宗教音楽としてのゴスペルを思い知る
●パスター・ミッティ・コリア『I Owe It All To The World 』<Pヴァイン>(11) http://www.hmv.co.jp/product/detail/4091587 ソウルシンガー時代のミッティ・コリアはお気に入りシンガーの一人だった。逞しさに溢れた強靭な声を持ちながら、密やかな色気も感じる魅力的な歌い手だった。 音楽界を離れて、地元の教会で牧師として活躍しているという話も知っていた。重要なポストを務めているとの事で、ゴスペルのアルバムを出す事もないんだろうなあと観念していた。 ところがどっこい、日本のレコード会社がコンタクトを取り、来日、さらにはアルバム製作という快挙を成し遂げたのだ。神様のお導きと、こちらが言いたいぐらいの感激! といいつつも、音を聴くまでは安心できない。音楽家としてはソウルシンガーの頃が絶頂期で、過去の名前だけで歌っているような事にはならないかという不安も少し。 結果は予想以上に嬉しい出来だった。ソウル時代の艶の代わりに、神の言葉を伝達する情熱が、深い感動を与えてくれる。曲の完成度、演奏のタイトさ、コーラスなども素晴らしい。ソウル時代に大好きだった曲「I Had A Talk With Man Last Night 」は元々ゴスペル曲だったものを本来の姿で。その2曲を比べると特に良く解った。ソウルやブルースファンからゴスペルを見やると、ある程度、商業音楽的側面に気持ちが動く。だが本来は「宗教音楽」的美しさに第一の魅力があるのではと思う。 本盤の美しさ、ディープさは正に宗教音楽としてのゴスペル。約30年の時を経て、黒人音楽の魅力を違う形で満喫させてくれたミッティ。ひたすら感謝である。神様というのは、どうやら確かにいるようだ。 ♪『I Owe It All To The Word』digest http://www.youtube.com/watch?v=g2XmVIP8uaw |
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