[83枚目]●ジョージ・クリントン&ザ・Pファンク・オール・スターズ『プラッシュ・ファンク』<Pヴァイン>(92)
※本文を書くに当たり、河内幸一さんのライナーノーツ及び山辺容子さん訳のジョージ・クリントンインタビューを大いに参考にしました。
最初に整理しておくと、いわゆる「Pファンク一派」は、パーラメント、ファンカデリックを二本柱とする他、Pファンク・オール・スターズ名義で『アーヴァン・ダンス・フロア・ゲリラズ』やライブ盤も出している。本盤も「Pファンク・オール・スターズ」名義だが、ここでは幅広くメンバー名義の曲なども含めているという意味での「オール・スターズ」である。そして未発表作品集。<Pヴァイン>発で、ジョージ・クリントンの助力を得て92~93年の間5作品がリリースされている。本盤はその2作目だ。discogsによれば「ジョージ・クリントン・ファミリー・シリーズ」として計7枚US盤が出ている。因みに『プラッシュ・ファンク』という同タイトル・同内容の一枚があるが、US盤ではVol.3と銘打たれている。
①まずはファンカデリックでスタート。ヴォーカルやコーラスも含め各々のパートが放つグルーヴが組み合わさり、「グルーヴの輻輳状態」を呈している。これはもちろんファンカデリックに限らず、Pファンク全般に感じられる魅力である。これで全ての曲の解説となると言っても過言ではないかも。81年作。②ロン・ダンバーは2018年に亡くなっているが、クリントンより2歳上の39年生まれ。<モータウン>のライターとしてスタート(クリントンの弁によればかなり有名な曲のゴースト・ライターもやってたとか)。その繋がりだろうH=D=Hに協力してチェアメン・オブ・ザ・ボード「ギブ・ミー・ジャスト・ア・リトル・モア・タイム」「パッチズ」(クラレンス・カーター版も著名)、フリーダ・ペイン「バンド・オブ・ゴールド」のコンポーズに関わっている。Pファンク一派では、パーレットのプロデューサー兼ライターとしての功績が大きい。82年作。引き摺るようなリズムが効果的な中、気勢を上げるロンだ。③ドラム、ベース、ヴォーカルにクレジットされているダニー・スターリングを中心とするユニット。80年作。そもそもは、パーレットのバンド・リーダーでベーシスト。ギターのカッティングも冴えている(トニー・トーマス、ロドニー・クラッチャー)。④クリントン総帥のお気に入りシンガー、ジェシカ・クリーヴス。クセのある歌い方だがイヤミが無い。ホーニー・ホーンズ&ブレッカー・ブラザーズのホーン陣もカッコ良く、デヴィッド・スプラッドリーのジャズ的ピアノも効果的。80年作。ジェシカはEW&Fに在籍していた事も。2014年65歳の若さで亡くなっている。⑤フレッド・ウェズリー率いるホーニー・ホーンズ。メイシオ・パーカーも参加し、キレの良いサウンドを聴かせている。ブーツィーのベースも流石。79年作。⑥フロウはフローレンスという名前で元アイケッツのメンバーでもある。ほど良いハスキー・ヴォイスで力感も十分。72年の録音という事は、ブーツィーが正式加入する前にハウス・ゲスツと共に録音しているのが貴重とライナーに。
⑦軍団一の才人、ジュニー・モリソン。クリントンのインタビューによれば、少しのヒントから、テーマにピッタリはまる曲を作りあげるそうだ。ヴォーカル、演奏ともジュニーがプレイしている。78年作。オハイオ・プレイヤーズの初期メンバーでPファンクでの活躍の後は、90年ソウルⅡソウルのプロデュースも手掛けている。97年にはPファンク絡みでロックの殿堂入り。2017年に亡くなっている。⑧ライナーによればロン・ダンバーによる<インヴィクタス>感覚が感じ取れるとの事。確かにファンクというよりはソウル。良い意味での耳休め。80年作。ブライズの経歴を改めて書いておくと、ファミリーストーンのメンバーだったドーン・シルバとリン・メイブリーでスタート。リンが抜けた後はシーラ・ホーンとジーネット・マグルーダーの2名が参加。リンは79年に抜けたとの事なので本曲は3人体制のものかと。⑨ジョージ・クリントンの息子トレイ・ルイスとウェディング・ドレスのギタリスト、アンドレ・フォックスのコラボ。キレキレのファンクを聴かせる。ブライズの合いの手もノリノリ。81年作。⑩ロン・フォードは、パーレットやブーツィー『ウルトラ・ウェイヴ』のバック・ヴォーカリストがスタート。ショックというファンク・バンドの感覚ありとライナーに。カオス的というよりシャープだ。80年作。2015年67歳で他界。⑪マイケル・ハンプトンの独壇場!80年作。⑫がクリントンのインタビューとなる。
ボブ・ディランが80歳を迎えたというのが話題となっていたが、ジョージ・クリントンも同い年の80歳である。本盤のインタビューでは各メンバーの素晴らしい面を褒め称えているが、クリントン自身も言うまでもなく素晴らしいファンカーであり、プロデューサーである。ディランが彼らしさを失わずに一途に音楽道を突き進んでいるのと同じく、クリントンも「変わりゆく変わらぬ人」である。
① Funcadelic May Day(S.O.S.)
② RON DUNBAR- these feet are made for dancin
③ Sterling Silver Starship - Booty body ready for the plush Funk
④ I Really Envy the Sunshine - Jessica Cleaves
⑤ HORNY HORNS- lickety split
⑥ Flo - Common Law Wife
⑦ Junie Morrison / Super Spirit
⑧ Brides Of Funkenstein - Love Don't Come Easy
⑨ Tracey Lewis & Andre Foxxe with Flastic Brain Flam-I Can't Stand It
⑩ Ron Ford– Monster Dance
⑪ Michael Hampton–We're Just Funkers
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