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片隅

Book244348

●雑誌『片隅01』<伽鹿舎>

http://kaji-ka.jp/

村上龍だったと思うが、何年か前に、これからの世の中は、小さなコミュニティーが沢山できるような社会になるといったニュアンスの事を述べられていた。

  私流に言わせてもらえれば、それは「群れ」みたいなものではなかろうか。同一の所属先や目標や趣味嗜好を持ったコミュニティーとは違い、何となく似たような者たちが集まっている印象だ。群れの大きな特徴は、互いの干渉度の低さだと思う。群れ以外の者はこの世に存在しないかの如く、自分の目の前に現れたら愚弄するが、同じ群れにいても全く仲間意識はない。

  本誌が「片隅」と名乗っているのは、社会が大きなひと塊ではなく、自分の居場所と他者の居場所のギャップが発生している現代社会の歪みをまず見つめよと言っているのではないか?もちろん、そんな事はどこにも記してないが、基本的な形がWeb文芸誌である事、取り上げる題材が、現代社会を投影したものから、SF調、ライトノベル調、伝統的日本文学調、詩など多彩である事は、居場所というのは本来自由なものであり、カテゴライズなんかされるなよという訴えのような気もする。自分の居場所と他人の居場所は、特徴は違っても同じ居場所であるという事だ。

  今の世の中で精神的にマズイ事のひとつは「他人の話を聞かないこと・他人を全否定すること」だ。自分の所属する群れ、片隅が全てだと思っている。いや、その段階でもないか。自分が全てだと思っているのか。

  文芸誌というと、文学趣味の人達の為の雑誌と思いがちであり、それは発行側にも若干問題がある。本誌のように、タイトルからして惹きつけて、内容的にも多彩であり、伝統も流行も見据えている雑誌は良心的だと思う。問題は、ここに集約されている言霊の力が遠い片隅まで届くかどうかだろう。

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