FAME

2026年6月10日(水)素麺のような文章

年金の通知書が届いた。額が上がるとは聞いていたが、ふたり合わせて月額4,000円ぐらいのアップ。しかし、物価高と比べればねぇ。

『本の雑誌』4月号。徳永圭子さんの書評エッセイが面白かった。紹介されているのは矢野隆さんの『猪之噛』(いのがみ)。女性猟師が主人公の物語。本の内容に触れるだけでなく、矢野さんと主人公のモデル、濱田暖子(あつこ)さんのトークイベントについても書かれている。『猪之噛』にも濱田さんにも興味はあったが、何しろ徳永さんの文章がスイスイ読めて内容の魅力以上に楽しかった。まるで素麺でも食べているようだ。涼やかでクリアで旨みがある。


朝は冷え冷えしていた。晴れ。場所によっては霧がかかっていた。最高気温28℃(3日ぶり夏日、6月に入り5日目)。熱中症14時台から15時台「厳重警戒」、その他17時台まで「警戒」、以降20時台まで「注意」。紫外線14時台まで「強い」、以降16時台まで「やや強い」。


朝食は、御飯にブロッコリースプラウト入り納豆、玉子焼き、白身魚のフライなど、千切りキャベツとサニーレタスのサラダ、白湯。


趣味のCDレビュー。ウォーキングの駐車場で、ChatGPTの助けも借りて1曲分メモ書き。その後自宅にて第1回分を何とか投稿した。前段の文章があったとは言え全75曲の内6曲だけなので先は長い。今回は、ミュージシャンの説明や曲を聴いた印象だけではなく<フェイム>スタジオ&バック・ミュージシャンとの絡みもあるので時間は一層かかりそうだ。しかし、何も締め切りのある投稿でもないのでジックリと進めていきたい。面倒だからこその面白味、やりがいは感じる。


お昼はポテトサラダのサンドイッチ、アイスコーヒー。食後にメロン。


ブルージェイズ岡本選手、2回裏にツーベースヒット。チームはサヨナラ勝ち。ロッキーズ菅野投手カブス戦に先発。5イニング6安打3失点。味方の援護もあり6勝目。鈴木選手はタイムリーを打ったが及ばず。ホワイトソックス西田選手マイナー落ち。チームは10回裏サヨナラ2ラン。ドジャース大谷選手タイムリーツーベース。1イニング10点の猛攻もあり12-3でドジャースが勝った。


カーリング日本選手権女子、ロコソラーレが苦しい状況。ビハインドの展開で、勝ったとしてもSC軽井沢クラブが勝たなければいけないが、軽井沢もビハインドの展開。1次リーグ通過が決まっている軽井沢の相手が、どうしても勝たなければいけないフィロシーク青森というのもロコソラーレにとっては気になるところだ。結局5エンドと7エンドに3点ずつ取られ、7エンド終了時で7-2。ロコソラーレは8エンドに2点返し7-4になったものの9エンドに2点取られ敗戦。2次リーグ進出チームは、AブロックはSC軽井沢クラブ4勝0敗、中部電力3勝1敗、GRANDIA1勝3敗、Bブロックは、北海道銀行4勝0敗、フォルティウス3勝1敗、札幌国際大学2勝2敗。SC軽井沢クラブやフォルティウスは今日の試合、劣勢から逆転勝ちしている。


夕食は、タコライス、冷奴、シューマイ。


 


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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.116 (1)

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[125枚目]●V.A.『The Fame Studios Story 1961-1973 Home Of The Muscle Shoals Sound』<Kent Soul>(11)

 

※本文を書くに当たり、リチャード・ウィリアムス、トニー・ラウンス、アレック・パラオ、ディーン・ラドランド各氏の英文ライナーノーツ、ウィキペディア、<フェイム>ホームページなどを大いに参考にしています。

 

サザン・ソウルファンにとって<フェイム>スタジオは思い入れが深い聖地だ。ここを経由してリリースされた数々の名曲や、主役をフォローする鉄壁の演奏陣には幾度となく感動を覚えた。本アルバムは<フェイム>スタジオの歩みを全て捉えたものではなく(スタジオは今も続いている)、その立ち上がりから「サザン・ソウル」のスタイルが固まり、ポップスの世界にも進出しようか(オズモンズも登場)としていた時代で締めている。つまり、タイトルにもある通り1961年から1973年までの歴史である。

 

<フェイム>について語るには、リック・ホールの人物像を伝えることは不可欠である。32年、ミシシッピ州ティショミンゴ郡フォレスト・グローブの農家に生まれたリック。4歳の時に母親が家を出て、残りの家族はアラバマ州フランクリン郡に引っ越した。父親はゴスペル・ファンで、叔父からはマンドリンをもらいギターの弾き方を覚えるなどして音楽との距離を狭めていった。十代になるとイリノイ州ロックフォードで工員として働きながらバンド活動にいそしむ。やがて徴兵されるが、退役後はアラバマ州フローレンスにて工員として働きながら音楽活動を行った。57年(25歳)、婚約者と父が亡くなるという不幸に見舞われ、生活は荒み気味となったが音楽はやめなかった。地元のバンドでギター、マンドリン、フィドルを担当し、そこでサックスを吹いていたビリー・シェリルと出会い、ふたりでフェアレインズというバンドにやがて参加する(あるいは結成する)。リックはベースを担当し、ヴォーカルはダン・ペンだった。バンドを抜けてからはコンポーザーとして活動する(ビリーとはフェアレインズ前からコンポーザーとしてもコンビだった)。カントリー・チャート5位を記録したジョージ・ジョーンズ「Aching, Breaking Heart」やアダルト・コンテンポラリー・チャート15位のブレンダ・リー「She'll Never Know」などが代表作である。

