My Collection

レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.100(2)

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[109枚目]●ファクツ・オブ・ライフ『コンプリート・レコーディングス』<クリンク>(08)

 

※本文を書くに当たり、鈴木啓志さんのライナーノーツと原盤をコンパイルしたトニー・ラウンスのライナーノーツを大いに参考にしています。

 

♪ 前編

 

【ディスク1】

 

8. What Would Your Mama Say

 

タイトな演奏の中、ジーンが豊かな歌唱を聴かせる。ジョージ・ジャクソンとレイモンド・ムーアの作品。ジョージの物は、05年<グレイプヴァイン>のデモ音源集に収録。

 

9. Givin' Me Your Love

 

ミリー・ジャクソンとキング・スターリングの作品。ストリングスが印象的なフレーズを奏でる。チャックが中心に歌っているようだ。

 

10. That Kind Of Fire

 

(13)もそうだが、J.ノーマン・スコット作品。鈴木さんの解説によればオハイオのシンガーで、ミリーとの繋がりは不明との事。キースらしい強めのバリトンからソウル・チルドレンぽいスケールの大きさも感じる。

 

11. Love Is The Final Truth

 

前の曲が迫力主体ならこの曲はスウィートさを前面に出している。「Sometimes」の裏面。ニューヨークのラジオDJ、ヴォーン・ハーパーの作品。

 

12. If You Can Give, You Can Get

 

ゴスペル・トゥルース名義の(7)「Uphill Peace Of Mind」のフリップ・サイド。ミリー・ジャクソンとブラッド・シャピロが作った。女性コーラスも入り、テンポが良くアーシーな歌いっぷりを聴かせる。(7)もそうだが、デビューの最初は迫力重視で考えていたのだろうか。

 

13. L-O-V-E

 

「Caught In The Act  (Of Gettin' It On)」の裏面。(12)(13)はシングル盤のみの曲。ミディアム乗りの心地良い曲。

 

【ディスク2】

 

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78年のアルバム『A Matter Of Fact』の全曲と(1)のシングル・ヴァージョン。本盤と同じ写真を使ってありやや紛らわしい。ウッカリすると間違えます。

 

1. Did He Make Love To You? (Album Version)

 

なんといってもミリー・ジャクソンの参加がポイントである。(10)がシングル版だがそちらには参加していない。情熱的だが抑制の効いたヴォーカルの後、男女のセリフのやり取りが入る。 ミリーは仲裁の為か途中で割り込み、歌声も聴かせてくれる。最終的にはジーンの歌と喋りで終わる。曲を作ったのは、デルズやザ・ドラマティックス、ジ・オージェイズなどにも曲を提供しているハーヴェイ・スケールズと、ハーヴェイ自身の<カサブランカ>作品(78年『Confidential Affair』は特に有名)をプロデュースしているメルヴィン・グリフィンの共作。また当曲は、ジョニー・テイラーが77年<コロムビア>作品『Rated Extraordinaire』で歌っている。

 

2. We Can't Hide It Anymore

 

名前を知らなかったが、バリー・マーフィーの作品でポップス系のラリー・サントスが75年に発表、ホット100の36位、イージーリスニング・チャートでは26位に到達している。76年にはリッチー・ヘヴンスも取り上げている。男女代わる代わるにダイナミックに歌い上げる。

 

3. He Ain't You

 

ジーンが中心に歌うエモーショナルなバラード。カントリー・シンガーのリン・アンダーソンが、77年ホット・カントリー・シングルチャートで19位の成績を収めた曲。元々は、女優でもあるリサ・ハートマンが76年のアルバムで発表している。作者は、ブラッドリー・バーグ、ディーン・ホフハインツ、ジェフ・バリー、リサ・ハートマン本人の4名となっている。

 

4. Do You Wanna Make Love

 

シンガー・ソングライターのピーター・マッキャンの曲。自身が77年に発表し、ホット100の5位に上ったヒット作。ピーターは、クリスタル・ゲイルやホイットニー・ヒューストン他多くのミュージシャンに曲を提供している。男女共、リードからゴスペル風ダイナミックなコーラスにつなぐ部分が盛り上がる。

 

5. I'm Way Ahead Of You

 

シンコペーションを効かせたリズムが心地良い。「Sometimes」に同じく、カントリー・シンガーのデュオ、ビル・アンダーソンとメアリー・ルー・ターナーの持ち歌。曲を作ったのはカーリー・プットマンとソニー・スロックモートン。カーリーは「Green Green Grass Of Home(思い出のグリーン・グラス)」の作者でもある。

 

6. You Always Get Your Way

 

曲を作ったのは、ジャズ・シンガーでさまざまな楽器も演奏するバーナード・アイグナーとセルジオ・メンデス&ブラジル'77でヴォーカルを務めたソンドラ・キャットン。ジーンが主となり、後半チャックが絡む。

 

7. It's Only A Matter Of Time

 

ややフィリー系の感覚もあるナンバー。男女が入れ替わり歌い出す瞬間は特に盛り上がる。ソングライター、プロデューサー、ラジオDJのジョー・シャムウェルの作品。トゥルー・イメージというソウル・グループが81年<フアナ>レコードでカバーしている。discogsによればその盤の作曲者表示にはトミー・テイトの名もあり、フレデリック・ナイトがプロデューサーとなっている。88年独<タイムレス>のコンピ盤『The Sound Of Alabama Soul Vol.1』にも収録されている。

 

8. This Ain't No Time To Sleep Apart

 

フレッチャー&フレットと呼ばれる、ガイ・フレッチャーとダグ・フレットの曲。エルヴィス・プレスリーやレイ・チャールズにも曲を提供している。明るい雰囲気の曲。

 

9. Dr Feelgood

 

アルバム最後の曲らしく、ゆったりとしている。ジェリー・ゴフィンと、ソロアルバムも著名なバリー・ゴールドバーグの作品。アレサ・フランクリンの曲とは同名異曲。「ドクター・フィールグッド」は、麻薬などの薬物を処方する医師という意味合いがある。

