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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.49

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[58枚目]●デルフォニックス『フォーエヴァー・ニュー』<ヴォルト/Pヴァイン>(00)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/XATW-00092159

※本文を書くに当たり、森島繁美さんのライナーを大いに参考にしています。

メンフィス・ソウルの重要レーベル<ヴォルト>の復活は、当時話題を呼んだ。本盤のデルフォニックス以外にも、ドラマティックスやL.J.レイノルズ等、いずれも評価は高かったように記憶する。

ただ、新生<ヴォルト>は、西海岸を拠点としていた。すなわち、フィリー・ソウル界のレジェンドたるデルフォニックスが、元はメンフィスで、西海岸在のレーベルから発信するという、ちょっと面白い状況とも言える。

では、デルフォニックスの歴史を辿ってみよう。中心人物はウィリアム・ハート。高校時代に、兄弟のウィルバートと、リッチー・ダニエルズ、ランディ・ケインと結成。66年に初録音、68年、ダニエルズが脱退。ソウル史に残る傑作「ラ・ラ・ミーンズ・アイ・ラブ・ユー」も68年の作品だ。71年、ランディが脱退し、ブルー・マジックを結成。代わりに参加したのがメイジャー・ハリス。ところが、75年前後、ハリスとウィルバートは、元フューチャーズのフランク・ワシントンとチームを組み、デルフォニックスを名乗る。ソウル・グループに時折見られる「分裂」だ。ハリスは同時にソロ活動に勤しみ、名盤『マイ・ウェイ』(74)を生み出した。メイジャー・ハリスに関しては、どちらかと言えば、デルフォニックスのメンバーとしてより、あの伊達男風イラストジャケを思い起こす人が多いかも知れない。一度別れたものの、80年、ハリスは再度ウィリアム・ハート側の本家?デルフォニックスに戻る。何と、同時にランディ・ケインも里帰りした。

中々ややこしいが、今回ご紹介するアルバムのメンバーは、ハート、ハリス、そしてフランク・ワシントンの3人だ。その後をあえて付け加えるなら、12年にメイジャー・ハリスは亡くなっている。ウィリアム・ハートは今もデルフォニックスを率いて活動を続けているようだ。フランク・ワシントンは03年~09年までスピナーズに在籍。その後はソロ活動をしているようす(明確には把握できず)である。尚、83年の12インチ「アイス」がYouTubeに上がっており、今でいうブギー調の軽快な曲だ。この人も中々の歌い手だが、ソウル・シンガーとしては当たり前のレベルだ。

さて、内容。

①タイトル曲は、「すべり出し」にふさわしく、軽快である。

②「シーズ・ザ・カインダ・ガール」は、静かに始まり、美しく盛り上がる。そもそも、ほぼ全ての曲がそうだが。

③「マイ・ワールド・リヴォルヴズ・アラウンド・ユー」は、メイジャー・ハリス→ウィリアム・ハート、ハート+女性コーラスという展開。終盤、ハリスも軽く加わる。やや、ハリスの枯れた声が気になる。

⑥「ノー・ワン・ノウズ」は、ララルララ~のリフレインが印象的な曲。

⑧「ブレイク・ユア・プロミス2000」は、打ち込みの軽いシンコペーションが心地好い。

⑨「サムウェア・イン・マイ・ライフ」は、よりゆったりしたバラード。

⑪「ルールズ・オブ・ザ・ゲーム」は、打ち込みを効かせている。

⑫日本盤オンリーのボーナス曲は、タイトル曲のインスト。

デルフォニックスは、ウィリアム・ハートのハイ・テナーが全てと言ってしまうとあんまりだろうが、中心的役割を担っているのは否めない。本盤でも、メイジャー・ハリス、フランク・ワシントンを抑えて目立っている。なんだかんだと、ハートの甘い声に満ちた一枚である。森島さんはもう少し変化があれば、更に良かったのでは、と書かれている。確かに、時代を意識したアルバムの完成度を考えたらそうかも知れない。ただ、ウィリアム・ハートの絶妙な歌声を思う存分堪能する。そんな保守的な聴き方でも良いような気がする。従って、現代R&Bファンより、オールドソウルの呪縛から抜けきれないタイプの人向けである。