 

59年に、リックとビリーはレコーディング・スタジオ経営者のトム・スタッフォード(かなりの通人だったようだ。ライナーではヒップスターと表現されている)に誘われ、音楽出版社「Florence Alabama Music Enterprises」=頭文字をつなげて<FAME>を設立した(トムの父親が経営するドラッグストアの2階からスタート)。しかし、60年代初めにビリーとトムはリックを“解雇”し自分たちはナッシュビルに移動した(その後トムは薬物中毒になってしまう)。リックは隣町のマッスル・ショールズに場所を移し、空港近くのタバコ倉庫をスタジオに作り替えた。ここから名物スタジオの歩みが本格的に始まる。

 

レーベルとしての<フェイム>と配給会社の推移を書いておくと、61年から64年は大手が相手というわけではなさそうだが「Steal Away」の成功が全国展開を考えるキッカケとなった様子。ジミー・ヒューズが所属していた<ガイデン>は乗り気では無かった。(2)で触れるビル・ロウリーが手助けし、リックとダン・ペンもラジオ局へ草の根的営業活動を行い<ヴィー・ジェイ>の配給につながった(66年まで続く)。66年から68年が<アトランティック>、その後71年まで<キャピトル>に託したようだ。さらに英文解釈が上手く出来ないが、<ユナイテッド・アーティスツ>とプロダクション契約&配給契約を短期間ながら交わし、その間<リック・ホール・レコーズ>を設立し、<フェイム>スタジオを<リック・ホール・レコーディング・スタジオ>と改名している。ただし、実体的にどうなのか不明ではある。いずれにしろレーベルとしての<フェイム>は73年で終わる。まさに本盤の締めの年と一致する。

 

さて、本盤は3枚組で、84ページのブックレットに続いてディスクを入れる3ヶ所のポケットがあり、単行本より硬い表紙がついており、入れ口が開いた箱型のカバーに入れるような体裁になっている。1つのディスクに25曲×3=全75曲収録されている。各ディスクには、中に含まれている曲からタイトルが付けられている。内容を一括して説明するより、曲順通りに紹介しながら、スタジオの歴史にも触れながら進めていく流れを主体としよう。尚、<Pヴァイン>から日本盤も出ている(本盤と同じ2011年)。

 

【Disc One】Steal Away

 

1. Arthur Alexander - You Better Move On

 

<ドット>61年発。作者はアーサー本人、プロデュースはリック。ポップ・チャート24位、R&Bチャート27位。<フェイム>スタジオで録音した初のヒット曲である。この曲の売り上げで、ウィルソン・ダム・ロードのスタジオ(前記した元タバコ倉庫)からアヴァロン通りに新たなスタジオを建設した。ホテルのベルボーイを仕事にしていたアーサーをスタジオに連れてきたのはトム・スタッフォードだとする資料もある。しかし、60年にジューン・アレクサンダー名義で<ジャッド>(オーナーのジャッド・フィリップスはサム・フィリップスの兄)から「Sally Sue Brown」という曲を出しているので<ドット>盤がデビュー・シングルではない。「Sally Sue Brown」はYouTubeで聴けたが落ち着いたブルースである。

 

ドラッグストア時代から知り合いだった地元のミュージシャンを使って記念的な録音は成された。デヴィッド・ブリッグス(ピアノ)、テリー・トンプソン(ギター)、ノーバート・パットナム(ベース)、ジェリー・キャリガン(ドラムス)に加え、アコースティック・ギターがウィキペディアではフォレスト・ライリー、ライナーノーツではアール・“ピーナッツ”・モンゴメリーとされている。デヴィッド、ノーバート、ジェリーは地元でバンドを組んでいた(当時16歳)と書かれているが他は不明。また、デヴィッドは50年代後半から活躍する「ナッシュビル・キャッツ」と呼ばれる有名セッション集団のひとり。また、ノーバートと一緒に60年代後半にはスタジオを設立する。その前に3人はナッシュビルから誘いを受けて移籍したとウィキペディアに書いてあるので、3人ともナッシュビル・キャッツなのかも知れない(詳細不明)。いずれにしろこの3人が最初の<フェイム>スタジオのセッション・ミュージシャンの中心となっていた。ちなみにビリーとトムもナッシュビルで成功を収めたとライナーには書いてあるので、もしかしたら3人と関係しているかも知れない。

「黒人にとっては白い、白人にとっては黒い」とリックが述べたように、またチャートの動きが3つポップの方が上位にあったように(しかも大抵の資料がポップチャートしか記載していない)、リズム&ブルースよりはカントリー・ポップに近い。しかし、サウンド云々より前に悲しげなのに温かみも感じるアーサーのヴォーカルがこの曲の最大の魅力だろう。

 

2. The Tams - Laugh It Off

 

