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2015年8月

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.14

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[21枚目]●ロバート・ブレイア・アンド・ザ・ファンタスティック・ヴァイオリネアーズ『トゥデイ・イズ・ザ・デイ』<マラコ/Pヴァイン>(86/96)

http://www.allmusic.com/album/today-is-the-day-mw0000609468

ゴスペル黄金期と呼ばれた時代から活躍しているファンタスティック・ヴァイオリネアーズ。ハード・シャウターのロバート・ブレイアを中心とした、演奏も行う8人組である。

ロバートは、豪快というより振り絞るような歌い方が印象的。ただ、彼中心の為、パターンが一定化しがち。鈴木啓志さんが解説で、ヴィンテージ・ゴスペルとコンテンポラリー・ゴスペル間のジレンマについて述べられた上で、本盤の魅力に言及されていたが、私は正直ジレンマで終わった。ゴスペルに関する私の興味は、荘厳なコーラスとリード・ヴォーカルの掛け合いが第一なので、私の好みとは開きがあった。

ブルースを感じる②や、サザン・ソウル調の⑥、パターン外の、ファルセットがリードを取る⑧や⑩が気に入った。特に⑩は、コーラスワークも絶妙で、殆ど甘茶ソウルマナー。

I Call Jesus

https://www.youtube.com/watch?v=fKdnptW2G9A

Nobody But You Lord

https://www.youtube.com/watch?v=WLCVKUvtjPE

I Don't Know

https://www.youtube.com/watch?v=Ja3Ya0w_wN4

最近は二派に分裂しているのでしょうか、Facebookも二つありました。

http://www.thefantasticviolinaires.com/

https://www.facebook.com/pages/THE-FANTASTIC-VIOLINAIRES/118252331530637

https://www.facebook.com/pages/Robert-Blairs-Original-Fantastic-Violinaires/602883866394662

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.13

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[20枚目]●V.A.『ロスト・ソウル・ジェムス・フロム・サウンズ・オブ・メンフィス』<ケント・ソウル/エイス>(12)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/54C120511705

<サウンズ・オブ・メンフィス>は、60年代初頭、酒類関連の実業家ジーン・ルチェッシが興した。<ペン>や<XL>に関わるスタン・ケスラーの協力を得て軌道に乗り、68年にはスタジオを構えるまでに。サックス奏者でもあるチャールズ・チョーマーズの功績も大きい。

やがて<MGM>との関係を深めた新生<サウンズ・オブ・メンフィス>は、ダン・グリーアがA&Rとなり、サザン・ソウル界の一翼を担う存在となる。

  収録曲を聴いてみよう。現在も安定した作品を出し続けているカール・シムズの「ピティ・オブ・フール」でスタート。正統派サザン・ソウルアルバムの様相かと思いきや、そうでもない。

レーベルの功労者、ダン・グリーアを挟んで、オーティス・ウェット。同名のレディングさんを想起させる、ひりつくような歌唱。終盤は「ガッツガッツ」も飛び出す。

④⑤⑥は、60年代ロックやリズム&ブルースの範疇。一定の聴き応えはある。

バーバラ&ザ・ブラウンズで王道ソウルへ戻る。この人、単独の編集盤があるが、私は、本盤のように他ミュージシャンの間に入っている時のバーバラの歌声の方が好きだ。続くキャロル・ロイドは、エタ・ジェイムスからアクを抜いた感じ。

  勢いのあるジャクソネアーズやヴィジョンを受けて、ルイス・ウィリアムズが70年代に幕を引くような感じで歌い終わると、80年代の3曲。さほど悪くない。

アルバムの最後は、親父を引き継いだリンダ・ルチェッシのピアノをバックにしたジョージ・ジャクソンのデモ曲。ムードがセピアに変わる。

ディープな一枚とは言い難いが、レーベルの特徴がよく把握出来、共感を抱ける一枚だ。

Carl Sims - Pity a Fool

https://www.youtube.com/watch?v=d_Z3ve14ps8

I can't fight it no longer Carroll Lloyd

https://www.youtube.com/watch?v=q06uEWsKrnU

Rudolph Taylor - Big City Lights

https://www.youtube.com/watch?v=XH7ajNwT3Ho

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孤独の力

【映画】『ジェームス・ブラウン~最高の魂(ソウル)を持つ男』

 

