FAME

2023年8月5日(土)ピントの合った文章を

晴れ。朝8時頃、玄関周りの掃除と庭の草むしりを少しだけやったのだが、強烈な熱気を感じた。その中でも、時折ふわっと風が吹き、瞬間安らいだ。しかし、蚊に食われた。


朝食は、ウグイス豆あんパン、栗あんパン、バナナ、インスタントコーヒー。


昼食は、カップ麵(とんこつ)、たこ焼き、バナナ。


日常を綴る文章ならまだしも、感想文だったり意見を発する文章だったりする時、ピントがずれる事がある。話があらぬ方向に行っても、予定通りに着地すれば文章として成り立つかも知れないが、読んでいる方はあまり面白くない。ずらし方にテクニックがあり、自然と引き付けられるなら問題ないが、あまりそういう事にはならない。


なぜこんな事を書いたかと言うと、私自身、ピントがずれる事が度々あるからだ。読み返して「寄り道」でずっこけていると、消化不良みたいな気分になる。自戒の意味を込めて書いてみた。


エンジェルス惜敗。何とも残念な試合展開。頑張ってはいるのだが、マリナーズが一段上を行っていた。


おやつに梨とマスカット。梨は甘くて美味しかった。マスカットは酸っぱいのも混じっていた。貰い物だから仕方ない。


懸賞で当たった昆布の佃煮が届いた。ひと袋の量も結構有るとヨメさん喜んでいた。


夕食は、キーマカレー、オクラ、トマトと大葉にヨメさん作のちょっと酸っぱいタレをかけて。食後にヨーグルトムース。


さて、ラグビー日本代表の国内最後のテストマッチ、フィジー戦が楽しみだ。なでしこジャパンも頑張っている。スポーツ観戦でしばしの暑気払い。


 


♪ Etta James - Steal Away


 


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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.91(2)

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[100枚目]●V.A.『HALL OF FAME』<KENT SOUL>(12)

 

13. TELL DADDY ・ CLARENCE CARTER

 

66年、<フェイム>から出した最初のシングル曲の未発表ヴァージョンである。67年にはエタ・ジェイムスに「Tell Mama」のタイトルで提供された。本家はR&Bチャート35位だが、エタの方はビルボードチャートで23位、R&Bチャートで10位の成績を上げている。リリースされた方は、ダイナミックなホーンセクションや、爽快なドラムプレイが目立つ曲だが、本ヴァージョンはドラムとオルガンで基調を作る中、カーターにしては単調な歌い方である。

 

14. YOU REALLY KNOW HOW TO HURT A GUY ・ RALPH "SOUL" JACKSON

 

スプーナー・オールダム=ダン・ペン作品。ジミー・ヒューズ65年のシングル盤でもある。ラルフは67年に<ベル>系列の<エイミー>からカントリー・ソングの「Jambalaya」とダンス曲の「Don't Tear Yourself Down」のカップリングでデビュー。リック・ホールが絡んでおり"ソウル"の称号もリックが与えた。69年にはスプーナー・オールダムのプロデュースで、クリームの「Sunshine Of Your Love」をリリースしている。本曲は、良い感じに肩の力が抜けている。

 

15. STEAL AWAY '67 (Pt 1) ・ JIMMY HUGHES

 

代表作3年ぶりの録音。オリジナルはテッド・テイラーばりの高音が冴えわたる。本ヴァージョンは終始ゆったりと展開する。やや声が枯れているのも気にはなるが、後半は懸命に歌い切っている。

 

16. I'M QUALIFIED ・ OTIS CLAY

 

ジミー・ヒューズ62年のデビュー時にリリースし、残念ながら成功に終わらなかった一曲。ジミー版は<ガイデン>で、クレイ版は<コティリオン>から出ている(70年)録音は68年のセッションとライナーにある。ジミー・ヒューズのオリジナルに比べたら、クレイのドライブ感はさすがである。

 

17. IN THE HEAT OF LOVE ・ MARJORIE INGRAM

 

69年ニューヨークの<ベネット>からシングル「I Have No Right To Love You/A Good Man Is Hard To Find」をリリースしている。録音はテネシー州で、ダン・グリアーがライターとプロデューサーである。特徴的な歌い方をする女性だが、ややパンチに欠ける。

