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2015年11月

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.20

Johnny_gill_lets_get_the_mood_right

[27枚目]●ジョニー・ギル『レッツ・ゲット・ザ・ムード・ライト』<モータウン>(96)

http://www.discogs.com/Johnny-Gill-Lets-Get-The-Mo…/…/482394

...

まだ表情にあどけなさが残るデビュー・アルバムから13年後のジョニー・ギル。当たり前の話だが、すっかり大人の雰囲気を醸し出している。歌唱力は若い頃から定評があったが、人生経験がプラスされた事で、歌の旨味が増したのではないだろうか。

  彼の出世作「マイ・マイ・マイ」の作者ベイビーフェイスのペンに拠るタイトル曲でスタート。自然な温もりが伝わる曲調であり、歌唱である。

③と⑥はジャム&ルイス。時代の寵児である二人が書くバラードはシックである。本盤でも“大人”ジョニー・ギルをよく引き立てている。逆に、豪放ながら暑苦しくないシャウトや、裏声に変わる抜群のタイミング等、他の曲でも発揮されるジョニー・ギル・マナーが、曲自体を引き締めているのも事実である。結構ポピュラー寄りの側面もあるので、彼クラスでなければここまで黒くならないかも。

④⑤はトニー・リッチ。④でも圧倒される。⑤は男女の睦み合いから始まり、途中にもちょいエロ声が入るのだが、何しろ、ダイナミックな歌声に夢中になってしまい、セクシーのセの字も感じない。罪な男である。

⑦辺りから、90'sR&Bならではの色彩が濃くなる感じも。⑧には、ロジャー・トラウトマンが参加。お得意のトーク・ボックスが控えめながら存在感有り。⑨はR・ケリー。彼らしいタメの効いたスロー曲だ。

⑩はアル・B・シュア!⑫ではスティーヴィー・ワンダーをフィーチュア。トーンを合わせた訳ではなかろうが、ジョニー側が抑え気味な気も。⑪はジャーメイン・デュプリ。トロイ・テイラー&チャールズ・ファラーのキャラクターズに拠る⑭は、柔らかく腰に来るリズムとリフレインが印象的。一時は、脳内再生曲になった。

オールド・ソウル・ファンには、前半がシックリ来そうだが、結局、彼の場合歌に身を委ねるのが快感なので、曲調は二の次だろう。

  見かけたら買いましょう。

Let's Get The Mood Right

https://www.youtube.com/watch?v=qPfbOlz494I

Having Illusions

https://www.youtube.com/watch?v=JMVXHe3Q4Zg

Take Me (I'm Yours)

https://www.youtube.com/watch?v=nClNIhMUv8I

It's Your Body ft. Roger Troutman

https://www.youtube.com/watch?v=d9IrutZsa3s

So Gentle

https://www.youtube.com/watch?v=4zKo5ydi8BI

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.19

Xat1245576955

[26枚目]●ライトニン・ホプキンス『テキサス・ブルース・マン』<アーフーリー/Pヴァイン>(89)

http://soundspal.seesaa.net/article/408083694.html

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『テキサス・ブルース・マン』(67)と『ライトニン・サム・ホプキンス』(61/62)の2in1。但し『サム』から一曲省かれている。

  <アーフーリー>のクリス・ストラックウイッツは、以前から大ファンだったライトニンを探しにテキサスへ。サム・チャーターズやマック・マコーミックの協力を得て会う事が出来た。クラブでのライブを体験し、その感動を何とか音盤にしようという熱意から<アーフーリー>の諸作が生まれた。

  三作目に当たる『テキサス』からスタート。弾き語りスタイルで、生々しく迫ってくる。ライトニンは、歌もギターも感覚的だ。時に静かに唸ったり、饒舌に語りかけたり、ギターの刻みのタイミングや紡ぐフレーズも自在だ。結果、出来上がった世界は、海の底のように深い。しかし、どこか近所のオッサン的な親和性も感じる。

  悪名高きトム・ムーア①(マンス・リプスカム作)やバッド・ラッセル⑨をテーマにした、恐らくシリアスな内容を持つであろう曲も、訴えるものはあるが、しかつめらしさはない。⑦もその範疇。②は「俺の指さばきを見ろ!」と歌っているのかどうかは知らないが、ギター演奏に喋りを付随させている感じだ。他のナンバーもブルースとしての完成度が極めて高い。

