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2015年2月

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.5

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[11枚目]●ロゼッタ・ジョンソン『パーソナル・ウーマン』<クリントーン/ソウルスケイプ>(07)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/54C070724701

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  70~75年の録音。ロゼッタは、バーミンガム近郊・タスカルーサの生まれ。幼い頃、親が離婚し、祖父母が暫くの間育てる。祖父は説教師、祖母も敬虔なキリスト教徒。彼女自身も、ゴスペル・ミュージックに傾倒していった。

やがて、母親と共にバーミンガムへ。ゴスペル・クワイヤーで歌う時も、フロントには立ちたくないと言っていた彼女の意識を変えたのは、あるクラブで観たミッティ・コリアのライブだった。意を決したロゼッタは、死ぬ思いでクラブ・マネージャーの前で、唯一歌える曲「オーヴァー・ザ・レインボウ」を熱唱。好評を得て雇われる事になり、急いで、ジャズのスタンダードやアレサ・フランクリンの曲をマスターしたそうだ。

やがて、クラブ歌手をしながら地元のレーベルでレコーディング。そして、後に地元で著名人になるジェシ・ルイスがマネージャーを引き受ける事に。ジェシは、黒人コミュニティ向けの<ショウタイム・マガジン>を発行すると共に、プロダクションも設立。<クリントーン>と<ムーンソング>という2つのレーベルを展開した。因みにレーベル名の由来は、共同設立者の名前、クリントン・ムーンから取ったもの。双方のレーベルに、サム・ディーズが関わっている。本盤収録曲の大半も、サムがコンポーザー及びプロデューサーとして腕を奮っている(他にはフレデリック・ナイト等)。

  冒頭のデビュー曲は、「もっと黒っぽく歌えないのか?」と指摘されたらしく、確かにやや弱い。ところが、3曲目辺りから、女性コーラスとのコール&レスポンスが入り、俄然良くなる。その後はサザン・ソウル・マナーに則り、彼女のパワフルな歌唱が生かされている。グウェン・マックレイで有名な「アーリー・モーニング・ラブ」もメリハリの効いた曲になっている。終盤はゴスペル仕立てのものが多く、安心して聴ける。根っからのゴスペル・シンガーなのだろう。そう思ってジャケット写真を見ると、確かに、ソウル・シンガーというより、ゴスペル・シンガーだ。

メジャーにはなれなかったが、一定の実績は上げた。ロゼッタは正しいスペルがRoszettaだそうだが、一般的なRozettaで活動した。それが、最後のシングルだけ正しいスペルでリリースされている。数々のエピソードから、控え目な性格が窺えるが、最後は正しいスペルを主張したのだろうか?

ロゼッタは、引退後、大学で勉強し、やがて会社を経営し成功をおさめている。そう思ってジャケット写真を見ると、今度は実業家然として見える。セミプロ的にステージに立ち、ジャズやゴスペルを歌っていた。

  本来ならアルバムの内容に詳しく触れるべき所、彼女の足跡がとても人間的だったので、そちらが中心になった。それにしても、タイトル曲の「パーソナル・ウーマン」、これが最高にパワフルなのだが、YouTubeでヒットせず。残念!

"Holding the Losing hand"

https://www.youtube.com/watch?v=jKvXSZbpRwM

"It's been so nice"

https://www.youtube.com/watch?v=PBw4cQrHgoQ

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解り解れば解るとき

「解ったような感覚」は、間違いなく一生続く。この感覚を「解った」と思わないことだ。真摯に言葉に変えていき、少しでも納得する。他者に伝えると同時に自らが納得する。その納得の範囲をジワジワと拡げる。中途半端な状態なら一旦切り捨てる。焦らず進んでいこう。

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人生観

やっぱり社会に出て働き始めてやっと人生観が自分の中に定着すると思う。それまでは、読書や映画鑑賞しても自分の生活とはリンクしにくい。でも、自分の精神の糧になる。その内仕事に振り回されるようになると趣味の重要性にも気が付く。だからこそ、他者の人生訓に惑わされない己の人生観が生まれる。