①Forever New

https://www.youtube.com/watch?v=wNKArinQIgo

②She's The Kinda Girl

https://www.youtube.com/watch?v=HnkodKlZUvg

⑥No One Knows

https://www.youtube.com/watch?v=eEidXyCXFY4

⑨Somewhere In My Life

https://www.youtube.com/watch?v=RbM39-v7OVo

Major Harris - Love wont let me wait

https://www.youtube.com/watch?v=-xItIxyykXk

FRANK WASHINGTON - Ice   

https://www.youtube.com/watch?v=-Y3GgrHM9ZQ

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.48

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[57枚目]●レディシ『ピーセズ・オブ・ミー』<ヴァーヴ>(11)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/51C110614002

経歴のはじまりは、自分の名前も冠した<LESUN>レーベルからヴァージョン違いも含め2枚。因みに「SUN」の方は、コンポーザー、プロデューサーとして名を成すサンドラ・マニングなる人物。この時期は、アーシーでジャジーなネオ・ソウル系、オーガニック・ソウル系ミュージシャンとして評価されていた。<ヴァーヴ>に移籍してからは、メリハリのある伸びやかな現代R&Bサウンドを展開している。

拙ブログの過去記事でも触れているので、先ずは貼り付けて置きます。

http://hajibura-se.cocolog-nifty.com/blog/2009/09/post-978a.html

<ヴァーヴ>での第二弾となる本作は、ジャズ界・R&B界双方で活躍しているレックス・ライドアウトの協力も大きい。朗々というより、切羽詰まったような感じの歌い方を生かしたサウンド創りが成されている。特に⑥「ヘイト・ミー」以降は怒涛の勢いだ。「切ない迫力」とでも呼びたくなるようなレディシ・ワールドに、ただただ引き摺られる。

①「ピーセズ・オブ・ミー」は、序章の趣で、アルバムへの期待感が高まる。②~⑤は、悪くはないが後半に比べれば無難。④「ステイ・トゥギャザー」のデュエット相手ジャヒームも、熱気を孕む域まではいかない(曲調の縛りもあるだろうが)。私のお気に入りプロデューサー、ケイジー作品⑤「コーヒー」も今ひとつ。

だが、前述したように、そこから先の充実度が凄い。⑥「ヘイト・ミー」はタイトルからして重そうだが、曲調も緊張感があり、彼女なりのゴスペルと言えるかも。ギターのカッティングに心躍る⑦「シャット・アップ」。思わず口ずさみたくなるサビを持つ⑧「シャイン」。少しクリセット・ミッシェルを思わせる曲調に、彼女のヴォーカルの切迫感が存分に生きる⑨「アイ・ミス・ユー・ナウ」。オールディーズな出だしだが、やがて彼女の熱唱ペースに巻き込む⑩「BGTY」などなど何度でもリピートできる充実度である。

クリセット・ミッシェルの名を挙げたが、クリセットの場合は曲の構想が面白く、アルバム全体の統一感の中に自らの歌唱を組み入れていると思う。一方、レディシは極端に言えば曲は関係なく、彼女のヴォーカルの魅力にすべて収束される気がする。貴重で稀有なシンガーだ。

①Pieces Of Me

https://www.youtube.com/watch?v=McUj4t3TkPA

⑥Hate Me

https://www.youtube.com/watch?v=HMaC3qlLFbs

⑦Shut Up

https://www.youtube.com/watch?v=Rcy-F--9nGU

⑨I Miss You Now

https://www.youtube.com/watch?v=Pi6YxOFLYbc

⑪Raise Up

https://www.youtube.com/watch?v=Ilp2eL6FNEE

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.47

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[56枚目]●V.A.『ブルース・ジュビリー』<ヴォーグ>(87)

「ブルースの祝祭」と題された本CDは、ダイナ・ワシントン、ジミー・ウィザースプーン、ヘレン・ヒュームズ、ジョー・ターナーのライブ録音を集めたもの。4人が一堂に会したものではない。会場は同じでも、開催年や開催月が違っている。しかし、聴衆を大いに湧かせているところは共通している。聴衆側のレスポンスも鋭く、ライブ盤ならではの臨場感が愉しめる一枚だ。英文ライナーなので正確には読み取れないが、黒人のオーディエンスが多く、やりやすい環境だったようだ。

