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2014年12月

ぼくは本屋のおやじさん

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●早川義夫著『ぼくは本屋のおやじさん』<ちくま文庫>(初出82)

早川義夫さんが書店主を経験しているのは知っていたが、どうしてもミュージシャンとしての認識が強かった。でも、特にファンという訳でもないから、その人と成りまでは諒解していなかった。

逆に本書を読んだ事で早川さんの人間性に触れられた。

早川さんが街の本屋経営を始めた経緯は「座っているだけの仕事に思えたから」だそう。つまりアクティブな理由ではない。

しかし、実際やってみるととんでもない世界だった。注文しても注文通りに書籍が来ない。どころか不要な本が来たりする。かと言って返品すると取次店等の心証が悪くなる。つまり下手に出ないと上手く経営を回す事ができない。数量を捌く大型書店は優遇され、中小書店に対しては対応もぞんざい。早川さんは自ら買い付けに走るが、買い付けも思うままにならず。他人事ながら読んでいて忸怩たる思いだ。

本書内容の7割方は、書店経営の不合理な現実に対する嘆きだ。元ミュージシャンの本屋というと、とても趣味的なセンス溢れる世界が創られていると思いきや、現実は厳しいのである。

それでも早川さん、お客さんを巻き込み「読書手帖」なるミニコミを作成。また、気の合う書店主と様々な企画を立てていた様子。ただ、その辺りの「頑張り振り」はサラリと流してらっしゃる。多分そういった事を書くのが恥ずかしいんじゃないだろうか。とてもシャイな方なのだ。

文章も、愚痴を連ねている割には読みやすく、尚かつさりげなく金言にも触れられる。ミュージシャンだけに感性の人なのだ。

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2014年を少しだけ振り返る

●ヨメさん順調。食事もお粥ではなく普通になっている。何とか三が日中には退院できるのではと思う。まぁ、あまり焦らず主治医の意向に沿おう。本人も、帰りたいけれど無理はしたくない様子。

●さて、今年はどんな年だったろう。ブログの過去記事をチェックしてみた。何と言っても、後半はヨメさんの手術が一大事だった。その印象が強すぎる。娘も、派遣の身とはいえ、アルバイト生活から脱け出た。私は、所属する組織が人員増で仕事はやや余裕ができた。ヨメさんの影響もあり、健康面にも今後は気を付けたい。来年は家族各々に新しい日々が訪れる。当たり前ではあるが。

●今年前半に、CDは福岡で大量買い、本は図書館の無料配布を利用し数は多かった。CDに関しては、まだ自分の思惑には届いていない。多分、どれだけ買っても届かない。昨年からの流れだが、今年もボブ・ディラン作品が刺激となった。彼を起点としてロック系もボチボチと揃えていくかも。1000円シリーズも随分と助かった。おかげで、どちらかというと避け気味だったマイアミ・ソウル系、ベティ・ラヴェットやラティモアは強い印象を残した。元々好きなタイプのポール・ゲイトンもよく聴いた。「音楽メーター」の年間データが出てから考えてみるが、ゲイトンは今年の私的ベストワンではないかと今の時点では思っている。

●50代後半、間もなく仕事も辞めるような世代となり、自分の心の内側の世界と世の中の事ども双方について、もっとディープにそしてスウィートに考察したい。常に自分の立ち位置と、対象とのスタンスを考え、少しでも納得して前に進む事が増えるよう歩いてみよう。

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ザッツ・オールライト

●ヨメさんの手術無事終了。担当医師の見立て通りというか、そこまで悪化はしてなかった様子。いずれにしても、現段階では大事に至る事はない。まずはひと安心。ヨメさんは痛がりなので、あれこれと痛みを訴えていたが、それも昨日ほどではなくなった。今日は、まずはベッドに腰掛け、暫くして、片道十数歩だが洗面台まで歩いて歯磨きまでは出来た。明日からはリハビリも開始する。ぐずぐず愚痴りながらも気持ちは前向きのようだ。

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●昨日は、病院での待ち時間を潰すため、2冊本を持って行った。なるべくサラサラと読めそうなものをと思い、既に読み進めていた早川義夫さんの『ぼくは本屋のおやじさん』と椎名誠さんの『風景は記憶の順にできていく』にした。最初は米原万理さんの『魔女の1ダース』を候補に。まったく馬鹿げた理由だが、米原さんがガンで亡くなられたのが妙に気になり、別に闘病記でもないのだが、別の機会に読むことにした。結局椎名さんの方にガンで亡くなった友人の話など出てくる。思い起こせばここ数日妙に縁起担ぎな事ばかりしてきた。人間て妙なものだ。あれだけ理論的に「大丈夫ですよ」と言われていても...、心の奥から納得できていない。ヨメさんの手術が順調に終わった今、やっと時間が動き出した気がする。

♪Jimmy Rogers "That's all right"

https://www.youtube.com/watch?v=NU0rBtYCIHg

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なるようになるさ

●明日はヨメさんの手術。今日は色々な部署から説明があった。つくづくあらゆる阻害要素を排除し、患部の治癒から患者の心理面までケアしようという態度が伝わる。もちろん、努力すれば成功裡に終わる類のものではない。医学には100%も0%もありえないと医者は言う。しかし、これまでの病院側の姿勢を見ていくと、それは希望の言葉に思える。明日は付き添いで病院泊まり。なるようになるさ。