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.4

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[10枚目]●V.A.『ザ・ソウル・パワー・ストーリー』<ソウル・パワー/Pヴァイン>(07)

購入の動機はトミー・ヤングに尽きる。個人的には“正妻”と位置付けているシンガーだ。<ソウル・パワー>は、彼女がデビューを飾り、ヒット曲も多々残したレーベルである(72~74年)。それどころか、ある意味彼女オンリーとも言える。他には、ジョージ・パーキンス(名作「クライング・イン・ザ・ストリーツ」以後)、シェイ・ホリデイ、アフリカン・ミュージック・マシーンの3組しか所属していない。シェイ嬢に至ってはシングル盤1枚だ。アフリカンもスタジオ・ミュージシャンの発展型なので身内みたいなもの。アルバムも、トミー・ヤングの物しか出ていない。トミーは<ソウル・パワー>に於いても正妻なのだ。

  弱小レーベルではあるが、山椒は小粒で何とやらで、質は高い。設立したのは、ミュージシャンやコンポーザーとしても著名なボビー・パターソンと、彼が<ジュウェル>で知り合ったジェリー・ストリックランドだ。その関係もあり、<ソウル・パワー>は<ジュウェル>の傘下で、ルイジアナ州シュリヴポートを拠点としている・・・背景の説明が長くなったが、それだけ頭に入れて置きたいレーベルではある。

  本盤は、鈴木啓志さんの編集に拠る。アフリカン・ミュージック・マシーンは、ファンク路線なんだろうが、ソウル・ファン向けの選曲に。従って、ジョージやトミーの間に挟まれると、気分が自然と切り替わる。ジョージ・パーキンスは安定の歌唱。「ア・マン・イン・ラブ」「ベイビー・ユー・セイヴド・ミー」とかは、これぞ、サザン・ソウル!と唸ってしまう出来だ。シェイ・ホリデイは、悪くはないが突出したものもない。ドライブ感とメリハリが欲しいところだ。そして、トミー・ヤング。惚れた弱味もあるだろうが、彼女が歌い出すと空気が変わる。突き抜けるパワーは鳥肌を生み、潤いのある声に恍惚となる。

Shay Holiday - It's Not How Long You Make It

https://www.youtube.com/watch?v=NV5Ay5K919w

George Perkins - Baby You Saved Me

https://www.youtube.com/watch?v=J775DzB7qbI

AFRICAN-MUSIC MACHINE-making nassau fruit drink

https://www.youtube.com/watch?v=_2Emh3X-YSo

TOMMIE YOUNG - DO YOU STILL FEEL THE SAME WAY

https://www.youtube.com/watch?v=jA6L3dsli-8

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変化論的進化論

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●椎名誠著『風景は記憶の順にできていく』<集英社新書>(13)

『小説すばる』連載時は『風景進化論』。カチッとしたタイトルだ。本書の場合、やや浪漫めいているか。どちらにしろ、椎名さんがこれまで関わってきた場所を訪ね、風景がどのように変わったのか、或いは変わっていないのか、もしくは廃れたのかを考察し、感慨と共に著されている。

旧タイトルの「進化」とは、発展したという意味合いではないようだ。「変化」に近い。ところが、「変化論」に、進行する時間が加わるので「進化論」ではないだろうか。要するに、ダーウィンの進化論的「進化論」ではないのだ。人生それ自体も、「自分の時間」上の変化論的進化論が成り立つのではなかろうか。だからこそ、記憶の順番に風景が存在するのだ。

理屈はともかく、椎名さんは今回の探訪も含め、自らの「記憶」を並べ、風景を通して、人々の生活や社会の変化を感じ取る作業をされたのだと思う。誰もが懐かしい風景には感慨を覚える。本書を読むと、懐旧の情の奥にある無意識の部分を優しく刺激される。

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.3

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[8枚目]●カーティス・メイフィールド『ゼアズ・ノー・プレイス・ライク・アメリカ』<カートム>(75)

