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映画『永遠の0』

今年初シネマ。

司法浪人中の青年が、自分の本当の祖父の存在を知り、フリーライターの姉と一緒に調べ始める。零戦乗りで特攻で散った祖父の評判は悪く、落ち込み気味だったが、次第に真実が暴かれてゆく・・・。キーワードは、戦争時代にはありえない概念(あるいは歪んだ解釈が成されていた概念)、「愛」だ。

ストーリー展開は面白い。謎が解けていくにつれ新しい謎が生まれていく構造(大体の答えは推測つくが)。伏線もきれいに張られている。ただ終盤は畳み掛けすぎな感じも。もっとも、私自身がアッサリ目の落ちを好む傾向にあるけど。

タイトルに込められた「0」は、零戦の0であることはもちろん、過去と現在をつなぐリンクの表徴としての0、また愛が人間の本質的な感情であるという意味での0・・・と妄想が広がる。

途中、合コンと知らずに友達に誘われた飲み会に出席した主人公。特攻の話になり、友人が「あれは自爆テロ」と一緒だと決め付ける。激昂する主人公だが、表面的には友達の言葉は当たっている。自分の人間らしい感情を押さえつけ、巨大な権力や思想に操られ、命を無駄にする行為だ。自分の命も、周囲の命も。対象が民間人か兵隊かは関係ない。人の命を奪っているのだ。

その友達のいけない所は、それを結論とした事だ。さらに考えを深めなければならない。上に立つものが悪だ。それも、特定の人物というより、人間の醜さの集積のようなモノだ。という事は、誰の心にも湧き起こる可能性のある醜さだ。ここを自覚せねば。上の問題ではないのだ。自分に関係ない事柄ではないのだ。余りにも虚しいが、人間はそれを乗り越えていかなければ。

虚無の0、プラスにもマイナスにも動く0、ゼロの意味は深い。

http://www.eienno-zero.jp/index.html

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コメント

この人の本は一冊しか読んでなくて、それでこんなことを言うのも何ですが、元放送作家だけあってテクニックはある人だなぁと思います。読者をここで怒らせて、ここで嘆かせて、ここで感動させて泣かせるということをすべて計算している気がします。
それはそれで気持ちよく泣かせてもらえて、いいと言えばいいのですが、ちょっと癪な気もします…。

投稿: Django | 2014年1月 5日 (日) 17時50分

ご意見ごもっともです。深みにかけるキライはありますね。映画で言えば、ラストは盛り上げすぎです。

投稿: k.m.joe | 2014年1月11日 (土) 16時58分

お久しぶりです。SunHeroです。

TBが送れなかったので、コメントを残すことにしました。(最近はTBを止めてしまったブログもあって、もう時代遅れなんですかね?)

原作の評判を聞いて、本はもちろん映画も見るつもりはなかったのですが、映画だけは見てしまいました。

原作のしたたかさは、映画もそのままのようでしたが、特撮が得意の山崎監督だけあって、海戦シーンとか、映画ならではの迫力を感じました。

お手数ですが、後はブログをご覧いただきたいと思います。

投稿: SunHero | 2014年4月21日 (月) 15時12分

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