2012年の読書メーター
読んだ本の数:24冊
読んだページ数:7272ページ
ナイス:92ナイス
感想・レビュー:24件
月間平均冊数:2冊
月間平均ページ:606ページ
人生について (中公文庫)の
感想言葉の力を大切に。しかも正しく言葉を扱うこと。全てはそこから始まるというか、それが全てなのかも知れない。個性の発揮や人間関係の涵養、もっと砕けば思いを伝える、人間らしく生きる為には、正しい言葉が必要なのだ。
読了日:12月31日 著者:
小林 秀雄高校生のための批評入門 (ちくま学芸文庫)の
感想「批評」とは批判ではない。言葉ではなく「精神」である。世の中の諸々に対して感動したり違和感を感じたりした時、自分で考えを巡らせる事が重要である。本書は芸術、歴史、文化、技術など余りに幅広い材料を提示し、「自分の考えを持つ」=「批評精神」の涵養を説いている。
読了日:12月15日 著者:
群衆 - 機械のなかの難民 (中公文庫)の
感想「群衆」をキーワードに日本の近代~現代史を語る。国家権力と対峙する庶民のパワーをヒシヒシと感じる。クール・ジャパンはここにはない。
読了日:11月4日 著者:
松山 巌現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)の
感想専門書の領域ではある。一般読者として捉えるポイントは、「情報」「消費」とも自分が求めている以上のものが現実社会には溢れており、混乱するというのが一点。さらに本書内でキーワードとして章立てされている「環境」「貧困」。こちらも、破壊する必要がないのに破壊している環境と、大国の思惑で、貧困化に追いやられている小国。別の言い方だと、経済的発展の闇の部分を活写している部分が理解しやすいし重要だ。毎日のニュース等でこれらのキーワードに着目できるようになっただけでも読んだ価値あり。
読了日:9月30日 著者:
見田 宗介台風の眼 (新潮文庫)の
感想山河の遠景から、植物、虫、水滴まで、自然の事どもが、存在感、匂い、触感、色彩などを通じ細かく描写されている。そのせいか人物像が薄い。これは良い意味で非日常的な存在として惹きつけられる。時代背景も、占領下の韓国から敗戦後の田舎への疎開。旧制高校から大学へと変わりゆく「東大」時代。新聞記者としての戦時下のソウルやベトナム駐在。いわば舞台も非日常的。現実と異界のハザマをふらふらさせてくれる小説らしい小説。
読了日:9月16日 著者:
日野 啓三民族の世界地図 (文春新書)の
感想大国支配の醜さが印象に残る。各民族の特徴を、次々と展開していくので飽きがこない。こういう知識は頭の片隅に置いておくべき。
読了日:9月9日 著者:
日本の音を聴く 文庫オリジナル版 (岩波現代文庫)の
感想日本語や日本文化には、音・音楽の存在が密接に関わっているのを知らされる。西洋楽器と和楽器(より広範囲には非西洋楽器)の違いも納得。著者が作曲・構成したシアターピース(演劇と合唱の融合)作品の核となるのは、ライブ感だったり、一期一会的感動だったりする。下地は日本の民俗芸能や社寺芸能。立ち位置が定まっているので理解は進む。
読了日:8月26日 著者:
柴田 南雄陰翳礼讃 (中公文庫)の
感想数篇のエッセイが収録されているが「陰翳礼讃」で述べられている、日本文化の背景にある暗がりの存在が他のエッセイでも生きている。昭和一桁の作品が殆どながら、西洋文化の明るさ・清潔さを何の疑問もなく取り込んでいる日本の姿勢を批判している。
読了日:7月25日 著者:
谷崎 潤一郎41歳からの哲学の
感想情報はそれだけでは知識にはならない。知識はそれだけでは思想にならない。深く考えるのに情報は必ずしも必要ではない。
読了日:7月21日 著者:
池田 晶子マイケル・ジャクソン (講談社現代新書)の
感想マイケルの実像を、単なる贔屓目でなく冷静に実証している。認識が変わった。と同時に、もっと何とかならなかったのかとマイケルの背中を叩きたい気分になった。ニーヨとか最近のブラック系アーティストがマイケルへのリスペクトを口にするのもよく解る。だからこそね~。
読了日:7月8日 著者:
西寺 郷太実録アヘン戦争 (中公文庫)の
感想中華思想の下では通常の貿易は成立せず。取引ではなく、朝貢。これに大英帝国意識が従うわけがない、というのが背景にある。個人としては素晴らしい人物が具体的に仕事を成しても、つまらない見栄をふりかざす側が体制となる。著者の丁寧な史実の積み重ね方は、大事なことを沢山教えてくれる。
読了日:7月6日 著者:
陳 舜臣倍音 音・ことば・身体の文化誌の
感想音楽理論的な部分は難しいが、西洋人と日本人(非西洋人)の「音」の捉え方の比較は面白い。決定的な一冊というよりは、ここからまた色々な音楽や文化比較に関する本を読みたくなる。
読了日:6月25日 著者:
中村 明一不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)の
感想通訳業の話だけでなく、人間の生き方みたいなものを教わった。
読了日:6月10日 著者:
米原 万里THE DIG presents アトランティック・レコード R&B/ソウル (シンコー・ミュージックMOOK)の
感想過日発売された10枚組みボックスの情報にはなる。特に2枚は鈴木啓志氏の編集したメズラシ盤。あとの特集はアテランティックをある程度知っている人には踏襲の感。各章のリード部分の文章が雑なのが残念!
