« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »

2013年1月

【創作】ステップ

篤は、いつもより、通勤電車の揺れを強く感じていた。座席に無理なく座っているのに、身体に踏ん張る力がない・・・疲れている。とにかく疲れている。

肉体的疲労ばかりではない。今日一日絶える事がなかった、田中の得意気な笑顔が頭にこびりつき、ムカつきが収まらなかった。ストレスを晴らす機会もなく、くすぶった気持ちのまま家路を辿っていた。

同僚が昇進したって、別に構わない。俺もあと5年で定年だ。今更指なんてくわえやしない。問題はヤツの態度だ。昨日までは、会社に対する不満を散々言ってたクセに、俺たちの上に立った途端、偉ぶり出し、会社の素晴らしさを滔々と述べ立てる始末だ。管理職の立場は解るが、態度の変え方が許せない。

もっとも、自分としては、仕事さえキチンとすれば、上司が誰だろうが関係ない。上司に批判的になる必要もないのだ。悪口ばかり言うって事は、案外、俺も、上の立場に立てば、田中みたいに手の平をクルッと返すのかも知れないな・・・思いが自己批判に到達しようとする頃、電車が降りる駅に到着した。

小さな駅の正面向かいには、小さなコンビニがある。大手チェーンではあるが、地元の中年夫婦が切り盛りしている。夫婦共に愛想が良く、篤が照れ臭くなるほど大きな声で挨拶してくる。

リポビタンを買って帰ろうと思い、コンビニのドアを開けると、奥さんがいつも通り元気良く挨拶してきた。栄養ドリンクの類は入り口近くに置いてある。リポビタンを買う時は、いつも妻の分まで買って帰る。夫婦共々、日常的に疲れているのだ。店内を見て回る事もなく、奥さんが笑顔で迎えるレジに、商品を置き小銭を渡した。

「あのぉ」声を潜めがちに、奥さんが話しかける。勘定を間違えたと思い、財布を出そうとすると、「いえいえ、もしかしてK高校の小沢さんじゃないかと思って・・・」たしかに、篤の苗字と出身校だ。

田中の事ばかり考えていた一日に、風穴が開いた。周りの空気さえ変わった気がした。

「2年の時の同級生の加藤です。憶えてる?」顔をマジマジと見ると、コンビニの奥さんの顔が同級生の顔に重なった。

「おー、おー。全然気が付かんかった」
「もしかしたらと思ってたのよね。この辺に住んでるの?」
「あぁ、3丁目だよ。いやいや、それにしてもビックリした」
「ははは。今後とも宜しくお願いします」
「うん、また」

何気ない会話だったが、コンビニに入る前と出た後では、篤の気持ちは大きく変わっていた。しだいに、加藤という同級生について、記憶が甦って来はじめた。あまり目立たない生徒で、ほとんど会話を交わした憶えがない。現在(いま)の明るさからは想像出来ない女子だった。

彼女は自分を変える事が出来たんだろうな、それに対して俺は・・・と、またマイナス思考に向かいそうになった時、最近24時間営業に切り替えた、レンタルビデオ・ショップの大きな看板が目に入った。青地に白で24Hと書かれている。

篤の心の奥で何かが弾け、数々の映像と共に、時間が逆戻りし始めた。

あぁ、そうだ、2年の時は4組だったよな・・・よくふざけ合ってた友達の顔・・・つまらない事でケンカした事もあったな・・・ギターの練習だけは真剣にやってた・・・本気でジミー・ペイジに成れると思っていた・・・新潮文庫の太宰治は全部読んだ・・・次々に浮かんでは霞んでいく級友や先生たちの顔・・・休み時間のざわめき、廊下や階段を歩くスリッパの音・・・校庭の土のニオイ・・・そして、笑顔と泣き顔の両方を想い出してしまう彼女のこと・・・。

