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2020年7月

スタックス・レコード・ガイド・ブック

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スペース・シャワー・ブックス、初版2018年。『ブルース&ソウル・レコーズ』編。執筆陣は新井崇嗣、出田圭、岩間慎一、小出斉、鈴木啓志、林剛、日向一輝、平野孝則、濱田廣也の各氏。

 

メンフィス・ソウルの代名詞とも言える<スタックス>でリリースされた、ほぼ全てのアルバムを紹介している。<スタックス>を知る為の10のキーワードを冒頭に、レーベル・カラーで「ブルー期」「イエロー期」と分けてのアルバム紹介。再建された後にも言及。重要ミュージシャンはまとめて紹介し、編集盤や関連人物にも丹念に目を向けている。<スタックス>に関する一級の事典で、読み物としても面白い。

 

 

 

 

 

 

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『BSR』誌エルモア・ジェイムズ特集号

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●エルモア・ジェイムズ特集は、ディスコグラフィーに沿ったレーベル遍歴を軸に、不世出の音楽人生に迫る。また、ワダマコトさんによるサウンド解説も興味深かった。ラジオの修理を生業としたエルモアの発想と技術を生かされどのようにギターが改造されたのか。爆音の秘密が明かされる。

 

●アナーバー・ブルース・フェスティバルの秘蔵音源が発表されたのに合わせ、運営者が語るフェスへのインタビュー記事も面白かった。フェスの実情や、ブルースマンの素顔から内容の濃いイベントだった事がうかがえる。

 

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●「語りたい逸品」の秋元伸哉さんご紹介のキャデラック・ベイビーの作品集、ますます欲しくなる。

 

●中河伸俊さんによる「Food For Real Life」。デイブ・バーソロミューの「モンキー」の邦訳。こんなに解りやすく奥の深い歌詞だったのか。

 

●付録CDは、エルモアの69年発編集盤『ザ・レザレクション・オブ・エルモア・ジェイムズ』。

 

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Hawaiian Boogie (Version 1)

 

Quarter Past Nine

 

Sho' Nuff I Do (Alternate Take)

 

Early in the Morning

 

One More Drink (Take 1)

 

Strange Kinda Feeling (Take 5)

 

Make My Dreams Come True (Take 2)

 

LATE HOURS AT MIDNIGHT

 

Elmo's Shuffle (Take 5)

 

Can't Stop Lovin'

 

MAKE A LITTLE LOVE

 

Hawaiian Boogie (Version 2)

 

 

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.60

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[69枚目]●V.A.『エイント・ザット・グッド・ニュース』<スペシャルティ/Pヴァィン>(69/93)

 

※本文を書くに当たり、鈴木啓志さんのライナーを大いに参考にしています。

 

1. MY ROCK - Swan Silvertons

2. JESUS IS A FRIEND - Swan Silvertons

3. HE WON'T DENY ME - Swan Silvertons

4. BY AND BY - R.H.Harris & The Soul Stirrers

5. TOUCH THE HEM OF HIS GARMENT - Sam Cooke & The Soul Stirrers

6. MARCHING UP TO ZION - Original Five Blind Boys Of Alabama

7. THERE IS A FOUNTAIN - Original Five Blind Boys Of Alabama

8. I'VE GOT A NEW HOME - Pilgrim Travelers

9. STAY WITH ME JESUS - Chosen Gospel Singers

10. NO HIDING PLACE - Original Gospel Harmonettes

11. I WOULDN'T MIND DYING - Original Gospel Harmonettes

12. AIN'T THAT GOOD NEWS - Meditation Singers

13. TOO CLOSE TO HEAVEN - Alex Bradford

14. THANK YOU LORD FOR ONE MORE DAY - Brother Joe May

15. WHOSOEVER WILL - Bessie Griffin

16. THE BALL GAME - Sister Wynona Carr

 

ゴスペルのレーベル(だけではないが)として著名な<スペシャルティ>のコンピ盤。プロデュースはアート・ループ。<Pヴァイン>からリリースするに当たり、鈴木啓志さんセレクトの4曲が追加されている。曲順もオリジナルとは違い、男性グループ→女性グループ→男性ソロ→女性ソロと並べられている。

 

