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2014年9月

純愛への情念

Laa


●ローラ・リー『ラブ・モア・ザン・プライド』<チェス>(08)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/CHSSBC1130912048

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  71年発表作にボーナス・トラック8曲追加。

  母親率いるゴスペル・グループ、メディテイション・シンガーズで歌の世界に。やがて、世俗音楽に転向し、<リック・ティック>→<チェス>へ。だが、有名になるのは<ホットワックス>期。本盤も、<ホットワックス>での評判にあやかって制作されたとか。

ブルース・ファンの私としては、<チェス>のソウル陣の一角を成すローラの方が馴染んでいる。エタ・ジェイムスやミッティ・コリアらと並んでよく聴いた。二人と比べたら、女性らしいたおやかさを感じる。しかし決して甘くはなく、ハスキーな声を時に高ぶらせ熱唱に至る。その力の込め具合が絶妙で、独特の悲哀感をもたらしている。

  不倫を「純愛」と呼ぶのは倫理に反する。それでも、あくまで愛を貫く立場に立てば、当時者の気持ち自体は純粋なのかも知れない。そんなジレンマと説得力の両方を、彼女の歌声から感じてしまう。後にゴスペル界に戻ったのは、ポピュラー・ミュージックの論理に真剣に向き合う事が、彼女の性分の根っこの部分に違和感を抱かせたのかも。

シカゴの<チェス>と言っても、<フェイム>録音が多く、南部ソウルの佳作として聴ける。但し、情念5割増である。

♪"Dirty Old Man (Extended)"

https://www.youtube.com/watch?v=EUagT7YcJOY

♪"It's All Wrong But It's All Right"

https://www.youtube.com/watch?v=UTspjJWJU4I

♪"I Need To Belong To Someone"

https://www.youtube.com/watch?v=SGxDcPHAEBc

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タイム・トラベル

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●しばらく空いていた実家に姉夫婦が住むことに。私が使っていた部屋に置いていたLPと書籍を片付けに行った。LPは数だけは多いので同部屋の押し入れに収納。本はもう一度読みたい物を持って帰ることにした。最近より音楽関係の本はよく買っていたようだ。シャズ関連が多いのは、ブルースやソウル関係がそもそも少ないからだろうな。中上健次の『破壊せよ、とアイラーは言った』は、機会があれば買おうと思っていたが実は持っていたというお粗末。あと、妙にボクシング関連の本が多かった。これはたぶん辰吉丈一郎とエディ・タウンゼントコーチの話にえらく感激したおぼえがあるのでその流れかな。昔の写真もたくさん出てきて、ちょっとしたタイム・トラベルだった。ヨメさんも面白がっていた。

●姉の奢りで特上鰻を食べに行ったが、最近鼻炎がひどく殆ど味が判らず。妙に辛い味だけ感じた。18日がヨメさんの誕生日だったのでケーキの話になり、実家近くのケーキ屋に。ここでも奢ってもらう。その日の労働賃も奮発してもらう。姉も、団地住まいからそのまま家を建てることなく実家に住み着くという体に、少々気を遣っているのでは、というのが我々夫婦の共通意見だ。

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頑固者の効用

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●『BSR』誌10月号、鈴木啓志さんによるマディ初渡英時(58年)の話。彼の地のブルース・ファンの期待通りの演奏を聴かせたブラウニー・マギーとビッグ・ビルに続き、大爆音を響かせ登場したマディ親分。サミュエル・チャーターズは思わずトイレに逃げ込んだとか。ミュージシャンは感激したものの、音楽評論家は批判的だったとチャールズ・カイルが書いていたらしい。後に一部訂正されたものの、「フォーク的なブルースこそ真のブルースだ」的な考えは「モルディ・フィグ」と呼ばれ、マディ初渡英時頃は支配的だったとの事。鈴木さんの記事はそれを否定し、ジャズ評論家のトニー・スタンディッシュの慧眼を紹介したものだ。そういう人もいたよという事だろう。私が思ったのは、カイルにしろ、チャーターズにしろ、スタンディッシュにしろ、鈴木さんにしろ、拘りの強い人たちだなぁという事。拘るのは素晴らしいが、どこかに余裕を持った方が良いような気もする。とはいえ、「頑固な考え」は、自分の考えを進めるのに役立つ。否定してはもったいないのも事実。

