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2011年7月

セルフ暑中見舞いとなったアマゾンの収穫(2)

●またしても、腹立ちと共に戦慄を覚える事件。集団で自転車を走らせ、内2人がロープを引っ張り、対向してきた人(自転車乗車中)の首に引っ掛け怪我を負わせたというもの。大事に至らなかったのは不幸中の幸いだが、犯人たちは、「面白がってやっただけ」らしい。なぜ、死ぬかも知れないと思わないのか?集団で行動している為、個々の責任感が薄れるというのはあるかも知れない。しかし、その前に、彼らには「死に対する実感」が無いのだろう。そして、「死に対する実感」が無いのは「生きている実感」が無いからじゃないか?

●「生きている実感」といっても大層な事ではない。友達と喧嘩したり仲直りしたり、恋をしたり、何かに一生懸命になったり、ご飯が美味しかったり、腹の底から笑えたり、悔しくて涙が止まらなかったり、誰もが普通に経験する事である。

●彼らは、生きている実感が無い為、殺那的で刺激的な事を「楽しい」と感じてしまう。それがかりそめの“実感”だという事を本人達が気付かなければ、どうしようもない・・・のか?
●ジョニー・テイラー『ライブ・アット・ザ・サミット・クラブ』<スタックス>(07)

http://www.hmv.co.jp/product/detail/2519743

ソウル史上に残る一大イベント『ワッツタックス』は、見所だらけのDVDとなって残されている。

会場はスタジアムなのだが、何故かジョニー・テイラーだけは、クラブでのライブの様子が収録されていた。もっとも、観ている側は、玉の汗を掻きながら熱唱するジョニーに心を奪われ、場所が違う事などさほど気にならない。

背景には、本会場でトリを務めたアイザック・へイズとの確執があったらしいのだが、客との距離が近いクラブだったことで、迫力と親密感は、度合いを増しているのではないだろうか?

ここに、CDではあるが、ライブの全貌が公になり、当時ソウルファンの話題となった。遅ればせながらの購入である。

とにかくファンキーな曲が多く、観客の熱狂ぶりも手に取るように伝わる。歌がそのまま語りになったり、語りがそのまま歌になったりする局面などでも、客とのコール&レスポンスが過不足なく達成されている。

このアルバムにどんな曲が含まれているか、演奏しているのは誰々か?という情報は二の次で良い。先ずはこのソウル空間・ブルース空間に身を置く事だ。耳だけしか参加出来ないのは残念だが、彼の、魂に伝わる歌唱は音のレベルを突き破って心に届く。

「完璧」という言葉を使っては却って安っぽくなるが、歌、演奏、観客の盛り上がり、やり取り、全てにおいて素晴らしいライブ盤。ただ、ブラックネスがどういうものか解っている方のみにお勧め。

♪"Hello Sundown"
http://www.youtube.com/watch?v=qv5ObB1QUdo

♪"Who's Making Love"
http://www.youtube.com/watch?v=XubVsrZJdyE

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さよなら、タワーレコード

To
●タワーレコード熊本店が、8月21日に閉店する。個人的には、今後はネット購入中心の買い物になるだろう。レコード店が他に無い訳ではないが、タワーほどの充実度は望めない。試聴コーナーも、話題のアーティスト等を手っ取り早く“体験”するには役に立った。雑誌の立ち読みもやり易かった。徐々に、自分の好みの音盤が少なくなっていったのは事実。不満な部分も多々有ったが、メガストアの宿命ではある。先日買い物に行ったら、商品棚にスキ間が随分目立っている感じ。選んでいてCDがパタンと倒れるのは哀しい。

●タワーレコードの旧店舗の事も思い出した。以前は2フロアあり、客の数も多かった気がする。試聴コーナーが“タワー型”のように円筒状になっていて5、6面にジャンル別に分かれていた。自分の好きなジャンル以外も気楽に試せる状態。狙った場所に人がいた時など、他の場所で様子を窺っていた。試聴コーナーにたかる人の数も多かった気がする。