一番手は、ダイナ・ワシントン。L.A.のシュライン・オーディトリアム、50年7月のステージだ(当時26歳)。潤いに満ちた歌声は、ヴォリュームが上がっても当たりが柔らかく、艶っぽい。ダイナのクオリティーの高さがここでも味わえる。

収録曲は①「クール・カインド・パパ」②「イット・イズント・フェア」③「ベイビー、ゲット・ロスト」④「アイ・ウォナ・ビー・ラヴド」⑤「ファスト・ムーヴィン・ママ」。

これらをYouTubeで改めて聴くと、一様にゴージャスな雰囲気が先に立つ。それでも良いのだが、小じんまりとしたバンド編成の本ライブでは、ダイナの歌唱が全体を引っ張っていて彼女をとても身近に感じる。各曲歌い出しで強烈な歓声が上がり、曲の途中でもドッと沸き大いに盛り上がっている。⑤では自分の名前を歌詞に入れたりして、ダイナも気分上々だ。

It Isn't Fair

https://www.youtube.com/watch?v=HE8SIkw1RUA

I Wanna Be Loved

https://www.youtube.com/watch?v=VnOyyH0hzx0

Fast Movin' Mama

https://www.youtube.com/watch?v=OoY4WvMmZBg

ジミー・ウィザースプーンのステージも圧巻だ。会場はパサデナのシヴィック・オーディトリアム(49年)とL.A.とだけ記載された50年(当時27歳)のステージ。コクのある歌声は、発するだけでブルースの薫りが広がる。サックスを始め演奏陣も素晴らしい。曲目は⑥「エイント・ノーバディ・ビジネス」⑦「ノー・ローリン・ブルース」⑧「ビッグ・ファイン・ガール」⑨「フォーリング・バイ・ディグリーズ」⑩「ニュー・オーリンズ・ウーマン」⑪「アイ・ガッタ・ギャル」。⑨~⑪はCD化に際し加えられた曲である。

ジミー編も観客の乗りは凄く、バンドメンバーの合いの手なのか、客のそれなのかよくわからないものもあって面白い。ジミー・ラッシング→(本盤にも登場する)ジョー・ターナー→ジミー・ウィザースプーンというのは一つの系譜だが、例えばボビー・ブランドのような歌手に比べると、一般的ブルース・ファンには敬遠されがちだ。私はジャンプ・ブルースを聴いてきたからそうでもないのだが、彼らの朗々として、スイング感のある歌い口に含まれるブルース濃度は相当なものである。未体験の方には是非ともお勧めする。

Ain't Nobody's Business

https://www.youtube.com/watch?v=XyUaweAQ1hA

No Rollin' Blues

https://www.youtube.com/watch?v=SUfsuomKS8g

Big Fine Girl

https://www.youtube.com/watch?v=yRG2LTGYziU

New Orleans Woman

https://www.youtube.com/watch?v=g_v4PUswyzA

キュートな歌声が魅力的で、昔から好きだったヘレン・ヒュームズ。余裕のある歌い方が可愛らしさを増す人だが、ここではライブのせいもあってか、彼女にしては結構ガツガツと歌っている。ダイナ・ワシントンと同じ会場で、ダイナの一か月後50年8月のステージだ(当時37歳)。⑫「ミリオン・ダラー・シークレット」⑬「イー・ババ・リ・バ」⑭「アイム・ゴナ・レット・ヒム・ライド」⑮「イフ・アイ・クッド・ビー・ウィズ・ユー」⑭⑮がCD化時プラス曲。

Million Dollar Secret

https://www.youtube.com/watch?v=0aiMHwWmOHQ

I'm Gonna Let Him Ride

https://www.youtube.com/watch?v=iYDmF74ozHI

If I Could Be With You

https://www.youtube.com/watch?v=Y1bza7TauOw

ヘレンと同じく、前二人と比べると世代が上になるジョー・ターナー。「フリップ、フロップ・アンド・フライ」形式の曲が多いが、その都度新鮮な乗りが生まれているのはさすがである。特にラスト曲では「ハイヨー・シルバー!」のフレーズを、キャブ・キャロウェイ風に色んな歌い方で聴かせ、エンターテイナー振りを発揮している。シュライン・オーディトリアム55年のステージ(当時44歳)。⑯「フリップ、フロップ・アンド・フライ」⑰「3オクロック・イン・ザ・モーニング」⑱「アップ、アップ・アンド・アウェイ」⑲「ブルース」⑲はCD化時プラス曲。

