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人間の土地

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●サン=テグジュペリ著・堀口大學訳『人間の土地』<新潮文庫>(39/55)

詩的な文章(訳者は適任)で綴られている一篇。飛行機乗り(郵便物の輸送)が主人公である。遭難状態から奇跡的な生還を遂げた僚友や、自らの、死線をさまよった話などが軸となる。小さな存在としての人間や、それでも逞しく生きる本能を見つめた作品だと思う。

  作者自身も同業の経験があり、話に出てくるような苦難や歓びを体験し、最後は戦時中の飛行で消息を絶った人生である。

  自然の影響を受けやすい当時の飛行機を操縦する事は、常に死を意識する侍のような心境ではなかったろうか。主人公も、どこかニヒルな所がある。死にたくないと踏ん張る一方で、自分自身の行く末を冷静に見つめている部分がある。それが為に、人間て素晴らしい!と声高にならず(美しい部分ばかり強調せず)、誠実にリアルに、生と死について思いに浸れた。

  巻末に宮崎駿さんの一文。飛行機乗りの心理や、技術者達のロマンばかりでなく、人間の愚かさや醜さも書かれている。まるで、サン=テグジュペリの想いを端的に述べられているかのようだ。

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