読了日:6月3日 著者:
ザ・ディグ編集部日本語の文法を考える (岩波新書 黄版 53)の
感想日本語を、時間と空間だけでなく、文化・風習、外国との比較という多彩な側面から説明してある。但し、詳細な説明は素人にはピンと来にくい。大学で勉強している人たちが大いに役に立つと思われる。でも、大野さんの本、もう少し読んでみたい。
読了日:5月26日 著者:
大野 晋日本流 (ちくま学芸文庫)の
感想多様で一途な日本・・・簡単には解釈できない言葉だ。日本らしさを考える時、ついつい和風で情緒のあるものだけを取り上げがちだけど、正剛さんはもう一歩深く踏み込んでいる。この本から繋がっていく世界が随分ある。そこも含めて今度は読者、そして日本人が踏み込む番だ。
読了日:5月20日 著者:
松岡 正剛思考練習―知的生活を楽しむ読書作法 (三一新書)の
感想少し難しい部分もあったけど、ものの考え方について丁寧に説明してある。理念を抽象的に考えず、自分の人生に照らし合わせる。そしてキイワードをあぶり出す。
読了日:5月5日 著者:
鷲田 小彌太音盤時代の音楽の本の本の
感想音楽本というより、音楽感覚のある哲学本だ。
読了日:4月8日 著者:
大谷能生,湯浅学,佐々木敦,高橋健太郎,杉本拓,高橋悠治,野田努,千葉優子,野村和孝,松永良平,松村正人,三田格,四方田犬彦,小田晶房,若尾裕,恩田晃,北沢夏音,岸野雄一,木村元,工藤冬里知ることより考えることの
感想人は、いかにモノを考えず、他人の意見を妄信したり、情報を集めているだけだったりするのか。池田さんの本は何冊か読んだけど、本書のように短く章立てしてあると、とてもポイントが伝わりやすい。
読了日:3月10日 著者:
池田 晶子エレクトラ―中上健次の生涯 (文春文庫)の
感想作家になるべくしてなったといわれる中上健次。しかし安易な道ではなかった。言葉に対する鋭い感性が、観念に終わらず肉体性を帯び、文章にも独特のリズムが表れるまでに相当の苦労や葛藤がある。名を成した後でも、語り言葉の存在感に打ちのめされながらも前進しようとする魂の人。
読了日:3月7日 著者:
高山 文彦アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ)の
感想「擬装」をキーワードにアメリカの音楽史を語る。人種、性別から地球と宇宙・・・取り入れるのではなく「成り変わる」という発想。考えてみればアメリカという国はネイティヴ・アメリカン以外は「よそ者」。それぞれに通低するものは元々無いのだ。基本、黒人音楽のリスナーとしては後は音で感じよう。
読了日:2月19日 著者:
大和田 俊之生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)の
感想理科系にとんと弱い私なのに、こんなに読みやすいとは思わなかった。科学者から分子レベルの「生物」までイキイキと描かれている。生命のシステム?まで生々しく説明される。ロマンチストでリアリスト、しかもヒューマンな人。
読了日:2月15日 著者:
福岡 伸一新書で入門 ジャズの歴史 (新潮新書)の
感想読みやすいのが第一。概説に終わらずジャズの魅力自体がよく伝わる。書き手というより語り手と呼びたくなる親近感。
読了日:1月26日 著者:
相倉 久人ポケットアンソロジー 生の深みを覗く (岩波文庫)の
感想どの作品も、小説世界の無限の広がりを感じる。最後の編者の断想を読むと理解が深まる。何とかベスト5を選ぶと私の場合、①バクスター「ガーシュウィンのプレリュード第二番」②フィリップ「老人の死」③林京子「空罐」④小島信夫「石遊び」⑤林芙美子「魚の序文」
読了日:1月17日 著者:
2012年に読んだ本まとめ読書メーター
最近のコメント