Flip Flop & Fly

https://www.youtube.com/watch?v=aNpvOUmXglM

The Chicken And The Hawk (Up, Up And Away)

https://www.youtube.com/watch?v=8HenlUP32Ng

文中にも書いたが、ダイナ・ワシントンとジミー・ウィザースプーンに比べ、ヘレン・ヒュームズ、ジョー・ターナーはほぼ10歳年上である。新旧世代として並べるのもあまり意味がないかと思うが、やはり若干ダイナとジミーの方がより充実しているかなあと個人的には思う。とはいえ、4名とも高いエンターテインメント性を発揮した、好盤だと結論づけたい。中々手に入りにくいアルバムかも知れないが、興味を持たれたら、LPよりCDの方が良いかと思う。尚、貼り付けた動画と本盤の内容に開きがある事は、再度強調しておく。

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.46

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[55枚目]●ファンカデリック『ファンカデリック』<ウエストバウンド>(70)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/1006163826

ジョージ・クリントンの自伝『ファンクはつらいよ』に拠ると、ファンカデリックの「デリック」は、サイケデリックの「デリック」だそうだ。時代の趨勢もあるだろうが、確かに、本盤のサウンドは、後のファンカデリックに比べるとサイケデリック度が強い。

また、強調しておきたいのは、彼らのブルース・フィーリングの豊かさである。⑥「クオリファイ&サティスファイ」に至っては、「フーチー・クーチー・マン」よろしくストップタイムをキメている。サイケデリックとブルースは近しい関係なのかも知れないが、本盤を聴くと特に感じる。更に、サイケと言うとカオス的なイメージがあるし、本作にも感じ取れるが、決して収拾がつかないような混沌ではなく、確固としたバンド・サウンドが基本としてある。当たり前かも知れないが・・・。ただ、職人集団としての魅力と同じぐらいに、ユーモア精神に支えられたエンターテイナーぶりも絶賛したい。

①「マミー、ホワッツ・ア・ファンカデリック?」は怪しげな音で始まり一挙にサイケデリックな世界へ。ヴォーカルと言うより囁き、ブルースハープ、女性コーラス、ギターがドップラー効果のように浮遊する。

②「アイ・ベット・ユー」は、いなたいスライみたい。次第に音の渦に吸い込まれる。③「ミュージック・フォー・マイ・マザー」は訥々とした語り調とアーシーなコーラスのリフレイン。

④「アイ・ガット・ア・シング、ユー・ガット・ア・シング、エブリバディーズ・ガット・ア・シング」。ファンキーなギターのカッティングが先導。高速な演奏だが曲の展開自体はゆったりめで、バランスが絶妙。自然なグルーヴに揺れる。⑤「グッド・オールド・ミュージック」。ドラムの音の転がり、ギターのトロンとした感じは絶妙。オルガンも好い味。ラストの「ホワット・イズ・ソウル」も、ちょっとダブみたいな部分も含め、感覚が黒い。

ファンカデリックは、このアルバムを出す前からデトロイトでは人気を博しており、満を持してのリリースだった。Pファンク軍団を語るのに、ジョージ・クリントンの存在が欠かせないのはもちろんだ。よく言われるように、細かい部分まで指示を出し、統率しているJBと違い、メンバーは一見自由に振る舞っているように思える。しかし、乱れてはいない。全員がジョージの“思想”を解釈し世界観を創っているのではないだろうか。正に「ワン・ネイション・アンダー・ア・グルーヴ」である。軍団の歩みを最初に纏めた本アルバムにも強く感じる。

最後に、メンバーを表記通りに書いておく。エド・ヘイゼル(リード・ギター、ヴォーカルズ)。ビル・ネルソン(ベース、ヴォーカルズ)。タウル・ロス(ギター)。チキ・フルウッド(ドラムス、ヴォーカルズ)。ミッキー・アトキンス(オルガン)。

MOMMY, WHAT'S A FUNKADELIC?

