ラティモアは豊かな低音が第一の魅力か。しかし、中低音といった感じで、へヴィーというよりは心地好い張りを感じる。ジョージ・ジャクソン作の4曲目など、南部風味も手伝ってかクラレンス・カーターを連想した。高音部に関してもやや矯めてから吐き出す感じで哀切感を呼ぶ。ソウル・シンギングの善き体現者だ。演奏陣には後期<フェイム>のスワンパーズも一役買っている。また、元ステッペンウルフのギタリスト、ラリー・バイロム。ブルージーではないが伸びのある音を聴かせる。ラストはロッド・スチュワートの「今夜きめよう」。大胆にブルース化していて思わずほくそ笑む。何よりロッドが喜ぶのじゃないかな。
♪"Long Distance Love"
https://www.youtube.com/watch?v=oDwsWq4ppi8
♪"Out to Get'cha"
https://www.youtube.com/watch?v=tDf5t6DsTcA
♪"Ain't Nothig But A Sweet Woman's Love"
https://www.youtube.com/watch?v=GZfO8a8OVF0

●『イット・エイント・ホウェア・ユー・ビーン』<グレイズ/パーロフォン>(76)
http://ongakumeter.com/m/B00GZ3RUHW
こちらはキーボード奏者としてのラティモアも楽しめる。1曲目から、ベースと電子ピアノがメロウに絡み、しなやかで黒いグルーヴが生まれている。ライナーで新井崇嗣さんが表現されているように「夜の帳」を彷彿とさせる。考えてみれば、『ディーパー』の方は陽光が似合う感じだ。しかし、もちろん、本盤が暗いという訳ではない。ディープな曲調の物でも沈鬱には感じない。逆に、アッパーな曲もスタイリッシュに決まっている。ベティ・ラヴェットもそうだが、「マイアミ・ソウル」とは沈み込まないディープさと、抑制の効いた明るさの両方を兼ね備えているようだ。だから何度でも聴ける。
♪"It Ain't Where You Been"
https://www.youtube.com/watch?v=3SfpofKEzTE
♪"Something 'Bout 'Cha "
https://www.youtube.com/watch?v=6t0CK45nUQw
♪"Sweet Vibrations"
https://www.youtube.com/watch?v=3HZq58wImJI
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