篤の歩みに勢いがついてきた。右手にぶら提げたコンビニの袋の中で、リポビタンの瓶がコツコツとぶつかり合う。まるで、リズムをカウントしているかのように。篤は、彼女との初デートの前に、必死で練習したダンスのステップを踏みはじめた。

幸い誰も近くを通っていなかったが、人が居たとしてもやっただろう。凛とした冬の星空の下、頭の禿げかかったオッサンが、くたびれたコートを翻し、のたのたと踊るさまは異様だった。どう贔屓目に見ても見苦しかった。

ついに、舗道の敷石の縁に爪先が当たり、つんのめって倒れかけた。書類カバンが手から離れ、二、三歩分、前へ落ちた。絵に描いたようなジ・エンド。

篤は軽く息をつくと、現実を拾い上げ埃を払った。

もう少しで帰り着く、自宅の玄関口の灯りに目をやる。いつもの状景なのに、懐かしい温もりを感じた。

そうだよ。もう、見栄え良く踊れないのは解ってる。でも、そんな俺だって、

真っ直ぐ前に歩く事は出来る。

(おわり)

| | コメント (0) | トラックバック (0)

とりあえず

●娘の就職先が決まった。バスで40分ぐらい、車でも30分ほどかかる距離だが、病院の事務に携わる。院長夫人直々の面接で、娘曰くアレヨアレヨという間に決まった。私も、場所は下見済みだ。診療科目も複数有り、そこそこ大きかった。辞める人も中々いないとの事。雰囲気の良い職場のようだ。

●ヨメさんは、私に、あまり詳しくは話してなかったそうだが、連戦連敗の就活で、娘は相当参っていたらしい。その分、今回の採用決定で、テンションがかなり上がっている。挫折で苦しんだ経験が、労働意欲に転化すれば良いが。

♪TAPESTRY "ITS NOT THE WORLD THATS MESSED UP"
http://www.youtube.com/watch?v=C8ryu7Bh00A

| | コメント (4) | トラックバック (0)

ケンカの功名、そしてデータとロマン

●ヨメさんとケンカして、しばらく針の筵に座っていた。コッチが悪いといえば悪い。向こうが悪いといえば悪い。犬も食わないぐらいだから大した理由はない。わずかな怨恨を引き摺りながらも、どうにか口を聞いて頂けるようになった。ホッとして気が緩んだら、変な所で頭打ったり、注意力が散漫になってしまった。ケンカ中の方が、歩くのにも細心の注意を払う感じで、集中力が高まっていたような・・・つくづく小心者である。

●芥川賞の最高齢受賞者と騒がれている黒田夏子さんは、最初に書いた作品が5歳の時とか。実に70年の間、小説の執筆に人生を捧げてきたという凄さ。しかし、もし、この方が小説に集中していなかったら、芥川賞が獲れなかったかというとそんな筈もない。ここのモノの考え方は結構重要だ。黒田さんは、人生のどこかの地点で強く決意されたかも知れないが、おそらく順風満帆ではなかっただろう。決意が揺らいだ時もあったかも。そこでどういう姿勢を取ったかだ。他人は75歳の黒田さんしか知らないが、ご本人は、その時その時で踏ん張った結果の70年だ。中途半端に捉えると、才能があったんだよね程度で終わってしまう。データとロマン、あなたはどちらに着目するか?

♪NATURAL FOUR "Love's so wonderful"
http://www.youtube.com/watch?v=4VU6RvhxJXI

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年の読書メーター

2012年の読書メーター
読んだ本の数:24冊
読んだページ数:7272ページ
ナイス:92ナイス
感想・レビュー:24件
月間平均冊数:2冊
月間平均ページ:606ページ