悪く言えば、ボソボソ呟くようなヴォーカルだ。だがそれは、パワー不足ではなく、無駄な力が入っていない証左だろう。サウンドも柔らかい。彼のヴォーカルを楽器類で表現しているようだ。ホーンもカーティス自身、ギターもカーティス自身、ドラムのハイハットも彼自身を想起させる。ナチュラルなファンキー・グルーヴとか、満ち溢れるブラックネスとか、表現は色々浮かぶ。だが大前提として、誠実で温かみのあるカーティス・メイフィールド本人が、音楽として存在している。

"So In Love"

https://www.youtube.com/watch?v=peChXys7FcY

"Jesus"

https://www.youtube.com/watch?v=OX5I-sbBKFo

"Hard Times"

https://www.youtube.com/watch?v=jvSfeanNFIM

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[9枚目]●ジェイムス・ブラウン『ラブ・パワー・ピース~ライブ・アット・ジ・オランピア、パリ1971』<ポリドール>(92)

帝王が<キング>から<ポリドール>へ移籍する渦中のライブだった為、陽の目を見るのに20年かかった。ブーツィー&キャットフィッシュのコリンズ兄弟の参加が目玉の一つ。両者共、お馴染みのJBサウンドを軽快に彩り、存在感を誇示している。勿論、ドラムのジャボ・スタークス等、他メンバーもファンキーの極みだ。鉄壁のバックで乗りに乗り、怪鳥シャウトも絶好調なJBだ。また、バラードやリズム&ブルース系統の歌では、切なさが全開だ。常に完璧なライブを提供していたジェイムス・ブラウン。本盤も見事にそれを証明している。