<ABCパラマウント>(63)。曲の作者はシンガー・ソングライターのレイ・ウィットリー。タムズの曲を多数書いている。プロデュースはリック。同じレイ作のR&Bチャート1位、ポップチャート9位の「What Kind Of Fool (Do You Think I Am)」(こちらも<フェイム>録音のようだ)の裏面。演奏陣はデヴィッド=ノーバート=ジェリーの他に(1)にも参加しているテリー、アールのふたり。加えてフルートとしてジル・シャイアーズが記録されている。アトランタのレコード関係者、ビル・ロウリー(ジーン・ヴィンセント「Be Bop A Lula」などに関わる)は<フェイム>の開設当初から大口顧客だった。タムズもアトランタ出身である。メンバーは、ジョセフ・ポープ、チャールズ・ポープ、“リトル・フロイド”・アシュトン、ロバート・スミス、ホレス・“サニー”・キー。ジョセフ(ジョー)・ポープのものと思われるしゃがれ声に切なさが込められている。

 

3. The Mark 5 - Night Rumble Pt 1

 

<ABCパラマウント>(63)。低音部を強調したクールなソウル・インスト。マーク5の活動期間は58年から60年と某資料ではなっている。同じ資料によればメンバーは、デヴィッド=ノーバート=ジェリーの他、ダン・ペン(ギター)、ジェリー・セイラー(ヴォーカル/サックス)、ドン・ヘヴリー(トランペット)、マーリン・グリーン(ギター/ヴォーカル)となっているが、別の資料ではスプーナー・オールダムとドニー・フリッツも含まれている。尚、ダン=スプーナー=ドニーはのちにダン・ペン&ポールベラーズ(棺担ぎ人)を結成している。作者は(1)(2)でセッション・メンバーとして名前が上がっているテリー・トンプソン(作者しての名義はカーティス・トンプソン、シングル盤の表記はC.T.トンプソン)。【Disc Two】の(2)でクライド・マクファターが歌っている「A Shot Of Rhythm & Blues」(オリジナルはアーサー・アレクサンダー)の作者でもある。残念ながら65年にアルコールが原因で命を落としている。プロデュースはリック・ホール。メンバーは前記の通りゴチャゴチャな感じだが、ライナーノーツには、ダン・ペンの参加は間違いないと書かれている。オーティス・レディングが聴いて、当時のバックバンドであるジェリー・ジェンキンス&ザ・パイントッパーズが取り上げたような事がライナーノーツに書いてあるが、探しきれなかった。

 

4. Tommy Roe - Everybody

 

<ABCパラマウント>(63)。本人作。プロデュースはフェルトン・ジャーヴィス(66年から77年にかけエルヴィス・プレスリーの録音を多数担当している)。ポップチャート3位(63年の年間チャートで38位)、全英チャート9位を記録した。トミーは42年アトランタ生まれ。高校卒業後GE社でハンダ付けの仕事に就きながら60年に<ジャッド>で「Sheila」をリリース。さらに62年に<ABCパラマウント>で再録音してビルボード1位を勝ち取った。「Everybody」もイントロから強く引き付けられる曲である。デヴィッド=ノーバート=ジェリーの他、ギターにボビー・ウェストが加わっている。収録アルバムは66年の『Sweet Pea』。

 

5. Arthur Alexander - I Hope They Get Their Eyes Full

 

62年に録音されて、シンガー名「Boy」として<フェイム>に保管されていた。アレック・パラオとトニー・ラウンスが発見し、今回のディスクに収録したものである。作者はダン・ペンとドニー・フリッツ。プロデュースはリック・ホール。女性コーラスがキュートな青春ソングといった風情だ。「Boy」と別にシンガー不明の「Girl」があるそうで、そちらも聴いてみたくなる曲調である。2012年に<ケント>から出した45回転盤のコンピ『The Fame Singles Box』にどちらも収録されている。

 

6. Jimmy hughes - Steal Away

 

ここまで聴いてきた流れをグッと引き締める一曲。ライナーノーツには「サザン・ソウルの基本形」と書かれている。ブルースの度合いが強く、終盤のジミーのシャウトがせつなく響く。<フェイム>(64)。本人作。リックのプロデュース。ポップチャート17位(R&Bチャートは休止中)、キャッシュ・ボックスのR&Bチャートでは2位に到達した。(1)の成功で建設に至ったアヴァロン通りの新スタジォで最初に録音された曲である。パーシー・スレッジをいとこに持つジミーは、仕事を持ちながらアラバマ州のラジオ局WZZAでゴスペルグループとしても活動していた。(1)がヒットしたのに気持ちが動かされ、<フェイム>のオーディションを受けた。最初に録音した2曲が今ひとつだったので、リックはジミーに自分で曲を書かないかと提案した。彼はゴスペル・ソングの『Steal Away』を浮気の歌に作り替えた。工場の夜勤中に1,2行ずつ書いていったという。黒人男性が不貞を勧める歌という微妙な題材(ライナーには商業主義R&Bとかけ離れたテーマと書かれている)に、さすがのリックも戸惑い(ビル・ロウリーとダン・ペンはヒットを確信していた)、デモ録音から2年後のリリースとなった。バック・ミュージシャンはデヴィッド=ノーバート=ジェリーの他コーラス陣としてダーリーン・エドルマン、ジェリー・エドルマンが参加している。のちに<フェイム>からはエタ・ジェイムス、クラレンス・カーター、ボビー・ジェントリー、テリー・ギブスがカバー、その他もR&Bチャート3位のジョニー・テイラーをはじめ、数多くのシンガーがカバーしている。

