F15lAuJvJiU&feature=re...

http://www.youtube.com/watch?v=sNnZIP2OhfE

| | コメント (0) | トラックバック (0)

初夏の収穫(1)

ひさしぶりにCD買いに行きました。3回に分けてご紹介します。

54c080206703
●ジ・オベイションズ『ワン・イン・ア・ミリオン』<ケント>(08年)

http://blog.diskunion.net/user/kurojiru/kurojiru/8746.html

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2691832

72年~78年<XL><サウンズ・オブ・メンフィス>音源。全21曲中未発表6曲。81年に<ヴィヴィッド>からリリースされた『スウィート・シング』とダブリ6曲(半分)。ヴォーカルのルイス・ウィリアムズは「サム・クックのそっくりさん」とよく言われますが、鈴木啓志さんのライナーによると、サムより人気が有るんじゃないかとの事。私なりに推測するとサム・クックはスムースな歌唱(だけじゃないんですれけどね)でシルキーな肌触りを感じますが、ルイスは少々ざら付きが有って、正にサザン・ソウルの王道ヴォーカルというのが、サザン派の多い日本で受けているんではないかと思います。心地好くて、かつ深みに引きずり込まれるような感覚を覚えるシンガーです。ライナーによると、<サウンズ・オブ・メンフィス>が<MGM>との提携を終え、<チェス>に彼らの作品を持っていく段になり、新生面を出そうと違うタイプのプロデューサーを使ったけど、どうしてもメンフィス臭が抜けず、“化学変化”でも起こしたのか素敵な曲になってしまったとの事です。その「ピュア・ナチュラル・ラブ」がYouTubeに有りましたので貼付しておきます。

http://www.youtube.com/watch?v=xF0mrh9d3_0

http://www.youtube.com/watch?v=nEHXuGUYxvc&feature=re...

Leela
●リーラ・ジェイムス『レッツ・ドゥー・イット・アゲイン』<シャナチー>(09年)

https://www.amazon.com/dp/B001Q2EJ2Q?tag=soultracks-20&am...

http://www.mryosuke.com/archives/1385545.html

http://www.shanachie.com/

カバー集。<シャナチー>はグレン・ジョーンズやヴェスタ・ウィリアムスでもカバー集を過去にリリースしてますね。前作に微かに漂っていたブルース・フィーリングが今回は色濃く出ている感じです。一挙に10歳近く老けたんじゃないかと思うほど渋い歌い口。JBの「イッツ・ア・マンズ・マンズ・マンズ・ワールド」からストーンズの「ミス・ユー」まで選曲も中々です。

http://www.youtube.com/watch?v=6wOQJ7U2Mwo

http://www.youtube.com/watch?v=3lrtnmysr2U

Goldwax
●V.A.『ゴールドワックス・ノーザン・ソウル』<ケント>(09年)

http://diskunion.net/black/ct/detail/54C090306702

サザン・ソウルの牙城<ゴールドワックス>の作品ながら「ノーザン・ソウル」というタイトルの不思議。簡単にいえば<ゴールドワックス>のアップ曲を集めた物。しかし、ただ単に目先を変えたという類ではなく、スペンサー・ウィギンスの幻扱いされていた曲を筆頭に、オヴェイションズ、ジェイムス・カー、パーシー・マイレム、ジョージ・ジャクソン、ティミー・トーマスetc...64年~67年音源で未発表物や未CD化の物もたくさん有ります。一般的感覚のノーザン・ソウルやシカゴ・ソウル辺りと重なる部分もあり、外れる部分も有り、これはこれで面白いです。サザン・ソウルフリークの方はあまり<ゴールドワックス>を意識しないで聴いてね。

http://www.youtube.com/watch?v=gVl8AH0l8uU

http://www.youtube.com/watch?v=pIgaxiiehKo&feature=re...

http://www.youtube.com/watch?v=JmkL_Xyu-G0

http://www.youtube.com/watch?v=FJsUu6X-xmg

http://www.youtube.com/watch?v=yp09JQXYCXs

| | コメント (0) | トラックバック (0)

少しの違いが大きな違い

822593715_148s

●ダミオン・“クレイジー・レッグス”・ホール『ストレイト・トゥー・ザ・ポイント』('94)

兄貴のアーロン・ホールが現代R&B史上に残る熱きヴォーカリストだったため、ダミオンは気の毒な部分が有ります。しかも同じグループというのは余計キツイ気がします。本人が世に残るシンガーを目指していなければ別ですけど・・・。ジェラルド・リヴァートとショーン・リヴァート、古くはアレサ・フランクリンとアーマ・フランクリンetc、各々実力は十分なのに脚光を浴びにくい形だった兄弟姉妹の片割れを思ってしまいます。

このアルバムも第一次ガイ解散後のソロ作として、一定の評価を受けています。ダミオン確かに上手いです。しかし、全体的に完成度は低いです。何度も聴いてみたいアルバムにはならないです。彼の所為なのか、周囲の所為なのか判然としません。

http://www.vh1.com/artists/az/hall_damion_crazy_legs_/46324/album.jhtml

http://jp.youtube.com/watch?v=KuxSFqhKcCA&feature=related

822593715_4s

●ジョニー・ギル『レッツ・ゲット・ザ・ムード・ライト』('96)

