レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.12
[19枚目]●V.A.『ザ・バーミングハム・サウンド:ザ・ソウル・オブ・ニール・ヘンフィルVOL.1』<ラビット・ファクトリー>(06)
http://diskunion.net/portal/ct/detail/54C060822701
...アラバマと言えば「マッスル・ショールズ」と返すのが、ソウル・ファン大方の反応だろう。バーミングハムのソウル集と言われても、正直ピンと来なかった。ニール・ヘンフィルも存じ上げず。ただ、収録されているミュージシャンを見たら、俄然興味が湧いてきた・・・これまた、ソウル・ファンの素直な反応だろうか。
ロスコー・ロビンソン、サム・ディーズ(この人はバーミングハム本拠地)、デヴィッド・シー、チャック・ストロング、ラルフ・“ソウル”・ジャクソン、フレデリック・ナイト、え?ブルー・ノーツまで?と思ったら、これは別のグループだったが・・・その他のミュージシャンも、知名度は低いがレベルは高い。
①豊かな声量を持つ、リトル・ロイス・ハーパーの、典型的なサザン・ソウルでスタート。終盤には灼熱シャウトをさりげなく織り込んでいる。テンポを上げた⑬も秀逸。②デヴィッド・シーの塩辛声に拠るジャンプ曲が快適に続く。デヴィッドは⑳で再登場するが、こちらは更に熱唱度が増す。ボビー・ウォーマック感覚も。
ブルー・ノーツとフレデリック・ナイトでクール・ダウンした後、⑤⑥はファンキー路線だ。⑦はややだるめの感じが魅力的な女性歌手パット・ピーターマン。同歌手の⑰はシッカリしている。⑧チャック・ストロング、⑨ラルフ“ソウル”ジャクソンが再び乗りを取り戻す。チャックは⑮ではサザン・バラードを披露。そして、⑩ロスコー・ロビンソン。ここは軽くいなした感じも。
⑪⑫は少々変わり種だが、決して粗雑な作りではない。⑯フレデリック・ナイトはドリーミー。彼は当レーベル参加時はまだ教師だったそう。珍しく他人の曲(スタッフ・ライター、ロジャー・ホールマーク作)を歌う⑱サム・ディーズ。⑲ロスコー、⑳シー、㉑ラルフと続くラインは最大の聴き所。鳥肌の上に鳥肌が立つ。ラスト、エディー・スティールのファンキー・ブルースも中々である。
バーミングハムは、人種差別の激しい地域として知られている。よくドキュメンタリー映像で、黒人群衆に対し、警察犬をけしかけたり、消防用のホースで激しく放水したりする場面があるが、バーミングハムがそういった状態だったらしい。偏見の強い土地で、白人が、ソウル・ミュージックのレーベルやスタジオを経営するのは至難の業だと思う。しかし、ニール・ヘンフィルは、一切妥協せず、ストレートにソウルの魅力を伝えている。スタジオの音環境にも工夫があったそうだ。お遊び的な曲にせよ、黒人音楽的エンターテインメントの要素に彩られている。強い信念と包容力を持った人物だったに違いない。
フレデリック・ナイト、サム・ディーズ、ロスコー・ロビンソンは発足当初から参加しており、ナイトのデビュー盤もここからリリースされている。正式スタートは70年。<サウンド・オブ・バーミングハム><クラウンLTD><ヘンフィル・レコーズ>がレーベル名のようだ。スタジオ・ミュージシャンにはウェイン・パーキンスの名も。ニールの体調不良などもあり、経営は紆余曲折したが、周囲のフォローも厚かったようで、素晴らしい音楽を創り続けた。85年まで続いている。
このシリーズは2作目も出ている(私は未聴)。どちらも評判が高かった。
さて、アラバマと言えば・・・。
Chuck Strong - I Thought It Over
https://www.youtube.com/watch?v=zROjkuMQXNQ
Frederick Knight - You've never really lived
https://www.youtube.com/watch?v=K2TbBYxbZwU
Sam Dees - Train to Tampa
https://www.youtube.com/watch?v=kTTXZGK4GL0
David Sea - Let's Just Get Together
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