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「ジャズ」の物語

Jazz


●相倉久人著『ジャズの歴史』<新潮新書>

ある音楽を、ジャズかそうでないかと考えた場合、その音楽に影響を与えたアーティストは誰か、その又ひとつ前は誰か・・・と戻って行って、創成期のニューオリンズのジャズに繋がれば、その音楽はジャズであるとの考えに基づき、歴史を丹念に辿りながらジャズについて語られた書である。

と書くと、しかつめらしい印象になるが、実はとても読みやすい本である。

これは「ジャズ」を主人公にした物語だ。

但し、「ジャズ」の成り立ちや歴史を語られてはいるものの、明確な定義を提示されている訳ではない。「ジャズ」こそがカテゴライズを嫌う面があるからだ。「カテゴライズを嫌う」というカテゴリーにいるのではないかとも思うが、生憎と「ジャズ」は音楽だ。基本的に自由なのだ。笑いながら、時には皮肉を込めて、人々の決め付けをすり抜けてゆく。

確かに「ジャズ」は不可思議な存在。「ジャズ」自身がジャズを嫌う場合もある。そもそも「ジャズ自身」という表現も霞みを掴むような不確定さ。

実は、だからこそ、「ジャズ」は「物語」として成り立つのだ。本書を読めば、ジャズの歴史や種類を識る事にはなるが、それよりも何よりも、語り手・相倉さんの凄い所は「ジャズ」の表情、「ジャズ」の想い、「ジャズ」の匂い等々を察知させて下さる所だ。相倉さんは「ジャズ」の魅力を知り尽くしている。相倉さんの筆に掛かれば、小説でもないのに「ジャズ」を主人公にした物語が結ばれるのだ。

と書くと、ジャズを巡るエッセイに近いもののように取られそうだが、基本的な用語やアーティスト、時代との関連性など、実に詳細かつ解りやすく説明されている。この「噛み砕く」姿勢が、物語にちかい風合いを出しているとのかも知れない。

♪John  Coltrane "My Favorite Things"
http://www.youtube.com/watch?v=0I6xkVRWzCY

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