①~③はスワン・シルヴァートーンズ。元炭鉱夫のクロード・ジーターが、38年にウェストヴァージニアにて結成。46年<キング>レコードと契約。<スペシャルティ>には51年~55年の間在籍。その後は<ヴィージェイ>や<ピーコック>に録音を残している。ジーター以外のメンバーは、オリジナルはエディー・ボローアス、ジョン・マイルズ、リロイ・ワトキンス。アフター・メンバーは<スペシャルティ>期外も含むだろうが、ポール・オーウェンス、ヘンリー・ブラッサード、ソロモン・ウーマック、ロバート・クレンショウ、デューイ・ヤング、パーセル・パーキンス等がいる。大黒柱のジーターは、本盤では③で主役を張る。①は解説に、ロバート・オーウェンスと書いてあるが、ポール・オーウェンスではなかろうか。この曲のベースの弾み具合も気持ち良い。②はデューイ・ヤング。女性コーラスも入れてる?②も③も途中から終始吠えまくる展開。バリトンはジョン・マイルズがオリジナル・メンバーとして表記されていたが、ここでもそうだろうか。どうも詳しくなくて申し訳ない。

 

④⑤はソウル・スターラーズ。④がR.H.ハリス期で、⑤がサム・クック期。④は鈴木さんのセレクトなので両者の違いを意識されたのだろうか。シングル盤のリリースで考えると、50年~58年に10枚のシングルが発表されている。間が空いて72年にJ.J.ファーレイ期のアルバムとサム・クック期のリイシュー・アルバムを出している模様。そこまでいくと本盤とは関係ないが・・・。R.H.ハリスは、ジュビリー・スタイルを改革し、カルテット・スタイルの基本を作った人。アフリカ由来のファルセットの起用、「スイング・リード」と呼ばれる2人のシンガーがリードするスタイルの確立など、ゴスペルの基軸をよりエモーショナルな方向に向けた。それでも、R.H.ハリスのスターラーズは静かなる高まりと呼びたくなる落ち着きと深みを感じる。リード・チェンジの際もスリリングというより技を感じる。これがサム・クックの登場となると、テンダー・タッチとハード・タッチがブレンドされ、興奮度は増す。更に言うならば、ソウル時代のサム・クックは、ハードさを孕んだテンダー・スタイルとでも呼べば良いだろうか。ゴスペルの伝統がソウル・ミュージックに生きているという証明を成した。テキスト的には周知の事実だが、音に触れると改めて確認できる。

 

ソウル・スターラーズもそうだが、⑥⑦のファイヴ・ブラインド・ボーイズ・アラバマも息の長いグループ。大看板のクラレンス・ファウンテインは惜しくも2年前に亡くなった。53~57年に9枚のシングルを発表している。クラレンス以外のメンバーは、ハードな歌唱のサミー・K・ルイス、ジョニー・フィールズ、オリス・トーマス、ジョージ・スコットなど。⑥は、リードの取り合いという訳ではないが、目まぐるしいほどに入れ替わり、フォローに回った側も強烈なので驚異的な迫力を生んでいる。⑦は一転して緩やかなペースだが、声の力感は凄い。

 

⑧ピルグリム・トラヴェラーズは、ダイナミックな感動というより、じわじわと来るタイプ。ゴスペルのプロトタイプと言えるかも。彼らも現在まで活動が続いている。ジョー・ジョンソンやウィリー・デイヴィスが中心となって立ち上げ。本曲でリードを取るカイロ・ターナーや、後にサム・クックと<サー>レコードを設立するJ.W.アレグサンダー、キース・バーバー、ラファエル・テイラー、後にはルー・ロウルズも参加。48年~56年にわたり、19枚のシングルを発表している。

 

⑨チョーズン・ゴスペル・シンガーズ。グループ名も凄いが実力も凄い。特にこの曲で感じるのは、全員がいちどきに攻めてくるような分厚い迫力を感じるところ。ウォール・オブ・サウンドならぬウォール・オブ・ヴォイスか。53年~55年の間にシングル4枚。84年には<ヴィヴィッド>編纂のアルバム、92年にはCDもリリースされている。ヒューストンで50年に結成。メンバーは、J.B.ランドール、アーロン・ワイアット、ウィリー・ローズ、やがてランドールのみ残り、その後はE.J.ブラムフィールド、ジョージ・バトラー、フレッド・シムズ、バリトンのオスカー・クック。ルー・ロウルズの他、ごく一時的にテッド・テイラーも参加していたとの事。

