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2013年11月

愚直なソウル・シンガー

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●クレイ・ハモンド『ピース・オブ・ハート~ザ・ベスト・オブ・ケント&ロン・レコーディングス』<ケント/ロン/Pヴァイン>(11)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/54C110511703

67年~70年の録音。数多存在するサム・クック直系シンガーの一人。たしかに、サムっぽい歌い回しは感じ取れる。但し、テンダーなだけでなく、適度な声のザラつきが、アーシーなアクセントになっている。

加えて、今回改めて惹き付けられたのは、ハイトーンの部分。軽く裏返した声は、美麗に収束はしない。それだけに、テクニックの駆使以前に、感情の自然な噴出に思える。聴こえてくるたびに気持ちがゾワゾワし、暫くはハイトーン中毒状態だった。声質は違うがテッド・テイラーを想起した。

曲も、ポップス味を感じるものから、ディープ・ソウル、純黒ブルース、ゴスペル調と、多彩にこなしている。終盤のデモ録音は、伴奏が少ないだけに、彼の歌声が浮き彫りになり、これはこれで味わいがある。

本盤とは無関係だが、後には「インディー・ソウル」の先駆け的な<イヴジム>の立ち上げにも関係した功績もある。根っからソウル・ミュージックが好きな人なのだろう。サム・クックに似てくるのも無理のない話だ。

♪"Take Your Time"
http://www.youtube.com/watch?v=HQFs5AMkbq0

♪"Do Right Woman"
http://www.youtube.com/watch?v=lP47abyHPvo

♪"I'm Gonna Be Sweeter"

http://www.youtube.com/watch?v=TF9qmDV0jU8

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人生はそんなに不公平じゃない

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●浅田次郎著『世の中そんなに不公平じゃない~最初で最後の人生相談』<集英社>(13)

『週刊プレイボーイ』の人気企画を単行本化したもの。編集者との掛け合い形式で展開する為、読み易い。

相談はさまざまだ。しかし、概して、深刻なものは少ない。週刊誌への投稿なので時代性も透けて見える。豊かな社会に於いては人の悩みも贅沢なものなのだろうか。

「コイツは一体何だ!」と、中には浅田さんも閉口する様子が窺える悩みもある。しかしそれでも真摯に応えておられる。問題は、質問者が自分の行動や思いのオカシイ部分に気付くかどうかだが、少なくとも読者には届く。本書のタイトルは「世の中そんなに不公平じゃない」だが、裏を返すと、人生を公平なものと捉えきれるかどうかだ。自分は偉いとか、自分はダメな人間だとかいった考えは意識や態度が公平でないという事。これが一番大事だ。

人生相談とは、他人の悩みをダシに、真理や正論、倫理を知る場ではないかと思う。相談者だけでなく、読者の目からもウロコが落ちる。人生相談の場が、昔から無くならない訳は、「他人の不幸は蜜の味」という下世話な興味を掻き立てるからだけではないだろう。上手く使えば、学校教育の場でも活用出来るかと。

回答者には、常識を押さえ、遊び心もあり、簡潔明瞭に直言出来る人が相応しい。本書を読みながら、正に浅田次郎さん適任だなと思った。   

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リツイート・マイセルフ(1)

●「先生!この課題はいつまでに提出すれば良いんですか?」「明日までだよ!」明日までだよ、明日までだよ、芦田愛菜だよ。「ムリムリ」。(11.15)

●昇級試験終了。毎年同じようなクオリティーで、毎年同じようにそのクオリティーに届かない。(11.15)

●良質なソウル・ミュージックは、徒に涙腺を刺激しない。(11.13)

●弁当箱変わりました。何の報告じゃい! (11.12)

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●来年版の県民手帳はスミレ色にしました。  (11.10)

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●裏はこんな感じ。 (11.10)

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●Ollie "Nightingale" Hoskins - I'll Drink Your Bathwater, Baby
http://www.youtube.com/watch?v=i70-6APvjX4 … (11.9)

●今年一年間の悪行も年末調整出来んか?(11.9)

●Big Maybelle "Candy" (1958)
http://www.youtube.com/watch?v=WcmpFGIxeZM … (11.9)

●ME AND MRS. JONES / THE DRAMATICS
http://www.youtube.com/watch?v=XKznpEfWFSE … (11.9)

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幸せはささやかなもの~藤井康一ライブの夜

「ささやかな幸せ」という言葉があるが、幸福感は、元々ささやかな瞬間にジワッと訪れるものではないか。苦労して何かを成し遂げたり、好きな人と添い遂げられたり、大きな、イヴェント的な喜びもあるが、真の幸福とは何気ない日常のヒトコマに存在するものだと思う。

藤井康一さんのライブは初めてだった。ジャンプ、ジャイヴ、ジャズ、歌謡曲、ソウル、ワールド・ミュージック、漫談・・・色んな要素がミックスされ、テンポよく観客を巻き込みながら展開していく。「登場人物」も洋邦問わず多彩だ。この辺はばらさない方が・・・。正に一級のエンターテインメントだ。