 

10. Did He Make Love To You? Pts 1 & 2 (Single Version)

 

ミリーの語りと歌の部分はジーンが担当している。

 

3人それぞれに実力十分なシンガーなので、グループ活動の短さとその後の消息が不明なのは残念である。音楽界に定着はしなかったが、聴き応えのある曲を残してくれたのは幸いである。

 

 

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.100(1)

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[109枚目]●ファクツ・オブ・ライフ『コンプリート・レコーディングス』<クリンク>(08)

 

※本文を書くに当たり、鈴木啓志さんのライナーノーツと原盤をコンパイルしたトニー・ラウンスのライナーノーツを大いに参考にしています。

 

日本語解説付き輸入盤。正式なグループ名は冠詞がついてThe Facts Of Life。原盤は<エイス>系<サウスバウンド>発『Just The Facts The Complete Kayvette Recordings 1975-1978』である。タイトルにある通り<ケイヴェット>レーベルの作品集。もっとも、<ケイヴェット>にしか所属していなかったので、ファクツ・オブ・ライフ(以下FOL)の全作品集という事になる。<ケイヴェット>は、<T.K.>系のレーベルで75年~81年まで存在した。ヘンリー・ストーンと共同でレーベルを設立したブラッド・シャピロの奥さんと娘さんの名前を組み合わせたのが、レーベル名の由来だと言う。

 

ジャケットを見れば判るように、メンバーは、女性1名、男性2名の組み合わせ。となると、女性を中心に据えていそうに思えるが、そんな事はなく3人とも魅力的な歌唱を聴かせるし、絡みもすばらしいものがある。女性は、ジーン・デイヴィス。シカゴ・ソウル界、モダン・ソウル界の重要人物、タイロン・デイヴィスの妹になる。66年~72年まで活動した4人組女性グループ、ハニー・アンド・ザ・ビーズ(のちザ・ヤム・ヤムズに改称)に所属した後、兄の前座などを務めていた。男性2人は双方ともバリトン系の迫力がある。ハイ・バリトンとも呼ばれるテナー・シンガーのチャック・カーター。FOL加入前は66年<ブランズウィック>、69年<ベッドフォード>からシングル盤を出している。バリトンのキース・ウィリアムズは、リトル・アンソニー&ジ・インペリアルズやザ・フラミンゴスに所属していたシンガーとの事。3人ともFOL以後の動きはつかめていない。ちなみにジーンの左手で腕を組んでいるのがチャックで、右手側がキースである。

 

3人がグループを組んだ経緯には、ミリー・ジャクソンが大きく関わっている。タイロン・デイヴィスのシカゴ公演のゲスト・パフォーマーだったミリーが、タイロンに帯同していたジーンと出会ったのが契機となった。チャックとキースはミリーのご近所さんで、やがてこの3人を組ませようという発想に至った。ミリーはソウル・シーンを代表する名シンガーでパフォーマーだが、プロデューサーとしての手腕も十分にある。まずはグループ名を、自らの74年アルバム『I Got To Try It One Time』内の曲名からゴスペル・トゥルースと名付けた。旧知の間柄(名盤『Caught Up』などの共同プロデューサー)であるブラッド・シャピロの<ケイヴェット>からデビュー・シングルはリリースされた(75年)。本盤ディスク1の(7)と(12)がそれである。(7)「Uphill Peace Of Mind」はフレデリック・ナイトの作品。彼自身は、ゴスペル・トゥルースより1年遅れの76年にシングルで発表、77年のアルバム『Knight Kap』にも収録されている。FOL盤は、残念ながらヒット作とはならなかった。ミリーは、グループ名に「ゴスペル」を付けたためソウル・ステーションが取り上げにくかったのだろうと推察している。同じ76年にハードコア・パンクバンドのキッド・ダイナマイトが取り上げている。

 

ミリーとブラッドはグループ名を考え直した上、次回曲の構想を練った。ルーサー・イングラムのヒット曲でミリー・ジャクソンもカバーした「(If Lovin' You Is Wrong) I Don't Want To Be Right」のような“浮気ソング”に着目した。同曲と同じ作曲コンビ(ホーマー・バンクス+カール・ハンプトン)で、バンクス&ハンプトン名義で76年にリリースしている(2)「Caught In The Act (Of Gettin' It On)」を同じ76年に発表した。目論見は当たりR&Bチャートの13位に達した。続いてミリーは、カントリー・ソングのヒット曲を取り上げた。ビル・アンダーソン作品で、ビルとメアリー・ルー・ターナーのふたりでカントリー・チャートの1位を制した(1)「Sometimes」である。オリジナルは75年発、FOL盤は76年のリリースである。チャート的にも好調でR&Bチャート3位、ホット100は31位に到達した。本盤の英文ライナーだと(2)→(1)の順番に読めるが、鈴木さんのライナーによれば(1)→(2)の順番のようだし、discogsもその順番で並べてある。ただし、レコード番号は(2)が若番である。もうひとつ、ネットで調べた所(2)→(1)の順番だったのでこちらの可能性が高いか。同年のリリースだけに正確なところがよく判らない。いずれにしろ、2曲とも好成績を収めたのでアルバムのリリースを急いだ。その為プレスの品質が悪く、外カバーにスペルミスも発生してしまった。77年『Sometimes』(R&Bチャート33位、ポップ・チャート146位)がそれである。78年には2作目のアルバム『A Matter Of Fact』をリリースするがあまり振るわず、おまけに<T.K.>自体が経営難に陥って(最終的に81年に倒産)、FOLも同時に沈んでしまった。

 

録音は全てマッスル・ショールズ・スタジオで、ストリングスとホーンズはマイアミのクライテリア・スタジオが利用されている。

 

前説が長くなったので、今回の音源の貼り付けはディスク1(全13曲)の内7曲にして、次回につなぐ事とします。

 

【ディスク1】

 