 

18. LOVE CHANGES A MAN ・ UNKNOWN MALE

 

正体不明のシンガー。歌い方から白人ではないかとライナーにはある。曲は悪くないが盛り上がりは今ひとつ。

 

19. TOO WEAK TO FIGHT ・ CLARENCE CARTER

 

シングルは68年発売。69年のアルバム『The Dynamic Clarence Carter』にも所収。本曲は別ヴァージョン。「13. Tell Daddy」と同じく発表されたヴァージョンの方がサウンドの完成度は高く、カーターの歌い口も滑らかだ。本ヴァージョンでは、やや力が入り過ぎの感もあるが、しかしこれはこれで味がある。

 

20. YOUR HELPING HAND ・ OTIS CLAY

 

70年<コティリオン>用に録音されたが未発表に終わっている曲。67年から<フェイム>で働くミッキー・バッキンス作。重心の低いサウンドの中、ディープな歌唱を聴かせる。

 

21. TWO BIG LEGS AND AND A SHORT RED DRESS ・ O.B. McCLINTON

 

黒人のカントリー歌手だが、ジェイムズ・カー「You've Got My Mind Messed Up」「A Man Needs A Woman」の作者でもある。喋り口調のような歌い方で、ユーモアにあふれている。演奏は一段とタイトだ。

 

22. BABY COME BACK ・ BOBBY MOORE & THE RHYTHM ACES

 

「Searching For My Love」のヒットを持つグループ。<フェイム>録音で<チェッカー>発である。ビルボードチャートの27位、R&Bチャートでは7位の成績を収めている。お蔵入りの本曲だが、ライナーによれば、イントロ部分に修復不可能なダメージがあるとの事だ。勢いのあるコーラスが爽やかだ。ボビー・ムーアのサックスも効果的な彩りとなっている。

 

23. LET'S DO IT OVER ・ TRAVIS WAMMACK

 

スプーナー・オールダム=ダン・ペン作品。ジョー・サイモン、ザ・デルズ、トゥーサン・マッコール、L.C.クックも取り上げている。47年ミシシッピ州ウォルナット生まれのトラヴィスは、11歳で曲を書き音楽キャリアをスタートさせている。16歳(63年)の時に「Scratchy」でチャート1位を獲得。また、ファズトーンの開発者でもある。<フェイム>に関係したのは69年頃で、72年には自身の名前をタイトルにしたアルバムを発表している。現在も音楽活動を続けているようだ。ソウルフルとは言い難いが、味わいのあるヴォーカルだ。

 

24. FOR YOU ・ GEORGE JACKSON

 

ピアノをバックにしたデモ録音風。

 

こういった作品集は、例えばクラレンス・カーターの2作品のように、リリースしているヴァージョンに比べると“完成度”では劣るかも知れない。ただ、ソウル・ミュージックにおいては何をもって“完成”と判断するか難しい部分がある。世に出ていない曲も、ソウルフルなのは間違いないのである。ソウル・ムードを作り上げている大きな要因は、やはり演奏陣であろう。必ずしもソウルフルな歌唱と言えない作品も一定のレベルに達し、例えばオーティス・クレイのようなレジェンド級のソウル・シンガーと組み合わされた場合は、大変な摩擦熱が発生するのである。

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.91(1)

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[100枚目]●V.A.『HALL OF FAME』<KENT SOUL>(12)

 

英<エイス><ケント・ソウル>のシリーズ物の充実度には定評がある。<フェイム>関連の作品集も、次から次へと濃い内容でリリースされている。2011年に3CDで『The Fame Studios Story』が発表された翌年に本盤が登場した。全24曲中21曲が未発表トラックで、残り3曲も初CD化というソウル・ファン垂涎の作品集である。コンパイルは安定のトニー・ラウンスだ。尚、<Pヴァイン>経由で日本盤も出ている。私が所有しているのは輸入盤。

 

1. YOU'RE SO FINE ・ JAMES BARNETT

 