 

(つづく)

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.110 (1)

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[119枚目] ● スペンサー・ウィギンス 『フィード・ザ・フレイム : ザ・フェイム・アンド・XLレコーディングス』<Pヴァイン>(10)

 

※本文を書くに当たり、鈴木啓志さんのライナーノーツを大いに参考にしています。

 

オリジナル盤は<ケント・ソウル>から同年に出ている。そこからさかのぼること4年前の2006年に、同じ<ケント・ソウル>から<ゴールドワックス>集がリリースされているが、今回の分は<フェイム>が抱えていた録音集となっている。顛末の詳細は鈴木さんのライナーに書いてあるが、拙投稿では最初にまとめて書かず、各曲の紹介のタイミングで触れていこうと思う。

 

スペンサー・ウィギンスは、42年メンフィスの生まれ。同じ地域にジェイムズ・カー(同い年)やボビー・ブランド(12歳上)が住んでいたと言う。また、J.ブラックフット(4歳下)やホーマー・バンクス(1歳上)とは小さい頃からの知り合いだそうだ。母親がバプティスト教会の聖歌隊で歌っており、ゴスペルは身近にあった。高校時代は兄パーシー、妹マキシンとゴスペル・グループを結成していて、卒業後はパーシーと共にデヴィッド・ポーターを含むフォー・スターズに加入していた。60年代初め、グループかソロか不明だが、メンフィスのクラブで歌っていた所をクイントン・クランチにスカウトされた。まず64年にデビュー・シングル「Lover's Crime」(アイザック・ヘイズ作)を録音、<ゴールドワックス>傍系の<バンドスタンド・USA>から65年にリリースされた。その後シングルを連発するもヒットに恵まれず、69年に<ゴールドワックス>が倒産すると、<フェイム>に所属した。70年に出した(15)「Double Lovin'」(ジョージ・ジャクソン+ミッキー・バッキンス作)はR&Bチャート44位に到達したが、ヒットは続かず。73年にウィギンスは結婚してマイアミに移り、ニューバース・バプティスト教会で執事兼聖歌隊指揮者となり、ゴスペル音楽の道へと進んだ。2002~2003年には、複数のアルバムを<タヴェット>からリリースしている。2017年には待望の来日を果たしたものの、23年にその生涯を閉じた。

 

ソウル歌手時代のウィギンスの作品を最初にまとめたのは、日本の<ヴィヴィッド・サウンド>による『ソウル・シティ・USA』だった(77年)。日本のソウル・ファンが誇るべき伝説的大功績である。その時も鈴木啓志さんが関わっておられ、今回のアルバムのライナーノーツでは、その分も含めて書かれているのでより展開が見えて興味深かった。

 

本盤は全部で22曲収録されている。今回は(6)までご紹介し、残りは8曲ずつ2回に分けてまとめる事とする。尚、(4)はYouTubeに無かったので音源は無し。

 

1. I'm At The Breaking Point

 

アルバムの冒頭から、自由自在な歌いっぷりにひれ伏してしまう。<フェイム>に移籍して最初の録音は69年10月(バックはフェイム・ギャング)に行われたが、当曲と(11)「Ooh Be Ooh Be Doo」の2曲は未発表だった。ディーン・ラドランドさんの英文ライナーにはジョージ・ジャクソンの作品ではないかと書かれている。

 

2. We Gotta Make Up Baby

 

ハードなヴォーカルが炸裂する曲だ。<ヴィヴィッド>作品の表記では最後の「Baby」が取れている。本盤のライナーに記載されている曲目リストでは「We've Gotta Make Up」となっている。<フェイム>が権利を所有していた<ゴールドワックス>作品のひとつ(全6曲)。鈴木さんの考えでは6曲の内フェイム・ギャング絡みは3曲(後述)。残り3曲の内ひとつ(8)「Love Works That Way」はアメリカン・スタジオ録音(鈴木さんは68年と推測)のようだが、本曲ともう1曲(13)「Let's Talk It Over」は不明らしい。本曲の作者はクイントン・クランチ+デイヴ・ホールとなっているが、ハリウッド・フレイムス出身のドナルド・ハイトの67年作品らしい(コンポーズもドナルド本人)。不明曲分の録音は、鈴木さんによれば、バックバンドがアメリカンともフェイムとも違うようなので、リック・ホールがメンフィスにスタジオを持っていた69~71年頃ではないかという。ややこしい話だ。

 

3. This Love Is Gonna Be True

 

フェイム・ギャング以後の未発表曲で、他には(4)(10)「Make Me Yours」(18)「Hit And Ran」がある。明るい曲調だが微妙に愁いもはらんでいる。ジョージ・ジャクソン+ユージン・ウィリアムズの作品。ユージンは、オーティス・クレイの「Trying To Live My Life Without You」の作者でもある。奇しくも(4)と一緒にクレイのデビュー盤に入っている(と言うかタイトルでもある)。

 

4. Holding On To A Dying Love

 

女性コーラスが寄り添いソフトな感覚もあるが、決め所のシャウトには身が引き締まる。ジョージ・ジャクソン+ジェイムズ・ドットソン+ロナルド・タウンゼントが書いた70年の作品。オーティス・クレイが歌っているが録音はこちらが早いそうだ。ライナーの曲目リストでは「Holding On」。

