【映画】リスペクト
アレサ・フランクリンの人生を、実に丹念に表現した映画だ。
三つ子の魂なんとやらで、幼い頃の経験(喜びも悲しみも)が彼女の人生における光となり影となり表出しているのがよく解った。人前で歌い喝采を浴びる喜びを感じる一方、愛情深いが厳格で絶対的だった父親の存在や、優しく音楽の素晴らしさを教えてくれた母親の死、年端もいかぬ状況での妊娠などなど。
父が売り込んだコロムビアレコード時代、ヒット曲に恵まれなかった状況から、アトランティックレコードのジェリー・ウェクスラーや、フェイムスタジオの面々との出会い。間でのダイナ・ワシントンの強烈な教訓も、目の鱗を剥したに違いない。一方、父親を裏返したようで実は似た部分も感じるテッド・ホワイトとの愛憎半ばする関係。不世出のシンガーをマネージメントというかコントロールしようとしていたのも悲劇の一因ではなかろうか。黒人音楽ファンとしては、ソウル・ミュージック伝説の一場面として語られる、フェイムの連中とのフィーリング任せで曲を創り上げていくシーン。ドラマチックな展開であるだけでなく、黒人音楽の本質をちらつかせている。
スター街道を進む中で、さまざまな曲が取り上げられているが、歌詞が彼女の経験や思いをいかに投影しているかという事実に気付く。スムーズに理解できる巧みな構成だ。そして、苦しい時代も率直に映像化する事で、作品の深みが増している。『アメイジング・グレイス』に至った背景と意味合いも知れて良かった。
アレサは生前、自分の役をやるならジェニファー・ハドソンにと指名していたとの事。ジェニファーもピアノの特訓など、アレサに成り切る努力を惜しまなかったとか。確かに、歌い方もかなり寄せているし、演技そのものも鬼気迫るものがあった。
素晴らしい一編だった。
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