黒くて確かなカケラ
ジャヒームのデビュー作で「ゲットー三部作」のスタートである『ゲットー・ラブ』を聴いてみました。三部作の仕上げとなった『ゲットー・クラシックス』はヴォーカルを丁寧に重ねたり、引き締まったグルーヴを体験させてくれたりとオールドソウル感覚が比較的豊富でした。最新作『ザ・メイキングス・オブ・ア・マン』は王道R&Bの完成を見た隙のない一枚かと思います。
それらと比べると『ゲットー・ラブ』はヒップホップ度が強いです。さらに1曲がやや短めなので「ジャヒーム像」が小出しに出ている感が有ります。最新作を一軒の出来上がった家とすると、『ゲットー・ラブ』の音世界は家具や調度品、壁紙といった家を構成する物たちではないかと思います。「完成品」ではなくてもジャヒームらしさは出ているのです。「いかにもあなたが選びそうな素敵な壁紙ね」という感想と同じです。
そもそも音楽は完成したものでなければならないでしょうか?というか「完成」の基準さえ実は曖昧ではないでしょうか?ジャヒームの最新作は単に「今の所最高作の可能性が高い」だけであって、それは「完成」というわけではないです。また当然聴く人による「基準」の違いも有ります。
かつてチャーリー・パーカーの<ダイアル>時代の3枚組か4枚組(LP)を買ったのですが、これにはパーカーがチョロッとだけ吹いたフレーズも収録されています。最初は何じゃ?と思いましたが確かにパーカーなのです。ライトニンがギターをジャランとかき鳴らしただけで彼のブルースなのと一緒です。特に黒人音楽は「フレーズ命」みたいな部分が有り、一つの曲というよりジャヒーム的感覚、チャーリー・パーカー的感覚、ライトニン・ホプキンス的感覚を楽しむ側面が濃いものだと思います。
『ゲットー・ラブ』はそういった面で、ジャヒームの基本を知る事が出来る一枚ではあります。ただ、終盤の連続バラード攻撃は個人的には今一つでした。ちょっとポップス寄りだったり、R・ケリーの影が見えたりして(私が考える)ジャヒームらしい「壁紙」とは少し違う感じもします。しかし、あくまでブルース野郎の感想ですから、そんなには気にしないで下さい。
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