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アルバム『Sometimes』の11曲にシングルオンリーの2曲がプラスされている。『Sometimes』はガイドブックにもよく登場するので印象に残るジャケットである。

 

1. Sometimes

 

「キミ、結婚してるの?」「時々ね」という“大人の会話”ではじまる。カントリー・ソングにも“浮気ソング”があるのだろうか。ジーンは少し鼻にかかったような良い感じにクセのある声で、突き抜けるように歌うさまは、私の好きなトミー・ヤングをほうふつとさせる。

 

2. Caught In The Act (Of Gettin' It On)

 

前記の通り、ホーマー・バンクスとカール・ハンプトンの作品。チャック・カーターだろうか、出だしから熱く歌い上げるのにジーンが鋭く絡んでくる。

 

3. Bitter Woman

 

ジョージ・ジャクソンとレイモンド・ムーアの共作。 ほど良いミディアム・テンポが心地良い。歌唱というよりサウンド中心に展開する曲。途中のギターソロもなかなか良い。終盤はジーンのシャウトが映える。

 

4. Lost Inside Of You

 

バーブラ・ストライサンドとレオン・ラッセルの作品。バーブラのミュージカル映画『A Star Is Born(スター誕生)』の中の一曲(76年)。(5)と併せて77年にシングル化。ジーンを中心にドラマチックに歌い上げる。

 

5. Looks Like We Made It

 

80年代にもつながるようなモダンさを感じる曲。ザ・クルセイダーズ「Street Life」などを作詞したウィル・ジェニングスと、イギリスのシンガー・ソングライター、リチャード・カーの作品。バリー・マニロウの76年アルバム『This One's For You』内に収録され、翌年シングル化されている。ビルボードホット100とアダルト・コンテンポラリー・チャートで1位を獲得したヒット作である。 

 

6. A Hundred Pounds Of Pain

 

歌手志望だったが、ソングライターとしての実績が評価されているローズ・マリー・マッコイ(代表作「It's Gonna Work Out Fine」など)がレニー・ウェルチと作った曲。レニー自身が74年にリリースしている。ベースラインを始めファンキーさが心地良い。

 

7. Uphill Peace Of Mind

 

男性ふたりで迫力十分に迫っている。

 

(つづく)

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.99

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[108枚目]●ジョン・リー・フッカー『ドント・ターン・ミー・フロム・ユア・ドア』<ワーナ・ミュージック・ジャパン>(12)

 

※本文を書くに当たり、今澤俊夫さんのライナーノーツを大いに参考にしています。

 

オリジナル盤は、63年<アトコ>から唯一リリースされている一枚。私が持っているのは『アトランティック・R&B・ベスト・コレクション1000』シリーズで出されたもの。オリジナル盤より4曲多いし、曲順も一部変更されている。元々2曲目に入っていた「Wobbling Baby」が、本盤では(7)に収録されている。その地(2)(8)(15)(16)がオリジナル盤には入っていない。尚、(1)(3)(4)(7)(12)(13)は、53年<デラックス>で録音した曲(オハイオ州シンシナティ)。(3)(5)(6)(9)(11)(14)は、61年フロリダ州マイアミで録音された曲である。(2)は(1)と併せて53年<デラックス>から10インチSP(ジョン・リー・ブッカー名義)盤で出て、ヘンリー・ストーンの<ロッキン>からEP/SP両方で出ている。(8)は(7)と共にヘンリー・ストーンの<チャート>でSP化されている(55年)。尚、(8)のコンポーザー名義はエド・クックとなっている。(15)は(13)と同じ曲かと思うが、ジョン・リー・ブッカー名義で<デラックス>からシングル化されている。(18)は53年の曲としか判らず。(2)(13)(15)にはエディ・カークランドが参加しており、(13)ではヴォーカルも取っている。また、(5)と(9)にはアール・フッカーが加わっている。尚、プロデューサーは全曲ヘンリー・ストーンとなっている。

 

(1) Stuttering Blues

 

ジョン・リー・フッカーは若い頃から吃音症であった。「吃音ブルース」と訳される本曲も、時に吃音を強調して語り口調で終始する。素の自分を表現したかったのだろうか。

 

(2) Pouring Down Rain

 

どしゃぶりの雨を表現しているようなノイズ強めのギターがリズムを刻む。

 

(3) You Lost A Good Man

 

重低音の波状攻撃が強烈である。

 

(4) Love My Baby 

ギターの調べに合わせてハミングする部分など、ジョン・リー節が息づいている。

 

(5) Misbelieving Baby 

<チャート>より(11)と共にシングル化。ディスク面に記載されているコンポーザはロッキー・グロース、同じく(11)はエディ・キャッスルベリーとなっている。調子っ外れにも思えるギターの音色が悲嘆の思いを倍加する。

 

(6) Drifting Blues

チャールズ・ブラウン(スリー・ブレイザーズ)のカバー曲。浮遊というより深く暗い海に沈んでいくような曲調である。

 

(7) Wobbling Baby

パンク・ロックのような勢いでスタートし、ノイズ混じりのストロークが気分を上げる。(8)と共にシングル化。

 

(8) Goin' South

自在なギター・フレーズの中、語るように歌われる。

 

(9) Don't Turn Me From Your Door

 

低音部の響きが、何者かが近づいてくるような緊張感を生み出している。

 

(10) My Baby Don't Love Me

感情の浮き沈みを表すかのようなギターがここでも聴ける。

 

(11) I Ain't Got Nobody 

 

深い闇の中で鈍い光を放つようなインスト。

 

(12) Real Real Gone

ギターをかき鳴らした後の余韻まで味がある。

 

(13) Guitar Lovin' Man

 

ジョン・リーの呼びかけに応じて歌い出すエディも雰囲気十分。

 

(14) Talk About Your Baby

お得意のブギパターンがゆったりと心地良く進行する。

 

(15) Blue Monday

朝起きたら彼女がいなくなった、もう俺の周りには誰もいないという、ブルースならではの世界に染みついたやるせない感情を、ギターがよく表現している。

 

