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2016年3月

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.30

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[38枚目]●V.A.『ザ・ベスト・オブ・ジ・アメリカン・フォーク・ブルース・フェスティバル'63-'67』<ベラフォン>(86)

https://www.discogs.com/…/Various-The-Best-…/release/3545560

ヨーロッパを舞台に、途絶えた時期はあったものの、62年~85年まで続いていた「アメリカン・フォーク・ブルース・フェスティバル」。ステージの模様はCDやDVDといった形でも数多くリリースされ、全世界のブルース・ファンを魅了している。

http://www.wirz.de/music/afbffrm.htm

本盤は、63年~67年のライブからセレクトされた一枚。マディ、ウルフ、ジョン・リー、ライトニンら錚々たるメンバーがブルースの魅力を知らしめている。

①ハミー・ニクソンのハーモニカとジャグを相棒にしたスリーピー・ジョン・エスティス。声に張りがある。ジャグの音色も面白い。

②流れるようなギターが味わいを生むバディ・ガイ。

③磐石のビッグ・ママ・ソーントン。聴くたびに名曲である事を思い知る。ギターはバディ・ガイ。ベースは②でも良い味を出していたロンサム・ジミー・リー。

④全体のトーンと間合いが漆黒の極致、マディ・ウォーターズ。オーティス・スパンの地を這うようなピアノにとろみのあるギターが絡む。

Muddy Waters - Five Long Years

https://www.youtube.com/watch?v=NsJfLl_jN7s

⑤ヒューバート・サムリンのギターとサニーランド・スリムのピアノが先導する旋律に、ウルフが抜群の乗りで吠える。ウィリー・ディクソンがドラムになってますが?

⑥バディ・ガイがベースでフォローするジョン・リー・フッカー。エンドレスに続く黒いグルーヴだ。

King Of The World - John Lee Hooker, Buddy Guy, Freddie Below

https://www.youtube.com/watch?v=mD9NmChCRQQ

⑦お馴染みのハープ音、お馴染みの朴訥ヴォーカル、サニーボーイ・ウィリアムソン。ベースのようなトーンから絶妙なフレーズを紡ぐヒューバート・サムリンにはここでも感心。

⑧やっと「フォーク・ブルース」らしいのが登場。ソニー・テリー&ブラウニー・マギー。名コンビらしさを発揮。でも仲は悪かったんだって!

⑨元気いっぱいの、ルーズベルト・サイクス。メンフィス・スリムばりの濃ゆい声だ。リズム&ブルース的なギターに徹しているバディ・ガイも微笑ましい。

⑩オーティス・ラッシュがバックに付いたジュニア・ウェルズ。いつもより狂おしさを感じる。情念の交歓か。ベースの表記が「ジャック・アイヤーズ」。マイヤーズでしょうね。フレッド・ビロウのドラムがナイスなタイミングで突っ込む。

Vietnam Blues : Junior Wells, Otis Rush, Jack Myers, Freddie Below

https://www.youtube.com/watch?v=j1WeFPoLCxc

⑪ブッカ・ホワイトも充実のステージ。

⑫ライトニン・ホプキンス。いつもの、ギターのフレーズ、いつものダミ声ヴォーカルを堪能。

Sam Hopkins plays Ain't It a pity

https://www.youtube.com/watch?v=5vF0LchMzhc

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.29

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[37枚目]●ゴードン・チェンバース『イントロデューシング・・・ゴードン・チェンバース』<ゴードン・ミュージック/スロウダウン>(05)

http://gordonchambers.com/album/introducing/

コンポーザーとして名を成した人がミュージシャン・デビューすると大抵内容が良い。ゴードン・チェンバースにも同じ事が言える。

アニタ・ベイカーやオージェイズといったベテラン勢から、アッシャーやSWV等当時のメイン・トレンドを行く人たちまで多くの楽曲を提供している。美メロとアーバン・タッチには定評がある。

①マーヴィン・ゲイ「アイ・ウォント・ユー」遣いでスタート。決めどころではマーヴィン的なひりつくシャウトも聴かせる。少しザラついた声は良いアクセントになっている。

②はスティーヴィー・ワンダーを想起。グレン・ルイスとゴードンの盟友トロイ・テイラー作。グレンもBGvo.で参加。③はスパンダー・バレー遣い(私はよく知りませんが)。

④はヴォーカル力を発揮。⑤はテンポが面白い。サラ・ディヴァインなる女性とデュエットの⑥。これまでの曲もそうだが、この曲特にベース音(プログラム)がファットで心地良い。

⑦はカール・トーマスに提供した曲。カールをゲストに呼んで。トランペットがアーバン感。

⑧決して濁らないサックスと、流れるように弾かれるピアノが超アーバン。続いても印象的なバラード⑨。控えめに鳴るギターも味となっている。ハンドクラッピングとベースが彩る⑩も良い曲。後半はゴスペルの薫り。

⑪はアニタ・ベイカーに提供した曲。ここは生楽器による演奏。アーバン・ジャズ風。最後の⑫は静かに歌い上げる。

  2曲、バックグラウンド・ヴォーカルでライアン・ショウ参加。

ミュージック・フェスティバルでも有名な雑誌『エッセンス』の編集者も経験しているゴードン。広い範囲で音楽に接していた事だろう。アルバムを出すペースがゆったりしているのは、納得のゆくまで良い物を創ろうとする精神の表れに違いない。2作目が2年後、3作目がその5年後の2011年である。自主レーベルでのスタートも意欲を感じる。