 

5. You're My Kind Of Woman

 

<フェイム>から<サウンズ・オブ・メンフィス><XL>に拠点を替えて<XL>から2枚のシングルを出す予定だったがお蔵入りとなっているようだ。XL1345(ライナーでは1346と記述)が この曲と(14)「I Can't Get Enough Of You Baby」。XL1347が、(9)「Feed The Flame」で、片面は他者となっている。本曲は、ストリングスを使った広がりのあるサウンドに迫力のヴォーカルが充満する。73年の録音。

 

6. I Can't Be Satisfied

 

穏やかなサザン・ソウル。ダン・グリーア作で73年(12)「Take Time To Love Your Woman」と一緒にシングル化されている。<サウンズ・オブ・メンフィス>盤。

 

 

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2023年8月5日(土)ピントの合った文章を

晴れ。朝8時頃、玄関周りの掃除と庭の草むしりを少しだけやったのだが、強烈な熱気を感じた。その中でも、時折ふわっと風が吹き、瞬間安らいだ。しかし、蚊に食われた。


朝食は、ウグイス豆あんパン、栗あんパン、バナナ、インスタントコーヒー。


昼食は、カップ麵(とんこつ)、たこ焼き、バナナ。


日常を綴る文章ならまだしも、感想文だったり意見を発する文章だったりする時、ピントがずれる事がある。話があらぬ方向に行っても、予定通りに着地すれば文章として成り立つかも知れないが、読んでいる方はあまり面白くない。ずらし方にテクニックがあり、自然と引き付けられるなら問題ないが、あまりそういう事にはならない。


なぜこんな事を書いたかと言うと、私自身、ピントがずれる事が度々あるからだ。読み返して「寄り道」でずっこけていると、消化不良みたいな気分になる。自戒の意味を込めて書いてみた。


エンジェルス惜敗。何とも残念な試合展開。頑張ってはいるのだが、マリナーズが一段上を行っていた。


おやつに梨とマスカット。梨は甘くて美味しかった。マスカットは酸っぱいのも混じっていた。貰い物だから仕方ない。


懸賞で当たった昆布の佃煮が届いた。ひと袋の量も結構有るとヨメさん喜んでいた。


夕食は、キーマカレー、オクラ、トマトと大葉にヨメさん作のちょっと酸っぱいタレをかけて。食後にヨーグルトムース。


さて、ラグビー日本代表の国内最後のテストマッチ、フィジー戦が楽しみだ。なでしこジャパンも頑張っている。スポーツ観戦でしばしの暑気払い。


 


♪ Etta James - Steal Away


 


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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.91(2)

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[100枚目]●V.A.『HALL OF FAME』<KENT SOUL>(12)

 

13. TELL DADDY ・ CLARENCE CARTER

 

66年、<フェイム>から出した最初のシングル曲の未発表ヴァージョンである。67年にはエタ・ジェイムスに「Tell Mama」のタイトルで提供された。本家はR&Bチャート35位だが、エタの方はビルボードチャートで23位、R&Bチャートで10位の成績を上げている。リリースされた方は、ダイナミックなホーンセクションや、爽快なドラムプレイが目立つ曲だが、本ヴァージョンはドラムとオルガンで基調を作る中、カーターにしては単調な歌い方である。

 

14. YOU REALLY KNOW HOW TO HURT A GUY ・ RALPH "SOUL" JACKSON

 

スプーナー・オールダム=ダン・ペン作品。ジミー・ヒューズ65年のシングル盤でもある。ラルフは67年に<ベル>系列の<エイミー>からカントリー・ソングの「Jambalaya」とダンス曲の「Don't Tear Yourself Down」のカップリングでデビュー。リック・ホールが絡んでおり"ソウル"の称号もリックが与えた。69年にはスプーナー・オールダムのプロデュースで、クリームの「Sunshine Of Your Love」をリリースしている。本曲は、良い感じに肩の力が抜けている。

 

15. STEAL AWAY '67 (Pt 1) ・ JIMMY HUGHES

 

代表作3年ぶりの録音。オリジナルはテッド・テイラーばりの高音が冴えわたる。本ヴァージョンは終始ゆったりと展開する。やや声が枯れているのも気にはなるが、後半は懸命に歌い切っている。

 

16. I'M QUALIFIED ・ OTIS CLAY

 

ジミー・ヒューズ62年のデビュー時にリリースし、残念ながら成功に終わらなかった一曲。ジミー版は<ガイデン>で、クレイ版は<コティリオン>から出ている(70年)録音は68年のセッションとライナーにある。ジミー・ヒューズのオリジナルに比べたら、クレイのドライブ感はさすがである。

 

17. IN THE HEAT OF LOVE ・ MARJORIE INGRAM

 

69年ニューヨークの<ベネット>からシングル「I Have No Right To Love You/A Good Man Is Hard To Find」をリリースしている。録音はテネシー州で、ダン・グリアーがライターとプロデューサーである。特徴的な歌い方をする女性だが、ややパンチに欠ける。

 

18. LOVE CHANGES A MAN ・ UNKNOWN MALE

 

正体不明のシンガー。歌い方から白人ではないかとライナーにはある。曲は悪くないが盛り上がりは今ひとつ。

 

19. TOO WEAK TO FIGHT ・ CLARENCE CARTER

 

