音をさすらう心の旅
蔦屋書店三年坂店で行われた『さすらいのレコード・コレクター』上映会へ行ってきた。
アメリカ人レコード・コレクター、ジョー・バザードの歩みを辿る52分の短編映画。一般映画館の公開があらかた終わった今も、ポツポツと上映会が各地で行われているようだ。
彼が愛する音楽は、かなり旧い。ロバート・ジョンソンを最後のブルース歌手と断言したり、「この辺が最後のジャズだ」と言うのが35年録音盤だったり、頑固にも程があると言いたくなる超頑固収集家だ。ロックに至っては、良き音楽を殲滅した諸悪の根源とされている。まぁしかし、これぐらい頑固だと逆に爽快だ。
自らの足で収集した宝物をターンテーブルに乗せ、鳴り出す音楽に全身を震わせるかのように乗り、少年のような輝く笑顔を見せる。音楽に興味のない人が見たら、異常な光景に映るんじゃないかと思える狂喜ぶりだ。
彼の行動や見解に導かれながら、流れる音楽に耳を傾けていると、この時代の「音」の力強さを今更ながら認識した。うるさい音ではなく、強靱という表現が似合う無駄な力の抜けた強い音なのだ。それこそがディープなサウンドなのではなかろうか。
レコードを追い求めるさすらいの旅は、はるか昔の音をさすらう心の旅でもある。この上なくロマンに満ちた旅だ。
19時からは福岡を拠点に活動されているハリケーン湯川さんのライブを堪能した。ジミー・ロジャースやエディー・テイラーを思わせる、いなたくもまろやかなギター・サウンドだった。その為、ジョン・リー・フッカー調のブギーも、雑然とした感じにはならず、一音一音に力がこもっているので、抜群の乗りが出来上がっている。これもまた真に力強い音なのだ。
エレキの弾き語り形式で、ヴォーカルもエモーショナルではあったのだが、前座で出られたご夫婦ユニットとセッションとなり、バックに回った時のギターが実にカッコイイ。曲の流れへの乗り方、繰り出すフレーズのフィット感、ブルース・ギターらしいブルース・ギターだった。
こういう時の過ごし方をすると、つくづく夢中になれる音楽を持てた幸せを感じる。
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