ジェイムズ・バーネットは1枚のシングルのみを残しているシンガーだ。ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品の「Keep On Talking」(66年)である。本曲はザ・ファルコンズ59年のヒット(R&B2位)のカバーだ。直接関係ないが、61年にロカビリー系の同姓ミュージシャンジョニー・バーネットもアルバムに入れている(綴りはBurnette)。偶然の一致だ。尚、ジョニーの方は64年に30歳の若さで亡くなっている。閑話休題。オリジナルに負けじと勢いの良い歌いっぷりを聴かせている。「Keep On Talking」が完成された感があるのに対して、本曲は粗い部分も感じ取れるのが却って魅力的に感じる。

 

2. I WORSHIP THE GROUND YOU WALK ON ・ JIMMY HUGHES

 

代表作「Steal Away」(64年作品で今回本盤に67年ヴァージョンが収録されている)で有名なジミー・ヒューズの66年のシングル盤。ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品。典型的ミディアム・サザン・ソウルに仕上がっている。エタ・ジェイムスも『Tell Mama』(68年)で取り上げている。因みに「Steal Away」も<フェイム>で62年に録音されていた盤を<ヴィージェイ>が64年に配給したという形である。そもそも彼の音楽界デビューも、リック・ホールのオーディションを受けたのがスタートである。リックがクイン・アイヴィーと共作した「I'm Qualified」をリリースしたがパッとせず、一度はゴム工場で働いていたが、ゴスペル・ソングの「Steal Away To Jesus」を参考に「Steal Away」を作り上げカムバックしている。<フェイム>との縁は深いのだ。

 

3. I DO ・ JUNE CONQUEST

 

ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品。<フェイム>での活動歴は、64年発のシングル「Almost Persuaded」しか記録にないので、本曲はお蔵入りの作品だったのだろう。ふくよかな歌い口で朗々と響く。曲は親しみやすいメロディーを持ち爽やかだ。ジューン以外に吹き込んだミュージシャンも多い。<ゴールドワックス>からヴェル・トーンズ、ダン・ペン本人、<アトランティック>からベン&スペンス、<アトコ>からスティーヴ・アライモといった所がライナーノーツには紹介されている。ジューンは、後にはカーティス・メイフィールドの<ウィンディC>や<カートム>に所属し、ダニー・ハザウェイとのデュエット「I Thank You」などを残している。

 

4. BLIND CAN'T SEE ・ RICHARD EARL & THE CORVETTES

 

女性コーラスに寄り添われて力強く歌う。作者不明の未発表曲だが、豊かな声量を生かした歌唱も含め、十分聴き応えはある。2020年発『This Is Fame 1964-1968』にも再収録されている。

 

5. TELL IT LIKE IT IS ・ BIG BEN ATKINS

 

アーロン・ネヴィル等で有名な曲ではない。アラバマ州ヴァーノン出身。<スタックス>と最初に契約した白人といわれる。傍系の<エンタープライズ>から発売されているアルバム『Patchouli』(71年)の半分ぐらいに、デイヴィッド・フッド、バリー・ベケット、ロジャー・ホウキンス、ジミー・ジョンソンといった<フェイム>のメンバーが参加しているので、その流れでの本曲録音かも知れない。小さい頃から体格が良く“ビッグ・ベン”と呼ばれていたらしい。体格通りのおおらかな歌声だ。ボビー・ブランドのような貫録を感じる局面もある。

 

6. ALMOST PERSUADED ・ JACKIE

 

3曲目で紹介した、ジューン・コンクエストがシングルで残した曲。ライナーノーツによれば、<フェイム>でバックコーラスを務めていたジャッキー・ウィーヴァーだろうという事だ。61年に<チェス>から「The Tingle」というシングル盤を出しているのが唯一の記録。本曲はドニー・フリッツ=ダン・ペン作品。甘ったるい声が特徴的だ。

 

7. WHEN IT COMES TO DANCING ・ JOE SIMON

 

名歌手ジョー・サイモンは、ローカル・エリアから<フェイム>と契約し、<ヴィージェイ>からシングルを出したのがメジャー・デビューと言える。65年にジミー・ヒューズもシングル化しているドニー・フリッツ=ダン・ペン作品。ソフトな歌い口が魅力的で、アーリー・ソウル的にも感じる。