 

⑩⑪オリジナル・ゴスペル・ハーモネッツ。51年~57年の間にシングル9枚。59年にアルバム1枚出ている。ドロシー・ラヴ・コーツのワイルドな歌唱がグループをリードする。これでもかこれでもかというシャウトは痛快至極。グループは40年にバーミングハムで結成。ピアニストとして評価の高いイヴリン・スタークスや、メゾソプラノのミルドレッド・マディソン・ミラーの他、オデッサ・エドワーズ、ヴェラ・コナー・コルブなど。ドロシーが参加したのは50年初頭のようで、グループは彼女が参加した事で躍進した。ドロシーはステージ上で我を忘れて歌いまくる場面がよくあり、しばしば他のメンバーが彼女をステージに引き戻したという逸話も。ジェイムズ・ブラウンがその様子をステージ・パフォーマンスに取り入れたなんて話もウィキペディアには書いてあった。

 

⑫メディテイション・シンガーズ。ローラ・リーが在籍していた事で有名。ローラの母親、アーネスティン・ランドレス、デラ・リーズ(彼女の後釜がローラ)、マリー・ウォーターズ、ヴァーリン・ロジャース、ドナ・ハモンド、パトリシア・ライルズ、ヴィクトリア・ビーズリー(ピアノ)など。ジェイムズ・クリーブランド師の名前も。92年にリイシューCD。ドロシーに負けないワイルドさを感じるがこちらの方が抑制が効いてるかな。曲調もあるだろうがコーラスもやや抑えめ。

 

⑬アレックス・ブラッドフォード。重厚な歌声だが、どこかクラブ・シンガーのような艶っぽさも感じる。53年~58年にシングル11枚。59年と71年にLP、92年と93年にCD。アラバマ州ベッセマー生まれのアレックスは、4歳が初ステージ!13歳で児童ゴスペル・グループに在籍している。学生時代の段階で「教授」の称号を得る。その影響は、ゴスペル関係者のみに止まらず、リトル・リチャードやレイ・チャールズ、さらにはボブ・マーリーにまで及ぶとウィキペディアには書いてある。

 

⑭ブラザー・ジョー・メイ。50~56年の間にシングル8枚。「中西部のサンダーボルト」と呼ばれる。ブラッドフォードに比べたら声の座りはないが、その分突き抜けるような感覚はある。熱唱型の女性シンガーを想起する局面も。<スペシャルティ>は彼に世俗的録音を提案したが、断固として拒否したと言う。ウィリー・メイ・フォード・スミスの影響を受け、トーマス・A・ドーシーとも関わり、結局J.W.アレグサンダーのスカウトで<スペシャルティ>入り。

 

⑮ベッシー・グリフィン。ニューオーリンズ生まれ。母親が早くに亡くなり、信仰深い祖母に育てられ、歌う事を勧められたという。マヘリア・ジャクソンの弟子のような感じで帯同。53年にはキャラバンズに加入するも翌年には脱退。58年にロスアンゼルスに移動し<スペシャルティ>と契約した。2枚のシングルがリストにあるが発表年が不明とされている。

 

⑯シスター・ワイノナ・カー。⑬~⑯も鈴木さんによる追加曲。リズム&ブルースの世界での活躍の方が著名なワイノナ・カーと、正統派のベッシー・グリフィンを対比する事で、ゴスペルの幅広さを提示する意図でしょうか。ベッシーの曲も大衆的な部分も感じるけど。ワイノナは、発表年不明もあるが、53年以降にシングル5曲。92年にはCDあり。オハイオ州クリーヴランド出身で、カー・シンガーズとして活動していた。45年にクリーヴランド/デトロイトをツアー中、ピルグリム・トラヴェラーズに見初められ、<スペシャルティ>との契約に至る。世俗音楽への移行は、本人がアート・ループに直談判した結果だという。「シスター」を冠したのは、シスター・ロゼッタ・サープに影響されたとか。リズム&ブルースとゴスペルを両立させた先達に倣ったのだろう。本曲も人生を野球に例えたポピュラー性と合わせ、真摯ながらキュートな歌声が愉しく印象に残る。

 

① Swan Silvertones-My Rock

 

