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2017年11月

転向

ボブ・ディランという人、フォークからロックへの「転向」、ユダヤ人でありながらキリスト教への「転向」と、その時代では批判の矢面に立ったものの、音楽的には、さまざまの愛する音楽要素の「どの部分に深く関わるか」で作品を生み出しライブ演奏をしているのではなかろうか。

ミュージシャンは誰でもそうなんだろうけど、彼の場合、要素への関わりのディープ度が強過ぎて、それまでのディラン・ミュージックの流れでは、しばし理解できないのかな。時代の先を行くとかじゃなく、極端に掘り下げ過ぎなのか。

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キャットフィッシュ・ブルース

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『BSR誌』138号の付録CDの6曲目「キャットフィッシュ・ブルース」について。マディ・ウォーターズの「ローリン・ストーン」としても有名なトラディショナル。ミシシッピ出身者のシカゴにおける定番曲と曲解説に書いてある。

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Jimmy Burns - Catfish blues 96

https://www.youtube.com/watch?v=mCdAiNddbqM

付録に入っていたのはこれ。力の入れ具合がちょうど良いヴォーカル。正統派シカゴ・モダン・ブルースだ。

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Robert Petway - Catfish Blues (1941)

https://www.youtube.com/watch?v=E9z7eCCRAtY

最初の録音はこの人だそう。煮汁のようなヴォーカルにギターのフレーズがよく絡む。

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Canned Heat  Catfish Blues 67

https://www.youtube.com/watch?v=eYLyvZfN5DE

冒頭は爪弾く感じのギターが、途中から乱れ弾き状態。やや性急なリフの中、延々と演奏は続く。因みにジミヘンが「キャットフィッシュ・ブルース」を改題した「ヴードゥー・チャイル」も彼のスタジオ録音の中で最長。キャンド・ヒートの翌年、68年の発表だ。サイケデリック・サウンドという言葉を使って良いか不明だが、ブルースのグルーヴを種とした幻惑的効果はある。ジミは、67年のストックホルムライブやBBCセッションで「キャットフィッシュ・ブルース」は披露している。「ヴードゥー・チャイル」は、それらを発展させた感じで、ジミヘンのギターテク披露曲の要素も強い。これをロバート・ペットウェイが聴いたらどう思ったろうか・・・。調べてみたら、1907年生まれで78年まで生きてる。67年当時60歳。妄想は広がる。

本誌に名前が挙げられていた、ゲイリー・クラークJr.版もジミヘン的で長い。だが、やや変化に乏しい。ライブで聴いたらしびれるかもね。

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ブルース好きの血が騒ぐ

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●V.A.『ドゥ・ザ・ブルース・45s』<シンク!/ディスクユニオン>(17)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/XAT-1245673681


※本文を書くに当たり、秋元伸哉さんのライナーを大いに参考にしています。

今年6月、ディスクユニオン・ソウル/ブルース館へ行った時の事。店員さんとひとりのお客さんが、ブルースのシングル盤を掛けながら、話をされていた。ラフで勢いのあるサウンドに、CD漁りの手も止まった。あの時の感触がこのアルバムにはある。同じ<ディスクユニオン>関連でもあるが、シングル盤という、状況によっては一発勝負のサウンドが、根本的に、ブルース・ファンの血を騒がせる要因ではなかろうか。また、荒削りなようで、バンドメンバーの技が存分に発揮されている為、どんどん深みにはまっていく。

許される範囲の大音量で聴くべし!

