バーバラ・ジョージ
http://merurido.jp/item.php?ky=ODR6043
※本文を書くにあたり、文屋章さんのライナーをかなり参考にしています。
バーバラ・ジョージの音楽人生は、偶然に翻弄されたのか、あるいは必然的な結果だったのか。
彼女が、ヒット曲「アイ・ノウ」を録音した<AFO>は、サックス・プレイヤーでプロデュース業もこなしていたハロルド・バティステ・ジュニアが設立したニュー・オーリンズのレーベルだ。当時<リック/ロン><ミニット>レーベルはあったが白人資本だった。<AFO>が彼の地での初の黒人資本レーベルとなった。
既にヒットを飛ばしていたジェシー・ヒルは<AFO>入りしたかったが、契約の関係で駄目。代わりにスカウト業を受け持ち、連れてきたのがバーバラ・ジョージだった。
<AFO>の演奏布陣は、ニュー・オーリンズR&Bサウンドの殿堂とも言えるコジモ・スタジオのミュージシャンで、ハロルドとは旧知の仲の連中だ。本盤の充実ぶりの半分以上は彼らの功績ではないかと思う。バーバラにとっては幸運なスタートだった。
パンチのある歌声の合間にふと見せる未成熟な少女の薫りがバーバラの魅力だし、中々のセールス・ポイントだ。リズミカルで明るく、時に哀愁を感じるニュー・オーリンズ・サウンド仕様の声とも言える。
最大の悲劇は、彼女自身に自分の魅力が判っていなかった事だろう。<AFO>の配給を担当していた<スー>に引き抜かれてしまい、ニューヨーク録音に挑むが、結局ものにならなかった。本盤のボーナス・トラックに収録されているが、悪くはないけど、繰り返して聴きたくなるほどではない。
人を顔で判断してはいけないが、いかにも純朴そうな顔立ちの彼女だ。「アイ・ノウ」のヒットを残しはしたが、悲しい末路である。もし、ヒット曲を持っていなくても、<AFO>で良質な録音を続けていれば、精神的に充実した音楽人生を送れたと思うが、どうだろうか。
それこそ「アイ・ドント・ノウ」である。
I Know (You Don't Love Me No More)
https://www.youtube.com/watch?v=66AbuZjikkg
YOU TALK ABOUT LOVE
https://www.youtube.com/watch?v=zOMijiPZqG0
Send for Me If You Need Some Lovin'
| 固定リンク
| コメント (0)
| トラックバック (0)
最近のコメント