ブラックフットのブラック・フィットネス
●J・ブラックフット『フィジカル・アトラクション』<サウンドタウン>(84)
http://www.discogs.com/J-Blackfoot-Physical-Attraction/release/1700955
伝説的なソウル・ユニット、ソウル・チルドレンを雄々しく牽引していたJ・ブラックフット。ソロになってからも、11年に亡くなるまで印象深い作品を残し続けた。ハード・シャウトの勢いは衰えても、心に届く感動の量は変わる事がなかった。
本盤は、名曲「タクシー」を含む『シティ・スリッカー』(初ソロ作)の後に出された作品。オーソドックスな前作に比べ、微妙に変化が付けてあり、これはこれで面白い。
オールド・ソウルの領域で、サム・ディーズと並ぶ名コンポーザー、ホーマー・バンクスが全面的にフォローしていて、演奏陣もかなりの手練れ揃い。80年代特有のピコピコ音も関わりはするが、基本的には60年代後半~70年代初期、正にソウル・チルドレンのムードを引き摺っており、オールド・ソウルファンの胸を熱くする。
2曲目は「タクシー」のパターンを踏襲しているが、二番煎じとは言いきれない出来の良さ。いかにもソウル・チルドレンがやりそうな3曲目や、サム&デイヴの6曲目は抜群の乗りの良さ。或いは、ボビー・ウォーマックの「ザッツ・ザ・ウェイ・アイ・フィール・アバウト・チャ」に、曲調もタイトルも似ている5曲目で聴かせる哀切感は、終始変わらぬブラックフットの魅力だ。ラストはタイトルもそうだが、アフリカの大地を連想させる。西インド諸島の民謡(宗教歌)だそう。ピート・シーガーらもカバーしている。ソウルの基本となるゴスペルの根っ子みたいなものを感じる。
ブラックフットのアルバムが出る度に、オールドソウルファンは、自分達の拠り所を再確認しただろう。本盤のタイトルは性的な意味合いがあるそうだが、私には、彼とファンとの密接な関係を暗示しているようにも思える。まだまだ、ソウル・フィーリングを失わないベテランは沢山いるが、ブラックフットは最後までイキイキしていただけに、喪失感も大きかった。
♪"Hiding Place"
http://www.youtube.com/watch?v=aHtup7u2pT0
♪"I Don't Remember Loving You"
http://www.youtube.com/watch?v=JhYl-afD4sE
♪"Don't You Feel It Like I Feel It"
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