ジェイムス・ブラウンは、黒人音楽史上の最重要人物の一人だ。それに止まらず、黒人文化史に残る偉大な人物だ。 一人の人間が抱えるにはあまりにも大きなステイタスである。よく潰されずに最後の最後まで「JB」を貫いたと思う。

 

母親にも父親にも“捨てられた”少年時代。自分の力だけで道を切り開き、欲しいものを手に入れなければならなかった。「音楽があるから正気を保てている」苦難の道だった。しかし、ボビー・バードを始め、たくさんの人物の助けがあった。もちろん、JB自身に音楽の才能があったからこそと言える。自分一人で道を開拓した訳ではないが、JBの力がなければ道にならなかったのも事実だ。

 

JBは孤独だった。死ぬまでJBであった以上、死ぬまで孤独だった。妻もいて親友もいるが、彼は孤独であり続けた。孤独であった少年時代は、忘れるべき過去ではなく、彼の精神の支えにも似たものであったと思う。スターゆえの孤独ではない。彼はスター以上の存在だからだ。自分の孤独さと向き合える人間は強い。

 

映画は人生の時間軸に沿いながら、少年期とデビュー間もない頃の映像がしばしば挟まれる。彼本人の基本精神とJB音楽の基本精神が繰り返されて強調されていたように思う。音楽の話を書いておくと、底辺にあるゴスペルの高揚感、グルーヴとフィーリング、全ての楽器はドラム等々、JB音楽引いては黒人音楽を理解するキーワードが頻出する。あまり詳述するとネタバレになるがこの程度は敢えて書いておきたい。

 

黒人音楽ファンなら分っているが、ジェイムス・ブラウンは、ソウルシンガーとしても一流である。ファンキーさとかダンスプレイだけでなく、ディープなソウル歌手である。その辺りも本映画はよく表現できていた。全般的に歌唱・演奏シーンが多かったのもとても嬉しかった。

 

孤独がテーマの映画とまでは言わないが、孤独の切なさと孤独の力の双方を感じ取れる映画だった。孤独を念頭に置くと、常に胸を張り、人前では笑みを絶やさないJBの姿がとても愛おしく思える。JBを身近に感じただけでも収穫のあった映画だ。

 

"Please Please Please"

 

https://www.youtube.com/watch?v=vruy2GRUsV8

 

"Soul Power" live in Kinshasa Zaire, 1974.9

 

https://www.youtube.com/watch?v=4N-NrucQcB8

 

Say It Loud I'm Black And I'm Proud

 

https://www.youtube.com/watch?v=lw4mf5vRSQM

 

Try Me (Live In Montreux 1981)

 

https://www.youtube.com/watch?v=BwfP2fSjA7U

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母親の死

お盆を過ぎた16日日曜、昼の12時10分、母親が亡くなりました。

今年の春先に、いつ最期を迎えてもおかしくない状況と言われ、何度か姉から連絡があり、病院へ向かっていました。その都度回復し、生命力の強さを見せていたのですが・・・。

今回は、ちょっと姉の電話も慌て気味ではあったのですが、今度も大丈夫じゃないかという安易な気持ちが強かったです。しかし、車を出して10分も走らぬ内に逝去の知らせが入りました。姉も間に合わない状況でした。最後は正に「老衰」で、苦しむ事もなく、自然に亡くなったそうです。

一週間ほど前でしょうか、見舞いに行った時は、異常にテンションが高く、ベッドから起き上がるんじゃないかという勢いで喜んでいました。よく面倒を見て頂いた叔母(母と歳の離れた妹)が、別れ際に「たまには握手でもしていきなさいよ」と半強制的に母の冷たい手を握らせました。それが母の笑顔を見た最後でした。