その面白さの理由は、生活感覚と小唄精神かな?誰もが感じた事があるような淋しさ、喜び、愛情・・・つまり人間的感情(そしてそれに基づく幸福感)を親しみを込めて歌われている。小唄精神とは勝手に考えた言葉だが、ジャイヴ感覚と表現しても良い。ウクレレやカズーという、音色自体がユーモラスな楽器を吹奏し、熱量はあるが肩肘張らずサラッと歌う感覚だ。庶民的と言っても良い。

本文冒頭の戯言からすれば、これぞ「幸福なライブ」だ。毎日の生活のエンジンに直結する愉しい時間だった。

個人的には「レット・ザ・グッド・タイム・ロール」を生サックスで聴けたのも「幸福」だった。

※以下の動画は昨晩のライブのものではありません。

♪"Let The Good Times Roll"
http://www.youtube.com/watch?v=lMLg3vJZVQg

♪"私の青空"
http://www.youtube.com/watch?v=bIhNdokaX64

♪"チャンポンダマンボ 〜完全振り付け"
http://www.youtube.com/watch?v=3rYC5W0P8rw

http://www.youtube.com/watch?v=Dqt9MaLsxyI

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自然な感じ

●先週、娘が、骨盤を矯正する為整骨院に行くというので、送りがてら私も診てもらった。ひどい痛みではないが、右脚の付け根周辺が重だるい時があったのだ。整骨院は初めての経験。腰を温めながら、微かな電気刺激を受けた後、右脚をあちらこちらに捻られた。大した痛みはない。良くしたもので、右脚が軽くなった。骨のずれは確かにあったようだ。

●そうしなさいと言われた訳ではないが、重心を真ん中に置き、スッと立つように心掛けてみた。業務が、車の運転と立ち仕事なので、どうしても腰に負担は掛かる。一週間経ち今の所さほどの痛みはない。

●きちんと真っ直ぐ立つ事は、自然な姿勢のはずなのに、それを保つのは大変だったりする。穿った見方をすれば、自然を維持する事は不自然な事なのかも知れない。傍から見て不自然と思える姿勢や態度は、本人にすれば取り繕って出てくるものではない。ある意味自然だ。とはいえ、人間は、自分自身の不自然さに実は気付いているのでは。だからこそ自然体に憧れ、そこを目指すのだろう。

♪William Bell "Everybody Loves a Winner"

http://www.youtube.com/watch?v=GrWVTpMm49k

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心に深く刻まれるもの(1)

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●V.A.『ソウル・ディープ・デラックス・エディション』<アトランティック>(13)

http://shop.wmg.jp/items/WQCD-40

桜井ユタカさんが編集された『ソウル・ディープ』がリリース(シリーズの最初の一枚)されたのは72年。私が黒人音楽を聴き始めたのは80年前後だったので、10年近くの開きがある。それでも、『ソウル・ディープ』は教科書的な一枚だった。但し、同時期、<Pヴァイン>の<チェス>、<ヴィヴィッド>の<スペシャルティ>、ルイ・ジョーダンを表紙とした『レコード・コレクターズ』の創刊、英<エイス>等の影響で、70年代ソウルに向かうよりも、時代を下っていく形となった。

それはともかく、今回の『ソウル・ディープ』の購入は、やはり懐かしさから食指を伸ばしたものだ。鈴木啓志さんの編集で、以前と同内容ではないにしろ、胸はときめいた。ジャケット・デザインは以前と同じだが、中身は更に充実している。曲の多さの面でも、編集方針の面でも・・・2枚組で、Disc1がマッスルショールズ編、Disc2がその他の地域編となっている。「ディープ・ソウル」という括りが「サザン・ソウル」を基盤にしているものの、イコールではない事を実証する構成だ。

【Disc1】スタートはドン・コヴェイ。因みにDisc2はベン・E・キングからだ。両者共、リズム&ブルース~アーリー・ソウルのイメージが私は強い。しかし、考えてみれば、アーリーだからディープではないという理屈は成り立たない。いや、理屈で考えるのがそもそもおかしい。聴いてみて、胸の奥深くに感応するならそれは「ディープ」である。自分の耳からスタートするのがやはり自然だ。もちろん、他人の評価や音楽を生んだ背景等の知識は参考になる。しかし、それも、自分の耳で確かめた方が良いに決まっている。音楽は聴かなきゃ分からないのだ。

♪Don Covay "I Stole Some Love"

http://www.youtube.com/watch?v=romZZLHrc1g

さて、アルバムは、続いてオーティス・クレイの登場。

オーティス・クレイは一から十まで好きではない。だが、本盤のクレイは凄い。2枚合わせて4曲取り上げられている。鈴木さんが、どうしても減らせなかったという気持ちが解る。「ディープ・ソウル斯くあるべし」。クレイの歌唱は象徴的である。また、有名曲を複数取り上げているので、曲を起点に他の歌手のヴァージョンへと聴き進めていく事も出来る。正にテキスト的でもある。