シングルは68年発売。69年のアルバム『The Dynamic Clarence Carter』にも所収。本曲は別ヴァージョン。「13. Tell Daddy」と同じく発表されたヴァージョンの方がサウンドの完成度は高く、カーターの歌い口も滑らかだ。本ヴァージョンでは、やや力が入り過ぎの感もあるが、しかしこれはこれで味がある。

 

20. YOUR HELPING HAND ・ OTIS CLAY

 

70年<コティリオン>用に録音されたが未発表に終わっている曲。67年から<フェイム>で働くミッキー・バッキンス作。重心の低いサウンドの中、ディープな歌唱を聴かせる。

 

21. TWO BIG LEGS AND AND A SHORT RED DRESS ・ O.B. McCLINTON

 

黒人のカントリー歌手だが、ジェイムズ・カー「You've Got My Mind Messed Up」「A Man Needs A Woman」の作者でもある。喋り口調のような歌い方で、ユーモアにあふれている。演奏は一段とタイトだ。

 

22. BABY COME BACK ・ BOBBY MOORE & THE RHYTHM ACES

 

「Searching For My Love」のヒットを持つグループ。<フェイム>録音で<チェッカー>発である。ビルボードチャートの27位、R&Bチャートでは7位の成績を収めている。お蔵入りの本曲だが、ライナーによれば、イントロ部分に修復不可能なダメージがあるとの事だ。勢いのあるコーラスが爽やかだ。ボビー・ムーアのサックスも効果的な彩りとなっている。

 

23. LET'S DO IT OVER ・ TRAVIS WAMMACK

 

スプーナー・オールダム=ダン・ペン作品。ジョー・サイモン、ザ・デルズ、トゥーサン・マッコール、L.C.クックも取り上げている。47年ミシシッピ州ウォルナット生まれのトラヴィスは、11歳で曲を書き音楽キャリアをスタートさせている。16歳(63年)の時に「Scratchy」でチャート1位を獲得。また、ファズトーンの開発者でもある。<フェイム>に関係したのは69年頃で、72年には自身の名前をタイトルにしたアルバムを発表している。現在も音楽活動を続けているようだ。ソウルフルとは言い難いが、味わいのあるヴォーカルだ。

 

24. FOR YOU ・ GEORGE JACKSON

 

ピアノをバックにしたデモ録音風。

 

こういった作品集は、例えばクラレンス・カーターの2作品のように、リリースしているヴァージョンに比べると“完成度”では劣るかも知れない。ただ、ソウル・ミュージックにおいては何をもって“完成”と判断するか難しい部分がある。世に出ていない曲も、ソウルフルなのは間違いないのである。ソウル・ムードを作り上げている大きな要因は、やはり演奏陣であろう。必ずしもソウルフルな歌唱と言えない作品も一定のレベルに達し、例えばオーティス・クレイのようなレジェンド級のソウル・シンガーと組み合わされた場合は、大変な摩擦熱が発生するのである。

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.91(1)

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[100枚目]●V.A.『HALL OF FAME』<KENT SOUL>(12)

 

英<エイス><ケント・ソウル>のシリーズ物の充実度には定評がある。<フェイム>関連の作品集も、次から次へと濃い内容でリリースされている。2011年に3CDで『The Fame Studios Story』が発表された翌年に本盤が登場した。全24曲中21曲が未発表トラックで、残り3曲も初CD化というソウル・ファン垂涎の作品集である。コンパイルは安定のトニー・ラウンスだ。尚、<Pヴァイン>経由で日本盤も出ている。私が所有しているのは輸入盤。

 

1. YOU'RE SO FINE ・ JAMES BARNETT

 

ジェイムズ・バーネットは1枚のシングルのみを残しているシンガーだ。ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品の「Keep On Talking」(66年)である。本曲はザ・ファルコンズ59年のヒット(R&B2位)のカバーだ。直接関係ないが、61年にロカビリー系の同姓ミュージシャンジョニー・バーネットもアルバムに入れている(綴りはBurnette)。偶然の一致だ。尚、ジョニーの方は64年に30歳の若さで亡くなっている。閑話休題。オリジナルに負けじと勢いの良い歌いっぷりを聴かせている。「Keep On Talking」が完成された感があるのに対して、本曲は粗い部分も感じ取れるのが却って魅力的に感じる。

 

2. I WORSHIP THE GROUND YOU WALK ON ・ JIMMY HUGHES

 

代表作「Steal Away」(64年作品で今回本盤に67年ヴァージョンが収録されている)で有名なジミー・ヒューズの66年のシングル盤。ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品。典型的ミディアム・サザン・ソウルに仕上がっている。エタ・ジェイムスも『Tell Mama』(68年)で取り上げている。因みに「Steal Away」も<フェイム>で62年に録音されていた盤を<ヴィージェイ>が64年に配給したという形である。そもそも彼の音楽界デビューも、リック・ホールのオーディションを受けたのがスタートである。リックがクイン・アイヴィーと共作した「I'm Qualified」をリリースしたがパッとせず、一度はゴム工場で働いていたが、ゴスペル・ソングの「Steal Away To Jesus」を参考に「Steal Away」を作り上げカムバックしている。<フェイム>との縁は深いのだ。

 

3. I DO ・ JUNE CONQUEST

 

ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品。<フェイム>での活動歴は、64年発のシングル「Almost Persuaded」しか記録にないので、本曲はお蔵入りの作品だったのだろう。ふくよかな歌い口で朗々と響く。曲は親しみやすいメロディーを持ち爽やかだ。ジューン以外に吹き込んだミュージシャンも多い。<ゴールドワックス>からヴェル・トーンズ、ダン・ペン本人、<アトランティック>からベン&スペンス、<アトコ>からスティーヴ・アライモといった所がライナーノーツには紹介されている。ジューンは、後にはカーティス・メイフィールドの<ウィンディC>や<カートム>に所属し、ダニー・ハザウェイとのデュエット「I Thank You」などを残している。

 

4. BLIND CAN'T SEE ・ RICHARD EARL & THE CORVETTES

 

女性コーラスに寄り添われて力強く歌う。作者不明の未発表曲だが、豊かな声量を生かした歌唱も含め、十分聴き応えはある。2020年発『This Is Fame 1964-1968』にも再収録されている。

 

5. TELL IT LIKE IT IS ・ BIG BEN ATKINS

 

アーロン・ネヴィル等で有名な曲ではない。アラバマ州ヴァーノン出身。<スタックス>と最初に契約した白人といわれる。傍系の<エンタープライズ>から発売されているアルバム『Patchouli』(71年)の半分ぐらいに、デイヴィッド・フッド、バリー・ベケット、ロジャー・ホウキンス、ジミー・ジョンソンといった<フェイム>のメンバーが参加しているので、その流れでの本曲録音かも知れない。小さい頃から体格が良く“ビッグ・ベン”と呼ばれていたらしい。体格通りのおおらかな歌声だ。ボビー・ブランドのような貫録を感じる局面もある。

 

6. ALMOST PERSUADED ・ JACKIE

 

3曲目で紹介した、ジューン・コンクエストがシングルで残した曲。ライナーノーツによれば、<フェイム>でバックコーラスを務めていたジャッキー・ウィーヴァーだろうという事だ。61年に<チェス>から「The Tingle」というシングル盤を出しているのが唯一の記録。本曲はドニー・フリッツ=ダン・ペン作品。甘ったるい声が特徴的だ。

 

7. WHEN IT COMES TO DANCING ・ JOE SIMON

 

名歌手ジョー・サイモンは、ローカル・エリアから<フェイム>と契約し、<ヴィージェイ>からシングルを出したのがメジャー・デビューと言える。65年にジミー・ヒューズもシングル化しているドニー・フリッツ=ダン・ペン作品。ソフトな歌い口が魅力的で、アーリー・ソウル的にも感じる。

 

8. IT AIN'T NO HARM ・GEORGE BYRD & THE DOMINOES

 

本盤がリリースされた2012年に、<ディスク・ユニオン>から本盤のプロモーションとして7インチシングル盤が250枚限定で出ている。フリップ・サイドは22曲目にあるボビー・ムーア&ザ・リズム・エイシズ「Baby Come Back」である。 ジョージ・バード名義では70年にレイ・チャールズ所有の<タンジェリン>からシングル1枚の他、ローカル・レーベルからシングル2枚リリースしている。深みのあるバラードで、哀切感が充満する。ジョージ・バード=ヘンダーソン・ハギンス作品。

 

9. KEEP ON TALKING ・ PRINCE PHILLIP

 

コンポーザーとしても著名なプリンス・フィリップ・ミッチェルである。ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品で、<マーキュリー>系の<スマッシュ>へリースされたシングル盤(68年)。軽快な乗りに合うファルセット・ヴォイスが冴えている。

 

10. I NEED SOMEONE ・ THE ENTERTAINERS

 

ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品。discogsには、メンバーとしてチャールズ・スミスとジェフ・クーパーの名前が記載してある。65年に「Too Much/I Tried To Tell You」のシングルが<チェス>にリースされている。ドゥーワップ・グループの趣を残すソウル・コーラス・グループである。

 

11. HAND SHAKIN' ・ BEN & SPENCE

 

ベンことベン・ムーアは、ソウル・デュオのジェイムズ&ボビー・ピューリファイの2代目ボビー・ピューリファイでもある。競り合うように歌うというより、声を合わせて歌い上げている。ドニー・フリッツ=エディー・ヒントン=スプーナー・オールダム作品。

 

12. MEET ME TONIGHT ・ JAMES GILREATH

 

ジェイムズ・ギルリースは白人のポップ/カントリー系のシンガー・ソングライター。曲も良く歌唱も一級のソウル・バラードだ。ギルリース本人の作品。

 

全24曲あるので、半分の時点で一旦終わり。演奏には触れていないが、躍動するベース、ソツのないドラム、味のあるギター、キレの良いホーンズ等、今更ながら安定したバックである。

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【映画】リスペクト

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アレサ・フランクリンの人生を、実に丹念に表現した映画だ。


三つ子の魂なんとやらで、幼い頃の経験(喜びも悲しみも)が彼女の人生における光となり影となり表出しているのがよく解った。人前で歌い喝采を浴びる喜びを感じる一方、愛情深いが厳格で絶対的だった父親の存在や、優しく音楽の素晴らしさを教えてくれた母親の死、年端もいかぬ状況での妊娠などなど。


