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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.38

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[46枚目]●キンドレッド・ザ・ファミリー・ソウル『ラブ・ハズ・ノー・リセッション』<シャナキー>(11)

http://diskunion.net/black/ct/detail/58C110623702


愛は絆である。お互いが気持ちを繋ぎ体温を感じ合うものだろう。キンドレッドの音楽を聴いていると、そんなご託を並べたくなる。ファティン・ダンツラーとアジャ・グレイドンの二人は、夫婦の絆同様音楽活動の同志としての絆が強い。聴く側にも熱情が伝わる。猛烈な熱気というより人肌が醸す温もりだ。

キンドレッドの音楽は「ネオ・フィリー」と称される。確かにフィリー・ソウルならではの音使いやコーラス・ワークをたびたび聴き取れ、頬が緩む。ただ、余りフィリーに拘らず、素直に接した方がより楽しめる。何と言っても、良質な現代R&Bなのだ。

①「ザ・シェッディントン」は、アイザック・ヘイズ調。腰の座ったファンキー・チューンだ。ラストのボーナス・トラックの一つ手前にもVol.2が配置されているので、本アルバムのテーマ曲にも思える。「アボブ・ザ・ウォーター」も②⑧⑭と3箇所に当場。準テーマ曲のような様相だ。

③「ウィー・オール・ウィル・ノウ」は、ラヒーム・ディヴォーン参加。グロリア・スコット「アイ・ジャスト・クドゥント・テイク・ア・グッドバイ」をサンプリング。柔らかい仕上がりだ。

④「テイク・ア・ルック・アラウンド」は、ヒップホップ系のミュージシャンがフォロー。キング牧師のスピーチがサンプリングされている。ファティンの塩辛声は、細かくアクセントを付け区切ると、ラッパーみたいで、この手の曲に合う。

また、ヒップホップ度が強くなっても柔軟性を失わないのもキンドレッドならでは。二人の歌声も他を圧倒する方向には向かわず、自然体を貫いている。

⑤「ユー・ガット・ア・ラブ」は本盤のメインかも。スヌープ・ドッグが参加している。タメの効いたリズムが実に心地好い。ドラムだけ追いかけても面白い。アジャ~ファティン~スヌープと続くが、各々聴き惚れてしまう歌唱とラップだ。スヌープ・ドッグは、あまりラッパーを数多く知らない私が、昔から好きな一人だ。ここでもメロディアスな一節を聴かせる。

ラストには本曲のリミックスを収録。日本の祭りの掛け声みたいなのが入り、面白い。

端折るような紹介だが、⑥⑦⑨「SOS(センス・オブ・セキュリティ)」⑩「スティッキング・ウィズ・ユー」⑪といかにも“ネオ・フィリー”な世界が展開される。個人的に気に入ったのは、曲名を記載した⑨⑩。切なさと優美さ、自然な盛り上がりがフィリー理論に則っている。

⑫「ゴーイング・トゥー・ザ・ゴーゴー」は、大御所チャック・ブラウンを迎えてのゴーゴー・パーティー。ファティンの塩辛声はここでも活躍だ。

キンドレッド・ザ・ファミリー・ソウルは、ブラック・ミュージック・ファンなら必ず気に入るみたいな評価を読んだ事がある。あながち過大評価とも思えない。ファン心をくすぐるブラックネスが常に存在するのだ。

屈指の名盤や代表作はないかも知れない。しかし出すアルバムが全て同レベルの佳作である事は何とも驚異的ではないか。

Kindred The Family Soul feat Bilal & BJ-Take A Look Around

https://www.youtube.com/watch?v=cT9jMJHQn-0

you got love -Kindred the Family Soul featuring Snoop Dogg

https://www.youtube.com/watch?v=-n9zAeX16j8

SOS (Sense Of Security)

https://www.youtube.com/watch?v=BF0NLKQ56Po

Sticking With You

https://www.youtube.com/watch?v=F_UADjaMJFI

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