●私は不調法で料理は作れない。せいぜい掃除と洗濯をするぐらい。やってみるとどうしても無駄な動きが多くなる。自分の仕事なら効率の良い動線は把握しているが、やはり慣れないと時間ばかり食う。しかし、できればこのまま慣れない状態でヨメさんの帰宅を待ちたいものだ。

♪Johnny Otis "Will You Still Love Me Tomorrow" 

https://www.youtube.com/watch?v=a8bmu9tfW-A

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ホワイトアウト

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●日本列島を襲う大寒波。特に、雪国の積雪や強風の様子をテレビで観ていると、壮絶さに息を呑む。ある時「ホワイトアウト」という現象が説明されていた。大雪に強風が加わると、周囲の様子が判らなくなり、全く身動きが取れなくなるらしい。そういえば、人生にも自分の力ではどうにもならないように思える「ホワイトアウト」な時期が、時には訪れる。

●ヨメさんの入院・手術の予定が決まった。心構えも含め、待機状態だった諸々が動き出す。今日は担当医師から術前説明を受けた。患部に関して考えうる可能性を丁寧に話された。また、今の医療技術のハイテクさも凄い。従前の手術に比べ、時間はかかるが患者への負担は少ないそうだ。希望と不安が代わる代わる。とにかく、我が家にとっては、年末年始というより全快退院に向けての日々だ。

●「名盤探検隊」シリーズの一枚。ボビー・チャールズのデビュー盤。歌詞対訳を読むと、社会問題から、リリース元の<ベアズヴィル>社主への揶揄、あるいは神への救済の願い、はたまた、つつましい生活から愛の交歓(黒人音楽だったら間違いなくエロ歌化)・・・さまざまなテーマを取り上げ...ながら、曲のトーンに大きな変化はない。人生の困難も喜びも優しく受け止めている。肩に力を入れすぎるな、怒りの前に状況を見つめよう、人生の愉しみは刺激ではない。色んな真理に気づかされる。大げさに聞こえるかも知れないが、ボビーの音楽は「救いの音楽」である。

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今後

ヨメさんが暫く入院する事に。期日は未定だが間もなくだ。現在色々と検査を受けている。病気の自覚症状がない状態なので、検査をする事で具合が悪くなっているような側面もある。本人が一番辛いところだが、病気の完治に向け前向きなので、今は早くスケジュールが定まってほしい。

♪New Birth "I Never Felt This Way Before"

https://www.youtube.com/watch?v=I1R08WJ3UOY

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2014年11月の音楽メーター

11月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:5枚
聴いた時間:169分

チェス・キング・オブ・ニュー・オーリンズ+3チェス・キング・オブ・ニュー・オーリンズ+3
2014.11.23 蔦屋書店三年坂店にて購入。
飛び跳ねる無数の音符をイメージした。とにかく楽しい!<チェス>の1000円シリーズで目立たない一枚かも知れないが、これは絶対「買い」です。音楽は人間が創り上げる空間芸術だ。
聴いた日:11月28日 アーティスト:ポール・ゲイトン
ライヴ・アンド・クッキンライヴ・アンド・クッキン
2014.11.23 蔦屋書店三年坂店にて購入。
<チェス>の公式版としては唯一のライブ盤。相棒のヒューバート・サムリンを始め、エディ・ショウ、フレッド・ビロウ、デイヴ・マイヤーズが「これぞブルース!」とばかり黒く蠢く。体調万全ではないはずのウルフも手を抜かない。あえて有名曲を外すのも演奏力でブルースを啓蒙する敬愛すべき頑固さ。
聴いた日:11月26日 アーティスト:ハウリン・ウルフ
イット・エイント・ホウェア・ユー・ビーンイット・エイント・ホウェア・ユー・ビーン
2014. 11.2. 蔦屋書店三年坂店にて購入。
キーボーディストとしての実力も窺える。全体的にモダン・ソウルの装い。軽みを帯びた黒いグルーヴが冴えわたる。ラティモアって癖になるなぁ。ラティモア、マッチモアなんちゃって・・・。
聴いた日:11月06日 アーティスト:ラティモア
ザ・ロウダウン・バック・ポーチ・ブルースザ・ロウダウン・バック・ポーチ・ブルース
2014.11.2. 蔦屋書店三年坂店にて購入。
マディ、ジョン・リー、ライトニンのエキスを溢れ出るパワーで表現。悲痛な生い立ちのブルースマンはたとえスターにならなくても、多くの録音を残し、積極的な社会活動も行った。
聴いた日:11月05日 アーティスト:ルイジアナ・レッド
Come BackCome Back
2014.11.2. 蔦屋書店三年坂店にて購入。
コクのある歌声に蝶のように舞う相棒マット・マーフィーのギターは鉄壁。ダウンホームなもの、クラブ・ブルース的なもの、ジャンプ・ブルース系のもの、多彩である。面白いデモ録音も・・・フレッド・ビロウのハンドドラム?!に土俗的な女性コーラス物&音質の粗さが逆に惹かれる曲。
聴いた日:11月04日 アーティスト:Memphis Slim & His Houserockers

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