YouTubeにアップされているのが、本CDと同一ヴァージョンかどうか聴き比べていませんのでご了承下さい。動画で、レーベルと発表年が判るのは参考になるかと。

②Smokey Johnson - It Aint My Fault Pt 1 & Pt 2

ニューオーリンズらしさが生きる。リーダーはドラマー。ギターはジャズ的。

https://www.youtube.com/watch?v=SlBuc863hU0

③Wiley terry - Follow the leader Part 1 & 2

ジュニア・ウェルズを想起。

https://www.youtube.com/watch?v=W2r_0Bv78iY

⑤Flash Terry She's My Baby (1961)

問答無用のジャンプ曲。歌も迫力有り。

https://www.youtube.com/watch?v=ZB0Z1kMVhq8

⑥Eddie Hope and The Mannish Boys"A Fool No More" 1956 Marlin 804

これもドラマー名義。掛け声も雰囲気ある。

https://www.youtube.com/watch?v=lSv1y3gYbeY

⑧Freddy Young Someday Baby (FRIENDLY FIVE 740) (1964)

優しいタッチだが、絶妙なフレージングを聴かせるエディ・テイラー。

https://www.youtube.com/watch?v=JyiLmwSlNpw

⑨James Walton And His Blues Kings - Leavin' blues

鋭いギターが印象的。

https://www.youtube.com/watch?v=dOhcmbzT-HE

⑩Baby Boy Warren - Chuck-A-Luck - Excello

サニーボーイⅡのハープを存分に。

https://www.youtube.com/watch?v=nc5SnX306Fo

⑪Mighty Joe Young / Voo Doo Dust

シカゴ系との事で、モダンさが際立つ。

https://www.youtube.com/watch?v=ijy4UzQcGig

⑫Monte Easter - Weekend Blues

落ち着いたジャズというスタートだが、ジミー・ノーランが割って入り、ちょっとTボーンぽくなる。

https://www.youtube.com/watch?v=wRojpaiWICg

⑬Johnny Jenkins- Pinetop

このバンドがそっくりそのまま、某有名ソウル曲を演奏しているそう。タイム感が最高。

https://www.youtube.com/watch?v=YSOC9ZFdVNo

⑭Ace Holder Encourage Me Baby

ハーピストだが、ギターを目立たせ、ここぞという所でじわっと吹く。

https://www.youtube.com/watch?v=aSI3pO29vqo

⑮Stormy Herman & His Midnight Ramblers Bad Luck

「フーチー・クーチー・マン」を借用。ベースをブイブイ効かせている。

https://www.youtube.com/watch?v=9ZRZT4awx28

⑯Champion Jack Dupree - Sharp Harp

ご存知ピアニストだが、ここはジョージ・スミスのハープが主体。もちろん後ろで音粒を転がしてはいる。

https://www.youtube.com/watch?v=aCDdPFg8Vu8

⑰Papa Lightfoot: Wild Fire

人気のあるパパ・ライトフットの軽快な一曲。腕達者揃いだね。

https://www.youtube.com/watch?v=wshRqksU2NQ

⑱Tender Slim - I'm Checkin Up

ジミー・スプルーイル登場。独特の揺らし攻撃。ハープも味。

https://www.youtube.com/watch?v=Ei7HAeYoSfc

⑲Jimmy Lee Chicago Jump

つんのめり気味な感じもするが、楽しそうに弾くジミー・リー・ロビンソン。サックスも良い。

https://www.youtube.com/watch?v=8pjXcSc2OPw

⑳model t slim shake your boogie

厚みのあるサウンドが心地好い。

https://www.youtube.com/watch?v=mZQOVvJiVtw

以下は音が見つからなかったもの。

①ジョージ・スミス「トラップ・ミート」

ゆったりとしたハープに、ジミー・ノーラン+マーシャル・フックスのギターがギャンギャン絡む。

④フェントン・ロビンソン「フリーズ」