 

8. IT AIN'T NO HARM ・GEORGE BYRD & THE DOMINOES

 

本盤がリリースされた2012年に、<ディスク・ユニオン>から本盤のプロモーションとして7インチシングル盤が250枚限定で出ている。フリップ・サイドは22曲目にあるボビー・ムーア&ザ・リズム・エイシズ「Baby Come Back」である。 ジョージ・バード名義では70年にレイ・チャールズ所有の<タンジェリン>からシングル1枚の他、ローカル・レーベルからシングル2枚リリースしている。深みのあるバラードで、哀切感が充満する。ジョージ・バード=ヘンダーソン・ハギンス作品。

 

9. KEEP ON TALKING ・ PRINCE PHILLIP

 

コンポーザーとしても著名なプリンス・フィリップ・ミッチェルである。ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品で、<マーキュリー>系の<スマッシュ>へリースされたシングル盤(68年)。軽快な乗りに合うファルセット・ヴォイスが冴えている。

 

10. I NEED SOMEONE ・ THE ENTERTAINERS

 

ダン・ペン=スプーナー・オールダム作品。discogsには、メンバーとしてチャールズ・スミスとジェフ・クーパーの名前が記載してある。65年に「Too Much/I Tried To Tell You」のシングルが<チェス>にリースされている。ドゥーワップ・グループの趣を残すソウル・コーラス・グループである。

 

11. HAND SHAKIN' ・ BEN & SPENCE

 

ベンことベン・ムーアは、ソウル・デュオのジェイムズ&ボビー・ピューリファイの2代目ボビー・ピューリファイでもある。競り合うように歌うというより、声を合わせて歌い上げている。ドニー・フリッツ=エディー・ヒントン=スプーナー・オールダム作品。

 

12. MEET ME TONIGHT ・ JAMES GILREATH

 

ジェイムズ・ギルリースは白人のポップ/カントリー系のシンガー・ソングライター。曲も良く歌唱も一級のソウル・バラードだ。ギルリース本人の作品。

 

全24曲あるので、半分の時点で一旦終わり。演奏には触れていないが、躍動するベース、ソツのないドラム、味のあるギター、キレの良いホーンズ等、今更ながら安定したバックである。

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【映画】リスペクト

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アレサ・フランクリンの人生を、実に丹念に表現した映画だ。


三つ子の魂なんとやらで、幼い頃の経験(喜びも悲しみも)が彼女の人生における光となり影となり表出しているのがよく解った。人前で歌い喝采を浴びる喜びを感じる一方、愛情深いが厳格で絶対的だった父親の存在や、優しく音楽の素晴らしさを教えてくれた母親の死、年端もいかぬ状況での妊娠などなど。


父が売り込んだコロムビアレコード時代、ヒット曲に恵まれなかった状況から、アトランティックレコードのジェリー・ウェクスラーや、フェイムスタジオの面々との出会い。間でのダイナ・ワシントンの強烈な教訓も、目の鱗を剥したに違いない。一方、父親を裏返したようで実は似た部分も感じるテッド・ホワイトとの愛憎半ばする関係。不世出のシンガーをマネージメントというかコントロールしようとしていたのも悲劇の一因ではなかろうか。黒人音楽ファンとしては、ソウル・ミュージック伝説の一場面として語られる、フェイムの連中とのフィーリング任せで曲を創り上げていくシーン。ドラマチックな展開であるだけでなく、黒人音楽の本質をちらつかせている。


スター街道を進む中で、さまざまな曲が取り上げられているが、歌詞が彼女の経験や思いをいかに投影しているかという事実に気付く。スムーズに理解できる巧みな構成だ。そして、苦しい時代も率直に映像化する事で、作品の深みが増している。『アメイジング・グレイス』に至った背景と意味合いも知れて良かった。


アレサは生前、自分の役をやるならジェニファー・ハドソンにと指名していたとの事。ジェニファーもピアノの特訓など、アレサに成り切る努力を惜しまなかったとか。確かに、歌い方もかなり寄せているし、演技そのものも鬼気迫るものがあった。