https://www.youtube.com/watch?v=c-53pFRA9IQ

I Got A Thing, You Got A Thing, Everybody's Got A Thing

https://www.youtube.com/watch?v=zGVTEP0xoiw

Qualify And Satisfy

https://www.youtube.com/watch?v=lhXsfQQOs6s

(Full Album)

https://www.youtube.com/watch?v=4vYZ0LQkWo0

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.45

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[54枚目]●ボビー・ブランド『メンバーズ・オンリー』<マラコ>(85)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/1006543043

※本文を書くに当たり、高地明さんのライナーを大いに参考にしています。

ブルース界を代表するシンガー、ボビー・ブランドの<マラコ>デビュー作。私が持っているのは、96年に<Pヴァイン>がリイシューしたCDで、オリジナルと同内容だ。どす黒いブルースから、ハートウォーミングなソウルまで存分に味わえる内容となっている。

①「メンバーズ・オンリー」は、何度聴いても心が和む名曲だ。ジャケットに写る、ボビーの屈託のない笑顔を眺めながら聴くと、たしかに心の傷口も塞がりそうである。

②「イン・ザ・ゲットー」は、エルヴィス・プレスリーで有名な曲。エルヴィスの歌唱は、淡々としながらも、深みと安定感を感じるが、ボビーも同様だ。次の曲から、怒涛のブルース攻撃が始まるので、良い感じのワンクッションになっている。

③「アイヴ・ジャスト・ガット・トゥ・ノウ」④「ストレイト・フロム・ザ・ショルダー」(④トミー・テイト作)と、王道ブルースが続く。流石の仕上がりである。⑤「スウィート・ウーマンズ・ラブ」(③と合わせジーター・デイヴィス作)はブルーズンソウル的、⑥「キャン・ウィー・メイク・ラブ・トゥナイト」(フランク・O・ジョンソン作)はソウル色が濃く、③→④→⑤→⑥とだんだん曲が“ほぐれていく”ようにも思えた。

ジョージ・ジャクソン作が2曲。⑦「スウィート・サレンダー」は、ソリッドな乗りにボビーのディープ・ヴォイスが絡み、大人のコクが生み出されている。もう一曲「ハート・オープン・アップ・アゲイン」はラストに配置。「メンバーズ・オンリー」同様に、悲しみを癒すような歌声が漂う。凡百の歌手とひと味違うのは、力みのない力強さに裏打ちされている点だろう。

間に挟まれたリトル・ウィリー・ジョンの「アイ・ニード・ユア・ラブ・ソー・バッド」は、リズム&ブルース感覚が良い味を出している。

<マラコ>の総帥であり、ウルフ・スティーブンソンと共にサウンド・プロデュースも手掛けるトミー・コウチは、本作のコーディネーターとして、ボビーと旧知の間柄であるメルヴィン・ジャクソンを起用した。ある意味「メンバーズ・オンリー」な環境を目指したのかも知れない。ギターには、ジミー・ジョンソン、バッキング・ヴォーカルにジュウェル・バスやジョージ・ソウレの名も。

Members only

https://www.youtube.com/watch?v=A_ns18S7gHM

In the ghetto

https://www.youtube.com/watch?v=j-RLL0XhJbs

Straight From The Shoulder

https://www.youtube.com/watch?v=pSo47llUMWg

Sweet Woman Love

https://www.youtube.com/watch?v=VyzfUAeq8Jc

Can We Make Love Tonight

https://www.youtube.com/watch?v=v0qfxq_rSSs

Heart, Open Up Again

https://www.youtube.com/watch?v=pOA_dI6c8n0

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.44

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[53枚目]●アン・ネスビー『アイム・ヒア・フォー・ユー』<パースペクティヴ>(96)

https://www.discogs.com/Ann-Nesby-Im-Here-For-You/release/584030

ゴスペルの爽快な迫力と、現代R&Bの軽快なリズムが融合したサウンドで話題を呼んだ、サウンズ・オブ・ブラックネス(以下SOB)。リード・シンガーの一人だった、アン・ネスビーのソロ第一作が本盤だ。SOBをブレイクさせたジャム&ルイスの仕事である。

必ずしも、打ち込みばかりではない。2曲目の「アイム・スティル・ウェアリング・ユア・ネイム」で早くも、ペリ・シスターズのゴスペルライクなコーラスを従え、余裕の歌唱を聴かせる。時々アレサを思わせるが、若干潤いが足りない感じも。そもそもこの人、全般的に聴き疲れする。極私的感想ではあるが・・・。