人生について (中公文庫)人生について (中公文庫)感想
言葉の力を大切に。しかも正しく言葉を扱うこと。全てはそこから始まるというか、それが全てなのかも知れない。個性の発揮や人間関係の涵養、もっと砕けば思いを伝える、人間らしく生きる為には、正しい言葉が必要なのだ。
読了日:12月31日 著者:小林 秀雄
高校生のための批評入門 (ちくま学芸文庫)高校生のための批評入門 (ちくま学芸文庫)感想
「批評」とは批判ではない。言葉ではなく「精神」である。世の中の諸々に対して感動したり違和感を感じたりした時、自分で考えを巡らせる事が重要である。本書は芸術、歴史、文化、技術など余りに幅広い材料を提示し、「自分の考えを持つ」=「批評精神」の涵養を説いている。
読了日:12月15日 著者:
群衆 - 機械のなかの難民 (中公文庫)群衆 - 機械のなかの難民 (中公文庫)感想
「群衆」をキーワードに日本の近代~現代史を語る。国家権力と対峙する庶民のパワーをヒシヒシと感じる。クール・ジャパンはここにはない。
読了日:11月4日 著者:松山 巌
現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)現代社会の理論―情報化・消費化社会の現在と未来 (岩波新書)感想
専門書の領域ではある。一般読者として捉えるポイントは、「情報」「消費」とも自分が求めている以上のものが現実社会には溢れており、混乱するというのが一点。さらに本書内でキーワードとして章立てされている「環境」「貧困」。こちらも、破壊する必要がないのに破壊している環境と、大国の思惑で、貧困化に追いやられている小国。別の言い方だと、経済的発展の闇の部分を活写している部分が理解しやすいし重要だ。毎日のニュース等でこれらのキーワードに着目できるようになっただけでも読んだ価値あり。
読了日:9月30日 著者:見田 宗介
台風の眼 (新潮文庫)台風の眼 (新潮文庫)感想
山河の遠景から、植物、虫、水滴まで、自然の事どもが、存在感、匂い、触感、色彩などを通じ細かく描写されている。そのせいか人物像が薄い。これは良い意味で非日常的な存在として惹きつけられる。時代背景も、占領下の韓国から敗戦後の田舎への疎開。旧制高校から大学へと変わりゆく「東大」時代。新聞記者としての戦時下のソウルやベトナム駐在。いわば舞台も非日常的。現実と異界のハザマをふらふらさせてくれる小説らしい小説。
読了日:9月16日 著者:日野 啓三
民族の世界地図 (文春新書)民族の世界地図 (文春新書)感想
大国支配の醜さが印象に残る。各民族の特徴を、次々と展開していくので飽きがこない。こういう知識は頭の片隅に置いておくべき。
読了日:9月9日 著者:
日本の音を聴く 文庫オリジナル版 (岩波現代文庫)日本の音を聴く 文庫オリジナル版 (岩波現代文庫)感想
日本語や日本文化には、音・音楽の存在が密接に関わっているのを知らされる。西洋楽器と和楽器(より広範囲には非西洋楽器)の違いも納得。著者が作曲・構成したシアターピース(演劇と合唱の融合)作品の核となるのは、ライブ感だったり、一期一会的感動だったりする。下地は日本の民俗芸能や社寺芸能。立ち位置が定まっているので理解は進む。
読了日:8月26日 著者:柴田 南雄
陰翳礼讃 (中公文庫)陰翳礼讃 (中公文庫)感想
数篇のエッセイが収録されているが「陰翳礼讃」で述べられている、日本文化の背景にある暗がりの存在が他のエッセイでも生きている。昭和一桁の作品が殆どながら、西洋文化の明るさ・清潔さを何の疑問もなく取り込んでいる日本の姿勢を批判している。
読了日:7月25日 著者:谷崎 潤一郎
41歳からの哲学41歳からの哲学感想
情報はそれだけでは知識にはならない。知識はそれだけでは思想にならない。深く考えるのに情報は必ずしも必要ではない。
読了日:7月21日 著者:池田 晶子
マイケル・ジャクソン (講談社現代新書)マイケル・ジャクソン (講談社現代新書)感想
マイケルの実像を、単なる贔屓目でなく冷静に実証している。認識が変わった。と同時に、もっと何とかならなかったのかとマイケルの背中を叩きたい気分になった。ニーヨとか最近のブラック系アーティストがマイケルへのリスペクトを口にするのもよく解る。だからこそね~。
読了日:7月8日 著者:西寺 郷太
実録アヘン戦争 (中公文庫)実録アヘン戦争 (中公文庫)感想
中華思想の下では通常の貿易は成立せず。取引ではなく、朝貢。これに大英帝国意識が従うわけがない、というのが背景にある。個人としては素晴らしい人物が具体的に仕事を成しても、つまらない見栄をふりかざす側が体制となる。著者の丁寧な史実の積み重ね方は、大事なことを沢山教えてくれる。
読了日:7月6日 著者:陳 舜臣
倍音 音・ことば・身体の文化誌倍音 音・ことば・身体の文化誌感想
音楽理論的な部分は難しいが、西洋人と日本人(非西洋人)の「音」の捉え方の比較は面白い。決定的な一冊というよりは、ここからまた色々な音楽や文化比較に関する本を読みたくなる。