その後あまり思わしくなかったらしいのですが、亡くなる数日前には、姉に「線香とロウソクの用意は良いか」と尋ねたり、前日には状態が良かったので、三か月ぶりぐらいにお風呂に入ったそうです。また、姉が「そろそろ髪の毛切らんといかんね」と言うと「いや、アッチで切ってもらうから良い」と言ったとか。偶然と言えば偶然なのでしょうが、母にはある種の覚悟があったような気がします。いつも「なかなか死なんねェ」がブラックな口癖だった母の、本気を感じます。

「偶然」を更に考えると、私は、前日同窓会に出席できました。亡くなった日の朝に散髪も行けました。葬儀の日も、曇りや小雨で、列席者の方々に気を遣ったのではないかと思えました。

葬儀も、近隣のご友人始め、想定以上にお別れに来て下さいました。母ののほほんとした性格、他人の悪口などまず言わない性格は、多くの方に慕われていたと思います。母は特別趣味を持っている訳でもなく、旅行を楽しむタイプでもなく、母としての務めを全うした人でした。心配性で愚痴もこぼしましたが、邪気がないため、ユーモラスな言動に映りました。

私は心配を掛ける事が多く、「親不孝」な息子だったと思います。ましてや、形として残るような「親孝行」はほとんどした事がなく、恥じ入るばかりです。これから、家族を幸せにしていく事が親の世代への「お礼」だと勝手な理屈をこね、また母親に愚痴ってもらいたい気持ちです。合掌。

Aretha Franklin - A Mother's Love

https://www.youtube.com/watch?v=NjNnu-F8yzI

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「感情」論

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福田恆存著『人間の生き方、ものの考え方』を立ち読み。人間の80%は感情で出来ているのに、知性の方が感情よりレベルが上の様に捉えられている。「きみ、それは感情論だよ」という人こそ実は感情的になっている。感情をこめて論じる事こそ正当であると。

なぜ感情が表に出ると「嫌われる」のか。それは人間の醜さを映し出すからだろうか。感情には確かに自ら蓋をしてしまいたくなる部分がある。それを「極端な感情」と一応規定してみる。あ、福田恆存、もう関係ないです。怒りや猜疑心、鬱屈といったもの。平々凡々とした暮らしの中では、時に表に出るが、大抵は自ら抑えつけるか爆発しても反省する。

「極端な感情」の度合いが少なめのものが「意義ある感情の変化」だと思う。もちろん、人生経験を豊かにするためには「極端な感情」を露呈したり、他人から受け止めたりするのは有意義である。理性が中心の優等生が挫折に弱いようなものだ。私の言う「意義ある感情の変化」は、人との触れ合い、読書や音楽といった創作物から得られる感動で引き起こされる。これが重要な気がしてならない。しかも、インプットもさることながら、アウトプットも必要である。アウトプットはそれこそ感情の発信だが、知性や理性がフォローするべき。そこに思考が必要な場合もある。思考には、当然知性や理性が必要だが、そこが逆転して感情が遠のいては伝わりにくい。

感情の変化と理性の関係、このバランスは難しいし、誤解も生みやすい。それを自分なりに考えてゆく毎日、それが人生のような気もする。

Allen Toussaint - Southern Nights

https://www.youtube.com/watch?v=mCscZ2tPFmI

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トミーに外れなし!

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Tommy Johnson - Big Road Blues

https://www.youtube.com/watch?v=j5oVMdQW_x0

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'Whiskey Head Woman' TOMMY McCLENNAN

https://www.youtube.com/watch?v=n-3C8BvpZLA

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Tommy Ridgley - I Love You Yes I Do

https://www.youtube.com/watch?v=4UYm7WiKv0U

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The Clash - Tommy Gun

https://www.youtube.com/watch?v=bFHEuKkTa5k

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Tommy Tate "I Can't Do Enough For You Baby"

https://www.youtube.com/watch?v=Vre3f-x8m_E

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Midsummer Dream-Tommie Young

