レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.112 (1)
[121枚目] ● Darrell Banks 『I'm The One Who Loves You The Volt Recordings』<Kent Soul>(13)
※本文を書くに当たり、トニー・ラウンスの英文ライナーを大いに参考にしました。
非業の死を遂げるミュージシャンは数多くいるが、ダレル・バンクスもまた悲しい最期を迎えている。32歳の若さで、三角関係のもつれか警官に射殺されている。デビュー以来2作品をチャートインさせたり、<スタックス>入りしてさらなるジャンプアップが期待されている状態だっただけによけい悲しみが増す。
ダレル・バンクスは、37年オハイオ州マンスフィールドで生まれ、ニューヨーク州バッファローで育った。教会でゴスペル音楽の洗礼(アーチー・ブラウンリーやクラレンス・ファウンテインが憧れだったようだ)を受け、66年<レヴィロット>と契約。<レヴィロット>はドン・デイヴィスとルヴァロン・テイラーが設立しているが、ドンは後に<スタックス>とも関係を深め、ルヴァロンは<アトランティック>と関係しているので、ダレルの音楽経歴は両名と縁が深いとも言える(業界入りのそもそものキッカケはルヴァロンの方だった)。66年のシングル「Open The Door To Your Heart」(本人作と記されているが、裁判の結果ドニー・エルバートの作品と認められた)が、R&Bチャート2位、ホット100で27位。同じ66年発のシングル「Somebody (Somewhere) Needs You」(フランク・ウィルソン作で65年アイク&ティナがリリース)がR&Bチャート34位、ポップ・チャート55位となった。その後<アトコ>に移籍し、<レヴィロット>時代の作品も含めたアルバム『Darrell Banks Is Here!』を67年に発表。さらに傘下の<コティリオン>からシングルを出した後<スタックス>へ。傍系の<ヴォルト>からアルバム『Here To Stay』及び最後となる2枚のシングルを発表した。
本盤は、『Here To Stay』全曲にボーナストラックとして8曲が足されている。その内4曲は、前述した<ヴォルト>のシングル2枚(69年)で、他4曲はデモ録音とされている。これも<ヴォルト>期のもの。ライナーノーツの中で、録音年月日順に収録曲をまとめてある。先に書いておくと、68年日付不明が(9)(12)、69.2.19.が(7)(18)、69.3.6.が(1)(17)、69.3.28.が(4)(6)(8)、69.4.4.が(3)(5)、69.4.9.が(2)(10)(19)、69.4.24.が(2)、69.5.5.が(10)(11)(19)、69.12.12.が(13)(14)(15)(16)となっている。尚、本盤に収録されていない曲の記載もあるが割愛した。今回音源を貼り付ける曲は(1)~(5)までとする。
1. Just Because Your Love Is Gone
抑えの効いたシャウトがどこまでも清々しい。ウィ・スリー(ベティ・クラッチャー、ホーマー・バンクス、レイモンド・ジャクソン)の作品。3.6.録音(当アルバム・ヴァージョンとシングル・ヴァージョン。<スタックス>入り以前にデトロイトでドン・デイヴィスプロデュースで収録)で、3.24.にストリングスのオーバーダビングをブッカー・T・ジョーンズが実施(ナッシュビル)。
メルヴィン・デイヴィスの作品(ドン・デイヴィスの名前も入っている)。心地良いリズムに乗り、自由自在に歌いこなしている。
豊かな歌唱が要求される曲だが、見事に余裕を持って歌い上げている。 68年、ジェリー・バトラーが放ったゴールド・ディスクで、ジェリーとギャンブル&ハフの作品。エルヴィスのカバーも有名だが、ダレル版はエルヴィスと同じ69年に発表されている。
フレッド・ブリッジズとリチャード・ナイト(ふたりともブラザーズ・オブ・ソウルのメンバー)の作品。もうひとりのメンバー、ボビー・イートンを含めた別名クリエイションズの為に書いたようだ。ただし、リリースされた記録は見当たらなかった。2009年に<ダプトーン>から(11)「My Love Is Reserved」と共にシングル発売されている。ミディアム・テンポで軽やかな乗りだが、歌声はあくまでもディープである。
ご存じパーシー・スレッジ66年の大ヒット曲。作者はカルヴィン・ルイスとアンドリュー・ライトとなっているが、パーシー本人が作っている。彼が在籍していたエスクワイヤーズのメンバーだった前述の2名がアレンジを手伝ってくれたので名義を譲ったらしい。オリジナルに比べ、声を絞り上げるように歌うさまが胸をうつ。
曲紹介は次回に続くが、今回分の最後に英<ゴールドマイン>から97年にリリースされた『The Lost Soul』を上げておく。ダレルの2枚のアルバム全曲に未発表曲(今回紹介盤とダブリは1曲)を加えた全27曲となる。尚、LPには未発表曲は入っていない(貼り付け画像はLP。CDと違いはない)。これも気になる一枚ではある。















































































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