② Swan Silvertones - Jesus Is A Friend

 

③ Swan Silvertones - He Won't Deny Me

 

④ R. H. Harris & the Soul Stirrers - By and By

 

⑤ Sam Cooke & The Soul Stirrers - Touch The Hem Of His Garment

 

⑥ The Original Five Blind Boys Of Alabama - Marching Up To Zion(Take4という事で本盤と同ヴァージョンかは不明)

 

⑧ Pilgrim Travelers - I've Got A New Home

 

⑨ Chosen Gospel Singers - Stay With Me Jesus

 

⑩ No Hiding Place Dorothy Love Coates & the Original Gospel Harmonettes

 

⑪ I Wouldn't Mind Dying Dorothy Love Coates & the Original Gospel Harmonettes

 

⑬ Too Close to Heaven - Prof. Alex Bradford

 

⑮ Bessie Griffin - Whosoever Will

 

⑯ Sister Wynona Carr - The Ball Game

 

 

 

 

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ソウル・ジャンクション

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●ロン・ヘンダーソン・アンド・チョイス・オブ・カラー『ソウル・ジャンクション』<チェルシー/Pヴァイン>(76/20)

 

※本文を書くに当たり、JAMさんのライナーを大いに参考にしています。

 

本盤の発行経緯については投稿済みだが、再度概略を。本作は、ロスアンゼルスの<チェルシー>レコード発なのだが、経営破綻と同時期のリリースだった為、市場にはプロモ・コピーぐらいしか残っていない状況。幻の名盤のひとつと呼ばれる所以だ。しかし、80年代(正確な発表年が不明なのも何とも)に入り、海賊盤として<チョイス・カット>から出たロン名義のシングル「ジェミニ・レディ」(これは83年)を加えてリリース。これもまたレア盤化。更には05年、英<ソウル・ジャンクション>から『ジェミニ・レディ』なるCDがより求めやすい状況で出ている(調べたらAmazonにもあった)。今回のPヴァイン盤は、オリジナルに「ジェミニ・レディ」とそのフリップ(つまりチョイス・カットと同じ内容)を加え、更に74年のロン名義のシングルが加えてある。

 

ロン・ヘンダーソン以外のヴォーカリストは、リース・パーマーとウィリアム・ブリトン。両名ともソロ作品はない様子。因みに、キーボードのデューク・ホールにシングル1枚(チョイス・カット)。デュークはオリジナル盤の共同プロデュースとアレンジも担当している。

 

さて、内容。拙い連想ではあるが、2つの「ジャンクション」を感じた。ひとつはロン・ヘンダーソンの歌唱力。基本はテナーなのだが、ファルセットも素晴らしい。そればかりでなく、リキを入れた時にはダミ声シャウトまで繰り出す。まさに歌声ジャンクション。もう一点は、ジャンルのジャンクション化。基本的にめくるめくスウィート・ソウルなのだが、ノースキャロライナのシャーロットを拠点にしていた事で、ニューオーリンズとのパイプもあり、アラン・トゥーサン作品を2作取り上げている。また、ファンク、ロックの感覚も匂う。因みにグループ名の「チョイス・オブ・カラー」は、インプレッションズの曲名から取られており、インプレッションズ的な声の重なり(基本ではあるが)も関連付けられるかも知れない。

 

とにかく①の高揚感は図抜けている。この1曲を聴く為だけに買っても後悔しないはず。というか、買いたくなるでしょ。①よりややテンポを落とした②、サザン・ソウルのような出だしの③(歌ウィリアム・ブリトン)、いずれも素晴らしい。④(歌リース・パーマー)と、⑥がアラン・トゥーサン作。ニューオーリンズの薫りプンプンだが、アルバムの統一感は全く崩れない。⑤はロック・バラード寄りかな。ロニー・グリーンなる人物の作品⑦はちょっとサイケ調のソフト・ロックというか、ブレッドにドアーズが混ざった感じ。⑧は安心の一曲。ベタかも知れないが、このベタさが堪らない。⑨シンコペーションの効いたファンク曲。オリジナル盤はここまで。⑩も素晴らしいが、フリップ・サイドの⑪(音取れず)も泣ける。このシングル高いだろうなぁ。もうひとつ音が取れずに残念だった⑫「バッド・サイン」は、スワンプ・ポップみたい。ニューオーリンズにかなり寄ってる。⑬は⑫のインスト版なので、よりスワンプ感が強い。リトル・フィートみたいだ。

