[71枚目]●ザ・ニュー・ラモン・ドジャー・アルバム『ラブ&ビューティ』<インヴィクタス/Pヴァイン>(74/96)
※本文を書くに当たり、鈴木啓志さんのライナーを大いに参考にしています。
<モータウン>のライター・チームとして活躍したホーランド=ドジャー=ホーランドが、69年に<ホットワックス/インヴィクタス>を設立し、数々のソウル名盤を生み出したのは、今さら強調するまでもない。本盤の主役ラモン・ドジャーに焦点を当てると、73年74年に<ABC>より2枚アルバムを発表。その次に出されたのがこの作品である。ただし、ホーランド(ブライアンの方)=ドジャー名義の作品をコンパイルした物になる。ホーランド=ドジャーは72年~73年の間に<インヴィクタス>から6枚のシングルを発表している。つまりラモンが<ABC>作品を出す前の話。因みに63年の<モータウン>時代にもホーランド=ドジャー名義で1枚シングルを出している。ブライアンとラモンは同い年と言う事もあり(エディは2歳上)、ウマが合う部分も多いのかと。「ザ・ニュー・ラモン・ドジャー・アルバム」としているのは、そういう経緯が関係あるのかも知れないが、実質ラモンのヴォーカルが中心ではあるので、ラモン・ドジャーのアルバムと解釈されるのもやむを得ない所。いずれにしても内容は素晴らしいのでさほど拘る事でもないか。
何と言っても①が絶品である。ラモンは、声自体に微妙な"泣き"が入っているので切なさが増し、繰り返し聴きたくなる。②はややテンポが上がり、ストリングス・サウンドが彩る曲。このアルバム全体に言える事だが、曲の骨格がシッカリしているのでどんな手法で来られても乗りは保たれ、心に沁みる。更にテンポアップした③。ラモンは、ここぞという時に絞り上げると言うか、身を捩るような歌声を聴かせるが、例えばマーヴィン・ゲイみたいに突き抜けはしないので、却って曲の味付けになっているかと。④ストリングスの盛り上げが過剰にならず、裏で蠢くベース・パターンとの按配が素晴らしい。⑤痛快なノーザン・ダンサー。先に曲の骨格を云々したが、演奏陣のツボを心得たテクニックも当然含まれる。⑤のインストである⑥を聴くとその良さが浮き彫りになる。そういえば、本盤のインストの多さは、ラモンのヴォーカルが主体というより、サウンド全体に耳を傾けてほしいという意図があったと考えるのは邪推だろうか。但し解説に拠れば、シングル・ヴァージョンの方が全般的に上の段を行っているらしい。⑦もノーザンで続く。ややモータウンぽい。⑧はギターとピアノが目立つ。ピアノはたぶんブライアンかと。⑨はファンキー・タッチからサラリとめくるめく。尚、シングル盤はブライアン・ホーランドがヴォーカルを取っているとの事で探したら、よりメリハリが効いてファンキーだった。オマケとして貼っておく。
① Why Can't We Be Lovers
② Don't stop playing our song
③ If You Don't Want To Be In My Life
④ The picture will never change
⑤ Don't Leave Me
⑥ Don't Leave Me (Instrumental)
⑦ New Breed Kinda Woman
⑨ Slipping Away
●HOLLAND - DOZIER featuring BRIAN HOLLAND - Slipping away
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