(16) My Baby Put Me Down

唸りからのギター・フレーズがジョン・リーらしい。

 

バンド・サウンドの中に居たとしても“弾き語り”の感覚があるジョン・リー・フッカーは、ヴォーカル、ギター共に強烈な存在感を放つ証左だろう。気取りや見栄とは無縁の武骨な演奏ぶりや歌唱は、ストレートに聴く者に伝わってゆく。ブルースマン、ブルースウーマンは存在感が魅力ではあるのだが、中でも突き抜けた存在感である。

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.98

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[107枚目]●B.B.キング&ボビー・ブランド『トゥゲザー・フォー・ザ・ファースト・タイム・・・ライヴ』<ゲフィン/ユニヴァーサル>(15)

 

※本文を書くに当たり、鈴木啓志さんのライナーノーツを大いに参考にしています。

 

オリジナルは、74年<ABC>系の<ダンヒル>から2枚組LPでリリースされた。スタジオ・ライヴであり、ふたりの家族や友人が観客として招待され、中にはジェームス・ブラウンも居たとの事だ。私が持っているのは、B.B.キングの作品を安価でシリーズ化した内の一作である。尚、76年には第2弾がリリースされている。プロデューサーは、ボビー・ブランド作品他数々のアルバムに関わっているスティーヴ・バリ。バックは、B.B.のバンドとボビーのバンド双方から参加している。B.B.側はソニー・フリーマン(ドラムス)、ロン・リヴィ(ピアノ)、ルイス・ヒューバート(テナー)、ボビー・フォルテ(テナー)、ウィルバート・フリーマン(ベース)、ブランド側は、メルヴィン・ジャクソン(ドラムス)、ハロルド・ポティアー(ドラムス)、メル・ブラウン(ギター)がライナーで紹介されている。

上記のメンバー以外にも裏ジャケットに多くの人物がミュージシャンとしてクレジットされている。ある程度調べて見た。尚、担当楽器等は不記載なので、当方で調べた楽器を本盤内で演奏しているとは限らない事をご了承ください。記載人物は以下の通り。

マイケル・オマーティアン(キーボード)、ベン・ベネイ(ギター、ハーモニカ)、ミルトン・ホプキンス(ギター)、ケイトー・ウォーカー(B.B.のバンドでサックス)、ジョセフ・バートン(B.B.のバンドでトロンボーン)、エドワード・ロウ(トランペット)、チャールズ・パーク(不明)、トミー・パークソン(ソニー・フリーマンとバンドを組んでいるのでおそらくB.B.側、トランペット、バリトン・サックス)、セオドア・アーサー(不明)、セオドア・レイノルズ(不明)、レオ・ペン(不明)、ジョセフ・ハーディン(不明)、アルフレッド・トーマス(不明)。

 

主役ふたりの年齢は、B.B.が5歳年上であり、お互いに最初のヒットを放ったのもB.B.が51年、ボビーが55年と4年ほどの開きがある。あまり意味は無いかも知れないが、一応B.B.が“先輩”になる。

 

(1) 3 O’Clock In The Morning

B.B.51年のナンバーワン・ヒット「3 O'Clock Blues」でスタート。<クラウン>からの1stアルバム『Singin' The Blues』所収。シングルは<RPM>名義。元々は、ロウエル・フルソンが<ダウンタウン>から48年に放った最初のヒット曲。B.B.にとっても記念すべき最初のヒットであり、5週連続1位で17週間チャートに入り続けた。ブランドのハードな歌唱に合わせたか、B.B.もテンション高めに歌っている。終盤のやり取りは特にヒートアップしている。

 

(2) It’s My Own Fault Baby

興奮を鎮めるかのように、語りから始まり自然な流れで歌に入り、歌から語りに戻っている。元々は、ジョン・リー・フッカーが54年<チェス>からリリース。タイトルは「It's My Own Fault」。B.B.の持ち歌としては、65年の『Live At The Regal』からシングル・カットされた。ブランドがB.B.に初めて歌詞を教えてもらった曲だそうだ。

 

(3) Driftin’ Blues

チャールズ・ブラウンのヒット曲として有名だが、正確には彼が所属していたジョニー・ムーアズ・スリー・ブレイザーズが45年に発表したもの。そもそもは、チャールズが高校生の時に書いた曲であり、祖母に教えてもらったゴスペル・ソングをヒントに作ったそうだが、チャールズ自身がゴスペルとブルースを混ぜ合わせた事に気が引けていて、周囲の勧めにも関わらずスリー・ブレイザーズに参加するまで録音しなかったとの事だ。ボビー・ブランドが68年に<デューク>盤でシングル化して、同じ年のアルバム『Touch Of The Blues』にも収録されている。ライナーノーツによれば、デビュー当時からの持ち歌のようだ。余裕たっぷりの歌いまわしやギター演奏で、ひしひしとブルース濃度を感じる。終盤は、強打のドラム、突き刺すようなホーンズに負けない“うがいシャウト”が連発され、カオスにも似たエンディングを迎える。

 

(4) That’s The Way Love Is

ボビーが62年に「Call On Me」を裏面にしたシングル盤でR&Bチャートの1位を獲得した。両方の曲名をそのままタイトルにした63年のアルバムにも収録されている。解説によればソウル・スタイルに踏み込んだ曲。確かにソウル感覚が光っている。

 

(5) I’m Sorry

B.B.キングが69年に発表したアルバム『Completely Well』に収録されている「You're Losin' Me」の曲名を変えたものだそう。ただし終盤はアドリブ曲に変わる。ひと通り演奏が終わった後、観客も巻き込み、パートナーを引き留めるための手立てをレクチャーし「ソーリー」のキーワードを繰り返す一幕を演出する。

 