  『サム』は、初めての<アーフーリー>作品。こちらは、ライブの再現をしたかったのか、気分を乗せる為か、バンド・サウンドである。ライトニンの存在が中心ではあるが。クリスがライトニンに気を遣った部分もあったろう、ジミー・マクラクリンのバンド・メンバーを呼び寄せたり、地元で馴染みのドラマーを起用したりしている。

⑪と⑭が地元のドラマーと62年。他が61年となる。全体的に『テキサス』よりスピード感とリラックス度が強い気がする。しかし、中には⑮⑰(リンク先では⑯⑰)のようなダイナミックな曲も。⑯(リンク先にはなし「ドゥ・ザ・ブギー」)は、自身のピアノで、伝統に即したブギを聴かせるものの、ちゃんとライトニン節になっている。

  両アルバムの微妙な違いは確かにある。どちらかと言うと『テキサス』の方が充実しているかも知れないが、細かく聴いていくと、ギターの味わい、臨機応変なヴォーカル、独特のタイミングの生かし方は、双方で愉しめる。本文冒頭の繰り返しみたいな事を書いたが、結局“ライトニンらしさ”が評価の全てである。曲のどこかでそれに出くわせば、思わず彼の笑顔のようにニタッとしてしまうのだ。

  蛇足。ネット上の自分のアイコンを、最初は『テキサス・ブルース・マン』のジャケット写真にしていた。ところが、どうも枠に収まるとインパクトが無い。ライトニンの顔写真のみだったら、そのまま使い続けたかも。まあ、しかし、ライトニン顔よりは、ウルフ顔の私ではあります。蛇足閉じる。

Tom Moore Blues

https://www.youtube.com/watch?v=VawSOe2VUtk

Bud Russell Blues

https://www.youtube.com/watch?v=i98R-cHeCKg

Burnin’ In L.A.