https://www.youtube.com/watch?v=Fb9actyJ5ZM

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2015年7月の音楽メーター

7月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:10枚
聴いた時間:199分

Wow,wow, Baby! 1950s R&b, Blues & Gospel From Dolphin's Of HollywoodWow,wow, Baby! 1950s R&b, Blues & Gospel From Dolphin's Of Hollywood
人は自分の生まれた年の音楽が本能的に好きだという説がある。その体で言うと57年生まれの私は本アルバムの50年代後半のサウンドが好物となる。私はこの説を信じている。
聴いた日:07月17日 アーティスト:Various Artists
Spread Your Love ~ The Complete Minit Singles 1966-1970Spread Your Love ~ The Complete Minit Singles 1966-1970
痒い部分の周辺を掻かれている。時々バッチリ合うけど。声量の豊かさや声の渋みの生かし方があるんじゃないかとも思うが、それが彼らしさなんだろう。60年代ポップスファンも気に入るようなサウンド。2曲目のディランやストーンズがやりそうなカントリー・フレイヴァーは気に入った。
聴いた日:07月15日 アーティスト:Jimmy Holiday
INTRODUCING ROGERINTRODUCING ROGER
ザップが他のファンク・バンドと一線を画すのは、ポップ感覚だと思う。その前身である本盤は、ひたすら黒くうねっている。ロジャーの兄弟がタイコ系を引き受け、神童ロジャーは、ギター、ベース、キーボード他溢れる才能を噴出させている。ギターのセンスは特に最高だね。
聴いた日:07月13日 アーティスト:ROGER AND THE HUMAN BODY
アイル・ドゥ・エニシング・フォー・ユーアイル・ドゥ・エニシング・フォー・ユー
多分女性はラティモアの声をセクシーに感じるんだろうな。マイアミ時代よりも王道ソウルに徹しているかな?微妙だけど。充実したデニス・ラサール曲やジョージ・ジャクソン曲も余裕綽々と歌い上げる。ソウルファンなら買うべき一枚。
聴いた日:07月10日 アーティスト:ラティモア
ホールド・オンホールド・オン
オーティス・レディングぽい所が日本人受けしたのだろうか。オーティスは切羽詰まったような唱法が魅力だがトミー・テイトはもっと自在だ。ジャケットからも、日本人らしいソウル感が感じられて、何だか誇らしい。傑作「ホールド・オン」淡々とした感じも良いな。歳を取ると減塩塩辛声に惹かれるのよ。
聴いた日:07月09日 アーティスト:トミー・テイト
マムリッシュ・ブルースマムリッシュ・ブルース
格別ギター・テクニックに長ける訳ではなく、ワイルドでもないが、何とも言えぬ癒し効果がある。最後の最後まで歌い切る真っ直ぐな唱法、控えめに跳ねるギターが特色かと。クリフォード・ギブソン参加セッションもあり。こちらのギターは華麗に舞う。
聴いた日:07月07日 アーティスト:エド・ベル
MALACO SINGLE COLLECTION (TBC)MALACO SINGLE COLLECTION (TBC)
かつて高沢仁さんが「コンテンポラリー・ディープ・ソウル」という概念を打ち出されたが、<マラコ>のソウル歌手は正にその範疇に在るだろう。地方都市の繁華街を思わせるローカル特有の華やかさを感じる。
聴いた日:07月06日 アーティスト:V.A.
Letter Full of TearsLetter Full of Tears
60年代初頭の録音だけにリズム&ブルースの流れが強い。ただ、歌の上手さは堪能できる。力みがなくて力感がある。ソウル・シンガーの鑑だ。
聴いた日:07月03日 アーティスト:Gladys Knight & The Pips
Brent ~ Superb 60s Soul SidesBrent ~ Superb 60s Soul Sides
60年代ポップスが好きな人も乗れるだろう一枚。オールディーズ感覚スレスレのソウルの魅力満載だ!
聴いた日:07月02日 アーティスト:Various Artists
Can't Find Happiness - Sounds of Memphis RecordingCan't Find Happiness - Sounds of Memphis Recording
体格からビッグ・メイベル声かと思いきや、パンチ力発揮型。乗りの良さが身上かと。曲の良さも手伝っている。
聴いた日:07月01日 アーティスト:Barbara & The Browns

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