骨までブルース
玄侑宗久さんの対談集(『多生の縁』)の中に「不動心」という言葉の説明が載っていました。これは、何事にも負けない強い力、というのでもないそうです。ただ強靭なだけでは「頑固」に繋がります。正しくは、あちらこちらと揺れ動いても、心の芯にブレがない状態だそうです。これだと新しい事をやる場合でも良い結果に結びつく感じがしますね。本の中ではイチローが例に挙げられていました。なるほど、長い期間にわたり素晴らしい成績を残す為には、強いポリシーと柔軟な対応能力が必要だし、イチローはそれが出来ている人物でしょう。
優れたアスリートばかりではなく、作品を生み出し続けなければならない音楽家にも当てはまる言葉かと思います。もちろん、正確には人間全体にあてはまる言葉ですが、アスリートやアーティストといった有名人が、結果が見えやすいというのがありますね。
優れたアスリートばかりではなく、作品を生み出し続けなければならない音楽家にも当てはまる言葉かと思います。もちろん、正確には人間全体にあてはまる言葉ですが、アスリートやアーティストといった有名人が、結果が見えやすいというのがありますね。
さて、今週も通勤のお伴に色々聴きましたが、あらためて感心したのはエッタ・ジェイムスのグラミー部門賞受賞作『ブルース・トゥー・ザ・ボーン』(2004年)。息が長く、あらゆるジャンルに挑戦し続ける彼女の一つの到達点だと思います。
http://www.cduniverse.com/search/xx/music/pid/6733368/a/B...
取り上げているのは、有名なブルース曲がほとんど。しかしながら曲の魅力で聴かせているだけではなく、「エッタ・ジェイムスのブルース・フィーリング」という「不動心」を彼女のヴォーカル・ワークから感じ取る事ができます。マディだろうがウルフだろうがエルモアだろうが、エッタのヴォーカルを通したらエッタのブルース以外の何物でもなくなるのです。そこが凄い!これは中々できる事ではないです。そして力まずにスラッとやってのけた方が却って上手くゆきます。
「不動心」を保つキーワードの一つは「自然体」ではないかと思います。ブルースはトゥー・マッチな音楽と称されます。感情の過剰な入れ込みを要求される音楽といえるかも知れません。しかし、それはただ叫んだり喚いたりするのではなく、その人本人の感情が自然にトレースされた時に成立するようです。これが上手く出来る人が一流です。
ユーチューブでは残念ながら見つけられませんでしたが、ウルフの「スモーク・スタック・ライトニン」でウルフが唸る場面を、エッタはフウ~ウ~と軽く、しかししなやかに表現します。それは色気とは違う、エッタだからこその合いの手だと思います。
そもそも、女性が男性の曲をカバーするのは難しいかも知れません。しかし、そういう意見も思い付かないほどに「彼女の曲」になっているのが素晴らしいと思います。一般的に、黒人女性歌手は、女性性が一歩退き、男性性の裏っ側から少し覗き見えるという状態が多いような気がします。必ずしも当たらないでしょうが、少なくとも私の趣味範囲ではそうです。エッタ・ジェイムスもその範囲に入る歌手となります。しかし、黒人女性だからこういうアルバムが作れたというのも、浅い読みかと思います。
彼女のブルース・フィーリングの根っこがどこにあるのか、というのは判らないし、さほど意味のある事でもないでしょう。これだけの「不動心」があれば、出てくる作品をただ我々は愉しめば好いのです。
♪"Don't Start Me to Talking"
http://www.youtube.com/watch?v=Jihw2AnCugA
♪"Crawling King Snake"
http://www.youtube.com/watch?v=gmaVOBmIUJA
http://www.cduniverse.com/search/xx/music/pid/6733368/a/B...
取り上げているのは、有名なブルース曲がほとんど。しかしながら曲の魅力で聴かせているだけではなく、「エッタ・ジェイムスのブルース・フィーリング」という「不動心」を彼女のヴォーカル・ワークから感じ取る事ができます。マディだろうがウルフだろうがエルモアだろうが、エッタのヴォーカルを通したらエッタのブルース以外の何物でもなくなるのです。そこが凄い!これは中々できる事ではないです。そして力まずにスラッとやってのけた方が却って上手くゆきます。
「不動心」を保つキーワードの一つは「自然体」ではないかと思います。ブルースはトゥー・マッチな音楽と称されます。感情の過剰な入れ込みを要求される音楽といえるかも知れません。しかし、それはただ叫んだり喚いたりするのではなく、その人本人の感情が自然にトレースされた時に成立するようです。これが上手く出来る人が一流です。
ユーチューブでは残念ながら見つけられませんでしたが、ウルフの「スモーク・スタック・ライトニン」でウルフが唸る場面を、エッタはフウ~ウ~と軽く、しかししなやかに表現します。それは色気とは違う、エッタだからこその合いの手だと思います。
そもそも、女性が男性の曲をカバーするのは難しいかも知れません。しかし、そういう意見も思い付かないほどに「彼女の曲」になっているのが素晴らしいと思います。一般的に、黒人女性歌手は、女性性が一歩退き、男性性の裏っ側から少し覗き見えるという状態が多いような気がします。必ずしも当たらないでしょうが、少なくとも私の趣味範囲ではそうです。エッタ・ジェイムスもその範囲に入る歌手となります。しかし、黒人女性だからこういうアルバムが作れたというのも、浅い読みかと思います。
彼女のブルース・フィーリングの根っこがどこにあるのか、というのは判らないし、さほど意味のある事でもないでしょう。これだけの「不動心」があれば、出てくる作品をただ我々は愉しめば好いのです。
♪"Don't Start Me to Talking"
http://www.youtube.com/watch?v=Jihw2AnCugA
♪"Crawling King Snake"
http://www.youtube.com/watch?v=gmaVOBmIUJA
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