James Brown - Olympia 1971

https://www.youtube.com/watch?v=aeUyELIHa2o

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2015年1月の音楽メーター

1月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:10枚
聴いた時間:297分

ゼアズ・ノー・プレイス・ライク・アメリカ・トゥデイ+1ゼアズ・ノー・プレイス・ライク・アメリカ・トゥデイ+1
朴訥としたカーティスのヴォーカルに、ホーン、オルガン、女性コーラス、ギター、ドラム・・・各伴奏も同じトーンで存在している。ファンキーだ、グルーヴだと言う前に「音楽は人なり」という言葉が思い浮かんだ。
聴いた日:01月29日 アーティスト:カーティス・メイフィールド
サン・ブルーズ ~伝説のレーベルのルーツを探る~サン・ブルーズ ~伝説のレーベルのルーツを探る~
2015.1.18 タワーレコード久留米店にて購入。
笑っちゃうほど衝撃的!象徴はメンフィス・アグレッシヴ・ギターだ。その極北はパット・ヘアかと。リトル・ミルトンやルーファス・トーマスといった後のビッグネームも、激しさが先に立つ。孤高のギタリスト、アール・フッカーでさえメンフィス色に染まっている。ワンマン・バンドやジャンプ系も充実。
聴いた日:01月21日 アーティスト:Various
アイ・ウォナ・ゲット・ダウンアイ・ウォナ・ゲット・ダウン
2015.1.17 タワーレコード久留米店にて購入。
ソウルらしいソウル。ミディアム~アップの素直な高揚感、スローを支えるゴスペル感覚。華麗でもなく泥臭くもないが、エンドレスに感動が続く。音創りはフレデリック・ナイト。演奏はマラコ勢。録音80年。70年代ソウルがブラコンへと変わるギリギリの所。土俵で言えば徳俵だ。
聴いた日:01月20日 アーティスト:C.L.ブラスト
Come & Get Me: I'm ReadyCome & Get Me: I'm Ready
2015.1.17. タワーレコード久留米店にて購入。
冒頭からスロー曲が並ぶ。スケールの大きい曲が彼女の歌唱を生かすのは確か。しかし、パティ・ラベルのような迫力押しではなくジワジワと攻めてくる。暖房器具で暖まるのではなく、運動の効果で暖まる感じか。1曲だけあるブルースは、リトル・ビーヴァーのギターが超個性的。
聴いた日:01月19日 アーティスト:Kim Tolliver
イッツ・ライイング・タイム・アゲインイッツ・ライイング・タイム・アゲイン
大姐御なら何を歌っても結果は残す。ただ、個人的にはブルース感覚が強くメリハリの効いたタイプの曲が好みだ(本盤ならタイトル曲とか)。「ラスト・ナイト・ワズ・ファースト・ナイト」の様なベッタリした曲も沁みる。トミー・テイト~ジョー・テックス「ホールド・オン」のような超有名曲もあり。
聴いた日:01月15日 アーティスト:デニス・ラサール
レッツ・ストレイトゥン・イット・アウトレッツ・ストレイトゥン・イット・アウト
2015.1.11 蔦屋書店三年坂店にて購入。
5曲目まではひたすら惹きつけられる。ただ、ライナーによれば6曲目からのクラレンス・リード作品こそ「マイアミ・ソウル」らしいそう。あぁ、なるほどそれも解る。グウェンは、結局サザンだろうがモダンだろうが、マイアミだろうがディスコだろうが完璧に歌い上げる。無駄な力みなし。
聴いた日:01月14日 アーティスト:グウェン・マクレー
ボ・ディドリー&カンパニーボ・ディドリー&カンパニー
2015.1.11 蔦屋書店三年坂店にて購入。
凄いぞ、ジャングル・ビート!人間が、胎児というか細胞のレベルにまで還ったとして、その威力・魅力は伝わるのではないか。加えてエンタテイナー能力の高さで愉しさ倍増である。
聴いた日:01月13日 アーティスト:ボ・ディドリー
FantasiaFantasia
大評判のデビュー盤よりヒップホップ感を強調しているらしい。パワフルだが声自体はキュートだ。ハスキーなのでセクシーさも。クリセット・ミッシェルに似てるかな。ただ、クリセットとの大きな違いは個性が感じにくい。トレンドに呑み込まれている。バラードの歌の上手さだけが残る。
聴いた日:01月10日 アーティスト:Fantasia
Wake Up EverybodyWake Up Everybody
テディペン在籍最後の一枚。ブルー・ノーツ時代より、ソロの方が俄然好き。でもよく聴いてみると歌い口に大きな変化があるわけではない。居場所の問題か。ブルー・ノーツはあくまでスタンダードなソウル・グループだ。テディのソロに比べて地味に思えるのだ。しかし、聴き返す内に味が出てくる。
聴いた日:01月09日 アーティスト:Harold Melvin & The Blue Notes
Sons of SoulSons of Soul
93年の3作目。後の作品ほどオールド・ソウル寄りではない。良質なヒップホップ系R&B。表現されるダンス・ビートは新旧共通のものなので、オールド・ファンも身体が動く。やや実験的な曲もあり、終盤は美麗バラードで締める。多彩である。いや、ここは多才と言うべきか。
聴いた日:01月08日 アーティスト:Tony Toni Tone

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2015年1月の読書メーター

2015年1月の読書メーター
読んだ本の数:2冊
読んだページ数:212ページ
ナイス数:17ナイス

ブルース&ソウル・レコーズ 2015年 02月号 [雑誌]ブルース&ソウル・レコーズ 2015年 02月号 [雑誌]感想
あまり詳しくなかったレッド・ベリーについて、知識を纏める事が出来た。シル・ジョンソンの、インタヴューから窺える人間性も伝わった。その他、この雑誌の魅力は各連載物だと思う。どうかしたらレコード紹介のページより好きだし役に立つ。ライター各位の情熱がひしひしと感じられる。
読了日:1月21日 著者:
THE DIG presents ブルースの百年 (シンコー・ミュージックMOOK)THE DIG presents ブルースの百年 (シンコー・ミュージックMOOK)感想
「ベイシック・ソング・ガイド」はタイトルの邦訳をしてあったりで為になった。中村政利さんの文章は核心をついている。藤田正さんのブルース・ヒストリーも、基本的にブルースの「現在」に目線を据え面白かった。残念なのは印刷の問題だろうが、誤字脱字が多すぎ。意味不明にはならないが、残念。また、ある曲が収録されているアルバムとして全く無関係の物が貼り付けてあり、結局判らない。ブルースに興味を持ち始めたロック・ファンが主なターゲットの様なので、情報は確実であってほしい。
読了日:1月9日 著者:

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