読了日:6月25日 著者:中村 明一
不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)不実な美女か貞淑な醜女(ブス)か (新潮文庫)感想
通訳業の話だけでなく、人間の生き方みたいなものを教わった。
読了日:6月10日 著者:米原 万里
THE DIG presents アトランティック・レコード R&B/ソウル (シンコー・ミュージックMOOK)THE DIG presents アトランティック・レコード R&B/ソウル (シンコー・ミュージックMOOK)感想
過日発売された10枚組みボックスの情報にはなる。特に2枚は鈴木啓志氏の編集したメズラシ盤。あとの特集はアテランティックをある程度知っている人には踏襲の感。各章のリード部分の文章が雑なのが残念!
読了日:6月3日 著者:ザ・ディグ編集部
日本語の文法を考える (岩波新書 黄版 53)日本語の文法を考える (岩波新書 黄版 53)感想
日本語を、時間と空間だけでなく、文化・風習、外国との比較という多彩な側面から説明してある。但し、詳細な説明は素人にはピンと来にくい。大学で勉強している人たちが大いに役に立つと思われる。でも、大野さんの本、もう少し読んでみたい。
読了日:5月26日 著者:大野 晋
日本流 (ちくま学芸文庫)日本流 (ちくま学芸文庫)感想
多様で一途な日本・・・簡単には解釈できない言葉だ。日本らしさを考える時、ついつい和風で情緒のあるものだけを取り上げがちだけど、正剛さんはもう一歩深く踏み込んでいる。この本から繋がっていく世界が随分ある。そこも含めて今度は読者、そして日本人が踏み込む番だ。
読了日:5月20日 著者:松岡 正剛
思考練習―知的生活を楽しむ読書作法 (三一新書)思考練習―知的生活を楽しむ読書作法 (三一新書)感想
少し難しい部分もあったけど、ものの考え方について丁寧に説明してある。理念を抽象的に考えず、自分の人生に照らし合わせる。そしてキイワードをあぶり出す。
読了日:5月5日 著者:鷲田 小彌太
音盤時代の音楽の本の本音盤時代の音楽の本の本感想
音楽本というより、音楽感覚のある哲学本だ。
読了日:4月8日 著者:大谷能生,湯浅学,佐々木敦,高橋健太郎,杉本拓,高橋悠治,野田努,千葉優子,野村和孝,松永良平,松村正人,三田格,四方田犬彦,小田晶房,若尾裕,恩田晃,北沢夏音,岸野雄一,木村元,工藤冬里
知ることより考えること知ることより考えること感想
人は、いかにモノを考えず、他人の意見を妄信したり、情報を集めているだけだったりするのか。池田さんの本は何冊か読んだけど、本書のように短く章立てしてあると、とてもポイントが伝わりやすい。
読了日:3月10日 著者:池田 晶子
エレクトラ―中上健次の生涯 (文春文庫)エレクトラ―中上健次の生涯 (文春文庫)感想
作家になるべくしてなったといわれる中上健次。しかし安易な道ではなかった。言葉に対する鋭い感性が、観念に終わらず肉体性を帯び、文章にも独特のリズムが表れるまでに相当の苦労や葛藤がある。名を成した後でも、語り言葉の存在感に打ちのめされながらも前進しようとする魂の人。
読了日:3月7日 著者:高山 文彦
アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ)アメリカ音楽史 ミンストレル・ショウ、ブルースからヒップホップまで (講談社選書メチエ)感想
「擬装」をキーワードにアメリカの音楽史を語る。人種、性別から地球と宇宙・・・取り入れるのではなく「成り変わる」という発想。考えてみればアメリカという国はネイティヴ・アメリカン以外は「よそ者」。それぞれに通低するものは元々無いのだ。基本、黒人音楽のリスナーとしては後は音で感じよう。
読了日:2月19日 著者:大和田 俊之
生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)生物と無生物のあいだ (講談社現代新書)感想
理科系にとんと弱い私なのに、こんなに読みやすいとは思わなかった。科学者から分子レベルの「生物」までイキイキと描かれている。生命のシステム?まで生々しく説明される。ロマンチストでリアリスト、しかもヒューマンな人。
読了日:2月15日 著者:福岡 伸一
新書で入門 ジャズの歴史 (新潮新書)新書で入門 ジャズの歴史 (新潮新書)感想
読みやすいのが第一。概説に終わらずジャズの魅力自体がよく伝わる。書き手というより語り手と呼びたくなる親近感。
読了日:1月26日 著者:相倉 久人
ポケットアンソロジー 生の深みを覗く (岩波文庫)ポケットアンソロジー 生の深みを覗く (岩波文庫)感想
どの作品も、小説世界の無限の広がりを感じる。最後の編者の断想を読むと理解が深まる。何とかベスト5を選ぶと私の場合、①バクスター「ガーシュウィンのプレリュード第二番」②フィリップ「老人の死」③林京子「空罐」④小島信夫「石遊び」⑤林芙美子「魚の序文」
読了日:1月17日 著者:

2012年に読んだ本まとめ
読書メーター

| | コメント (0) | トラックバック (0)

プレシャス労働

●土曜日は、娘の就活の関連で、家族連れで山鹿市へ。帰りは農園バイキング。野菜中心とはいえ少々食べ過ぎた。昨年の人間ドックから、あまり満腹にならないよう気を付けており、自宅では食べ残す事もあるが、外食だとついつい最後まで食べてしまう。まあ、たまには良いか。ここのバイキングは値段もそこそこで味も良い。だご汁が特に旨かった。

http://www.mizube-plaza.co.jp/restaurante.html

Imagescacsgpzk

●山鹿から菊地を経由し大津へ。道の駅大津で買い物。銀河高原ビールを買った。風味も味わい深いがネーミングも好きだ。こういうのは、付加価値が高い方がより楽しめる。

http://www.komugi-beer.com/

●菊陽のぐるぐる倉庫を見てから、母親の病院へ。最近喘息の方も出てきているのか、透析を連日しているようなので、遅い時間に行ってみたが、熟睡していた。落ち着いた様子でやや安心する。家に着く寸前に会社から電話。翌日が出勤となる。

●という訳で、日曜は昼過ぎぐらいまで仕事。最近長い連休に入ると心配な状況だ。それにしても、会社勤めは所詮会社に振り回されるね。しかし、元来いい加減な性格の私が「物の道理」を覚えたのは、やはり仕事のおかげではある。自分の行動の対価として金銭を貰い、家族を養うという事は、尊い。会社組織、そして社会全般には、理想を追いかけるだけでは成り立たない醜いものが確かにある。それに負けてしまわず、よし、仕事をしようと前に進めるのは、気持ちの中で輝く尊さのおかげだ。