③「イフ・ユー・ラブ・ミー」は、メアリー・J・ブライジが似合いそう。この曲への乗り方は好き。

⑤「(ホワット・ア)・ラブリー・イブニング」⑥「アイル・ドゥ・エニシング・フォー・ユー」は、しっとりと歌い上げる。シャウトもこの程度に抑えて欲しい。アン・ネスビーは、パティ・ラベルやグラディス・ナイトに曲を書いているそうだが、その予備知識のせいか、⑥ではパティを連想した。

⑧「スリル・ミー」や⑭「アイル・ビー・ユア・エブリシング」は打ち込みだが、引き摺り気味のリズムが自然に身体を揺らす。本盤では、この辺の曲が気に入った。

⑨「ホールド・オン」は、高速スキャットが微笑ましい。スティーブ“シルク”ハーレイのプロデュース。

⑩「イン・ザ・スピリット」。リズムの刻み方は好きなのだが、シャウトを頑張り過ぎ。

⑪「ディス・ウィークエンド」。オールドソウル色濃い。シャウトの出しどころも良かった。

⑫「キャン・アイ・ゲット・ア・ウィットネス」も、ちょっと感覚が違うなと思ったら“シルク”ハーレイがコ・プロデュース。12インチ向けの曲みたい(勝手な推測)。

タイトル曲⑬は、アーバンというか、ほとんどポップス的R&B。

⑮「レット・オールド・メモリーズ・ビー」⑯「ロード・ハウ・アイ・ニード・ユー」と、正統ゴスペルで締める。

順調にソロ活動を重ね、ミュージカル女優としての顔も持つアン・ネスビー。最近の活躍ぶりを詳細には把握していないが、確固たる地位は築いているようだ。 本盤に限って言えば、買っても損はない一枚。ジャム&ルイスのポイントが高い気はするが・・・。

If You Love Me

https://www.youtube.com/watch?v=IjIYSJ-0810

I'll Do Anything For You

https://www.youtube.com/watch?v=kaA7lcnr05E

Thrill me

https://www.youtube.com/watch?v=tXTzQK2GraY

This Weekend

https://www.youtube.com/watch?v=KtQOk4ygC24

I'll Be Your Everything

https://www.youtube.com/watch?v=94dc5JanQ7c

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.43

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[52枚目]●ダーティ・ダズン・ブラスバンド『ホワッツ・ゴーイン・オン』<シャウト/ジェネオン>(06)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/XAT-1245302911

マーヴィン・ゲイの『ホワッツ・ゴーイン・オン』を、曲順もそのままにカバーした作品。マーヴィンへのオマージュというより、元盤が持つメッセージ性の高さを憑依させたかのようだ。本盤の主題は、ハリケーン・カトリーナ。未曾有の大災害に対して、政府は早い段階で補助を打ち切った。黒人低所得者層の住民が多い地区だったからか、対応は遅々として進まず。やむなく商店に駆け込む住民を「暴動」の一言でマスコミは片付けた。

①「ホワッツ・ゴーイン・オン」では、低音の響きが、根の深い怒りを思わせ、身が引き締まる。歌の代わりにラップが入り、ストイックなラッパー、チャックDが務める。自らの政治生命の終わりを覚悟したというニューオーリンズ市長の政府非難とも取れるインタビューのサンプリングで始まる。ところで、この市長、後に収賄で捕まっており、何やら釈然としない部分もある。

②「ホワッツ・ハプニング・ブラザー?」は、ベティ・ラヴェットの訥々としたしゃがれ声が、主婦目線の訴求力を生んでいる。

他に、このアルバムのゲスト・シンガーは、アイヴァン・ネヴィルとG・ラブだが、いずれも淡々とした歌い口で、アルバム全体が「冷静な表現」に満ちている。ブラス・サウンドならではの温かみも功を奏している。また、「メッセージ性」を強調すると、堅苦しい印象を与えるが、③「フライン・ハイ」⑦「ライト・オン」などは、ファンキーなタッチが心を躍らせる。

日本盤には、カトリーナに関する詳細な状況も交えたライナーもあり、音と合わせて非常に有意義な一枚ではある。しかしながら、今回カトリーナに関して自分なりに検索しても、2015年の記事までしか見当たらず、過去の出来事として葬られてはいないか心配な部分もある。

