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2016年9月

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.35

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[43枚目]●リーラ・ジェイムス『マイ・ソウル』<スタックス>(10)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/51C100409701


リーラ・ジェイムスは、好きなミュージシャンだ。シンガーとしての魅力もあるが、曲が醸すフィーリングが気に入っている。レディシやクリセット・ミッシェルのような斬新さはないが、旧い感覚も新しい感覚も持ち合わせていると思う。

本盤に於いても、前半がダイナミックなパワー志向、中盤はオールド・ソウルに繋がるようなスウィート・マナー、後半は音やヴォーカル処理などに遊び心も感じ取れる。といった風に多彩に攻めていながら彼女らしさは一貫している。

エタ・ジェイムスのカバー曲集を出した事でも判る通り、エタの力感溢れる歌唱を感じさせる。ただ、それだけでなく曲の中の一部分として、自分のヴォーカルを生かす意思が見える。基本的にサウンド志向のミュージシャンではないだろうか。

本盤で言うと特に、ベース音の重量感やオールド・ソウルのさりげないサンプリングなど私の好む所だ。ラヒーム・ディヴォーンとの絡みも、互いの魅力が生きている。

本作は<ワーナー>→<シャナキー>に続く3作目。そしてこの後再び<シャナキー>へ戻る。

I ain't new to this

https://www.youtube.com/watch?v=ZzXRSO6PMvk

I want it all

https://www.youtube.com/watch?v=56gE3HDW7tE

Mr. Incredible - Ms. Unforgetable

https://www.youtube.com/watch?v=k4X50uTYVh8

Tell Me You Love Me

https://www.youtube.com/watch?v=mnYZDapj1tQ

Its over

https://www.youtube.com/watch?v=iX0yRYJEMVc

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ジャニスとの新しき再会

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『BSR』誌最新号では、9月10日から公開されているジャニス・ジョプリンの映画に関連して彼女の特集が組まれている。

佐藤英輔さんは、ジャニスが女性ロッカーの先駆者でありリベラルな思考を持つ白人の先駆者であると述べられている。

妹尾みえさんは、「ブルースは持たざる者の歌」と認識していたジャニスが、ブルースに翻弄されながらも真摯に表現しようとしてきた姿を描かれている。

柴崎祐二さんはカリスマという言葉や伝説で片付けられがちなジャニスのミュージシャンシップを強調されている。

いずれも、ジャニス・ジョプリンというシンガー、ミュージシャン、女性の姿を鮮やかに甦らせる好コラムであり、ご一読をお勧めする。

私は、小学生から中学生に上がる頃から洋楽に興味を持ち始めた。中一が1970年だから既に彼女はこの世にいない。熱唱というより絶唱という言葉が似合うジャニスの歌声は、青二才には渋かった。ブルースの存在なんて知らない、白人も黒人も意識していなかった私にも何か凄いものが籠められている予感はしていた。

しかしながら、そんな回顧談の中にしかジャニスは存在していなかったのが正直なところだ。後にビッグ・ママ・ソーントンの「ボール・アンド・チェイン」を聴き、いやぁ、やっぱりコッチだよなぁと思った。実は、こういう単純比較は真実を見過ごしてしまう。オリジナル曲をジャニス風に解釈するその手腕までは思いが至らなかった。今回の特集でジャニスのバックバンドとの密やかな軋轢=孤立化や音楽を創造する姿勢を知るにつけ、髪を振り乱して歌う姿や、少女の笑顔を見せる彼女の固定化されたイメージとは違う角度を得る事ができた。一度きちんと向き合う価値のあるミュージシャンだ。