ダミオンを聴いてスッキリし切れない所、ジョニー・ギルを続けて聴きました。正確には言い表せませんが、ああ、やはりシンガーそのものの差かなと思いました。ダミオンは、売れる為には売れる曲に乗らなきゃいけませんが、ジョニーはその必要なし。ジョニーだったらドレミファソラシドと歌っただけでも人を感動させられそうです。このアルバムも光り輝くタイプの曲はそんなにないのですが、ただジョニーの歌声に聴き惚れるのみ。そうなのです。昔のソウルシンガーってそんな感じの人が多いんですよね。声で全てを表現し聴く者を引き付ける・・・ジョニー・ギルは確かに“ラスト・ソウル・マン”と表現できる数少ない一人です。でも、ダミオンの上手さとほんのちょっとの差なんですよね。その「ほんのちょっと」が大きいんです。

http://www.vh1.com/artists/az/gill_johnny/43882/album.jhtml

http://jp.youtube.com/watch?v=MeF2HUExPuE

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2009年6月の読書メーター

読んだ本の数:1冊
読んだページ数:341ページ
積読本の数:1冊
読みたい本の数:1冊

51evj1xbs7l__sx230_

▼読んだ本
■挑発する知―愛国とナショナリズムを問う (ちくま文庫)
国民が自立しないと国家は自立しない。自立した国民が国家を「操縦」する必要がある。しかし、必要な情報の送り手であるマスメディアはジャーナリスト機関というより大企業。日本が目指すべきはEUをモデルとしたアジア・コミュニティーの中で主要な地位を占めること。そのためには盲目的対米従属は不可。ふう~色々考えちゃいました^^
読了日:06月24日 著者:姜 尚中,宮台 真司
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/2290959

51cih5lqkbl__sx230_

▼積読本
■男装の麗人・川島芳子伝 (文春文庫)
著者:上坂 冬子
http://book.akahoshitakuya.com/b/4167298058

51shfrxj8l__sx230_

▼読みたい本
■日本を創った思想家たち (PHP新書 596)
著者:鷲田 小彌太
http://book.akahoshitakuya.com/b/4569709036

▼読書メーター
http://book.akahoshitakuya.com/

| | コメント (0) | トラックバック (0)

女性としての普通の色気

824599177_95s

●アン・ヴォーグ『ファンキー・ディーヴァス』(92年)

アン・ヴォーグは所謂90年代のガールズ・グループラッシュの先鞭を切った形ですが、常に先頭を走った存在とはいえないでしょう。このアルバムは2枚目で、ここまでは4人ですが3人となってからは一定の評価は受けていましたが、私はあまり興味がなくなりました。もっとも私は「後追い」でガールズ・グループ全盛時代を経験していますけど・・・。

http://www.vh1.com/artists/az/en_vogue/39052/album.jhtml

http://www.youtube.com/watch?v=8pwOiC8aJrs

http://www.youtube.com/watch?v=fz3qDu0WemM

824599177_47s

むしろメンバーを抜けたドーン・ロビンソンが次に参加したルーシー・パールは大好きでした。それもそのはず、私がお気に入りのラファエル・サディークとア・トライブ・コールド・クエストのDJ Ali Shaheed Muhammadと一緒に創ったグループで、(アン・ヴォーグとは毛色の違う)斬新なサウンドが第一の魅力となるグループでした。ドーンもルーシー・パールでの歌唱の方が“ファンキー・ディーヴァ”の名に相応しい感じもします。

http://www.vh1.com/artists/az/lucy_pearl/242742/album.jhtml

http://jp.youtube.com/watch?v=Hi2L9cB_NQ0

そうなんですよ。アン・ヴォーグのこのアルバムはタイトルに反してさほどファンキーではないです。フォスター&マッケルロイが創った割にはコーラスの美しさとかが強調された一枚です。綺麗すぎるんですが、彼女たちにはよく合っています。1曲だけ唸りの入った曲が有りますが、若干肩透かしの感があります。ボーイズ・Ⅱ・メンが泥臭く聴こえるぐらいの無色透明ぶりです。好みの問題にはなりますが、統一感は間違いなく有ります。歌は上手いので聴き応えもそこそこ有ります。

824599177_85s

さて、彼女たちの清楚で可憐なイメージは本盤の裏ジャケットにも現れています。湖畔でしょうか、4人がさりげなく立ち、パステルカラーのドレスを“普通の感じ”で着ている後ろ姿です。表のいかにもインパクトの有るジャケットに比べ、フォーカスもぼやけたような感じなんですが、彼女たちの人間味溢れる色気が感じられ、とても気に入ってます。エロとかセクシーとかとはまた違う、女性が本来持っている“普通の色気”を感じます。それがそのまま彼女たちの音世界のような気がします。ルーシー・パールでのドーンのハッチャケぶりも魅力的なんですが、アン・ヴォーグのメンバーとしての少々ステレオタイプな感じも許せるなあと思います。

因みにドーンは後に復活。現在は4人で活動しているようです。

http://en.wikipedia.org/wiki/En_Vogue

| | コメント (0) | トラックバック (0)

« 2009年6月 | トップページ | 2009年8月 »