レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.111 (2)
[120枚目] ● El DeBarge 『Second Chance』<Geffen>(10)
前回に次いで、(7)~(16)をお送りする。クリスマス・ソングの(14)~(16)はディスク2となっているが、元盤が連番表記になっているので準じて書く。いわゆる「デラックス・エディション」である旨は前回説明しているが、ディスク2無しも有りも同じ2010年のリリースである。尚、日本盤は出ていないようだ。
マイク・シティ作・プロデュース。オーケストラ・アレンジと指揮がロン・フェア、ギターがレオ・メラチェ。きらめくようなギターに流麗なオーケストラ・サウンドが合わさり、テンダーなエルのヴォーカルが映える。
一定のリズムが生み出すグルーヴの中、ラップやヴォーカル、コーラスで微妙に変化をもたらす。たまにリズムを崩し気味にする所にサウンド・センスを感じる。ラッパーはファボラス。曲は共作で、エルの他、ダグ・E・フレッシュ(ダグラス・E・デイヴィス名義)、バニー・デバージ(エターリーン・ジョーダン名義)、ファボラス(ジョン・ジャクソン名義)、マーク・デバージ、マイケル・カート・ジャクソン、ミケランジェロ、スリック・リック(リッキー・ウォルターズ名義)。プロデュースはエルとマイケル・アンジェロ(ミケランジェロ)。ヴォーカルのプロデュースがミシュケ。
プロデューサーはジャム&ルイス。作曲もエルとジャム&ルイス。ドラム・プログラミングがボビー・ロス・アヴィラ、エレクトリック・ピアノとヴォコーダーがエル、キーボード、ストリングス、パーカッションがジミー・ジャム。 ヴォーカルも含め、曲全体が幸福感に満ちて温かい。
スウィートなハイトーン~ファルセット・ヴォーカルが特に発揮されている。プロデュースがマイケル・アンジェロ。曲作りはエルとマイケル・アンジェロとマイケル・カート・ジャクソン。
(9)とほぼ同じ陣容。違う部分は、ボビー・ロスがドラムスとパーカッション、エルはエレクトリック・ピアノのみ、ジミー・ジャムがキーボードとパーカッション。 悲しげなメロディーだが、さまざまな歌声を交錯させ、心地良いアンサンブルを作っている。
夢幻的なサウンドの中、漂うように歌う。こちらは(11)と全く同じ布陣である。
エルとミシュケ作。プロデューサー、オーケストラ・アレンジと指揮がロン・フェア、バッキング・ヴォーカルとヴォーカル・プロデュースがミシュケ、ピアノがエル、ベース、ハーモニカ、ドラム・プログラミング、ヴィブラフォンとロン・フェアが活躍。 落ち着いた曲調だが、静かに盛り上がる。どこか寂しさが残るのは、このアルバムを最後に活動が見えてこない無念さが頭にあるからか。
清らかな曲は、エルの透き通ったヴォーカルによく似合う。プロデュースはジョン・グー、ギターとプログラミング、アレンジなども担当。ヴォーカル・プロデュースはミシュケで、バック・ヴォーカルは彼とシャノン・ルビカム、ジョージ・メリル。ルビカムとメリルはヴォーカル・デュオのボーイ・ミーツ・ガールとしても活動。コンビでホイットニー・ヒューストンの「I Wanna Dance With Somebody (Who Loves Me)」を書いている。尚、夫婦になったがのちに離婚。
アヴィラ・ブラザーズがプロデューサー。曲作りは、エルとアヴィラ・ブラザーズとリック・トムソンとサム・ソルター(アルバム『It's On Tonight』が思い出される)。サムはヴォーカルのプロデューサーでもある。ストリングス・アレンジと指揮はスージー・カタヤマ、エルはバッキング・ヴォーカルも担当、ベースがトーマス・ハートJr.、チェレスタ、ベース、ピアノ、ギターがボビー・ロス・アヴィラ、ドラムスとパーカッションがイズ。 爽やかな印象を残すR&Bである。
多くの人に愛の力を知ってほしいという願いが歌われている。冬こそ人の愛や温もりを感じやすい季節かも知れない。しかもクリスマスは愛の象徴のようなもの。エルの歌声には確かにそんな思いが込められているように思える。プロデューサーとヴォーカル・プロデュース、ストリングス・アレンジと指揮、チェレスタ他、ドラムス他は(15)と同じ。ヴィブラフォンがボビー・ロス、ヴォーカル表記でオランダのグループ、スカーレット。バック・ヴォーカルがエルとパン・ハンドラー。曲はエルとアヴィラ・ブラザーズとサム・ソルターにリル・エディ(エドウィン・セラノ名義)が加わっている。
アルバムに関する資料を付け足しておくと、アルバムチャートには12週間とどまり、評論家の評判もよく2012年のグラミー賞にもノミネートされた。2008年に薬物関連で有罪判決を受けて服役した事は前回書いたが、2011年からプロモーションを兼ねたツアーが予定されていたが、本人のリハビリを理由にスケジュールを全てキャンセルする事態となり、エル・デバージは音楽シーンの表舞台から消えた。一応活動しているという情報(AIによる)もあり、息子のエル・デバージJr.も音楽活動をしているようだが、『Second Chance』を聴くたびに、彼のハイトーン・ヴォーカルがひときわ切なく聴こえて仕方がない。









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