 

内容に関係ない話をひとつ。私は福井県敦賀市で仕事をしていた時期があった。既に黒人音楽漁りはやっていた。わりと大阪が近かったので、何度か訪れたりした。たぶん、音楽雑誌だったと思うが、福井市にあるフラミンゴ・レコードが、好みの物が揃いそうだという情報を得た。福井県は東西に長い。敦賀市から福井市までそこそこ掛かる。結婚間もなく、まだ子供が幼児で、周辺に身寄りのないヨメさんは子育てでストレスが溜まる状態。ひとりでレコ屋巡りともいかないので、旅行のついでに寄ってみた。品揃えは予想以上。当時ガイドブックに載っていた「幻の名盤」クラスもボチボチ有った。むやみに買えない中、レニアー&カンパニーと、本盤(もちろんブートレグ)を手に入れたのは今でも憶えている。この2枚は良質なソウル盤で、あまりモダン・ソウル系を持ってなかった私の愛聴盤となった。今回聴いてみて、やはり既聴感は少なからずあった。フラミンゴさんはその後何度か立ち寄った。スポンジ様の、CDのディスク用下敷きを必ず付けてくれていた。今回調べたがHPなどは停止中。しかし、Facebookには昨年付けで訪れた人のコメントがあり、グーグルマップで調べたら「営業中」にはなっていた。個人的に懐かしい一枚、よくぞPヴァインさん、復活してくださいました。

 

① I'll Be Around

 

② Love Is Gone

 

③ What About Love

 

④ The Real Thing

 

⑤ All Men Can't Be Wrong

 

⑥ Freedom For The Stallion

 

⑦ mary green

 

⑧ Don't Take Her For Granted

 

⑨ Out Law

 

⑩ Gemini Lady

 

 

 

 

 

 

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ジョン・リー・フッカーの<インパルス>盤

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●ジョン・リー・フッカー『イット・サーヴ・ユー・ライト・トゥ・サファー』<インパルス/オールデイズ>(65/20)

 

※本文を書くに当たり、永田鹿悟さんのライナーを大いに参考にしています。

 

ジャズ作品で有名な<インパルス>から唯一リリースされた作品。既に<キング><チェス><ヴィージェイ>などで数々の傑作を物してきたジョン・リーだけに、例えジャズ・レーベルとはいえ、確立された音世界が揺らぐような心配はない。プロデューサーのボブ・シールを始め、ベースのミルト・ヒントン、ドラムのパナマ・フランシス(ジャンプ・ブルースファンにはお馴染み)、トロンボーンのディッキー・ウェルズ、リズム・ギターのバリー・ガルブレイスらがブルース感覚に溢れたサポートに徹している。特に、ギターは要所要所で無駄のないフレーズを紡いで味がある。いわゆるブギ系の曲より、どろんとしたブルースの煮汁のような曲が多いが、それはそれでジョン・リーの実力を存分に発揮した一枚といえる。ジョン・リー・フッカーに外れなし!

 

①心躍るベースワークとブギウギ・シャッフルを背景に、ドスの効いた歌声が響く。乗れずにおれない定番のサウンドだ。②はカントリー・ブルース・タッチで、ジョン・リーもモノローグ的だがずぶずぶと引き込まれる。レイジーな感覚の③から、④で若干テンポ・アップ。ギター・リフが醸すグルーヴの中、コクが深く円やかなジョン・リーの歌声が映える。時に強烈なシャウト!⑤も定番的イントロからいつもの世界へ。⑥の「デコレーション・デイ」とは戦死者の墓を花で飾る日の事だそう。それを知って聴くと一層しめやかな気分になる。本曲は、最愛の女性を偲ぶ内容。ここのガルブレイスのギターも良い味。⑦バレット・ストロングの「マネー」も、ジョン・リー流ブギへと様変わり。⑧歌というより語りの世界。ディープなムードが溢れている。地を這うようなギターがまた何とも。⑩⑪のボーナス・トラックは64年英<プラネット>から出された曲。バックを務めるのは、ブルース・ロックバンドのグラウンドホッグス。ツボを押さえたギター・プレイを聴かせるトニー・"T.S."・マクフィーがリーダーで、アメリカのブルースマンの欧州ツアー時のバックも多数経験している。この2曲は本盤と雰囲気が違い、粋なバンド・ブルースの世界が展開されている。

