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2021年8月

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.73

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[82枚目]●ボビー・ブランド『トゥー・ステップス・フロム・ザ・ブルース』<デューク/MCA>(61/01)

 

問答無用の大名盤。何度もリイシューされている内、私が所有するCDは、2001年に<MCA>名義でリリースされたもの。オリジナル盤に2曲のボーナストラックが付け足されている。

 

 

御大は、30年メンフィス近郊のローズマークという街に生まれる。48年にメンフィスに移住、ゴスペル・グループやビール・ストリーターズで活動。初レコーディングは、51年<モダン>にシングル1枚、続いて52年<チェス>にシングル1枚残した後<デューク>入り。73年<デューク>が<ABC>に買収されると<ABC>へ、79年<ABC>が<MCA>に買収されると<MCA>へ異動している。そして85年最終の地<マラコ>に移籍した。

 

 

一般的に<デューク>時代と<マラコ>時代が高評価で、全く異論が無いが、まず<デューク>時代のボビーをひと通り味わって頂きたい。本人の歌唱の素晴らしさはもちろん、サウンドの黒い味わいが何とも言えない。ちょっとカッコつけて「漆黒の音像」とでも呼びたくなるディープさだ。<マラコ>が劣るという訳ではないが。特に、デビュー盤である本作は必聴盤と強調しておきたい。57年~60年、シカゴとヒューストンでの録音。ウェイン・ベネットがギターの時は"ジャボ"・スタークスがドラム。クラレンス・ハラマンの時はソニー・フリーマンがドラムである。オーケストラのリーダーは⑪以外、ジョー・スコット。⑪はビル・ハーヴェイのオーケストラと記載されている。調べて判ったが、ジョー・スコットはこのアルバムに限らずデューク・サウンドの立役者として、ジョニー・エイス、ビッグ・ママ・ソーントン、ジュニア・パーカーの作品等でも存在感を示している。

 

 

①タイトル曲は静かな立ち上がり。アルバム全般に言えるが、オーケストラ・サウンドでも不必要に盛り上げず淡々としているが力強い。声質・唱法を生かしたサウンド創りが成されている。②慈雨のような音世界の中、ウェイン・ベネットのギターが軽く絡み、シャウト部分ではサックスがさりげなく寄り添う。③ややソウル的。サム・クックを連想する局面も。角度を変えるとソウル寄りのゴスペル・ソウルという感じか。ギターはクラレンス・ハラマン。④テンポが面白い。ドラムは"ジャボ"・スタークス。⑤妙に日本民謡のような感触もある。オーケストレーションのいなたさがそう思わせるのか。⑥結局「ボビーらしさ」という事になるが、包容力のある歌声から力のこもったシャウトといったボビーの魅力が一層味わえる。ギターはウェイン・ベネット。⑦落ち着いたブルースが続く。哀愁漂う名曲。

 

 

⑧クラレンス・ハラマンのギター。終盤のシャウトが全く破綻しないのが見事。⑨スタンダードの「聖ジェームス病院」。私はキャブ・キャロウェイ版を先に聴いたので、味わいの違いが新鮮だった。⑩これも憂いを帯びた一曲。ボビーでなければ凡庸に終わりそうだ。⑪モダン・ブルースにも繋がりそう。どうしてもギター主体のブルースが注目されがちなので取っつきやすいかも。クラレンス・ハラマン。⑫低音を効かせた導入部がディープさを演出する。⑬⑭が本CDのボーナス。⑬ウェイン・ベネットのギターのさりげなさにも注目。⑭ボビーにしては軽快な曲。⑥のフリップ・サイドとなる。これでアルバムを閉じるのもオツだ。

 

 

まずはデューク・サウンドを堪能してほしいと書いたが、実は、2ステップほどブルースの世界に踏み込んだ人ほど感じる部分が多いのではないだろうか。

 

 

① Two Steps From The Blues

 

② Cry Cry Cry

 

③ I'm Not Ashamed

 

④ Don't Cry No More

 

⑤ Lead Me On

 

⑥ I Pity The Fool

 

⑦ I've Just Got to Forget You

 

⑧ Little Boy Blue

 

⑨ St. James Infirmary

 

⑩ I'll Take Care Of You

 

⑪ I Don't Want No Woman

 

⑫ I've Been Wrong So Long

 

⑬ How Does A Cheatin' Woman Feel

 

⑭ Close to You

 

 

 

 

 

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ツイッター12周年

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ツイッターが、登録してから今日で満12年だと教えてきた。


 


生まれた子供が小学6年生になると思うと感無量。


 


Facebookもほぼ同じぐらいと思う。SNSは自分の発信だけでは決して続かないもの。多くの人に感謝し、まだまだ続けていきます。

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歩きはじめ

歩く事を覚え始めた子供は、みんなニコニコしている。歩みはたどたどしく時には転んでビックリしている事もあるが、歩いている時は心底楽しそうだ。自分が今まで出来なかった事が出来るようになった喜びからだろう。
大人になって大抵の事は出来るようになると、いちいち楽しそうにはしていない。ただ、努力の結果今まで出来なかった事が出来れば嬉しい気分になり自然と笑みもこぼれよう。
もう一つ、「お初のもの」に出会うとウキウキした気分になりがちだ。新しく買った本の最初のページを開く時、新しく買ったCDの最初の音が聴こえる瞬間、喜びが心に沁みるように溢れ出る。
大切にしたい感覚だ。