Move Over

https://www.youtube.com/watch?v=eihw2hu65S0

Summertime

https://www.youtube.com/watch?v=guKoNCQFAFk

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2016年8月の音楽メーター

8月の音楽メーター
聴いた音楽の枚数:8枚
聴いた時間:37分

G.G.G.G.
爽快なファンク・サウンド。コンポーザーとしての実績も豊かな為、曲の細かい部分まで徹底されている。91年に死亡。生きていれば90'sをどう駆け抜けて行ったろうか・・・。
聴いた日:08月18日 アーティスト:ギャリー・グレン
Vol. 1-Malaco Soul BrothersVol. 1-Malaco Soul Brothers
ドライブ感が印象的なチャック・ブルックス。声が特徴的で独特の味わいを持つジョー・ウィルソン。コンポーザーとして著名なジョージ・ソウレはSSW的。あくまで私見として、アレンジが今ひとつな曲も。
聴いた日:08月13日 アーティスト:Malaco Soul Brothers
Wish You Were Here Right NowWish You Were Here Right Now
ファッツ・ドミノ、ウィリー・ネルソン、ニール・ヤング、ソニー・ランドレスら強力な参加者がいるがボビー・チャールズの温かみのある音世界は確固たる存在感。
聴いた日:08月05日 アーティスト:Bobby Charles
Jimmie GordonJimmie Gordon
管が加わったジャズ的な展開が多い。個人的にはこの年代だったらブルースの音もジャズの音も好きだ。真っ直ぐな歌い口は実に気持ち好い。
聴いた日:08月04日 アーティスト:Jimmie Gordon
Goddess in the DoorwayGoddess in the Doorway
天下のミック・ジャガーが画策するんだから、センスある作品になるのもごもっとも。パーカッシヴな曲とか好みだ。まぁ、そりゃストーンズ内のミックの方が一も二もなく良いけどね。
聴いた日:08月04日 アーティスト:Prague Wind Qnt
PassionPassion
低音部はアレサ・フランクリン、高音部はパティ・ラベル。しかしながら彼女らしさは確かにある。逆に歌の印象を失い彼女の歌声に耳を傾けがちなのが欠点といえば欠点か。
聴いた日:08月02日 アーティスト:Regina Belle
Never Say NeverNever Say Never
後半のヒップホップ系から離れた曲は落ち着く。
聴いた日:08月01日 アーティスト:Brandy
THE SOUL OF SPRING 1THE SOUL OF SPRING 1
スプリングというレーベルは、派手さがなくブルース臭も強くないが、落ち着いた心地良さを持つ。大人のソウル、しかもメロウ路線とも微妙に違うピュアなソウル群だ。フィリップ・ミッチェル、ミリー・ジャクソン、ジョー・サイモンらは特に傑出している。
聴いた日:08月01日 アーティスト:V.A

わたしの音楽メーター
音楽メーター

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【創作】だれが一番?

Daregaichiban


※お世話になっております文章投稿サイト『週刊ドリームライブラリ』さんの三題話に募集しました。

お題は「なす」「ゆかた」「選挙」の三つ。更に今回は「怖い話」という縛りもありました。

毎回考えるのですが、中々完成に至らず。今回は編集長さんのアドバイスも頂きどうにか書き上げました。...

宜しければ読んでみて下さい。

http://www.w-dreamlibrary.com/corner64/pg888.html

国民的アイドルグループABC48の人気度を競う総選挙の時期がやってきた。今回の選挙で一位を取った娘は、新曲「浴衣でアモーレ!」のセンターを務めるという、毎年恒例の趣向である。
 
だが、今年は妙な「都市伝説」が流れていた。ライブやテレビ番組を観たファンから、メンバーが一人多いんじゃないかとの声が上がっているのだ。ネット上で広まった画像には、確かに49人映っている。しかし、問題のメンバーの顔まで確定出来ないのだ。正規のメンバーも、心当たりはないと言う。
 
結局、若干失速気味の人気を回復させる為の話題作りだろうと落ち着いた。総合プロデューサーの安元昭男が企てそうな事でもある。
ついに、総選挙当日。某テレビ局は人気司会者を登用し、完全独占生中継という気合いの入れようだ。新曲に合わせ、メンバーは色とりどりの浴衣姿で客席最前列に勢揃いし、自分の名前が呼ばれるのを待っていた。安元も同じ列に並んでいた。元々表情が豊かな人間ではないが、緊張しているのか、やけに無表情に見えた。
 
ステージ中央には演壇がセッティングされ、鮮やかな花々が背景に設えてあった。その背後に大型スクリーンがあり、喜びの表情を大写しにする。ニコニコ動画風のファンのコメントも画面に流れていく手筈だ。
 
司会者席は斜め後ろに下がった所。盛り上げるポイントになると、中央まで出てくる予定だ。客席の安元からはほぼ対角線の位置になる。発表は、21位から48位までを紹介する形でスタートした。ご丁寧に一人一人名前の書かれた封筒をアシスタントの女性が持って来て司会者がおもむろに開けて読み上げるパターンだ。司会者もアシスタントも浴衣姿という徹底ぶりだ。会場が徐々に盛り上がってきた中、48位まで終わり、いよいよベスト20となった時、アシスタントがもう一通持って来た。「早いよ~」と司会者がミスを笑いに変えようとした所、封筒の表が見えた。
 
49位。アシスタントの女性はにこやかな表情のまま。
 
司会者は安元を見た。相変わらず無表情で、少しも動かない。
 
おいおい、無視するのかよ。俺に断りもなく何か企んでやがるな、よし、乗ってやろうじゃないか。
 
司会者は、高々と封筒を掲げ、「おーっと皆さん驚きです!49位の封筒があります!どういう事でしょうかね~。新人さんのお披露目かな?」
 
司会者はニコニコしながら中を見たが、強ばり気味の顔付きでメンバーが並ぶ客席前列を右から左へと眺めた。
 
「えぇと、宮沢めろんちゃん・・・」
 
在籍しているメンバーだった。めろんちゃんは毎年最下位を争っている。ところが今年は最後まで名前を呼ばれず、嬉々として待っていたのに、まさかの49位。彼女は一度立ち上がったものの直ぐに失神した。
 