(6) I’ll Take Care Of You

ボビー・ブランドが59年に発表し、61年のデビュー・アルバム『Two Steps From The Blues』に収録されている曲。ホット100の89位。O.V.ライト、エタ・ジェイムス、エルヴィス・コステロ、ヴァン・モリソンなど多くのミュージシャンがカバーしている。ブルック・ベントンが作った曲。悲嘆に暮れる女性に寄り添っている、淡々としながらも温かみを感じるブランドの歌である。

 

(7) Don’t Cry No More

テンポを上げてブランドの曲が続く。ドラムやホーンの軽快なリズムが歌唱を引き立てている。(6)と同じアルバムに収録され、62年に「St. James Infirmary」と共にシングル化されている。ウィルソン・ピケットのカバーあり。

 

(8) Don’t Want A Soul Hangin’ Around

次はB.B.の出番だ。タイトル表記は違うが「Don't Answer The Door」(66年Part1と2に分けシングル化)。67年のアルバム『Blues Is King』にも収録。ハリのあるギターに、力強いが力みのないB.B.の歌が満喫できる。ボビーは合いの手でフォローしている。

 

(9) Medley

10曲のメドレー。a.「Good To Be Back Home」は当ライブでのアドリブ曲らしい。b.「Driving Wheel」はジュニア・パーカー61年のヒット曲。R&Bチャートに11週間とどまり最高5位だった(ポップ・チャート85位)。オリジナルは36年のルーズヴェルト・サイクス作。71年にはアル・グリーンが<ハイ>からリリース。R&Bチャート46位に達した。B.B.キング62年のアルバム『My Kind Of Blues』に収録されている。c.「Rock Me Baby」。起源は、リル・サン・ジャクソンの「Rockin' And Rollin」(51年)。56年にはマディ・ウォーターズが「Rock Me」として取り上げ、B.B.は64年「Rock Me Baby」名で発表した。同年のアルバム『Let Me Love You』にも収められている。d.「Black Night」はチャールズ・ブラウンが51年R&Bチャートを制したヒット曲。ボビー・ブランドが64年に発表、ホット100で99位になっている。アルバム『Ain't Nothing You Can Do』に収録。

e.「Cherry Red」は、ジョー・ターナーがピート・ジョンソンの助けを得て51年に発表。エディ・“クリーンヘッド”・ヴィンソンの持ち歌としても有名。B.B.キング65年のアルバム『Confessin' The Blues』に収録。f.「It's My Own Fault Baby」(2)で説明済み。g.「3 O'Clock In The Morning」(1)で説明済み。h.「Oh, Come Back Baby」は、本アルバムには作曲者にビッグ・メイシオの名が記載されているが、解説によればロウエル・フルソンやレイ・チャールズのカバーがあると書いてあるのでウォルター・デイヴィス起源の「Come Back Baby」と思われる。63年のアルバム『B.B.King』所収。i.「Chains Of Love」はジョー・ターナー作品。51年発でR&Bチャート2位。ドク・ポーマスが書いたのだがアーメット・アーティガンが著作権を得ている。ふたりともカバーしており、B.B.が62年、ボビーが69年にリリースしている。ボビーのヴァージョンはR&Bチャート9位、ビルボード・チャート60位を記録している。j.「Gonna Get Me An Old Woman」はB.B.キングの曲。

メドレーは、各曲をそのまま歌うのではなく、女性を巡るふたりの喋りが中心(昔の音楽の話も少し)であり、艶っぽい話も交えながら曲名に掛けたストーリーが展開しているようだ。

 

(10) Everybody Wants To Know Why I Sing The Blues

B.B.の曲で「Why I Sing The Blues」。69年にシングル盤がリリース。収録アルバムは同年発表の『Live & Well』。オリジナルに比べより軽快なシャッフル仕立て。終始ギターのキレが良い。ベースソロが緊張感を引き継ぐ場面も。

 

(11) Goin’ Down Slow

セントルイス・ジミーが42年<ブルーバード>から、56年<パロット>からリリースしている。同名のアルバムにも収録。ハウリン・ウルフが62年にシングルでカバー。同年のアルバム『Howlin' Wolf』に収録。ボビー・ブランド版は73年シングル化。同年のアルバム『His California Album』に収録されている。R&Bチャート17位、ホット100で69位になっている。最後のトドメとばかりに正統ブルースを思いっきり。

 

(12) I Like To Live The Love

B.B.キング73年の曲。同年のアルバム『To Know You Is To Love You』所収。ラストに相応しい開放的なナンバー。観客?にも歌わせて盛り上げている。

 

円やかな味わいのB.B.キングと、独特の苦味を持つボビー・ブランドの相乗効果は、ある程度予想出来ても、実際聴くとやはり感嘆してしまう。ライブ盤を多数発表していて旧知の仲のふたりとしては、相手と駆け引きをするというよりさりげないフォローや、ここぞという時に盛り上げるタイミングが抜群である。2作目を作ろうとしたのも当然だろう。

 

 

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.97

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[106枚目]●The Winans 『Decisions』<Qwest>(87)

 

ゴスペル界にとどまらず、音楽界全体でもなかなか類を見ないのがワイナンズ・ファミリーだろう。事細かには書かないが、両親に始まり10人の兄弟姉妹から配偶者や次の世代まで活躍している。特に著名なのは、7番目と8番目の兄妹ビービー&シーシー・ワイナンズと本盤のザ・ワイナンズだろう。ザ・ワイナンズのメンバーは、2番目から5番目の4人(ちなみに3番目と4番目は双子)のロナルド、マーヴィン、カーヴィン、マイケルである。

 

このアルバムは、彼らとしては5枚目に当たる。そもそも、アンドレ・クラウチに認められたのを契機に、ゴスペル専門レーベルの<ライト(Light)>からデビュー盤をリリースしている。81~84年に3枚のアルバムを出した後<クウェスト>から85年に1枚出して本盤となっている。<クウェスト>は、クインシー・ジョーンズと<ワーナー・ブラザーズ>が協同して設立したレーベルである。

 

