ホンモノ
G・C・キャメロンの『ラブ・ソングス・アンド・トラジディーズ』。マストな一枚なので全曲レヴューさせて頂きます。作品は74年、<モータウン>から発売されたものです。
恥ずかしながら70年代ソウルは数多く聴いてませんが、この作品などは70年代前半を代表する一枚でしょう。特に彼の歌唱力とウィリー・ハッチのサウンド創りの素晴らしさが印象に残ります。G・C・キャメロンはテンプテイションズの最新作に参加しており、どうも正式に加入したようです。いやはや、テンプスはホント不死鳥です。スケールが違います。
①イフ・ユー・ドント・ラブ・ミー・・・軽快な出だしですが、声は熱い。スティーヴィー・ワンダー作ですが、スティーヴィーは間違ってもこんな風には歌わない(良い意味で)。途中でファルセットに転換する所はゾクゾクします。まずは挨拶代わり。
②カム・ゲット・ディス・サング・・・冒頭から吠えます。74年の作品なのに、60年代の荒削りなソウルの世界です。シャウトに「悲痛な感じ」が混じる所はJ・ブラックフット的。ウィリー・ハッチ作。私はアルバムの2、3曲目と後ろから2、3曲目というのがよく気にかかるんですが、このアルバムではウィリー・ハッチがしっかり押さえてます。
③アイム・ゴナ・ギヴ・ユー・リスペクト・・・はい、70年代になりました。コーラスグループ仕立てで、「ショウ・ミー、ショウ・ミー・ナウ」「シュガー、シュガー、ナウ」のバックの掛け声が耳に心地よい。楽曲が良いです。ウィリー・ハッチ。
http://www.youtube.com/watch?v=EhHwiW5nhY0
④イフ・ユア・エヴァー・ゴナ・ラブ・ミー・・・また、ソウル・チルドレン辺りの感覚が底に流れています。低い部分以外の声のハスキー度が強いため、都会的なフレーズもディープに包まれています。ドクターでソウル評論家の高沢仁氏が「コンテンポラリー・ディープ・ソウル」と名付けたタイプのソウルの範疇に入ると思います。
⑤レット・ミー・ダウン・イージー・・・これもコーラスグループ仕立て。この曲はじゃっかんヒットしたそうです。ファルセットの多用で、とてもオシャレな感じもします。しかし、シャウトとファルセットと、どちらも使うタイミング、各々の味わいと抜群ですね。ヴァン・マッコイ絡みです。
http://www.youtube.com/watch?v=y6EgwGHMNKQ&feature=related
⑥オール・イン・ラブ・イズ・フェア・・・「ちょっと落ち着け」とばかりにシットリとしたバラードです。もしやと思いきや、やっぱりスティーヴィー。今更ながら凄いメロディメイカーだわ。もっと今の人にもたくさん曲を書いてくれんかなあ。リスペクトはされてますけどね。良い曲だけど、正直言ってこれはスティーヴィーが自分で歌った方が良さそう・・・ああそうか、あまり「作曲者のイメージが強すぎる」というのも考え物か?
⑦リヴァーボート・・・バラードが続きます。鈴木啓志さんがライナーで書いてますが「映画音楽的」。凹凸が無いですね。こういうのもやりたかっんだろうか?
⑧ユア・ラブ・ウォント・ターン・ミー・ルーズ・・・三たびウィリー・ハッチで安心のソウル・サウンド。ギターのカッティングやしなやかに動き回るベース、控えめなストリングス、タイミングよく入るホーン陣・・・良い仕事してます。ウィリー・ハッチみたいな人は体に染み付いているんでしょうね。G・C・キャメロンも実に気持ち良さそう・・・。
http://www.youtube.com/watch?v=wwZidhWj9Vc
⑨ユー・フォガット・トゥ・リメンバー・ミー・・・泣きのソウルバラードです。「ユー、フォガット」と冒頭切々と歌う所は言葉の壁を越えます。「君はボクの事を忘れたのかい」と心に聴こえます。もうそれ以上の歌詞が要りません。聴く人に感銘を与える、しかもホンのワンフレーズで・・・こういうのが真のソウルシンガーです。後ろのゴスペル風女性コーラスもじんわりしんみり路線です。
⑩ティッピン・・・おお、最後は本人の曲ですか・・・期待するほどのものではないです。ちょっと歌いながらモタモタしている感じ。かえってやりにくいのかな?・・・いや後半なかなか盛り上がってきました。リキが入ると締まります。しかし、9曲目で終わった方が良かったかも・・・。
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