 

① Shake It Baby

 

② Country Boy

 

③ Bottle Up & Go

 

④ You're Wrong

 

⑤ Sugar Mama

 

⑥ Decoration Day

 

⑦ Money

 

⑧ It Serves You Right To Suffer

 

⑨ Mai Lee

 

⑩ Don't Be Messing Around With My Bread

 

 

 

 

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ミシシッピ=アメリカを生んだ大河

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●ジェームス・М・バーダマン著、井出野啓貴訳『ミシシッピ=アメリカを生んだ大河』<講談社選書メチエ>(05)


 


アメリカ全土の地図を眺めると、ほぼ真ん中を縦に走る亀裂のように存在するのがミシシッピ川だ。

著者曰く、アメリカ東海岸と西海岸は話題に上る事が多いが、ミシシッピ川周辺で起こった事柄もアメリカ史を語る上で重要である。むしろ「アメリカの心臓部」と呼ぶべき地域であると。

流域面積でいけば、アマゾン川、コンゴ川に次ぐ世界第三位のミシシッピ川は、曲がりくねりの厳しい部分があったり、川底の深さもまちまちだったりする難敵である。探検の時代から、水上交通に必要な船の研究、橋の建設などの開発史から話は始まる。

次に、ジャズの発祥地ニューオーリンズや、ブルースの重要地域であるデルタ地帯を詳説。

南北戦争や、奴隷解放の歴史を交えて、マーク・トゥエインやフイッツジェラルドといったアメリカ文学の柱となる作家たちの話。他にも興味深いアメリカの歴史が語られている。

私は黒人音楽が好きなので、ニューオーリンズやミシシッピ・デルタ、更にはメンフィスやシカゴの音楽史におけるポジションは興味はあり、ある程度ミシシッピ川の存在意義とともに理解はしている。本書によって、更にその興味の範囲は広げられた感じだ。


 


 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.59

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[68枚目]●メアリー・J・ブライジ『グロウイング・ペインズ』<メイトリアーク/ゲフィン>(07)

 

※本文を書くに当たり、川口真紀さんのライナーを大いに参考にしています。

 

リミックス・アルバムを除き、ライブ盤を加えて数えると9枚目の作品となる。メアリーのインタビューを織り交ぜたライナーノーツには、本盤リリースの背景が述べられている。05年の前作『ザ・ブレイクスルー』やシングル「ビー・ウィザウト・ユー」が輝かしい記録を立て、グラミー賞はじめ各賞を受賞、それまでも十分活躍していたメアリーだが、正に"ブレイクスルー(躍進、現状突破)"な成果を収めた。その次作として"グロウイング・ペインズ(成長に伴う痛み)"とする所が、いかにもストイックな彼女らしい。音楽に対して頑固なまで真面目に取り組むのがメアリーらしさだと思う。真面目やらストイックやらといった言葉を使うと内省的に閉じこもるイメージに繋がりがちだが、基本的にオープンなのが彼女。楽しくリスナーに元気を与える姿勢が、パフォーマンスを含めメアリーには存在する。

 

オールド・ソウル・ファンの間では何と言っても『シェア・マイ・ワールド』とライブ盤『トゥアー』がよく話題に上る。後はせいぜい1stだろう。その後はロック寄りの感覚もあり、興味が薄れる人もいるかも知れないが、基本的にリズム感覚は変わらず、私なんぞはあまりロックがどうのこうのというのはさほど気にならない。と言いつつも、メアリーに限らずそもそも現代R&B諸作品から離れているのも事実である。17年の最新作も試聴したけどヘッドホンを早々と置いてしまった。たぶん、何回か聴けば気に入るとは思うが、他の買いたい物を優先してしまう昨今だ。

 