本盤のプロデューサーは、マーヴィン・ワイナンズで、共同プロデューサーは兄弟の残り3人とバリー・ハンカーソン、エグゼクティブ・プロデューサーとして、クインシーとハンカーソンに加えベニー・メディーナの名前がある。バリー・ハンカーソンは、ワイナンズのマネージメントも兼ねている。一時期グラディス・ナイトの夫だった事もあり、アリーヤの叔父で、彼女やトニ・ブラクストン、R.ケリーのマネージメントも手がけた人物である。ベニー・メディーナは、79年に<ゴーディー>から1枚アルバムを出しているアポロのリード・シンガーに始まり、プロデュース業に転向した人物である。その他、本アルバムのバック・シンガーとして、ビービー・ワイナンズやマイケルの妻、レジーナ・ワイナンズなどが参加している。また、1曲目でアニタ・ベイカー、7曲目にマイケル・マクドナルドがリードを取っている。コンポーザーは、(1)(2)(3)(4)(8)がマーヴィン、(5)(9)がマーヴィン+カーヴィン、(6)はエルトン・ジョンの曲をカバーしたものでロナルドがアレンジしている。残る(7)は、マーヴィン+ロナルドにパーシー・ベイディーがクレジットされている。パーシーは、自身もゴスペル・チャート入りを果たしているシンガー・ソングライター、プロデューサーである。

 

チャートの動きをみると、彼らの人気の高さがうかがえる。2作目『Long Time Comin'』はゴスペル・チャート8位、3作目『Tomorrow』が同チャート3位、<クウェスト>に替わっての4作目『Let My People Go』でゴスペル・チャート1位に達し、R&Bチャートでも57位となった。本盤もゴスペル・チャート1位を獲得し、R&Bチャート30位、ビルボード・チャートで12位の成績である。その後も90年の『Return』はゴールド・ディスクを受賞している。

 

(1)Ain't No Need To Worry

前述したように、アニタ・ベイカーが加わった曲。リード・シングル(裏面は「Millions」)としてR&B/ヒップホップのシングル・チャートで15位を記録。88年のグラミー賞も受賞している。別ヴァージョンやインスト版も含めた12inchもリリースされている。テンダー・ヴォイスにしなやかに絡むアニタ。R&B調ではあるのだが、ゴスペルらしさも感じられるし、アニタもメリスマ唱法を意識しているように思える。

 

(2)Millions

メロウでアーバンな雰囲気が漂う。バリトン系のテナーやファルセットで豊かに盛り上がる。

 

(3)Breaking of Day

厚みのあるコーラスを聴かせる。トロピカルな感覚も持つダンサブルな曲である。

 

(4)What Can I Say?

メロディアスなバラード。ラストの1曲みたいだ。

 

(5)Right, Left In a Wrong World

シンコペーションを効かせた曲。ここまでゆったりめの曲が続いたので、スパイシーなアクセントになっている。

 

(6)Don’t Let The Sun Go Down On Me(ディスク版が無かったのでライブの様子を)

エルトン・ジョンのオリジナルは、彼らしい切なさを感じる素朴なバラードだが、ワイナンズが手掛けると逞しく盛り上がる。まさにゴスペル化されている。

 

(7)Love Has No Color

(4)「What Can I Say?」を裏面にしてリミックスを施したシングル盤が出ている。マイケル・マクドナルドの参加曲。3つのヴァージョンを収録した12inchもあり。ゴスペル・グループらしいコーラスが印象的である。

 

(8)Give Me You

87年に(4)「What Can I Say?」と合わせて3ヴァージョンを収録した12inchが出ている。アルバム全体の落ち着いた雰囲気を考えると、この曲あたりはダンサブルな面もある。乾いたドラムの音が良い。

 

(9)How Can You Live Without Christ?

ラストにふさわしく、淡々としながらも終盤は締まっている。

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.96

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[105枚目]●James Brown 『In The Jungle Groove』<Polydor>(86)

 

レジェンド中のレジェンド、ジェームス・ブラウンの作品には、優れたコンピレーション盤も多数残されている。中でも、本盤のコンパイルとリイシュー・プロデュースを手掛けているクリフ・ホワイトとティム・ロジャースの仕事は、高評価を得ている。85年に『CD Of JB』、86年が本盤、87年が『CD Of JB Ⅱ』、88年『Motherlode』と全て手に入れたいアルバムである。さらに、クリフは、93年『Star Time』という4枚組CDボックスセットも手掛けている。

 

私が持っているのは、アメリカと同時にリリースされている西ドイツ盤。尚、2003年には1曲加えた再リイシュー盤が発売され、日本盤も出ている。ちなみに追加された曲は、73年にJBが担当した映画『Black Caesar』のサウンドトラック内に収められている「Blind Man Can See It」のエクステンディッド・ヴァージョンである。

 

その他の概略を少し書いておく。JBの作品は、ヒップホップ系のミュージシャンに多数サンプリングされているが、中でも人気が高いシングル盤だった(2)「Funky Drummer」が、初めてアルバム内に収録されたのが本盤であるのも話題となっている。また、『The Village Voice』の批評家投票で「86年のベスト・リイシュー盤」の第4位に選出されている。

 

参加ミュージシャンを列挙しておく。

ベースが“スイート”・チャールズ・シュレル(1,2)、ブーツィー・コリンズ(3,4,6,7,8)、フレッド・トーマス(9)。

ドラムスがクライド・スタブルフィールド(2,3,4,6,7)、ジョン・ジャボ・スタークス(8,9)、メルヴィン・パーカー(1)。

コンガはアート・ロペス(1)、ジョニー・グリッグス(3,4,6,7,8)。

ギターは、アルフォンゾ・ケラム(1,2)、ボビー・ローチ(8)、キャットフィッシュ・コリンズ(3,4,6,7,8)、ヒアロン・チーズ・マーティン(6,7,9)、ジミー・ノーラン(1,2)、ロバート・コールマン(9)。