まさかのアルバート・コリンズ・カバー。キンキン弾いてます。でも、キンキンの奥に感じる透明感は、後の正調フェントン節を予感。


⑦リーヴァイ・シーバリー「ブギー・ビート」

なんと、若き日のB.B.キングが参加(でも、よくわかりません)。主役はハープで、これが唯一のレコードとか。

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フーチー・クーチー・マン

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『BSR』誌138号「ブルース・ロック特集」の付録CDが面白い。特集に沿ったロック曲を編纂せず、黒人ブルースミュージシャンによる<デルマーク>音源からのピックアップ。いわゆる「モダン・ブルース」だ。マディ、ウルフ、エルモア、サニーボーイと言った戦後大御所ブルースを引き継いだ新世代のブルースである。「モダン」の時期の捉え方が人によって違うだろうが、概ね、年代的には「ブルース・ロック」の方が「モダン・ブルース」より早い。また、ブルース・ロック・シーンは「ブルース」を取り入れようとする姿勢が熱く、モダン・ブルースの方がある意味クールである。だが、モダン・ブルースには、過去の遺産との切れ目のない繋がりを感じる。ブルース・ロックは、異質な素材から新たなフィーリングを生み出したのではなかろうか。だが、音楽をカテゴライズすると大事な事に気づかなくなる恐れもある。黒人・白人、イギリス・アメリカいずれにも素晴らしいミュージシャンは存在するのは確かだ。ここは素直に耳を傾けよう。

今回は、「フーチー・クーチー・マン」。オリジナルは言うまでもなくマディ・ウォーターズ、54年の作品だ。付録CDにはマジック・サムの67年版が収録されている。

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Magic Sam, Hoochie Coochie man 67年

https://www.youtube.com/watch?v=FRwFy7n6C0E

スタートからマジック・サムの世界に入り込む。重厚なオリジナルとは一線を画し、彼特有のテンションが維持されている。聴いていて楽しい気分になる。もちろん、ブルースネスもたっぷり。

それではオリジナルを改めて。

Muddy Waters - Hoochie Coochie Man ( Chess 1954)

https://www.youtube.com/watch?v=AFxrLOVwsEE

なんとも完璧。ストップ・タイムが醸す音の隙間に深遠な暗闇を感じる。サウンド・プロダクションの問題か、演者のフィーリングの問題か、とにかく黒い。ブルースはかくあるべきと語っている。リトル・ウォルターも凄いなぁ。ブルース・ハープ界のチャーリー・パーカーではなかろうか。誰も到達し得ないような表現力だ。いや、「表現力」という表現も何かが足りていない。

さて、ロック勢だが、本誌の曲解説に上げられたミュージシャンをさまざま聴いてみた。62年のアレクシス・コーナーは、ジャズっぽさも感じる。私は、スキッフルというのがよく解らないが、こんな感覚があるのだろうか。ブルース基準で考えると、ヴォーカルとギターが弱いのではと思う。65年のグラハム・ボンドは野卑だがポップ感覚もあり、いわゆるビート・グループらしさが出ている。他、ハードロック系の"音圧"は昔から苦手なものがあるのであまりピンと来ない。音全体の圧力より、マディ単独の迫力の方を好む。

そんな中、エリック・クラプトンの94年作『イン・ザ・クレイドル』でのカバーは流石である。忠実に音世界を再現している。マディの歌唱には及ばないが、歌い口の細かい部分まで雰囲気を出している。これで十分なのだろうが、個人的には違和感がある。前述したような「暗闇」を感じない。近すぎるがゆえに違いが露呈している、そんな印象だ。

今回、聴いた中で最も気に入ったのは、元ジェスロ・タルのミック・エイブラハムス(初めて知った)。13年のアルバムからだ。とにかく素直にブルースに向かっている。ギター・プレイを大仰に感じる人もいるかも知れないが、私はギリギリセーフだ。感情の迸りとして受け止められる。まず、フィーリングありき。マディもマジック・サムも、リトル・ウォルターもそこを外していない。音楽全体に言える事だろうが、特にブルースを自らのサウンドに取り込もうとするなら、鉄則ではなかろうか。

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Mick Abrahams..Hoochie Coochie Man 2013年

https://www.youtube.com/watch?v=whcA1CQlAGs

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