メアリーの作品で好きな部分は、優れたリズム感と徹底的に歌い切る歌唱の2点が大きい。本盤も久しぶりに聴き、メアリーならではの音世界を堪能出来た。ウィキペディアで各アルバムの全米売り上げを見てみると『ザ・ブレイクスルー』が310万枚なのに比べ、本盤は164万枚と数字は下がっているが、内容は決して落ちてはいないと思う。ボーナストラックを含め20曲、2枚組を聴いたかのような充実感はある。蛇足だが、アルバム的には『シェア・マイ・ワールド』が406万枚と最高。逆に本盤の次の『ストロンガー・ウィズ・イーチ・ティアー』からガクッと落ちている。CDの売り上げ全体が芳しくない面もあるだろうが、グロウイングよりペインズが先立つ結果となっている。彼女の姿勢自体は変わらないと思うが・・・。

 

全般的に曲間を繋ぎ、前述したリズム感覚がヴィヴィッドで最初から最後まで愉しませてくれる。タメの効いたリズムがメアリー・ワールドへ誘う①。②はタイミングよく切り込むリュダクリスのラップを交え、メアリーもラップと歌唱の中間をたゆたう。後半、音が前に出てラップが裏に回る所も好きだ。1stシングルの③は、ザ・ドリームも関わる抜群の乗りを持つ曲。サビの「ファイン、ファイン、ファイン、ファイン、ファイン、ファイン、ウー」の繰り返しが耳に残る。④⑤⑥⑦と抑えめの曲が続くが一定のグルーヴは保たれている。⑤はじわじわと盛り上がり、メアリーの歌唱が一層愉しめる。アッシャーをフィーチャーした⑦は落ち着いた展開。パーティー感のある⑧は、ファレル・ウイリアムス絡み(あの話題作発表の7年前)。リズムがよく組み合わされている。⑨とかロックサウンド寄りかも知れないが、メアリーらしさが勝っている。⑩は女性への応援歌。時々語りになるが、サウンドへの乗せ方は流石だ。ミリー・ジャクソンの域。⑪しなやかで力強い歌唱を特に感じる曲。⑫終盤につれ盛り上がる。⑬完璧な人間なんていないわよ、というこれも応援歌。延々とシャウト。⑭⑮も後半に高まる。淡々とした⑯と続き、オリジナルのラスト曲⑰はぐんとスケール・アップ。メアリー自身が自分の成長の証たる曲と自負している。⑱⑲&⑨はUKと日本盤のボーナストラック。⑳は日本のみのボートラ。⑱は、音楽センスの塊トッド・ラングレンの「ハロー・イッツ・ミー」のカバー。同じく音楽センスの塊メアリーは、サラッとながらソウルフルに仕上げている。⑲はイヴ参加。声の交差が印象的。⑳は、ニュージャック・スイングのような跳ねるリズムが微妙に加わっている。更にメアリー2人が競っているかのようなヴォーカル・アレンジ。これがラスト曲でも十分成り立つ。

 

最後にプロデューサー情報を。①④セロン・オーティス、②デジオン(Dejoin新人の抜擢)、③⑦⑩⑰⑲⑳トリッキー・スチュワート、⑤⑮ブライアン・マイケル・コックス、⑥アンドレ・ハリス&ヴァイダル・デイヴィス、⑧ネプチューンズ、⑨ブルック・リン、⑪⑫スターゲイト、⑬チャック・ハーモニー、⑭エリック・ハドソン、⑯サイエンス、⑱マーク・ロンソン、以上。トリッキー・スチュワートが特に光っている。

 

改めて聴くと、メアリーはやっぱり良いね。近作が3年前と言うのはやはり寂しい。また意欲作に挑んでほしいものだ。

 

※全然関係ないが、レコード棚を順番に辿っているこの企画、後1枚で、向かって左の端から右の端に到達する。取り出しやすいように2、3枚分空けているので端から端まで約70枚といった所。また気持ちを新たに徹底して取り組もうと思います。良かったら今後とも読んで下さい。

 

① Work That

 

② Grown Woman

 

③ Just Fine

 

④ Feel Like A Woman

 

⑤ Stay Down

 

⑥ Hurt Again

 

⑦ Shake Down

 

⑧ Til The Morning

 

⑨ Nowhere Fast

 

⑩ Roses

 

⑪ Fade Away

 

⑫ What Love Is

 

⑬ Work In Progress (Growing Pains)

 

⑭ Talk to Me

 

⑮ If You Love Me?

 

⑯ Smoke

 

⑰ Come To Me (PEACE)

 

⑱ Hello It's Me

 

⑲ Mirror

 

⑳ Sleep Walkin'

 

 

 

 

 

 

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