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【試聴記】レディシ『ターン・ミー・ルース』

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http://www.hmv.co.jp/product/detail/3636109

独特の存在感で人気を確保しているレディシ。ふと、アルバムジャケットの変遷が、そのまま彼女の音世界の変遷と呼応している気がしました。

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自分のレーベルで出したファーストはモノクロで、表情もよく読み取れません。レディシの素の姿を知らしめた感じ。地味は地味なんですが、凡百のネオソウル作品と一味違う個性を感じさせてくれました。

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<ヴァーヴ>に移ってのセカンドは『ビッチェズ・ブリュー』を連想させるようなリアル・ブラックな顔の大写し。彼女の音楽のキーワードの一つを成すジャズ感覚が前作より目立つ感じもしました。しかし、そういった分析も一笑に付されるようなレベルの高い一作です。

そして今回。また少し違うレディシを見せてくれています。パワフルに歌い飛ばしている立ち姿に、聴く前から興味や期待が募ります。

実際に聴くと、サウンド的にはアグレッシブな感じの物が多いようです。例の、シャカ・カーンとティナ・ターナーが混合したような歌声が、強烈な曲調に乗ると、エリカ・バドゥを彷彿とさせます。ただエリカは“観念的”でレディシは“肉体的”な印象もあります(今一つ言い表せてませんが)。エリカの方がよりクールですよね。

しかし、エリカ的なのは冒頭の2曲辺りで、次第にレディシ・オンリーの世界が光ってきます。

プロデューサー陣は、レディシ自身が全曲に関わっているのを筆頭に、チャッキー・トンプソン、ジャム&ルイス、ラファエル・サディークらが各々の持ち味を生かしながら、レディシ色に染まっています。特筆すべきは前作にも関わったレックス・ライドアウト。R&B的なメリハリやウネリとは違って、漂うようなジャズ感覚にファンクやロックを塗りこめて、レディシ・サウンドの最大公約数的完成度を実現しています。

http://www.studioexpresso.com/profiles/rexrideout.htm

他のプロデューサー作にも“漂うジャズ感覚”は聴き取れます。レディシとの共同作業の成果でしょうね。ジャム&ルイスのはリズムが面白いし、チャッキーのR&B感覚も様相が少し変わっているし、ラファエルのはスライ&ザ・ファミリー・ストーン的な部分も感じられたりします。

エリカ・バドゥもそうですが、先ず自分の個性を自分でよく把握し、アルバムを出す度に、微妙に変化した自分を提示できるというのは素晴らしい能力です。前作より聴きやすいかも知れないので、またファン層を広げる事でしょう。

http://www.youtube.com/watch?v=o9E4nExa38o

http://www.youtube.com/watch?v=lPgg8elHPog

http://www.youtube.com/watch?v=2r8IY73s_uc

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