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2013年7月

DJディランの微笑みと温もり

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●V.A.『テーマ・タイム・ラジオ・アワー・ウィズ・ユア・ホスト・ボブ・ディラン』<エイス>(08)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/0413RK8264

熊本在住のカントリー歌手・チャーリー永谷さんは、日曜朝8時半から30分民放AMラジオで番組を持っておられる。私はその時間帯に床屋に行く事が多い。倒された椅子に身を委ね、蒸しタオルを当てられ目をつむっていると、カントリーソングが心地良く耳に入ってくる。休日の朝に、カントリー系の歌はよく似合う。身も心もゆったりと寛ぐ。媒体がラジオなのも、関係していると思う。

音楽の聴き始めがラジオだった事もあってか、ラジオから流れる音楽というシチュエイションは、種類を問わず耳に馴染む。音質云々より、音楽を通して伝わってくる「温かみ」みたいなものに惹かれていたのだろう。パーソナル性の高いラジオは、掛かる音楽のパーソナリティーをも感じやすくさせているのかな。番組を進行する人をパーソナリティーと呼ぶのも言い得て妙である。

天下のボブ・ディランと上記の戯言を一緒くたにするのは申し訳ないが、ディランもこの気持ち解ってくれそうな気がする。本アルバムを聴きながらそんな事を思った。

『テーマ・タイム・ラジオ・アワー』は、放送回毎にテーマが決められている・・・「父」「母」「食べ物」「銃」「女性の名前」など多彩だ(本盤に選ばれた曲がどのテーマに基づくか付記有り)。ボブ・ディランは06年~09年の間、この番組のDJを努めた。彼が各テーマについてどんな事を喋ったのかも興味があるが、本CDには喋りは一切入っていない。しかし、各曲のタッチに共通する「愉快な感覚」から類推するに、喋りも滑らかだったのではないだろうか。

全てがそうとは言えないが、Disc1は和む曲、Disc2はテンションが高まる曲が多い。ジャンルはカントリー(もっと細分化されるだろうが生憎と門外漢)、ジャズ(小唄からミンガスまで)、ブルース、ジャンプ、ソウル、ロック、ポップス、ジャマイカ、テキサス&メキシコと広範囲だ。先に触れたが、聴いていて愉しいものが多い。私と同じ音楽嗜好の方なら、メンフィス・ミニーやシスター・ロゼッタ・サープのギターワークが象徴的だとか、スリム・ゲイラードも登場と書けば、大体感じは掴めて頂けるかと。

ロックは全体にヨレヨレ系が多い。「トミー・ガン」(大好き!)が収録されているクラッシュのジョー・ストラマーを思い浮かべてほしい。もっとも、クラッシュはサウンドはタイトでヨレてはいないが。他のバンドはサウンドも心地好く揺れている。ディランがロックンロール系のバンドを演るならこんな感じになるんじゃないか。

数は少ないソウルも、サザンよりはノーザン寄りだ。あるいはアーリー・ソウル系。ジェイムス・カーもさほどコッテリではない。全体的に、ディープ過ぎないよう心掛けているかのようだ。情念のブルースマン、オーティス・ラッシュもアッサリ目。

このアルバムとラジオ番組の存在は、ピーター・バラカンさんの著書で知った。その時は、ディランの選曲なら、さぞかし懐旧モードで渋みの極致じゃないかと推測した。加えて「チェイン・オブ・フールズ」や「トミー・ガン」といった好きな曲も有ったので迷わず購入。結果、予想は気持ち好く裏切られた。

シリーズは3作品有る。アナログなペースで集めて行こう。

♪Charlie Rich "Tears a go go"
https://www.youtube.com/watch?v=_uLp3kyiH_I

♪The Donays "Devil In His Heart"
https://www.youtube.com/watch?v=hRAGi8lXFmk

♪The White Stripes "Seven Nation Army"
https://www.youtube.com/watch?v=0J2QdDbelmY

♪Joe South & The Believers  "Walk A Mile In My Shoes"
https://www.youtube.com/watch?v=4DYZP1ckfyA

♪Memphis Minnie "Me And My Chauffeur Blues"
https://www.youtube.com/watch?v=KiRoNuw5x4M

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野生的慧眼

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●藤原新也著『僕のいた場所』<文春文庫>(93)

http://www.tsutaya.co.jp/works/40008078.html

物事の本質を見抜く眼力を「慧眼」というが、藤原さんは、正に慧眼の人だ。

今から10年ほど前に書かれた各章の中で、都会人の無関心度、不合理な犯罪の増加、家族や会社組織の崩壊と、それに起因するネオ宗教団体、老人の存在意義に思いが至らない社会、思索に欠けたマスメディア等々の「今後問題視されるだろうテーマ」が採り上げられている。残念な事に、ほとんど全て現在の社会問題として浮き彫りにされている。

藤原さんの慧眼は、海外を“放浪”して骨身に沁み込ませた経験則&肉体感覚と、違和感の正体を徹底して暴く根性(それは本来極めて人間的な行動なのだが、周囲に流されていては発揮出来ない)に基づいている。