アルバムとしての完成度も高い一枚。未曾有の大災害を再度想起する契機にもなる。

What's Going On by the Dirty Dozen Brass Band featuring Chuck D

https://www.youtube.com/watch?v=FxwUz_Qw-gM

What's Happening Brother Lyrics

https://www.youtube.com/watch?v=MiIBnQ9dBrs

Flyin' High (In The Friendly Sky)

https://www.youtube.com/watch?v=jjdS6Y-vvhM

Inner City Blues (feat. Guru)

https://www.youtube.com/watch?v=uobGgxy0fq4

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.42

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[50枚目]●ミリー・ジャクソン『アン・イミテイション・オブ・ラブ』<ジャイヴ>(86)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/50CS130730002

私が苦手なタイプの、ドッタンバッタン・サウンドが主流の曲も多く、ミリー姐御が歌ってなければ聴かないだろう。あくまで、オールド・ソウルファン的見地から言うと、ミリーには他に傑作が多々あり、あえてこのアルバムを聴く必要はない。私が持っているのはオリジナル版だが、ボートラ入りの盤もあり。

④An Imitation of Love

https://www.youtube.com/watch?v=-tlwkYH9jzU

⑥It's A Thang

https://www.youtube.com/watch?v=wgvTEsE1UnA

⑦I Need To Be Myself

https://www.youtube.com/watch?v=BTp_YY2lqZE

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[51枚目]ビル・コデイ『スニーキン・バック』<エコー>(95)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/58C080616505

ハズレを引いた記憶がない<エコー>盤だが、本作も抜群の安定感だ。もちろん、ビル・コデイの実力も素晴らしい。

ビル・コデイは、1942年ミシシッピ州の生まれ。本名はWilliam Chew, Jr. アーカンソー州に移り住んだ後、教会経由のゴスペル・クワイヤ~カルテットに所属。さらに、10代の頃からサン・シールズバンドに加入。その後、シカゴ・ウィリーの名で文字通りシカゴで活躍する。

転機となったのは1969年。デニス・ラセールとビル・ジョーンズが持つ<クレイジョン>レコードでヒットを放つ。当時の3作目に当たる「ゲット・ユア・ライズ・ストレイト」(本盤で再演)は、<ファンタジー/ギャラクシー>にリースされ、その後<ギャラクシー>で活躍。さらに<エピック>と関わったが、何らかのトラブルが元で、歌手生活を断念することとなった。

本人は、復活したかった様子だが、思うように事が運ばずにいたところを再度救ったのがデニス・ラサールだった。1984年、デニスの声掛けで、ツアーのオープニング・アクトを務め、復活の兆しが芽生えた。

苦労を重ねた上での<エコー>デビュー。声が一段と伸びやかに聴こえるのは、レコード再デビューが出来た喜びの表れに思える。一曲目に「ゲット・ユア・ライズ・ストレイト」を歌い、デニスへの感謝の念も窺える。YouTubeには<クレイジョン>盤の方しか上がっておらず、聴き比べると、当時の荒々しさより抑制が聴いて、違う魅力を放っている。

他には、インディー・ソウル系の歌手には、必ずと言って良いほど感じるタイロン・デイヴィスの影が、彼にも強く投影している。キーによってはジョニー・テイラーを連想する曲もある。いずれにしても盤石の歌いっぷり。YouTubeであまり拾えないのが残念だった。

この後、<エコー>から99年と2003年にアルバム発表。また、06年には<クレイジョン>時代の録音集が<Pヴァイン>からリリースされている。だが、残念な事に2008年に逝去。波乱万丈の人生だったろうが、歌声は楽しさに溢れ、一音一音丁寧に歌い上げているのはお見事である。

③Maybe I'm In Love With You

https://www.youtube.com/watch?v=HdvWSefvaBw

⑥Her Love Is Good Enough To Put On Collard

https://www.youtube.com/watch?v=mf6Ml2jwLV0

⑩Moans Grunts & Groans

https://www.youtube.com/watch?v=_ZfPsWWjE3A

Get Your Lie Straight<Crajon>

https://www.youtube.com/watch?v=jCU417HJEOA

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.41

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[49枚目]●アレステッド・デヴェロップメント『テネシー(遠い記憶)』<クリサリス/東芝EMI>(92)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/XAT-1245601477