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楽しみな映画2作

黒人音楽好きの私としては、最近は興味深い映画に出合う事が多い。直近では、アレサ・フランクリンのゴスペル・ライブを堪能できた『アメイジング・グレイス』だ。

そのアレサの伝記映画が、日本では11月頃公開の『リスペクト』。実力派歌手で2006年の映画『ドリームガールズ』でも重要な役を演じたジェニファー・ハドソンがアレサ役だ。抜群の歌唱力を持ちながら派手さはないジェニファーは、適役といえる。ダイナ・ワシントン役にメアリー・J・ブライジというのも嬉しい配役だ。


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もう一本は、ウッドストック・フェスティバルが行われた69年、NYハーレムで開催された黒人音楽と文化の祭典『サマー・オブ・ソウル』を取り上げたものだ。副題に「あるいは、革命がテレビ放映されなかった時」とあるように、長年お蔵入りしていたフェスティバルの記録である。

スティーヴィー・ワンダー、スライ&ザ・ファミリーストーン、マヘリア・ジャクソン、デヴィッド・ラフィン、ニーナ・シモンなどなど。ステージの素晴らしさと同時に深いテーマを感じられるだろう作品だ。監督がザ・ルーツのクエストラブ。彼のこれまでの活動を考えても、充実した一作である事が窺える。


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成功か勝利か?

「成功」と「勝利」は微妙に違う。


挑戦していた事が首尾よく出来れば「成功」。その時競っていた相手がいて自分だけが「成功」もしくはより強力な形で「成功」すれば「勝利」となる。


ただ、「勝利」も実質「成功」である。ただ目標を達成しただけであり、勝利した事で敗北者や、挑戦していない人より上に立っている訳ではない。もっとも、そもそも人に上下は無い。


世の中に「勝ち組」とか「マウントをとる」という言葉が流布しているように、成功を重ねる事で、自分は「勝利者」で、中々成功しない人を下に見ても構わないと思ってしまう。その浅墓さがたまらなく悲しい。

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少しの運動でも

ぱっとしない天気に加えコロナ禍で、外出も最小限に止めている。


インドア派なので自宅で過ごすのはやぶさかではないが、何か気分が晴れないのも事実。読書やネットの閲覧、SNSでの交流や投稿は面白いのだがずっとは続けられない。


今日、ショッピングセンターで、書店が開く前に15分ほどスタスタ歩いてみた。身体が硬い上に運動不足なので快適には歩が進まないが、少し気分も晴れた。


積極的に外出したり、飲みに出たりしようとは全く思わないが、身体を動かしたい欲求はやはりくすぶっているようだ。今までは時々洗車したりしていたが、それもままならないので、軽い運動の機会を見つけたり、風呂掃除したりあちこち掃除機かけたりしてみるかな。

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.72

 

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[81枚目]●V.A.『グッド・トゥ・ザ・ラスト・ドロップ』<ファンタスティック・ヴォヤージ/フューチャー・ノイズ>(09)

 

 

60年、ロンドンで発足した<エンバー>(ember)レコードの作品集。61年~75年の作品が収められている。自身の名を冠したジャズ・バンドのピアニストで、ジャズ・クラブの経営者でもあるジェフリー・S・クルーガーが発起人だ。英文ライナーで正確には読み取れないが、デトロイトの<GM>スタジオとも関係があるようだ。因みに、本コンピ盤をリリースしている<ファンタスティック・ヴォヤージ/フューチャー・ノイズ>もロンドンの会社である。

 

 

①ジーン・マクダニエルズの作曲で、69年<アトランティック>よりレス・マッキャン&エディ・ハリスが発表。本曲は71年のリリース。同名の米ロック・バンドもあるようだ。内容は、快調なイントロから一貫してクールだが、十分に熱い。ジャズ・エリアで取り上げられたのにも納得がいく。17年英<アウタサイト>からはB面別曲でシングル盤が出ている。両方ともディスク上のレーベルは<GM>。②聴き憶えのある楽しい曲だ。アシュフォード&シンプソン+ジョー・アームステッド作品。ジョーは64年~67年の間アシュフォード&シンプソンと曲創りをしていたそう。65年のリリースだが、同じ年に<ABC>からザ・ヤム・ヤムズというガールズ・グループが発表している。というかそちらが本家。ブラザーズ・グリムはまごう事なき一発屋のようだ。③は61年と記載してあるが、discogsによれば65年。シングル「ダンシング・ジェニー」のB面曲。④ザ・カジノスは写真で見ると白人の9人グループ。64年彼らの地元<テリー>レコードから出ており、<エンバー>盤は67年となる。サム・クック風の一曲だ。⑤元はニューオーリンズのレーベルからリリースされている。温かみ有る一曲。58年、ディーン・マーティンが発表している。62年発。⑥女性コーラスやストリングスも含め安定したサウンドの楽曲。ミルト・マシューズのヴォーカルは絞り気味の声で強弱が効いている。終盤には灼けつくシャウトをチラリ。71年発。⑦<モータウン>の重要コンポーザーのひとり、ミッキー・スティーヴンソン。本曲と同じ72年<エンバー>にアルバムを残している。<ファンタスティック・ヴォヤージ>からもキャロル・ウッズと並んでCD化されている。モータウン・サウンドとはまた違うドラマチックな構造を持った曲。歌唱は可もなく不可もなく。⑧エステル・アクストンの息子チャールズ・"パッキー"・アクストンはマーキーズにも所属していて<スタックス>黎明期に名を残している。ザ・パッキーズはパーカッショニストのジョニー・キーズと組んだインスト・グループ。なかなか軽快な一曲。録音は<ハイ>スタジオでバーケイズのメンバーも参加しているそう。66年発。

