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【試聴記】ジョー『シグネチャー』

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ジョーという人は、良く言えば一途、悪く言えば不器用な人かと思います。

本作はバラード集。前作に“ダイジェスト”の形で収めていた作品と重なっているのでしょうか?・・・その“ダイジェスト”という形が気に食わなかったので前作は買いませんでした。何といってもバラード曲はこの人の「醍醐味」で、“ダイジェスト”だけでも聴く者を引き付ける力は確かにあります。しかし、やはり今回の作品のようにジックリと纏め上げた方が好いに決まってます(と思うのです)。

R&Bシンガーに限っていえば、バラード歌唱の上手さはこの人がピカイチだと思うし、ベイビーフェイスに次ぐ“美メロ師”なのも間違いのない所。マーヴィン・ゲイ等70年代ソウルの練り込み方も自然です。スローバラードばかりではなくグルーヴィーな曲も有るので全体のバランスも悪くないです。

自分の持ち味を十分生かしたアルバムなので、ケチの付け様はないんですが、私的にはもうちょっと“前進”して欲しいんですよね。これがグレン・ジョーンズとかジェラルド・アルストンのアルバムだったらゾクゾクしたかも知れません(歌唱力の差も含め)。

あくまで「私的観点」として拘るんですが、現代R&Bには“時代の空気”を感じたいんです。もちろん流行りのリズムを取り入れるとかいうレベルではなく、フィーリングの問題です。なので、人によっては“現代的”と感じられるかも知れませんが、私はニーヨやジャヒームに感じる斬新さをジョーには感じません。

もちろん、「ジョー節」を貫く姿勢は見事なのですが、ほんの少しでも違う味わいが出てくると、更に素敵になると思うのです。本盤の、グルーヴィーな曲に、そのヒントが覗ける気がします。

日本盤には“ジャパンライブ”2曲がボーナストラックとして入っています。ちょっと残念なのは、オリジナル盤のボートラ。新人女性歌手の曲(ジョーとは肌合いが違う)が入ってるんですが、何でこんな事するかなあという思い。こんな風に感じるのは「LP世代」だからでしょうか・・・。

少々偏屈な文章でしたが、バラード系のR&Bが好きという方にはオススメの一枚ですよ

※アルバムタイトルは「定番」の意味。私のモノサシから見ると“皮肉”に感じます。

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3589410

http://www.youtube.com/watch?v=Wf3SOyW_85k&feature=fvw

http://www.youtube.com/view_play_list?p=FBCCE3866867A229&...

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コメント

確かに保守的ですよね。私は買わないけれど、需要があるんでしょうね。
んんん、顔つきも演歌歌手のように見えてきました。

投稿: himehikage | 2009年8月 2日 (日) 22時54分

ネット上の評価とか見てみると、どうも若い人が食いついてないですね。新しさが足りないんだと思います。それこそ、アンソニー・ハミルトンとかは旧い音に近くても瑞々しさがありますもんね。

投稿: k.m.joe | 2009年8月 4日 (火) 18時31分

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