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デビッド・ラフィンの謎

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●デビッド・ラフィン『デビッド』<モータウン/Hip-Oセレクト>(04)

http://www.allmusic.com/album/david-unreleased-lp-more-mw...

69~71年に録音され、お蔵入りになっていたアルバムに、ボーナス曲やシングル・エディット分をプラスした一枚。デビッド・ラフィン好きを自認するくせに、手に入れるのが遅かった。

冒頭、(遠慮がちではあるが)ストリングスが飛び交うサウンドのせいで、どうもしっくり来ない。ジャクソン5「アイ・ウォント・ユー・バック」のカバーも、マイケル色の払拭には至らない。

本アルバムで鍵を握るのは、6曲目「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」かと。この手の曲はソウル・シンガーの試金石になる。黒さが少し抜けたぐらいの曲を、如何に黒く塗り込めるかで、本物ぶりが見えてくるのだ。

持ち前のハスキーな声で丁寧に歌いこなすさまに、深い哀愁を感じる。しかし、重たくはなく、自然な感触だ。

私は、どちらかというと、デビッドのファンキーなタッチに惹かれる。本盤でも、比類なきファンキー・ソウルが愉しめる。だが、彼の歌唱力はそこに止まらない。バラードの歌い口の丁寧さは、ソウルはもちろん、ポップス系でも違和感はない。⑲ではゴスペル調も聴かせる。

生き方の強烈さからの連想で、ついつい、歌世界もファナティックなイメージが拭えないのだが、実は、正統的ソウルマンなのだ。もっとも、正統的だから、ファンキーさも映えるのだろうが。ソウルシンガーにとっては当たり前の論理だ。

アルバムに収録された曲と、選から洩れた曲の表情の違いも面白い。微妙なところではあるが、よく“基準”に基づいて分けられている。私のようなブルース志向が高い者は、断然洩れた方が気になる。ファンキー度が強く、彼の汗や唾や体温を感じ取れる曲が多い。アルバムとして纏められたものが悪い訳ではないが、口当たり(耳当たり)が良すぎる印象なのだ。

最後のブロックは、アルバムに採用された曲のシングル・エディットだ。あまりアレンジを施さずに提供されている感じにソウル・ミュージックに対する率直さを感じる。シングルとしてはそちらの方が正解だろう。

全ての条件を無難にこなし、ある程度の成果を上げているデビッド・ラフィン。果たして、彼の気持ちとしてはどういう路線に進もうとしていたのか・・・「レイニー・ナイト・イン・ジョージア」を聴くたびに謎は深まる。

♪"RAINY NIGHT IN GEORGIA"
http://www.youtube.com/watch?v=buByNSg-oxI

♪"YOU CAN COME RIGHT BACK TO ME"
http://www.youtube.com/watch?v=OcMen3dRh1U

♪"HEAVEN HELP US ALL"
http://www.youtube.com/watch?v=c2pAgw9crs4

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