●「頑固」といって思い出すのは亡くなられた中村...とうようさんだ。とうようさんは例えば車自体を否定していた。車内の個的空間を自分の部屋と同一視する為、交通ルールやマナーが守られないみたいな根本的論理だ。それは理解できるが、現代社会から車を無くす事は不可能だろう。それでもこの頑固な考えを捨ててしまっては大事なものも捨ててしまうのも確かだ。

●とうようさんの言で強く印象に残っているのがもうひとつ。ブルースは音盤に記録されるようになった時点でブルースらしさを失っているというもの。「モルディ・フィグ」どころではない。しかしこれも、ブルースのライブ性や即時性を考えれば一理ある。ブルースは、音を聴きながら、このギターワークはどうのとか、悲しみが伝わる歌唱であるとか「批評」するだけの音楽とも違う。音そのものの批評は成り立つが、もっと本質的に、ブルースがどういう場で、どんな社会状況で歌われ演奏されたものか考える必要のある音楽だと思う。そして、永続性もあるが刹那的でもある。とうようさんの言葉が無ければ、果たして私はその事に思い至っただろうか。極論とも思えるとうようさんの頑固さは、実はとても示唆に富んでいるのだ。これを俗に「とうようの効用」と言う・・・わけがない。

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最近のTwitterより

♪「妖怪ウォッチ」を、長いこと「要介護」と聞き間違えていたのはウチのヨメさんです。

♪いぇいいぇいいぇい~、俺が昔サン・ハウスだった頃、親父はダイワハウスで、お袋はミキハウスだった。わかるかな~、わかんねえだろうなぁ~。

♪FACTS OF LIFE --- CAUGHT IN THE ACT (OF GETTING IT ON)

♪The Water Is Wide ふたりの小舟 伊東ゆかり

♪信号待ちしている時、赤信号の内から待ちきれないようにジワジワ動いていながら、いざ発進すると速度がものすごく遅い人の心境やいかに?

♪'I Feel So Good' BIG BILL BROONZY (1941)

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2014年8月の音楽メーター

8月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:2枚
聴いた時間:36分

Show You a Good TimeShow You a Good Time
2014.8.24 ぐるぐる倉庫菊陽店にて購入。
兄貴は元気が良いなあ。全曲自作、アレンジ、プロデュース、そして所有レーベル。タイトでバネのあるサウンドが軸。グリッティというよりモダンなイメージだ。王道ブルースやスロー・ブルースも万全。これぞ正しいブルースの姿。勘違いしているギミックなブルース野郎に捧げる。
聴いた日:08月28日 アーティスト:Bobby Rush
アリゲイター・ブーガルーアリゲイター・ブーガルー
2014.8.24 ぐるぐる倉庫菊陽店にて購入。
やっぱりジャズは、スウィングしなけりゃ意味がない。全身の疲れが取れるような快感ジャズ。オルガンが時々どファンキーに迫る。よくまとまってますわ。
聴いた日:08月27日 アーティスト:ルー・ドナルドソン

わたしの音楽メーター
音楽メーター

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2014年8月の読書メーター

2014年8月の読書メーター
読んだ本の数:3冊
読んだページ数:951ページ
ナイス数:33ナイス

アメリカ (集英社文庫)アメリカ (集英社文庫)感想
なぜ、世の中には日本に限らずアメリカナイズされたものが多いのか?ひとつの解答が本書にはある。
読了日:8月27日 著者:藤原新也
死と生きる―獄中哲学対話死と生きる―獄中哲学対話感想
最終的には池田さんの言で纏まる。考えを詰める為には、削除することはあっても、否定・批判で終わってはダメなんだな。陸田氏は時々、否定の道へ進む。読んでいてこれが無ければなと思う。しかし、ある意味人間らしい態度でもある。そのスタンスで語られる言葉は懊悩が伝わる。哲学は冷静かつヒューマンに。
読了日:8月26日 著者:池田晶子,陸田真志
クロスロード・ブルース (角川文庫)クロスロード・ブルース (角川文庫)感想
ロバート・ジョンソンの幻の曲を巡っての攻防。しかし、私のようにブルース及びロバート・ジョンソンに思い入れがあると、却って「どうなのかなぁ」という複雑な気分。ストーリー展開ももたつき気味。要らない場面が多い。主人公のブルース的心情はよく描かれている。悪役も、いかにも悪役風情で面白いのだが、終盤の展開は消化不良気味。
読了日:8月9日 著者:エースアトキンス

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