めろんちゃんが担架で搬送された後、会場の雰囲気は一挙に曇った。司会者は人騒がせな演出にムカムカしながらも、進行に集中した。だが、メンバー達は呆然としたままだ。残り20位を19人で争う・・・あるメンバーは人数を何度も数えていたが、やがて頭を抱えた。それでもプロ意識のある娘たちで、呼ばれる度に壇上に上がりコメントは試みた。しかし、途中でこけたり、笑顔がひきつったり意味不明の言動も出てきて散々である。大画面のコメントも不安を煽るようなものが徐々に増えていった。そしてある時から全くコメントは流れなくなった。
 
常に一位争いをしている篠原りのと田辺るるは、二人抱き合って青ざめている。
3位、田辺るる。
 
るるは一人で動けず、りのが付き添うような形で二人してステージに上がった。「次、私でしょ私でしょ」りのは一刻も早く終わらせたかった。「ちょうだいちょうだいちょうだい」るるを抱き締めながら、司会者に手を伸ばした。彼もさすがに怒りを抑える事が出来なくなった。2位の封筒の中を見て、名前も呼ばずりのに渡した。「落とし前つけてやる。休んでなさい」
 
彼は安元の前へ行き、「一体どういう事だ!説明してくれ!」と意気込んだ。だが、安元は反応なし。まるで、そう、まるで、魂が抜けているようにさえ見えた。
 
仁王立ちの司会者の元に、アシスタントが何事もなかったかのように封筒を持って来た。当然の如く「1位」と書かれている。憮然としてアシスタントを睨むが、この娘には関係ない事だと冷静さを取り戻し、司会者は舞台中央のテーブルで名前を読み上げた。
 
「那須・・・那須清美さん」司会者はその名を知らなかったが、メンバーは全員表情が固まった。彼は封筒をテーブルに叩きつけ、司会者の位置に戻った。
 
やがて、ふらふらしながら、安元が舞台に上がってきた。那須清美とは、あるメンバーが病気療養を理由に脱退話が出た時、ABCへの加入が約束された娘である。「なす美」という愛称まで決まっていた。結局メンバーは戻りご破算になった。清美は納得いかず、ABCでなくてもアイドルとしてデビューさせるよう安元に訴えた。だが、安元は逆に彼女を威嚇し、セクハラまがいの行動にまで出た。全メンバーにはシカトするよう命令し、従わなければメンバー交代どころか、まともに世間を歩けなくしてやると脅した。清美は失意の中、自ら命を絶った。この話は全く表に出ていない。
 
壇上の安元が口を開いた。呻き声のようなか細い声で、「これで・・・終わり」。途端に大型スクリーンに例の49人のネット画像が流れ始めた。しかし今回の映像は顔が分からなかった娘にズームアップしていく。やがて、満面に笑みを湛えたなす美の顔が大写しになると、メンバーから異常な叫び声が次々と上がった。安元はテーブルにうっ伏している。
 
なす美の顔を見て、司会者も声を上げた。思わず脇を見ると、少し離れた所にアシスタントの女性が神妙な顔をして立っていた。
 
「キミ・・・」もう一度画面を見たが間違いない。同じ人物だ。なす美は縋るような眼差しで厚みのある封筒を司会者に手渡した。わずかに触れた手がとても冷たかった。「これを、どうかお願いします」。彼女は二、三歩下がり深々とお辞儀をした。そのままの姿勢で輪郭がぼやけ始め、やがて靄のように消え去った。中央の画面も同時に暗くなった。
 
会場が騒然とする中、司会者だけが違う空間にいるようだった。最後のなす美の表情を思うと、恐怖や驚きよりも悲しみの感情が込み上げてきた。彼は、表に何も書かれてない封筒をしばし見詰め、一度深呼吸し、真実が綴られている便箋を中から取り出した。

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貴重な経験

●通勤経路にあるショッピングセンターが、震災の影響で解体中だ。作業の様子が道路側からも窺える。ビルの「断面」が見える中、あらわになった鉄骨や、山となったコンクリート片などを眺めていると、いくらか感傷的になる。

●まだ解体に至っていない、被害の激しい建物を見ると「感傷」どころか、胸の奥がざわつく。人間が意図的に崩す場合と、強大な力で無理やり壊される場合とでは、受ける印象が違うのは当たり前だ。

●以前の様子が思い出せないほど、きれいに更地になっている箇所も多く見かける。その場所に関わっていた人達には気が重くなる光景だろう。無関係な私でも気になる。どうか、終わりではなく始まりであってほしい。...

●震災は衝撃だった。食い込んだ爪痕は、いまだに多くの人を苦しめている。私は大きな被害を受けていないが、それでも生活設計を見直さなければならない。とても辛い体験ではある。しかし、貴重な体験でもある。

David Ruffin- Break My Heart

https://www.youtube.com/watch?v=YDyg5BzEyI4

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