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2015年5月

レクイエムを超えて

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吉村昭著『冷い夏、熱い夏』<新潮文庫> (90)※単行本初版84年

http://bookmeter.com/b/4101117276

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  末期癌に侵された、著者の実弟がモデルとなっている。「一卵性双生児」と呼ばれるほど仲の良かった二人。病状の進行と共に、著者自身も体調を崩していく。当初は、癌である事を、本人ばかりか周囲にも隠す心積もりで、それも又、多大なストレスとなったろう。加えて、本来なら察しの良い弟が、兄の言葉ならと信じている様子が、悲しさを増す。病状の悪化につれ、余命数ヶ月という状況を知らぬまま、病と闘う姿は鬼気迫るものがあるが、兄への信頼が根底にあるのも伝わる。著者の言葉をその通り信じていたのか、判っていながら気付かぬ振りをしていたのか、結局はどちらでも良い事だ。

  小説家の凄い所は、弟の死を通して、普遍的な死生感を読者に意識させる部分だ。亡くなる側にしてみれば、最後の最後まで生きようとする姿勢。それは、頑張りというより、人間の本能のような気がする。遺される側は、崇高な思いと、現実的な感覚を折り合わせ、その日を迎えなければならない。作品の中で、自然の移り変わりや、何気ない街中の風景が描写される。深い悲しみの気持ちとは対照的なのだが、そこで、現実的な視点を得られる。

  死を迎える事は重大時なのだが、毎日の生活の流れの一つであり、生活自体が、すべからく貴重なのだ。

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さようなら、B・B・キング!

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個人的には、彼のアルバムは初期の物とライブ盤数種ぐらいしか持っていない。最初がクック・カウンティだった。BBのライブ盤はどれを聴いても安定している。やがて、ブルースという音楽自体に“ライブ感”が欠かせないという真理に気付いた。それから、リトル・ミルトンやボビー・ブランドのライブに盤にも結構手を出す事になった。キッカケは今思えばBBだったのだろう。

ブルースが好きな人なら、誰もがBBに感謝の気持ちがあるのではないだろうか。他のブルースマンやロック・ミュージシャンを介している場合も加えて。

...

もう一点書いておきたい。「スリル・イズ・ゴーン」がブルースかどうかなんて全く意味のない論議だ。彼がこの曲でデビューしたのならともかく、彼の一つの通過点に過ぎない。ずいぶん大きな通過点だが・・・。黒人音楽の伝統性と可能性、双方を示してくれたBBならではの通過点だ。

ありがとう、B・B・キング!

B.B. King - Live In Cook County Jail (Full Album)

https://www.youtube.com/watch?v=Pn7Jc1sWGg4

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生半可ブス考

「スナック・美人」と「スナック・ブス」というお店が並んでいたとする。

①「美人」に美人がいる...
②「美人」にブスがいる
③「ブス」に美人がいる
④「ブス」にブスがいる

①は当たり前だ。しかし、美人が自分で美人だと認めるのは何か厭味。いや、洒落ですよと言われても洒落にならない。②は意表を突いているが、ありがちである。③の方が②より意外性があるが、ユーモアにはならない気がする。④実はこれが一番面白い。そのまんまじゃんと言って親密になるのが早そう。

しかし、である。スナックに入ろうというんだから二次会だろう。すでに酒が回っている。酔っている時は理論的な判断より本能が先行する。すると、店の名前だけ判断して「スナック・美人」に入るのではないか。

う~ん、これ以上考えても仕方がない。とりあえず入るか。

「いらっしゃいませ~」

「あ、最悪。両方いる」

※すべては個人的妄想であり、実在のお店には全く関係ありません。

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2015年5月の音楽メーター

4月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:4枚
聴いた時間:46分

ドント・ビー・アフレイドドント・ビー・アフレイド
2015.4.25. ぐるぐる倉庫菊陽店にて購入。
今やベテランとなったロバート・クレイが、上り調子の頃、傑作『ストロング・パースウェイダー』の後にリリースした一枚。個人的には彼のヴォーカル力をもっと生かしてほしい。ジョニー・コープランドとまでは言わないが・・・。最近の彼を聴いてないので、過去作に対してあれこれ述べるのも問題だが。
聴いた日:04月27日 アーティスト:ロバート・クレイ・バンド
I Am the BluesI Am the Blues
2015.4.25. ぐるぐる倉庫菊陽店にて購入。
他人に提供した曲をセルフカバーといええば企画物みたいだが内容は凄い。味のあるヴォーカル、弾むベースをウォルター・ホートン、ラファイエット・リーク、ジョニー・シャインズ、サニーランド・スリムらが好カバー。もし、他人に曲を書かずに全部自分でやってたらと考えると妄想ながら恐い。
聴いた日:04月26日 アーティスト:Willie Dixon
BlueBlue
2015.4.12 ブックオフ琴平店にて購入。
一度目はピンと来なかったが、二回目、早朝の通勤時に聴くとやたらと沁みた。最近、ミュージシャンをアーティストと呼称するが、ジョニのような人こそアーティストだ。芸術家的音楽家。無性に、ニーナ・シモンの曲とスティーヴィー・ニックスの歌声を聴きたくなった。
聴いた日:04月14日 アーティスト:Joni Mitchell
Give It UpGive It Up
2015.4.12 ブックオフ琴平店にて購入。
歌い方も演奏も自分を素直に出している。ブルースに限らず旧い音楽への愛着がよく伝わる。バンド全体もタイム感が抜群。予想以上に素晴らしかった。参りました!
聴いた日:04月13日 アーティスト:Bonnie Raitt

わたしの音楽メーター
音楽メーター

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サムに外れなし!

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Crying Sam Collins - Lonesome Road Blues

https://www.youtube.com/watch?v=fTgTCmKPirI

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Washboard Sam - Diggin' My Potatoes

https://www.youtube.com/watch?v=XnxeyOV0u38

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Sam Chatmon- Sittin' on top of the World

https://www.youtube.com/watch?v=N_Kr_OFoqbI

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Sam & Dave - Soul Man

https://www.youtube.com/watch?v=8fS9-Yimdhw

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MAGIC SAM - LOOKING GOOD - BEST LIVE VERSION

https://www.youtube.com/watch?v=X2Q9eWf2ul8

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Sam Dees- Just Out Of My Reach

https://www.youtube.com/watch?v=nYsA0pPDhrw

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Sam Cooke - A Change Is Gonna Come

https://www.youtube.com/watch?v=NaNzxniXxYE

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