2019年4月
聖なるものと俗なるもの
「聖なるもの」と「俗なるもの」は必ずしも対立項ではないと思う。
戦前ブルースマンがギター・エヴァンジェリストを兼ねている事はままある。また、ゴスペル一筋のブラインド・ウィリー・ジョンソンのブルース・フィーリングは、この上なくディープだ。
マヘリア・ジャクソンがもしギターを弾いていたら、結構シスター・ロゼッタ・サープみたいになるんじゃないかと思うのは若干妄想気味かも知れないが・・・。
レイ・チャールズやサム・クックがゴスペル感覚を生かしてソウルへの道を切り開いた事に何の違和感も感じない。
そして、マーヴィン・ゲイ。特に『レッツ・ゲット・イット・オン』以降、彼が創り出すセックス・ソングにホーリネスをも感じるのは、ごく自然だと思う。
神自体は人間を超えた存在だろうが、神を崇拝しているのは人間である。信仰も、苦しんだり喜んだり怒ったりする人間的行為のひとつなのである。
感情表現の塊である黒人音楽の世界に接する事で教わった。
ステイプル・シンガーズ
「メッセージの発信」というお題目がある以上、ゴスペルはハードさ、ディープさが持ち味である。ステイプルズも例外ではない。ただ、独特の緩さ・温かみが前段にある。無意識に身体が揺れる心地よいサウンド。しかし、軽くはない。確実に奥深いものが伝わる。
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