●今の店舗より昔の店舗が良かったという訳ではないが、CDの購入者自体がやはり多かったのだと思う。最近は、タワーレコードに限らずレコード屋自体がシンドイのかも知れない。ネット購入は確かに便利だ。興味のあるアーティストはサイトやユーチューブで事前に聴けるので失敗も少ない。それでも、レコード屋をブラブラするのは楽しい。買い物とは、必要な物を便利な方法で買う行為とも言い切れない。いわゆる「ウィンドウ・ショッピング」の楽しさに近い感覚が、私にとってのレコード屋通いだ。“空気感”を楽しんでいるのだろう。アナログレコードの独特のニオイは味わえなくなったが、レコード屋はやはり好きだ。タワーほどのメガストアが今後熊本に来るとも思えないし、大げさかも知れないが、音楽文化の落日を感じる。

♪Willie Hutch "I Choose You"
http://www.youtube.com/watch?v=tMMXfbR_bxk

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セルフ暑中見舞いとなったアマゾンの収穫(1)

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●カール・シムズ『ヘル・オン・マイ・ハンズ』<CDS>(11)

http://www.hmv.co.jp/product/detail/3976632

ベテランらしい懐の深さと安定感に脱帽。熟成された歌声とは彼のような歌手への賛辞だろう。

例えば、トニ・トニ・トニの「シンキン・アバウト・ユー」をカバーしているが、オールド・モードが漂いつつも斬新で若々しい感覚に満たされているオリジナルに比べ、メロウな大人の歌という様相。トニーズが刺身なら、カールは山葵の効いた寿司のようなもの。しかし、グルーヴは息づいており、何とも言えない幸福感に包まれてゆく。トニ・トニ・トニの連中も、納得・感動のカバーではないだろうか?

他曲に耳を傾けると、冒頭はアーニー・アイズレーばりの粘つくギターが登場。カールは存在感を持って絡む。それも大上段ではなく自然と心に沁みる。

ファンキー・チューンもソツなくこなす。アイズリーズとボビー・ウォーマックを足して2で割ったような曲も。ウィリー・ハッチの「アイ・チューズ・ユー」(愛しのメアリー・Jがサンプリングしていた)も抑制が効いている。

声自体は渋い塩辛声なのだが、ハードシャウトやディープなブルース感覚に徹するというより、時に軽みさえ感じる粋なオヤジである。もちろん深みは湛えている。

考えてみれば、カールは昔からディープながらも弾力的な歌手だった。ソウル贔屓にもブルース贔屓にも通用する魅力があった。

たとえ時代は変わっても、自分の立ち位置を崩さず、しかも古臭くならないシンガーだ。いや、立ち位置が変わらないから古臭くならないのかな?

♪"Hell On My Hands"
http://www.youtube.com/watch?v=EV59UFJaeDM

※ところで、"Hell On My Hands"とは何かの言い回しでしょうか?ご存知の方教えて下さいませ。

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人情のゆくえ

●母親が二度目の脳梗塞に。脳幹部に近い小脳部での梗塞。脳幹部に影響はないが、今後どうなるかは何ともいえない。長姉の話では、不測の事態になった場合は延命措置をしますかと医師に問われ、高齢でもあり人工呼吸器で生きているだけの状態になるのが忍びないので延命措置はしないで下さい、と承諾書にサインをしたらしい。と、ここまで書くと重篤なようだが、見舞ってみると、本人よく喋る。ベッドに寝たままとはいえ、“元気”だ。呂律もそんなに回らない状態ではない。根が能天気なせいか、周りを心配させまいという配慮か、高齢の為、死に対する「観念」みたいな意識があるのか・・・とりあえずは安心したものの、心配の根が取れた訳ではない。まあ、人生なるようになるでしょう。

