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知恵と技術


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●吉岡幸雄著『日本の色を歩く』<平凡社新書>(07)

http://book.akahoshitakuya.com/b/458285396X

不器用の反動か、「職人の技」に憧れる。精密機械の部品を造る町工場といった図式も好きだが、木材とか土とか、自然の物から出来上がる工芸品等も興味深い。

本書の著者は、染色家である。草花等自然物を素材にした、染色文化について纏めた本だ。朱や藍、黒や金といった色別に分け、ゆかりの地を訪ねる形を取っている。文章も読みやすいので、専門的な話に踏み込まれてもこなせる。

日本に限らず、いにしえの人々の感覚と知恵と技術には脱帽する。現代みたいに便利な道具に囲まれていたり、情報過多ではない方が、必要な物を見極める努力を怠らないのかも知れない。色々識っていると、「あ、それ無理」と諦める速度が速くなりがちだ。

物事を先に進めるには、基本に立ち返り、何の為にそれをするのか意識しなければならない。古代の人たちは常にそれを実行せざるを得なかったのだろう。

染色の世界を通じて、人間が生きていく上で必要な事を気付かされた。便利だろうが不便だろうが、重要な事を見失わなぬよう、よく考える事だ。知恵は熟慮からしか生まれない。

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