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母性愛を歌に乗せ

Na
●中島みゆき『歌旅劇場版』

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そこには、さまざまな世界が展開していた。かつての日本流フォークソングのひなびた叙情性。演劇的モード。歌のテーマは、日常の生活感から壮大な宇宙感まで。人間が自然の一部であり、人間の想いもまた、自然なものであるという一体感に包まれる。

彼女は、思わず拳に力が入るほどの強靭な歌声を聴かせる時があるが、眉根を寄せる事もなく、自然体で歌い上げる。怒りではなく真剣な表情である。表情と言えば、例の、顔がクシャクシャになる笑顔も見せてくれる。笑顔と真剣な表情が一つの曲でもコロコロと入れ替わり、無理なく共存している。

中島みゆきといえば「女性に対する応援歌」というイメージがあるが、もう一回り大きい気がする。世の人全てに対してメッセージを送っているのではないのだろうか。優しいがシッカリとしたタッチで・・・。

「ファイト」は勇気を出せずに辛い思いをした人たちに送られている。しかも、「ファイト」と歌う部分が、とても可愛らしい声。後ろからポンと肩を叩くような励まし方だ。力強い歌詞とのコントラストが人間味を感じる。

優しさは自分の思いより他人の思いを重んじる。「浅き縁」で結ばれた女性が男性におくる別れの言葉「私の事は忘れてもあなたの笑顔は忘れないで」・・・こういう観点には中々立てない。女性が男性の笑顔を忘れないわというパターンはあっても、男性に、自分自身の笑顔を忘れるなと言えるものではない。

しかし、ただ優しいだけではない。「人は一人で生まれてきたのだから一人で生きなければならない」と、認めるのが躊躇われる真実をズバリと言い放つ。ふと、「母性」という言葉が頭に浮かんだ。中島みゆきは「母性愛」を人々にもたらしているのではないだろうか。ただ優しいだけではない。かといってヒステリックに厳しいのではない。彼女の人懐っこさと歌唱の素晴らしさ、紡がれる言葉の独創性と真理は全て母性から生まれ出ている。ものすごく大きくいえば彼女は「人類の母」なのだ。こんなに大上段に振舞うと、ひらひら手を振りながらニコニコ笑っている彼女も見えてくる。

♪"ファイト!"
http://www.youtube.com/watch?v=sehTpxlne_0

♪"地上の星"
http://www.youtube.com/watch?v=v2SlpjCz7uE

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