データや知識を基にした頭で考えた未来ではなく、野生動物に近い不要な物を削ぎ落とした“感覚的理論”なので、誰もが気持ちを動かされるはずだ。   

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冥福

●最近は福岡づいている。今月5日に会社の創立記念日式典に出席。勤続30年で表彰された。帰りはタワーレコードに寄ってたらふく買い込んだ・・・多々未練も残したが。24日は改めて勤続30年のメンバーが招待され食事会。来月の3日はヨメさんの実家絡みで見本市へ。ここでもホテルでのランチが予定されている。そして、私は出向かないがヨメさんと娘は、中旬過ぎにジャニーズのコンサートへ。結構忙しい夏となる。

●亡父の墓参りへ。霊園は山を切り開いた場所に在り、眺めが良い。墓石の裏側を掃除しながら親父も景色を楽しんでいるかとふと思う。しかし、「千の風になって」によれば、お墓の中にはいないのか。もっと自由に行き来しているのかも知れない。墓石をこすりながら背中を流しているような気になるが、実際にはそんな殊勝な息子ではなかった。小学校低学年の頃は銭湯に行ってたので、そこではやっていたようだ。自分はそれを親孝行と思ってないが、父はどう感じていたか。「親孝行」って、親が思う事柄か、子供が思う事柄か。きっと各々なんだろう。また、トピックとして取り上げる類のものでもないだろう。

●ヨメさんは小中学校を通して同級生が4人亡くなっているとか。一度にではない。思春期前後に同い年の人間が亡くなるのはかなりの重い体験ではなかろうか。今、残念ながら、未成年者が簡単に同級生等を殺している。無関係の生徒達も含め、どんな感情を残しているだろうか。ヨメさんは、亡くなった同級生の中に、頭も良い、ルックスも良い、性格も良い子が居たと言う。今の子供たちにも追悼の気持ちが芽生え、大人になっても悲運の仲間を思い出話に登場させてほしい。

♪Eagles "Take It To The Limit"

http://www.youtube.com/watch?v=YwASii2f5c8

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2013年6月の読書メーター

2013年6月の読書メーター
読んだ本の数:1冊
読んだページ数:230ページ
ナイス数:19ナイス

日本の色を歩く (平凡社新書)日本の色を歩く (平凡社新書)感想
文章の上手い方なので、ついつい読み込んでしまう。専門的な事は記憶には残らないだろうけど、先人が大地や自然の一部であった事実は感動する。
読了日:6月5日 著者:吉岡 幸雄

読書メーター

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2013年6月の音楽メーター

6月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:8枚
聴いた時間:178分

イン・タイムイン・タイム
2013.6.10 amazonに予約。
ふくよかな声に、伸びやかなシャウト。泣きのバラード、純黒ブルース、サザン・ソウル、ファンキー・ソウル、全て破綻なくこなす。ビートルズやスライ作品も難なく手中に。
聴いた日:06月28日 アーティスト:ボビー・パウエル
Things That Lovers DoThings That Lovers Do
色気より誠実さを感じる。1対1のハーモニーではなく、1+1を2以上にしようと協力している感じ。曲も良いし、カバーも自分たちの物に仕上げている。
2013.6.8 ブックオフ渡鹿店で購入。
聴いた日:06月27日 アーティスト:Kenny Lattimore,Chante Moore
StrippedStripped
2013.6.8 ブックオフ渡鹿店で購入。
曲のセレクトがまずイイ。最近カントリーに興味があるせいか、カントリー・テイストの部分が味わい深い。
聴いた日:06月21日 アーティスト:Rolling Stones
After the Gold RushAfter the Gold Rush
2013.6.16 蔦屋書店三年坂店にて購入。
ソウルファンがSSW系に惹かれる感覚も解ってきた。ニール・ヤングって、優しい歌い口の中にワイルドさを秘めている。男はこうあるべき。
聴いた日:06月19日 アーティスト:Neil Young
Theme Time Radio Hour With Your Host Bob DylanTheme Time Radio Hour With Your Host Bob Dylan
2013.6.10 amazonに予約。
Disc1のみ聴いた段階。ラジオが音楽メディアの主流だった頃の音楽は、ラジオから聴こえてくる状況が似合う音だよね。しかも、心が浮き立つ曲が多い。ディランってカリスマだけど、とても人間味溢れる人なんだろうな。
この番組を考えた人、このCDを編集した人に感謝だ。心に残る音楽との出逢いができた。
聴いた日:06月19日 アーティスト:Bob Dylan
ホール・オブ・フェイムVOL2~モア・レア&アンイシュード・ジェムズ・フロム・フェイム[英文ライナー日本語訳/歌詞付き]ホール・オブ・フェイムVOL2~モア・レア&アンイシュード・ジェムズ・フロム・フェイム[英文ライナー日本語訳/歌詞付き]
2013.6.10 amazonに予約。
どんどんマニアックになっていく。FAMEの何たるかを理解してないとキツイんじゃないか。
聴いた日:06月18日 アーティスト:ジョージ・ジャクソン、オーティス・クレイ他,ジョージ・ジャクソン,オーティス・クレイ
ドント・ストップ(紙ジャケット仕様)ドント・ストップ(紙ジャケット仕様)
2013.6.16 蔦屋書店三年坂店にて購入。
しなやかな演奏とスリリングなコーラス!
聴いた日:06月17日 アーティスト:ブラッドストーン
Fire & IceFire & Ice
2013.6.10 ブックオフ北部店にて購入。
抑制の効いたパティ・ラベルだな。有名曲「ウーマン・トゥ・ウーマン」の呪縛はない。実力が存分に発揮された一枚。
聴いた日:06月11日 アーティスト:Shirley Brown

わたしの音楽メーター
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