ブルースを胸に抱き
●リーラ・ジェイムス『ラヴィング・ユー・モア…イン・ザ・スピリット・オブ・エッタ・ジェイムス』<シャナキー>(12)
http://diskunion.net/portal/ct/detail/51C120726701
エッタ・ジェイムスへの追悼盤の体裁だが、ひと味違う。サブタイトルの通り、エッタのスピリット=「歌手哲学」をリーラなりに表現した、或いは継承したアルバムと言える。
オリジナル2曲(①と⑨)にカバーが7曲だが、明確な違いがある訳ではない。結局はリーラの新作として愉しめる。そんな中、エッタ・ジェイムスの影がふと感じられたりすると、微笑ましい気分になる。もっとも、歌い方が似ている部分もあるが、ブルース・フィーリングが最大の共通項だ。アルバム・タイトルは考えた末に生まれたものではなく、両者に共通した根本的な部分から、自然発生的に出てきたようにさえ思える。
楽曲紹介。①「ソウルは決して死なない!」と迫力十分に宣言してスタート。ソウル・ミュージックの良心的な部分は、時代を超越して存在するという意味と、生涯黒人音楽の世界で輝き続けたエッタの魂を賛美する両方の意味合いがあるように思う。
②~④は現代R&Bサウンド。②はメアリー・J・ブライジやクリセット・ミッシェルを彷彿とさせる。④は芯の入ったトニ・トニ・トニといった感じだ。⑤(と⑪)に関しては後述。⑥~⑨はブルース度が高い。私がブルース・ファンというのもあるかも知れないが、やはりこの手の彼女がすんなり感情移入出来る。
さて、哀切感に満ちた代表的二大バラード(⑤と⑪)。どちらも男性ヴォーカルをフィーチャーし、情感込めて歌ってはいる。しかし、表面をなぞるだけで核心には至ってない印象を受ける。悪くはないのだが、必要以上に私のエッタへの思い入れが強いのかも知れない。
エッタ・ジェイムスは「生涯一歌手」を貫いた。病魔に侵された状態でも、出来得る限りの歌唱表現を行った。リーラは、現代R&B界のトレンドをリードしている存在ではないだろう。でも、自分らしさを素直に出している限り、「生涯一歌手」と呼べる存在になれると思う。次のアルバムがまた楽しみである。
♪"Something's Got A Hold On Me"
http://www.youtube.com/watch?v=m7JtvHrtZWI
♪"I'm Loving You More Every Day"
http://www.youtube.com/watch?v=HKuroyLCBwM
♪"Damn Your Eyes"
http://www.youtube.com/watch?v=CKN5Q7F1FiY
♪"At Last"
| 固定リンク
「Leela James」カテゴリの記事
- 2024年1月17日(水)ひさしぶりに外出(2024.01.17)
- レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.35(2016.09.17)
- ブルースを胸に抱き(2013.08.31)
コメント