●リンゼイさん殺人事件の裁判を取り上げた番組で、テリー伊藤さんが「まず、リンゼイさんが亡くなるまでに、どんな恐怖感を味わったかを考えて欲しい」というような事を言っていた。本裁判の争点の一つとして殺意があったかどうかというのが上げられているが、これをリンゼイさんの立場になってみると「そんなのどっちでも一緒よ!私は事実として殺されたのよ!」という怒りと嘆きしか思い浮かばない。詳しい法律の話は分からないが、人情として、被害者に十分な弔いをして上げたいと思う。それが叶う方向に収束して欲しいと思うのだが・・・。裁判官が一般人の感情から離れてしまわないように「裁判員制度」が制定されたと思う(それが全てではないだろうけど)。でも、本来なら裁判官が一般人の人情を持ち、法律家としての専門的判断を下すのが筋ではないかと思う。もちろんそういう人が多いんだとは信じているが、物事を深く考察すると、人間の自然的感情から離れていきがちなのも事実とは思う。はたして誰のための裁判か・・・。
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●アルバート・コリンズ『ライブ92-93』<ヴァージン>(95)

http://www.hmv.co.jp/product/detail/520608

「アイス・サウンド」と称されたギターサウンドと痛快なパフォーマンスで、モダン・ブルースシーンを支えていた“鬼瓦”アルバート・コリンズが亡くなったのは93年。なんと亡くなる直前の演奏である。発売は没後であるが、決してレクイエム盤的評価に収まらない。当時からそうだった。凄い充実度!辛い表現だが生命感に満ち溢れている。頭にキンキン響くようなギター音なのだが、不快感など全くない。クールだが十分ホットなのだ。ホットというより人肌の温もりだな。王道ブルースからリズム&ブルース感覚の物までこなし、エンターテインメント精神も伝わってくる。アルバート・コリンズの名盤の一つを超えて、ブルース名盤の一つだ。買わなければ損をする。

♪"Iceman"
http://www.youtube.com/watch?v=ihvvf1R_vWo

♪"Shoe on the Other Foot "
http://www.youtube.com/watch?v=7kwr9f-e5z4

♪"I Ain't Drunk"
http://www.youtube.com/watch?v=NjVfc8-Y7sQ

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ちいさな哲学者たち

フランスの映画『ちいさな哲学者たち』・・・テレビ番組での紹介を見たものです。

http://tetsugaku-movie.com/

ある幼稚園で、4歳~6歳の間「哲学」の授業を設けた。さまざまなテーマに沿って、子供たちが自力で哲学する事によって、どう成長したかを追ったドキュメンタリーらしい。

最初の内は、先生の質問に対して応えるというパターンだった。次第に、身近な例を上げて説明できるようになったり、自分達でテーマを出せるようになった。

議論が白熱して、暴力を奮ってしまう園児も出たが、暴力では何も解決しないという教訓も得る。

考える事の楽しさを知った子供達は、人間関係の確立や、物事の善悪について、「教わる」のではなく「気付く」のではないだろうか?

口の達者な子供は時々見かけるが、達者なだけに自分中心に世界を構築してしまいがちな気がする。口は達者でも考えは浅いのだ。もちろん、人生経験を通じて大事な事に気付いてはいくだろうが・・・。気付かないままの大人も結構いる。

教育問題を語れるほど私には知識がないが、充実した人生を送る為に必要な事は、なるべく小さい内に教えて上げた方が良いと思う。

いや正確にいうと、「考えさせる」必要があると思う。「これはこうなんだよ」という前に「これ、どう思う?」と問いかけるだけでも受け取る側の意識は変わる気がする。

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EARTHY

●もうすぐ娘の誕生日なので、昨日はレストランで外食。ステーキやハンバーグがメインで、ご飯類、パン、サラダ等がバイキングのお店。味もそこそこ良かった。娘はまだ色気より食い気の感じだな。

●今日の午前中は仕事だった。元々予定されていたものに若干追加業務が出て、ちょうどお昼まで掛かる。帰宅したら、ヨメさんと娘は気を遣ったのかヨメ実家へ。ひとりのんびり状態。

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●ジョニー・テイラー『テイラード・イン・シルク』<スタックス>(73)

http://www.hmv.co.jp/product/detail/4027014

オリジナル盤にシングル6曲を追加したリイシュー盤。こだわりのソウルマニアはシングル収集に余念がないという話はよく聞くが、確かに本盤のように、オリジナル+シングル曲といった構成のアルバムで、シングルからのものが光っている例は結構ある。そういった意味からもオリジナルでお持ちの方もこれは愉しめるリイシューだと思う。もちろん原盤部分が劣るとまでは言わない。