♪Thomas Dorsey "Precious Lord"
http://www.youtube.com/watch?v=kA0UV62zQFc

| | コメント (0) | トラックバック (0)

1月4日の金曜日

●三が日休んで、4日が仕事始めで、また土日が来るというのも、変な感じ。いつも前日に準備している事を朝からやったので、その分出発が遅れた。さらに、一件目でダブル・トラブルに見舞われ、すっかり調子が狂う。今年はツイてないと見るか、悪運がこれで尽きると見るか・・・。

●私と同じように調子が出ない人が多いのか、出勤時に事故を目撃。救急車も4台出くわした。極め付きは高速での事故。追い越し車線を規制している現場を通ると、中央分離帯付近に前部が潰れた1台。自損かと思いきや、左手のレーン外の場所に、なんと!鹿が横たわっていた。新年早々、事故って運がないと思うか、鹿にぶつかるとは珍しい経験をしたと思うか・・・いや、やっぱりこの場合は事故のショックが大きいだろうな。お気の毒さまです。

♪Sherrick "Lady You Are"
http://www.youtube.com/watch?v=6icFDEfLZZA

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月の音楽メーター

12月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:6枚
聴いた時間:108分

スーパー・バッド[紙ジャケット仕様・限定生産]スーパー・バッド[紙ジャケット仕様・限定生産]
2012.12.24 蔦屋書店三年坂店で購入。
PIRで一世を風靡する直前の4人のオージェイズ。エディのハード・シャウトの押しがもう一つだが、曲も良く、十分愉しめる。ジャケも最高。林剛さんの、オージェイズの足跡にスポットを当てたライナーもグッド。買って損はないアルバム。
聴いた日:12月29日 アーティスト:ジ・オージェイズ
Music From Big PinkMusic From Big Pink
2012.12.24 蔦屋書店三年坂店で購入。
「風景が語りかける」経験をお持ちだろうか。自然にしろ、人物の仕草にしろ・・・。何気ないのに心に残る瞬間。ザ・バンドの音楽が正にそれだ。飾り気のなさと奥深さが同居し、心を温める。特に「アイ・シャル・ビー・リリースト」は多くのカバーがあるがちょっとレベルが違う。
聴いた日:12月28日 アーティスト:The Band
David Unreleased Lp & MoreDavid Unreleased Lp & More
2012.12.24 蔦屋書店三年坂店で購入。
「モータウンの」とか「テンプテイションズの」とかいう形容詞から逃れようとする苦闘の跡。しかし、やはりその路線に近いものが印象に残る。お蔵入りアルバムとそこからもれたもの+シングル版という分け方はアーカイヴ以上の意味合いあり。
聴いた日:12月27日 アーティスト:David Ruffin
ラヴ&ビューティ+10ラヴ&ビューティ+10
甘茶ソウルはただ甘いだけではない。狂おしいほどの切なさが加味している。これぞ大人の恋である。全ての曲名を日本語に訳せばそのロマンが解る。少年少女よ。甘茶ソウルを聴いて正しい大人になろう!
しかし、このアルバム、一曲目が凄すぎて、最後まで尾を引いてしまうのが贅沢な悩みだ。
聴いた日:12月14日 アーティスト:ラモン・ドジャー
サタデー・ナイトサタデー・ナイト
2012.12.9ぐるぐる倉庫荒尾店で購入。前半は調子良いのだが、後半彼女らしさが出ていない。ファースト・アルバムって中々超えられないんだな~。ケイジーがフル活躍していないのも一因?
聴いた日:12月12日 アーティスト:ジャネイ;ウィル・ダウニング;ザ・ロックス;ナジー
At Newport 1960At Newport 1960
2012.12.9ぐるぐる倉庫荒尾店で購入。オリジナルの60年ニューポートジャズフェスの録音に、3ケ月前同一メンバーによるスタジオライブをプラス。ニューポートでの安定感とスタジオでのワイルド&ストレートさの違いが面白い。
聴いた日:12月10日 アーティスト:Muddy Waters