オルガンはボビー・バード(3,4,6)。

サックス陣は、エルディー・ウィリアムス(1,2)、ジミー・パーカー(9)、ルイス・ティルフォード(2)、メイシオ・パーカー(1,2)、ロバート・チョッパー・マックロウ(3,4,6,7)、セントクレア・ピックニー(1,6,7,8,9)。

トロンボーンがフレッド・ウェズリー(2,8,9)、トランペットがクレイトン・グンネルズ(3,4,6,8)、ダリル・ハッサン・ジェイミソン(3,4,6,7,8)、ジェロン・ジャサン・サンフォード(7,9)、ジョセフ・デイヴィス(2)、リチャード・グリフィン(2)、ラッセル・クライムス(9)、そして、ボビー・バードのサイド・ヴォーカルが(6,7,8)となっている。

 

「全ての楽器はドラムである」と言い放ったJB。付け加えるなら彼のヴォーカル、というかシャウトさえもリズムで構成された曲の一部を成していると言えるだろう。

 

(1)It's A New Day

70年のシングル(King 45-6292)が元盤。ちなみに裏面は「Georgia On My Mind」。R&Bチャート3位、ポップチャート32位。ビッグ・ダディ・ケイン「Set It Off (Extended Mix)」などでサンプリングされている。収録アルバムは『It's A New Day So Let A Man Come In』。耳から離れないギターとホーンのリフが基調となっている。ベースもかなりうごめいている。

 

(2)Funky Drummer

こちらも70年のシングル盤がオリジナル(King 45-6292)。Part1とPart2で両面となっている。R&Bチャート20位、ポップチャート51位。サンプリング作品は多岐にわたっている。パブリック・エネミー、N.W.A.、LLクールJ、ランDMC、ビースティー・ボーイズらのヒップホップ勢ばかりでなく、エド・シーランやジョージ・マイケルも取り上げている。また、シングル・ヴァージョンにはJBのヴォーカル・パーカッションが含まれているとの事だ。クライド・スタブルフィールドのドラミングが中核だろうが、サックス・ソロやギター・リフ、オルガンなど次々と聴かせるサウンドが続く。

 

(3)Give It Up Or Turnit A Loose (Remix)

 

オリジナル・シングルは69年発(King 45-6213)。R&Bチャート1位を獲得、ポップ・チャートでも20位を記録している。70年のアルバム『Ain't It Funky』にインストゥルメンタル版(ギターが活躍)が収録されている。JBのマネージャーも務めていたソングライター、チャールズ・ボビットの作品。最初はピーウィー・エリスがアレンジしていたが、70年のライブ・アルバム『Sex Machine』でJBが歌い直したとの事。74年にはリン・コリンズがシングル盤で出している。尚、ヒップホップ黎明期のDJ、クール・ハークがいち早く取り上げた曲でもある。ベースに続く叩きつけるようなドラムで目が覚める。オリジナルはカオス的なフィーリングもあるが、ヴァージョンを重ねるごとに、硬質でクールな感覚が目立っているようだ。

 

(4)I Got To Move

 

この時点で未発表曲。70年に録音された物。ホーンリフ、ベース、乾いたドラムが特に印象的。抑制の効いた曲である。

 

(5)Funky Drummer (Bonus Beat Reprise)

 

(2)から、主にJBの掛け声とドラムだけを取り出して編集したもの。

 

(6)Talkin' Loud And Sayin' Nothing (Remix)

 

オリジナルは70年(King 45-P-6359)。ジェームス・ブラウン+ボビー・バードの作品。政治批判も込められた曲だ。72年に再発され、同年のアルバム『There It Is』にも収録されている。本リミックス版では、最初に掛け声が入っている。ベースのサウンドが黒っぽさを演出している。

 

(7)Get Up, Get Into It, Get Involved (Mono)

 

「立ち上がって参加せよ!」という、これも社会的メッセージがフィーチャーされた曲。70年発シングル(King 45-6347)。R&Bチャート4位、ポップ・チャート34位。ビッグ・ダディ・ケイン、フル・フォース、パブリック・エネミーなどがサンプリング。「Sex Machine」などを作曲したJB+ボビー・バード+ロン・レンホフの作品。ライブ・アルバム『Revolution Of The Mind』と『Love Power Peace』でも聴ける。JBとボビーの掛け合いが熱い。徹底したリフを奏でるギターが3分半過ぎにソロを少し。

 

(8)Soul Power (Re-Edit / Mono)

 

71年、3部構成のシングルとしてリリース。R&Bチャート3位、ポップ・チャート29位。(7)で上げた2枚のライブ盤に当曲も収録されている。確かに似た感触を持つ曲である。ホーンのキレ、ドラムが入るタイミングなど相変わらず凄い。JBとボビーの掛け合いも。

 

(9)Hot Pants (She Got To Use What She Got To Get What She Wants)

 

JB+フレッド・ウェズリー作。<キング>傘下ではあるが、自ら設立したレーベル<ピープル>から71年にリリースされたシングル。R&Bチャート1位、ポップ・チャート15位、『キャッシュボックス』のチャートでも10位を記録した。ただし、この後<ポリドール>に移籍する。移籍第一弾のアルバムが『Hot Pants』で、本曲を収録し直している。パブリック・エネミー、ザ・ストーン・ローゼス、カイリー・ミノーグらがサンプリングしている。ボビー・バードにもホット・パンツをテーマにした曲がある。本曲は何となく落ち着いた感じに思える。クールというのとも少し違う感じがする。

 

2024年の時点で考えると、本盤がリリースされた86年でも38年前。オリジナルと照合すると半世紀前の作品である。しかし、各曲のヴィヴィッドさは素晴らしい。もちろん、過去の音楽作品に名曲は無数にある。しかし、JB作品ほど活力にあふれたものには中々出くわさない。まだ未聴の方がいらっしゃったら、大いに楽しんで頂きたい。

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.94

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[103枚目]●ブレッド『神の糧』<エレクトラ/ワーナー・ミュージック・ジャパン>(15)