https://www.youtube.com/watch?v=XZpssK_BXNQ

Bald Headed Woman

https://www.youtube.com/watch?v=i0CfElspVm8

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2015年10月の音楽メーター

10月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:12枚
聴いた時間:357分

ライフ、ラヴ・アンド・リヴィングライフ、ラヴ・アンド・リヴィング
2015.10.27 タワーレコード久留米店にて購入。
絶対的評価を得ていたフィリップ・ウィンの後釜でスピナーズ入り。結局は最も長いリード・シンガーに。前半はアル・グリーン調も含めた乗り重視。後半はゴスペル臭もかぐわしいバラード群。特に長尺の「ユー、トラブル・アンド・ミー」には絶句のみ。LPだったらこれがB面一曲目!
聴いた日:10月30日 アーティスト:ジョン・エドワーズ
ジャスト・ワン・ルックジャスト・ワン・ルック
2015.10.27 タワーレコード久留米店にて購入。
ヒット曲は、そのディープさに気付きにくい。「ジャスト・ワン・ルック」を久しぶりに聴いたら、思ったより深みがあった。あまり、器用な人ではないんだろうが、それこそが彼女の魅力である。
聴いた日:10月29日 アーティスト:ドリス・トロイ
Hang On In There<限定CD>Hang On In There<限定CD>
2015.10.27 タワーレコード久留米店にて購入。
“裏『ホワッツ・ゴーイン・オン』”と称されるのも気の毒な感じだが、言い得て妙ではある。マーヴィンの、細部にまで気持ちが行き届きながら、心地好く身を委ねられるような音創りに共通したものは確かに感じる。少しクール過ぎる印象だが、後半特に終盤は、夢幻的に盛り上がる。
聴いた日:10月28日 アーティスト:Mike James Kirkland
ゴー・ブロー・ユア・ホーンゴー・ブロー・ユア・ホーン
LP時代に散々聴いたルイ・ジョーダン。実はCDで聴いたのは今回が初めて。リアルさの違いがよく判る。無条件に素晴らしい!黒人音楽史上の重要人物の一人なのだが、認知度の低さは悔しい。
聴いた日:10月25日 アーティスト:ルイ・ジョーダン・アンド・ヒズ・ティンパニ・ファイヴ
リトル・ジョニー・テイラー、パート・タイム・ラヴリトル・ジョニー・テイラー、パート・タイム・ラヴ
<ロン>時代に比べて童顔の、笑顔が印象的なジャケット写真だ。ケレン味のない彼の歌声が連想される。オーケストラを起用した曲でも、がっぷり四つに組み合い主導権を保つ。爽快なる迫力!
聴いた日:10月23日 アーティスト:リトル・ジョニー・テイラー
トゥゲザー・フォー・ザ・ファースト・タイム...ライヴトゥゲザー・フォー・ザ・ファースト・タイム...ライヴ
安定感+安定感は、揺るぎない安定感となる。かと言って、貫禄だけで乗り切っている訳ではない。熱い迸りも十分。曲が佳境に入るとバンド全体の勢いも増し、聴く側も力が入る。つくづく残念なのは「セカンド・タイム」か実現しなかった事だ。
聴いた日:10月21日 アーティスト:B.B.キング&ボビー・ブランド
天才ジャイヴ・ギタリスト テディ・バン天才ジャイヴ・ギタリスト テディ・バン
テディ・バンもさることながら、この30年~40年代のサウンドにまず惹かれる。ジミー・ヌーン、ジョニー・ドッズ、ホット・リップス・ペイジなど名前は知っていておそらく聴いた事もあるのだが、何だかこの歳になって一段と魅力を感じる気がする。バン師匠の手業の凄さは言わずもがな。脇役としての味付けもさりげなく美しい。
聴いた日:10月19日 アーティスト:V.A.
ドント・ターン・ミー・フロム・ユア・ドア +4ドント・ターン・ミー・フロム・ユア・ドア +4
「存在自体がブルース」と書いてしまえばそれまで。むせかえるようなヴォーカルに合わせ、独特のテンポを刻むギターは、時にアヴァンギャルドと呼びたくなる歪みを見せる。大御所とかレジェンドとか謳う前に素直に向き合おう。彼の魅力を再認識できる。
聴いた日:10月14日 アーティスト:ジョン・リー・フッカー
JUST ENOUGH TO GET ME COOL - THE COMPLETE OCTOBER RECORDINGS  ジャスト・イナフ・トゥ・ゲット・ミー・クール~コンプリート・オクトーバー・レコーディングJUST ENOUGH TO GET ME COOL - THE COMPLETE OCTOBER RECORDINGS ジャスト・イナフ・トゥ・ゲット・ミー・クール~コンプリート・オクトーバー・レコーディング
力みはなくて力感がある。発する声音の端々まで聴き込みたくなる。ジョニー・テイラーの影もチラリ。同時期ににリリースされた、彼の意向がより反映していると言われる一枚も買いですな。
聴いた日:10月08日 アーティスト:FREDDIE WATERS フレディー・ウォーターズ
Kent's Cellar of Soul Volume 3Kent's Cellar of Soul Volume 3
ピーター・バラカンさんが思い出語りしていた、60年代のイギリスのラジオ局でパワー・プレイされていたであろう曲達だ。キャッチーなメロディーやキャッチーな歌声、ソリッドなドライブ感が身上かと。最近、ノーザン系のコンピを聴く機会が多かったが、これがベスト!
聴いた日:10月07日 アーティスト:V.A.
ホエア・アイム・カミング・フロムホエア・アイム・カミング・フロム
バリトン+ファルセット+コーラス・ワーク、ソウル・グループの余りに基本的な図式だが、そのお手本のような出来。
聴いた日:10月05日 アーティスト:ザ・トゥルー・リフレクション
Hard To Explain - More Shattered Dreams - Funky Blues 1968-1984Hard To Explain - More Shattered Dreams - Funky Blues 1968-1984
「ファンキー・ブルース」を集めた一枚。有名無名に関わらず、クールで尚かつ熱い。そしてギラギラ黒光り。カッチリ決めるタイプもあれば、雑然としながらもメリハリを感じるタイプも。人気のあるスモーキー・ウィルソンと、レイ・エイジーのタイトル曲は特に気に入った。
聴いた日:10月01日 アーティスト:V.A.

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