わたしの音楽メーター
音楽メーター

| | コメント (0) | トラックバック (0)

2012年12月の読書メーター

12月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:802ページ
読んでた本の数:1冊
積読本の数:4冊
読みたい本の数:1冊

▼読んだ本
人生について (中公文庫)人生について (中公文庫)
言葉の力を大切に。しかも正しく言葉を扱うこと。全てはそこから始まるというか、それが全てなのかも知れない。個性の発揮や人間関係の涵養、もっと砕けば思いを伝える、人間らしく生きる為には、正しい言葉が必要なのだ。
読了日:12月31日 著者:小林 秀雄
高校生のための批評入門 (ちくま学芸文庫)高校生のための批評入門 (ちくま学芸文庫)
「批評」とは批判ではない。言葉ではなく「精神」である。世の中の諸々に対して感動したり違和感を感じたりした時、自分で考えを巡らせる事が重要である。本書は芸術、歴史、文化、技術など余りに幅広い材料を提示し、「自分の考えを持つ」=「批評精神」の涵養を説いている。
読了日:12月15日 著者:
▼読んでた本
ミシシッピ・ブルース・トレイル 〜ブルース街道をめぐる旅〜ミシシッピ・ブルース・トレイル 〜ブルース街道をめぐる旅〜
著者:桑田英彦
▼積読本
千年の愉楽 (河出文庫―BUNGEI Collection)千年の愉楽 (河出文庫―BUNGEI Collection)
著者:中上 健次
新忘れられた日本人新忘れられた日本人
著者:佐野 眞一
笹まくら (新潮文庫)笹まくら (新潮文庫)
著者:丸谷 才一
日本の路地を旅する (文春文庫)日本の路地を旅する (文春文庫)
著者:上原 善広
▼読みたい本
洟をたらした神 (中公文庫)洟をたらした神 (中公文庫)
著者:吉野 せい

読書メーター

| | コメント (0) | トラックバック (0)

謹賀新年

新年明けましておめでとうございます。旧年中はご交流のほどありがとうございました。今年もなにとぞ宜しくお願いします。

2012年は、熊本からタワーレコードが撤退したのが何より大きなトピックでした。特に買い物をしなくても、フラッと立ち寄り新譜を試聴したりする事で、新しい発見があったりしたものです。その反動か、ほとんど旧い音楽へと偏った一年でした。そればかりか、キャロル・キングやボブ・ディランといった、今までは買わなかった方面へも手を伸ばしました。結局「本物の音楽」であれば伝わるものは一緒ですから、手を出した事で却って新境地が見えた感じもします。

ブルースについても考え直した一年でした。書物からの流れもあるのですが、「ネイティブ」を意識した年でした。これまでもネイティブという言葉は何度も使ってきましたが、現実的に把握できたのではと自負しています。

実はこの辺の感覚は、読書を通して肉付けされました。松岡正剛さん辺りから「日本的なるもの」を熟考するようになり、柴田南雄さんから歴史的・文化的流れを踏まえた「日本の音楽」について意識し、さらには夏目漱石や谷崎潤一郎といった日本語の魅力が生かされた文学に触れた事で、日本人として、日本語で考え表現していくという思いを新たにしました。いわば、自分をネイティブ化して考える事が多かった一年でした。

ブルースについて考える前に、自分の考える姿勢を確立し、ブルースだろうが何だろうが対象について考えてみる。気持ちとしてはそうなのですが、はたして形としてどれだけの物に結実するかは未知数です。でも、本人としては、少なくとも前に進んでいると思っています。

今年も、皆さんが、楽しい音楽や人々に出会えますように!

♪The Rolling Stones & Mary J Blige - Gimme Shelter

http://www.youtube.com/watch?v=VF0XkBs2MBY

| | コメント (2) | トラックバック (0)

« 2012年12月 | トップページ | 2013年2月 »