父が売り込んだコロムビアレコード時代、ヒット曲に恵まれなかった状況から、アトランティックレコードのジェリー・ウェクスラーや、フェイムスタジオの面々との出会い。間でのダイナ・ワシントンの強烈な教訓も、目の鱗を剥したに違いない。一方、父親を裏返したようで実は似た部分も感じるテッド・ホワイトとの愛憎半ばする関係。不世出のシンガーをマネージメントというかコントロールしようとしていたのも悲劇の一因ではなかろうか。黒人音楽ファンとしては、ソウル・ミュージック伝説の一場面として語られる、フェイムの連中とのフィーリング任せで曲を創り上げていくシーン。ドラマチックな展開であるだけでなく、黒人音楽の本質をちらつかせている。


スター街道を進む中で、さまざまな曲が取り上げられているが、歌詞が彼女の経験や思いをいかに投影しているかという事実に気付く。スムーズに理解できる巧みな構成だ。そして、苦しい時代も率直に映像化する事で、作品の深みが増している。『アメイジング・グレイス』に至った背景と意味合いも知れて良かった。


アレサは生前、自分の役をやるならジェニファー・ハドソンにと指名していたとの事。ジェニファーもピアノの特訓など、アレサに成り切る努力を惜しまなかったとか。確かに、歌い方もかなり寄せているし、演技そのものも鬼気迫るものがあった。


素晴らしい一編だった。


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ギャングのNY詣で

フェイム・ギャングの“NY詣で”の結果生まれた傑作。アレサの歌声をどう表現したら良いのだろう。迫力、弾力、深み、温かみ、切なさ・・・あらゆる要素が含まれている。もはや歌声じゃないんじゃないか。

スウィート・インスピレイションズは最高の太刀持ち。キング・カーティスやデュエイン・オールマンの控えめなフォローも涙が出そうだ。

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すっぴんFAME

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●V.A.『ホール・オブ・フェイム』<エイス/ケント・ソウル>(12)

http://diskunion.net/black/ct/detail/XATW-00125714

<フェイム>作品の未発表曲を集めたもの。

『フェイム・スタジオ・ストーリー』というアーカイブ的にも優れた3枚組CDが出た後だし、アーティスト別の編集盤も出ている。つまり、考えようによっては、かなり堀り尽くされた後の残滓とも取られかねない。

しかし、仮にも<エイス>仕事。しかも南部ソウル。悪かろうはずがない。事前の評判も良いものばかりだったので、疑う気持ちなど微塵もなく、楽しみな気持ちの方が大きかった。

結果、十分満足のいく出来だ。それだけではなく、改めて、南部ソウル、引いては南部サウンドについて、深く想いを致すキッカケになった。

『フェイム・スタジオ・ストーリー』は、時間軸に沿って、ヒット曲を中心に並べられていたので、フェイム・サウンド(マッスル・ショールズ・サウンド)の“歩み”を楽しめた。

一方本盤は、未発表作品や別ヴァージョンを集めてある。だからと言う訳でもないだろうが、フェイム・サウンドを云々する以前の(もちろんフェイム・サウンドなのだが)、各アーティストの魅力が素の状態で出ている感がある。

例えばクラレンス・カーター「テル・ダディ」「トゥー・ウィーク・トゥ・ファイト」。ちょうどカーターの<フェイム>音源集を購入していたので聴き比べてみた。

http://diskunion.net/black/ct/detail/XAT-1245572527

世に出た物の方が、どちらも演奏の密度が高い。「テル・ダディ」のベースやホーン等、迫力満点。カーターの歌い口も「乗らされた」というと聞こえが悪いが、テンションが高い。「トゥー・ウィーク・トゥ・ファイト」も声に張りがある。

しかし、本盤のカーターにも味がある。先述のように「素の魅力」を感じ取れるのだ。哀切感で言えばこちらの方が強い。

演奏陣と歌手の丁々発止の絡みが南部ソウル(南部サウンド)の肝ではあるが、その骨格と成っている音世界を、本盤は教えてくれているのではないだろうか。練り上げていなくても、南部のおおらかさ、切なさ、熱さは十分伝わるのだ。アルバムはジョージ・ジャクソンのデモ録音「フォー・ユー」で終わっているが、この曲など特に飾っていないので同様の気持ちを強くした。

若干の蛇足。リック・ホールの言では、ジミー・ヒューズの「スティール・アウェイ」がマッスル・ショールズ・サウンドの始まりだと言う。当然『フェイム・スタジオ・ストーリー』の最初の方に収録されている。本盤には、同曲の3年後の67年版がフィーチャー。これがストレートなブルースでかなりカッコイイ。逆に素に戻したパターンだろうか・・・。

本文は、同じ頃に買った<サウンズ・オブ・メンフィス>の編集盤『ロスト・ソウル・ジェム』と並べてレビューしようかと思っていたが、分ける事にした。今回の分を書き進める事で、もう一方の魅力も見えてきた思いがする。どちらも優れた<エイス>仕事である。

http://diskunion.net/black/ct/detail/54CV120601702

♪Ralph "Soul" Jackson "You Really Know How To Hurt A Guy"
http://www.youtube.com/watch?v=TIsQUDi37JI

♪unknown "love changes a man"
http://www.youtube.com/watch?v=Sev74skHsFI

♪O.B. McClinton "Two Big Legs and A Short Red Dress"
http://www.youtube.com/watch?v=DrNZO5kAf5U

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