※松尾潔さんのライナーを大いに参考にしています。

活気に満ちた音のコラージュだ。重量感を保ちながらも、弾力十分なベース音。時に饒舌なスクラッチ。バタバタしない疾走感。ラップは入るが、主導的立場ではなく、曲を構成する一部として生きている。

ブルース好きは、ジュニア・ウエルズのハープがループする②「ママズ・オールウェイズ・オン・ステージ」にハマるだろう。

③「ピープル・エヴリデイ」は、スライ&ザ・ファミリー・ストーンへのオマージュか。男女混成の大人数で、平和的なイメージは共通項とも言えるが、時代のせいか、アレステッドの方が色彩鮮やかな感じだ。レゲエ感覚も取り入れたダンスのキレに、スライのファンクとは違う愉快なメリハリを感じる。⑤「ミスター・ウェンドル」の奇声のような合いの手にも独特のリズム感とユーモア感覚をおぼえる。

主要人物の「スピーチ」は、ミルウォーキー生まれだが、幼少の頃から、夏休みをテネシー州で過ごしており、彼の原風景としての「テネシー」が、本盤のイメージを形成しているとも言える。時代に沿った音遣いで、社会性の高い歌詞を持ちながら、どこか懐かしさも覚える濃厚なアーシーさを感じるのは、根底にある「テネシー」の大地の豊かさが聴く者に伝わるのではないか。因みに、彼らの本拠地はテネシー州のさらにお隣り、ジョージア州アトランタだ。

原題の「3 YEARS, 5 MONTHS AND 2 DAYS IN THE LIFE OF 」は、レコード契約期間だそう。一見安易な発想に思えるが、「時の流れ」に対して敏感な側面が見えると、ここでは深読みしておこう。

ところで、ミニCDが付いている。映画『マルコムX』の挿入歌と、「テネシー」のレゲエ調リミックスと「ピープル・エブリデイ」のリミックスを所収。

Mama's Always On Stage

https://www.youtube.com/watch?v=a8BB3wEutdg

People Everyday

https://www.youtube.com/watch?v=a_4Y7Cei_bw

Mr. Wendal

https://www.youtube.com/watch?v=wyDjRd0Tjss

Fishin' 4 Religion

https://www.youtube.com/watch?v=HW3tBxGyqqo

U

https://www.youtube.com/watch?v=5EeRNcbXORQ

Tennessee

https://www.youtube.com/watch?v=6VCdJyOAQYM

全曲

https://www.youtube.com/watch?v=PwyMpf5KFHk

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.40

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[48枚目]●ベル・ビヴ・デヴォー『ポイズン』<MCA>(90)

http://diskunion.net/portal/ct/detail/XAT-1245601480

超人気グループだったニュー・エディションは、解散後のメンバーの動きも注視された。元々ソロ歌手として実績のあるジョニー・ギルの他、ボビー・ブラウン、ラルフ・トレスヴァントも充実したソロ活動を残した。

残りのメンバーが、ベル・ビヴ・デヴォー(以下BBD)というグループでデビューする迄にやや間が空いたように記憶する。しかし、その作品の評価は高かった。改めて、ニューエディションのレベルの高さを、リスナーは思い知る所となった。

さて、BBDと言えば、ヒット曲「ポイズン」が上げられるが、アルバム内の他の曲も、よく出来ている。曲の乗りの良さはもちろんだが、私としてはリッキー・ベルの歌唱力も強調したい。マイケル・ジャクソンを思わせる局面もあり、スローでは、オラン・“ジュース”・ジョーンズのような柔らかさも感じられる。さらに、さほど目立たないが、安定のコーラス・ワークやラップの絡み具合も、評価ポイントとして高い。

プロデュース陣は、ショックリー=サドラー=ショックリー、ティミー・ギャトリング&アルトン・“ウーキー”・スチュアート等。

I THOUGHT IT WAS ME

https://www.youtube.com/watch?v=8X0LUJeQVaM

Poison

https://www.youtube.com/watch?v=sb2np1HGqxg

When Will I See You Smile Again

https://www.youtube.com/watch?v=cAjqSqB1THU

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