♪Otis Clay "You Don't Miss Your Water"
http://www.youtube.com/watch?v=bV6CLpARHVQ

クラレンス・カーターも4曲。キャンディ・ステイトンを従えた「イフ・ユー・キャント・ビート・エム」では、キャンディがコール&レスポンスもそこそこに、バック・コーラスに徹しているのが微笑ましい。ソウル史上、最も贅沢なキャンディ・ステイトンの使い方だ。「ザ。フュー・トラブルド・アイヴ・ハッド」は「パッチェズ」の原型らしいとの事。話題を呼びそうなのがもう一曲。デュエイン・オールマンの鳥肌ギターで有名な「ザ・ロード・オブ・ラブ」。バックが全く違う一年前の録音。スプーナー・オールダムのオルガンをはじめやたらとクールだ。クールレンス・カーター、もしくは黒レンス・カーター・・・二段落ちが着いた所で一旦中断。直ぐには続きを書けそうにないが、いずれ。(つづく)

♪Clarence Carter "The Few Troubles I've Had"

http://www.youtube.com/watch?v=QTGLVsTXZo4

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2013年10月の読書メーター

2013年10月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:518ページ
ナイス数:33ナイス

アメリカン・ルーツ・ミュージック ディスクでたどるアメリカ音楽史 (いりぐちアルテス003)アメリカン・ルーツ・ミュージック ディスクでたどるアメリカ音楽史 (いりぐちアルテス003)感想
白人系のルーツ・ミュージックはほとんど無知なのである程度は参考になった。ロック寄りのものからでも買い求めてみますか。
読了日:10月23日 著者:奥和宏
土と兵隊・麦と兵隊 (新潮文庫)土と兵隊・麦と兵隊 (新潮文庫)感想
ベストセラーでありながら戦争礼賛の書として批判もされたとか。現代だから素直に読めるかも。兵隊個人の意識、過酷な行軍、敵に対する思い・・・詳細な描写でぐいぐい伝わってくる。戦争について的確な描写が成されていれば、それは全て「反戦の書」になる。本書を読んで楽しい気持ちになるバカはいないはず。何かしら戦争について考えを巡らすだけの訴求力がある。
読了日:10月22日 著者:火野葦平

読書メーター

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2013年10月の音楽メーター

10月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:6枚
聴いた時間:141分

SoulbookSoulbook
2013.10.25 ブックオフ琴平店にて購入。
聴いた日:10月31日 アーティスト:Rod Stewart
Mud Slide SlimMud Slide Slim
2013.10.26 蔦屋書店三年坂店にて購入。
ただ、優しい雰囲気を醸しているだけでなく、細かい所まで行き届いている音創りに感心。ネット友達の方にギターサウンドを堪能できると勧められたが、ギターはもちろん全楽器やコーラス、そしてヴォーカルに魅力を感じる。しかもそれが押し付けがましくない。音楽家はかくあるべき。
聴いた日:10月30日 アーティスト:James Taylor
Stax ProfilesStax Profiles
2013.10.25 蔦屋書店嘉島店にて購入。
基本ゴスペルなのだが、ソウル風、ブルース風、ファンク風な味付けも感じる。エモーショナルなヴォーカルが好きな人は満足がいくでしょう。
聴いた日:10月30日 アーティスト:Rance Allen
ウォーム・アンド・テンダー・ラヴウォーム・アンド・テンダー・ラヴ
2013.10.12 ぐるぐる倉庫熊本本店にて購入。
NYハーレムから良質な黒人音楽を提供し続けたボビー・ロビンソン。私なんぞはファイアー→エルモアを連想するが、本盤は熱きソウルのコンピレーション。サブタイトルにある通り、泥臭さが横溢。鈴木啓志氏の編集。ソウルがお洒落になる前の息吹きを感じ取れ!
聴いた日:10月17日 アーティスト:オムニバス,ウィリー・ハイタワー,ジョニー・ジョーンズ,ジョー・ヘイウッド,キップ・アンダーソン,ジョニー・コープランド,ジェイ・ディー・ブライアント,ジミー・アームストロング,ザ・ヴィクトーンズ,リッキー・ルイス,ハリソン・ブラザーズ
Long Way HomeLong Way Home
2013.10.12 ぐるぐる倉庫熊本本店にて購入。
ストレートなブルース、ケイジャン風、スワンプロック、ジャズと相変わらず幅が広い。でも、何となく御大元気ないなあ。そのせいか弾き語りが沁みた。ゲスト陣も豊富だが、レオン・ラッセルとマリア・マルダーが良い味。
聴いた日:10月16日 アーティスト:Clarence 'Gatemouth' Brown
Rising SonsRising Sons
2013.10.14 蔦屋書店嘉島店にて購入。
ブルース、カントリー、ロックが無理なく融合。何しろ明るく元気なのが愉しい。ルーツ・ミュージックを根源にしても衒学的でないのが大正解!
聴いた日:10月15日 アーティスト:Rising Sons

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