①Touch You There

https://www.youtube.com/watch?v=egSAeN4EgQM

④My Imagination

https://www.youtube.com/watch?v=PCpWp7B8_mc

⑤Be Happy

https://www.youtube.com/watch?v=smlUS7vdRfc

(ライブ)⑧I'LL MISS YOU MOST LIVE IN PHILADELPHIA

https://www.youtube.com/watch?v=qpBLHCYAr-c

⑨THATS WHEN YOU FALL IN LOVE

https://www.youtube.com/watch?v=EYi6fwupAfY

(ライブ)⑩Always Be Proud

https://www.youtube.com/watch?v=FBGpisq7f0s

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コール&レスポンス

コール&レスポンスについて考えていた。

思えば現代社会こそコール&レスポンスが必要なのかもしれない。自分のいいたいことだけをいうコール・オンリー。的外れなレスポンス。コールに対してコールで返す。無責任なコール。ノー・レスポンス。

楽しく有意義なコール&レスポンスができた時の満足感。そんなに難しいこととは思わないのだが、たぶんそれができないのは自分の馬鹿さ加減に気づかない、つまらないミエだろう。

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アメリカの光と影は、どちらも濃密である

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●『物語アメリカの歴史 超大国の行方』<中公新書>(91)

https://www.chuko.co.jp/shinsho/1991/10/101042.html

アメリカは何につけ「あけすけ」なんだろうな。曖昧さを許さない。

  美しい部分も醜い部分もストレートに提示する。ごまかしもごまかしとして押し通す。

  初期の大統領は将軍上りが多いとか。戦争の勝利者がヒーローとして奉られる。しかし「戦争」といっても元々そこに住んでいたインディアンやメキシコ人を追い出すもの。どうひいき目に見ても正義の戦いではない。これでは人種差別も平気なはずだ。

このあけすけさ、良い方向に進むか悪い方向に進むかで状況は変わるだろう。魅力を感じると共に辟易する、ある意味人間臭い国だ。

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.28

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[36枚目] ●マディ・ウォーターズ『ザ・ベスト・オブ・マディ・ウォーターズ』<チェス/MCA>(55/87)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/XATL-00000388

問答無用の一枚だ。シカゴ・ブルース界の大ボス、マディ・ウォーターズの代表作中の代表作、傑作中の傑作である。オリジナル・ジャケットは、チョコレート色の肌と漆黒の空間の組み合わせが、マディの虚ろに見える表情を生かしている。本盤は、複数のジャンルのミュージシャンを取り上げたシリーズの一枚で、モノクロ写真に変わっている。オリジナルが持つディープさには届かない。

シカゴ・ブルースは、楽器をアンプリファイドし、腕達者なメンバーでバンドを構成した事で、田舎のブルースを都会的なサウンドに変えた。もちろん全く違うものを生み出した訳ではなく、田舎の感覚は残り、それが味わいになっている。 48年~54年の作品を集めた本盤も、そんな空気に満ちている。泥臭さをまとわりつかせたまま、次の時代を見据える過渡期的なアルバムとも言える。いや、考えてみればマディは最後の最後まで泥臭かった。そこが、レジェンド中のレジェンドとして敬愛されている由縁かも知れない。

①ピアノ、ハープ、ベースによるお馴染みのイントロを聴くだけで胸が躍る。唾が飛んで来そうな生々しいマディのヴォーカル。立ち込める霧のようなリトル・ウォルターのハープ。色恋というより、マディ達とリスナーの、ブルース精神の交歓を謳っている気がする。アルバム全体的にだが、サウンドが、濃い闇の中を漂っている雰囲気。マディはブルースについて、「音符と音符の間の溝を表現するもの」と言った。フィーリングと言えばそれまでだが、独特の深みは楽譜を追いかけて生まれるものとは異質であるというのは、素人でもわかる。1曲目からすんなりとその音世界へ入る。

②などで聴かれるマディのゴツいスライドは絶品。

③⑤の50年録音辺りはトラッドに攻めている。雄々しさより哀感モード。豪快な代表曲の裏地みたいなものだ。

④表現される蜂の羽音は、おどろおどろしく聴こえる。刺されたらブルース毒が回るだろう。

⑥私はこういった曲好き。ビートは跳ねているが腰がしっかり座っている。フレッド・ビロウのドラミング、またもやリトル・ウォルターのハープ絶妙。

⑦マディ・ブルースの完成形ではないだろうか。何度聴いてもドラマチックだ。単純に血が騒ぐ。

⑧⑪は、リトル・ウォルターとレナード・チェスのバス・ドラムのみのバックという変わった構成だが、マディのスライドが余計際立つ感じ。

⑨⑩のゆったりした感じも味わいがある。⑩はマディのヴォーカルとスライドの粘着度が2割増し。ハープも粘りまくる。

⑫は最も旧い48年録音だが、マディ・ブルースのプロトタイプに思える。ビッグ・クロフォードのベースのみのバックなのだが、フルバンド演奏並みの迫力がある。ベースが相当頑張ってはいるが。

①I Just Want to Make Love to You・・・ややベース音弱し

https://www.youtube.com/watch?v=PrXH4YXKlCM

④Honey Bee https://www.youtube.com/watch?v=0GPNKRlQkvs

⑥I'm Ready

https://www.youtube.com/watch?v=VrKHz94rGpk

⑦Hoochie Coochie

https://www.youtube.com/watch?v=p-Ua1kqcmaY

⑩Standing Around Crying

https://www.youtube.com/watch?v=cD4TsOTyIw4

⑫I Can't Be Satisfied

https://www.youtube.com/watch?v=vTgwDknZlkA

 

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