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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.8

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[14枚目]●アレサ・フランクリン『レア&アンリリースド・レコーディングス』<アトランティック/ライノ>(07)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/54C070906701

原題は『rare&unreleased recordings from the golden reign of the queen of soul』。別ヴァージョン、没テイク、デモ録音、シングル盤のB面を集めたもの。マニア志向に思えるが、純粋にソウル・ミュージックの素晴らしさを伝える一枚(2枚組)である。女王と称される実力者だから、没テイクや未完成作品にも聴きどころがあるという理由からではない。穿った見方をすれば、商業ベースのアレンジをされていない分、よりピュアで、感動がダイレクトに伝わると言えるかも。だから、本盤の方が素晴らしいとか価値があるとは言えないが・・・。少なくとも、編集盤とは言え、数有る名盤と肩を並べる充実度だ。

  <コロムビア>で思ったほどの実績を出せなかったアレサを、<アトランティック>に迎え入れたのはジェリー・ウェクスラーだ(思い入れ豊かなライナーを、デヴィッド・リッツと共に書いている)。ジェリーの基本方針は「アレサのやりたいようにやらせる」だった。アレサは、実質的プロデューサーとしてアルバム創りの中心に立ち、積極的に動いた。結果、67年作『貴方だけを愛して』から『アレサ・アライヴス』『レディ・ソウル』『アレサ・ナウ』の充実した4作品を、僅か2年間でリリースする。それでも、ジェリーによれば、スタジオの雰囲気は穏やかだったとか。さぞかし、満足いく作品が次々と生まれていったのだろう。本盤からもそれは感じ取れる。

  録音はニューヨークだが、ジェリーが起用したのは<フェイム>のミュージシャン達だった。ソウル・シンガーとバック・ミュージシャンは、一体となって音世界を創る。単なる歌伴ではない。ジェリーは(恐らくアレサも)感覚重視の演奏に感服した。<フェイム>側もアレサの才能に驚嘆した(ピーター・ギュラルニック著『スウィート・ソウル・ミュージック』に詳しい)。

  一流は一流を知る、いや、ソウルの体現者はソウルの体現者を知ると言う事だと思う。優れたソウル・ミュージシャン同士の相乗効果が本アルバムに結実しているのだ。しかも、相乗効果の途上の様子まで窺える。<フェイム>に限らず、チャック・レイニー、エリック・ゲイル、コーネル・デユプリー、或いはダニー・ハザウェイらニューヨーク勢も同様だ。真っ黒なグルーヴを生み出している。

各々の曲についてのレビューはまた後日。ゆっくりと辿りたい曲群だ。アレサ・フランクリン自身、「アルバムは私一人で創れるものではない」と言う。それは確かにそうなのだが、彼女の類い稀なる歌唱力と向上精神、そして染み込んだブラックネスが、バンドやスタッフの感性を揺り動かしたのも事実だ。

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