素晴らしい一編だった。


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ギャングのNY詣で

フェイム・ギャングの“NY詣で”の結果生まれた傑作。アレサの歌声をどう表現したら良いのだろう。迫力、弾力、深み、温かみ、切なさ・・・あらゆる要素が含まれている。もはや歌声じゃないんじゃないか。

スウィート・インスピレイションズは最高の太刀持ち。キング・カーティスやデュエイン・オールマンの控えめなフォローも涙が出そうだ。

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すっぴんFAME

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●V.A.『ホール・オブ・フェイム』<エイス/ケント・ソウル>(12)

http://diskunion.net/black/ct/detail/XATW-00125714

<フェイム>作品の未発表曲を集めたもの。

『フェイム・スタジオ・ストーリー』というアーカイブ的にも優れた3枚組CDが出た後だし、アーティスト別の編集盤も出ている。つまり、考えようによっては、かなり堀り尽くされた後の残滓とも取られかねない。

しかし、仮にも<エイス>仕事。しかも南部ソウル。悪かろうはずがない。事前の評判も良いものばかりだったので、疑う気持ちなど微塵もなく、楽しみな気持ちの方が大きかった。

結果、十分満足のいく出来だ。それだけではなく、改めて、南部ソウル、引いては南部サウンドについて、深く想いを致すキッカケになった。

『フェイム・スタジオ・ストーリー』は、時間軸に沿って、ヒット曲を中心に並べられていたので、フェイム・サウンド(マッスル・ショールズ・サウンド)の“歩み”を楽しめた。

一方本盤は、未発表作品や別ヴァージョンを集めてある。だからと言う訳でもないだろうが、フェイム・サウンドを云々する以前の(もちろんフェイム・サウンドなのだが)、各アーティストの魅力が素の状態で出ている感がある。

例えばクラレンス・カーター「テル・ダディ」「トゥー・ウィーク・トゥ・ファイト」。ちょうどカーターの<フェイム>音源集を購入していたので聴き比べてみた。

http://diskunion.net/black/ct/detail/XAT-1245572527

世に出た物の方が、どちらも演奏の密度が高い。「テル・ダディ」のベースやホーン等、迫力満点。カーターの歌い口も「乗らされた」というと聞こえが悪いが、テンションが高い。「トゥー・ウィーク・トゥ・ファイト」も声に張りがある。

しかし、本盤のカーターにも味がある。先述のように「素の魅力」を感じ取れるのだ。哀切感で言えばこちらの方が強い。

演奏陣と歌手の丁々発止の絡みが南部ソウル(南部サウンド)の肝ではあるが、その骨格と成っている音世界を、本盤は教えてくれているのではないだろうか。練り上げていなくても、南部のおおらかさ、切なさ、熱さは十分伝わるのだ。アルバムはジョージ・ジャクソンのデモ録音「フォー・ユー」で終わっているが、この曲など特に飾っていないので同様の気持ちを強くした。

若干の蛇足。リック・ホールの言では、ジミー・ヒューズの「スティール・アウェイ」がマッスル・ショールズ・サウンドの始まりだと言う。当然『フェイム・スタジオ・ストーリー』の最初の方に収録されている。本盤には、同曲の3年後の67年版がフィーチャー。これがストレートなブルースでかなりカッコイイ。逆に素に戻したパターンだろうか・・・。

本文は、同じ頃に買った<サウンズ・オブ・メンフィス>の編集盤『ロスト・ソウル・ジェム』と並べてレビューしようかと思っていたが、分ける事にした。今回の分を書き進める事で、もう一方の魅力も見えてきた思いがする。どちらも優れた<エイス>仕事である。

http://diskunion.net/black/ct/detail/54CV120601702

♪Ralph "Soul" Jackson "You Really Know How To Hurt A Guy"
http://www.youtube.com/watch?v=TIsQUDi37JI

♪unknown "love changes a man"
http://www.youtube.com/watch?v=Sev74skHsFI

♪O.B. McClinton "Two Big Legs and A Short Red Dress"
http://www.youtube.com/watch?v=DrNZO5kAf5U

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