ジョニー・テイラーという人は実に幅が広い。オーソドックスなソウル、リズム&ブルース、純ブルース、ファンキーなソウル、ゴスペル・・・歌い方は、クルーナー的でありながら火を噴くようにハードに吠える場合もある。しかし、どちらにしろ抑制が効いていて、尚かつアーシーだ。そう、この人を解釈するキーワードは「アーシー」ではないかと思う、サム・クックマナーのスタイルが聴き取れる部分もビターな味わいがある。マーヴィン・ゲイがやりそうな曲もあるが、甘い世界に落ち込まない。ファンキーな曲はJBのようにクールではなくひたすら熱い。普通幅の広い歌手は「器用貧乏」的評価を与えられるが、ジョニーの場合は何をやっても常に深い。しかも暑苦しくはない。もっと讃えられるべき歌手だと思う。

♪"Talk To Me"
http://www.youtube.com/watch?v=A7kzYOnod_M

♪"THIS BITTER EARTH"
http://www.youtube.com/watch?v=S9g_P7t8mqQ

♪"Doing My Own Thing (Part 1)"
http://www.youtube.com/watch?v=DnpWvthFbUI

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考えるアホと考えないアホ

●噂の尾ヒレの凄まじさを実感する。ヨメさんの知り合いの方がトラブルに遭われたが、大事には至らなかった。ヨメさんは直接ご本人から話を聞いていたので安心していたが、別の方から「ねえ、アナタ知ってる?」的に聞いた話がとんでもなく飛躍していたらしい。確かに他人の噂というのは興味をそそる。しかし、これほど、ムダな想像力の発揮はない。渦中の本人への思いやりもない。人間は考えるアホになってはいけない。

●わがまま勝手なドライバーは相変わらず。先日右折レーンの先頭に立ち、対向車の様子をうかがっていた。対向側が先に止まる、時差式信号の交差点だった。その時対向車は止まりそうだったが、完全には停止していなかった。止まるのを待っていたら、私の後ろの車が先に曲がろうとした。こちらの右折のタイミングと重なり、思わず顔を見合わせた。相手は全く悪びれる様子もなく、私を先に行かせた(当たり前だが)。まあしかし、こんな事書いても噂話と一緒で不毛だ。他人の悪口は醜い。でも、醜さ承知で毒付いてみた。

♪The Meters "Hey Pocky A-Way"
http://www.youtube.com/watch?v=EEtXT9w9AYU

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2011年6月の読書メーター

読んだ本の数:2冊
読んだページ数:831ページ
読んでた本の数:2冊
積読本の数:2冊

●米原万理さんの、クールなのに中身が熱い筆致。ヒューマンな視点と下世話寄りにもなるユーモア感覚、言葉への集中力、感嘆のポイント多過ぎ。

▼読んだ本
■完本 紳士と淑女 1980‐2009 (文春新書)
雑誌の名物コラムという事だが、政治、社会、スポーツと多岐にわたる直言。その底には人間を愛する気持ちが流れているので、全くイヤミがない。
読了日:06月12日 著者:徳岡 孝夫
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11862307

■EQ こころの知能指数 (講談社プラスアルファ文庫)
95年発売の本書は日本でもブームになった。殺伐とした現代社会にも警鐘は届く。知能指数よりEQ(情動の知性)を心がけよ。他人に共感する事。怒りや欲望をコントロールする事。その必要性を科学的かつヒューマニティーを持って述べられている。
読了日:06月11日 著者:ダニエル・ゴ-ルマン
http://book.akahoshitakuya.com/cmt/11668125

▼読んでた本
Ho
■星への旅 (新潮文庫)
著者:吉村 昭
http://book.akahoshitakuya.com/b/4101117020

U
■打ちのめされるようなすごい本 (文春文庫)
著者:米原 万里
http://book.akahoshitakuya.com/b/4167671042

▼積読本
03371262
■ブルース・ピープル-白いアメリカ、黒い音楽 (平凡社ライブラリー)
著者:リロイ・ジョーンズ(アミリ・バラカ)
http://book.akahoshitakuya.com/b/4582767257

■ギリシア哲学入門 (ちくま新書)
著者:岩田 靖夫
http://book.akahoshitakuya.com/b/4480066047


▼読書メーター
http://book.akahoshitakuya.com/

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