 

 

⑨本盤に4曲収録されているミルト・マシューズINCの2曲目。スモーキーなギターが絡む中、⑥よりゆったりと歌われる。71年発。⑩は⑨に似たようなサウンドのギターが彩る中、ディー・エドワーズの潤いとメリハリのある声が響く。72年発。⑪女性シンガーが続く。キャロル・ウッズは高音が目立つが耳障りではない。ベース・パターンやギターのカッティングがクールにキマる中、颯爽と歌いこなす。71年発。クラレンス・ポール作。⑫デトロイト出身の男性デュオ。目指す所はサム&デイヴか。しかし、彼らほどのパワーは無し。その分ノリの良さは抜群。70年発。⑬モータウン・サウンドぽい。70年発。⑭三姉妹のジョーンズ・ガールズが競うように且つ溶け合って歌っている。絶妙なアゲアゲソウル。70年発。⑮ミルト・マシューズINC本盤3曲目はロック・テイスト。歌い出しがクラプトンを彷彿させるが、ギターはレイドバックせず弾きまくる。71年発。⑯は⑬に次ぎ登場。ファンキーな一曲。70年発。⑰は⑫に次ぎ登場。前の曲よりはデュオならでは感がある。70年発。⑱ディー・エドワーズ2曲目は⑩と同じシングル盤となる。ミッキー・スティーヴンソン、シルヴィア・モイ、ハンク・コスビーのコンポーズ。アルバム一枚丸々聴いてみたくなる充実の歌唱だ。72年発。

 

 

⑲ミルト・マシューズINC最後の1曲はややサイケ感あり。⑮と同一シングル。表裏ギターが活躍するという次第。⑳タイトルからしてディープなテーマを孕んでいそうだが、意外と聴きやすい。<コティリオン>にリースされR&Bチャート44位に。エド・ロビンソンは後に<アトコ>からシングルを2枚出しているとの事。因みに⑬⑯のフォーク・イン・ザ・ロード2曲の作者でもある。70年発。㉑ジョーンズ・ガールズの母親が登場。元々はデトロイトのゴスペル・シンガーだ。本曲は71年のリリースで、59年、ジャッキー・デシャノンが発表している。㉒そして再び娘たち。どの方か、力を込めるとちょっと母親に似ている。⑭と同一シングル、ここにもエド・ロビンソンの名が。とりあえず安定の歌唱だ。㉓最後はレジェンド中のレジェンド、ジョニー・オーティス!但し、往年のリズム&ブルースサウンドではない。息子シュギー・オーティス絡みでは仕方ないか。だが、サウンド的には悪くない。個人的にはもう少し締まった音だとピッタリはまる。75年発。

 

 

 

① Compared to What · Mr. Flood's Party

 

② The Brothers Grimm - Looky Looky

 

③ Jewel Akens Wee Bit More Of Your Lovin'

 

④ The Casinos– That's The Way

 

⑤ The Values – Return To Me

 

⑥ Milt Matthews Inc. - Oh Lord (You gotta help me)

 

⑦ Mickey Stevenson Here I Am (Single Edit)

 

⑧ The Pac-Keys Dig In

 

⑨ Milt Matthews Inc That's What I Feel For You (Single Edit)

 

⑩ Dee Edwards– Why Can't There Be Love

 

⑪ Carol Woods - Baby Don't You Leave Me

 

⑫ Tony & Tyrone - Everyday Fun

 

⑬ Fork In The Road Can't Turn Around You

 

⑭ The Jones Girls - My Own Special Way

 

⑮ Milt Matthews Inc - Disaster area

 

⑯ Fork In The Road - Skeletons In My Closet

 

⑰ TONY & TYRONE - WHIP YOUR LOVING ON ME

 

⑱ Dee Edwards - Hurt A Little Everyday

 

⑲ Milt Matthews Inc - Can't See Myself Doing You Wrong

 

⑳ Ed Robinson- Hey Blackman - Part 1

 

㉑ Marry Frazier Jones - Put A Little Love In Your Heart

 

㉒ Jones Girls - Learn How To Love

 

㉓ Johnny Otis - Good To The Last Drop

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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