 

※本文を書くに当たり、宇田和弘さんのライナーノーツを大いに参考にしています。

 

オリジナルは71年、ブレッド3枚目のアルバムである。原題は『Manna(マナ)』。旧約聖書内の言葉で、モーセの祈りで天から与えられた食物の意。一般的には“パン”と解釈されているらしい。もしかしてグループ名との関連を考えたのだろうか。アルバムには宗教的ムードは一切無い。ビルボードの最高位が21位。

 

私が所有しているのは『新名盤探検隊』シリーズの1枚。確かどなたかのレビューを読んで面白そうだと思った事と、洋楽を聴き始めた頃流行っていた「If」が入っていたのが購入のキッカケになったような気がする。

 

ブレッドが結成されたのは68年、ロサンゼルスにおいて。デヴィッド・ゲイツ、ジェイムス・グリフィン、ロブ・ロイヤーの3人が最初のメンバーだ。70年セカンド・アルバム『On The Waters』リリース前にドラマーのマイク・ボッツがメンバーに加わっている。本盤も4人体制である。ボッツ以外の3人の担当は、本盤のクレジットではゲイツがヴォーカル、ギター、キーボード、ヴァイオリン。グリフィンが、ヴォーカル、ギター、キーボード。ロイヤーがギター、ベースとなっている。

 

曲作りは、ゲイツ単独とグリフィン=ロイヤーのコンビの2派に分かれている。これが実は問題で、シングル盤は常にゲイツ作品がA面だった。グリフィン=ロイヤー組としては面白くない。さらに、ヒットを絶やさないようせわしない要求をしてくる<エレクトラ>の姿勢にも不満が募った。本アルバムも前作から半年でリリースされている。結局ロイヤーはこのアルバムを最後に脱退してしまう。その後ソングライターとして活動していく彼は、グリフィンとのコンビも崩さず、ブレッドにも楽曲を提供し続けた。

 

1. Let Your Love Go

 

ゲイツ曲。「ソフト・ロック」の旗手にしてはハードな立ち上がりだ。リズムの刻みが力強い。「Too Much Love」と共にシングル化(70年)してビルボード28位。尚、71年には「If」と共にシングル化。また、73年には「If」と1stアルバム(69年)に収録されている「It Don't Matter To Me」と一緒に3曲入りのEP盤がリリースされている。

 

2. Take Comfort

 

グリフィン=ロイヤー曲。動と静のコントラストが面白い。71年またしても「If」と合わせてシングル化。

 

3. Too Much Love (あふれる愛)

 

グリフィン=ロイヤー曲。アコースティックな調べが印象的な彼ららしい曲。ゲイツ曲の「Let Your Love Go」のB面なのだが、こちらの方がキャッチーな気もする。グリフィン=ロイヤー作品が万年B面扱いというのも、たしかに極端に思える。

 

4. If

 

ゲイツ曲。何度聴いても聴き飽きない、永遠の名曲と呼べるだろう。ただし、チャート的にはビルボード4位にとどまっている。あの、夢の世界に誘うようなサウンドは、プログラミングされたシンセサイザーにエレキギターをつないで弾いているそうだ。

 

5. Be Kind To Me (優しくしておくれ)

 

グリフィン=ロイヤー曲。タイトでスタイリッシュなサウンド。特にドラムは、バックビートや要所要所でのフィルインが効果的に作用している。

 

6. He's A Good Lad (彼はいい奴)

 

ゲイツ曲。甘い声に導かれる、フォーキーでポップな、ブレッドのイメージ通りの曲。ストリングスやギターも盛り上げている。グループにヒビが入っている状態を考えると皮肉っぽい曲に思えるが、いつ作ったか不明ではあるし・・・。とにかくパフォーマンスは一体感がある。プロフェッショナル同士だからこそ、意地もあるし対立してしまう要素もあったのかも知れない。

 

7. She Was My Lady

 

ゲイツ曲。甘さを排した落ち着きのあるロック。グリフィン=ロイヤー曲が得意とするような“渋み”を感じる。ソフトなイメージだけでは納得いかない部分もあったのだろう。

 

8. Live In Your Love (あなたの愛に生きて)

 

グリフィン=ロイヤー曲。71年、4枚目のアルバム(71年録音72年発表)に入っている「Mother Freedom」のB面でシングル化。ドラマチックな曲である。

 

9. What A Change

 

ゲイツ曲。哀感のあるメロディーではじまり、気持ちを一新するような展開に移る。まさに“チェンジ”している。ドラムのフィルインも相変わらず良い。

 

10. I Say Again

 

グリフィン=ロイヤー曲。声の重なりや、特徴あるベース音などで夢幻的な雰囲気が作られている。

 

11. Come Again

 

ゲイツ曲。アルバム終盤らしい静かなバラード。

 

12. Truckin'

 

グリフィン=ロイヤー曲。4枚目のアルバムのタイトル曲「Baby I'm - A Want You」の裏面でシングル化(71年)。ラストは軽快なドライヴィング・ミュージックで終わっている。

 

ロイヤーの後釜は、“レッキング・クルー”の一員だったラリー・ネクテルだ。彼は、ピアノ、キーボード、ベース、ギター、ハーモニカをこなす。ライブではベースを弾くことが多かったようだ。ブレッドは、グリフィンとゲイツの確執を修正できず73年に解散してしまう。しかし、76年にゲイツ、グリフィン、ボッツ、ネクテルの4人で再結成し、翌年アルバムを発表、ツアーも行った。また、その後グリフィン、ロイヤー、ネクテルの3人でトースト(ブレッドを焼いた?)というグループを組んでいる。また、96年にはブレッド結成25周年のツアーが開催された。05年、グリフィンとボッツはガンで亡くなり、ネクテルは09年心臓発作で亡くなった。ゲイツのソロ・アルバムは94年を最後に出ていないが、98年にイギリスの競技大会『コモンウェルスゲームズ』のテーマ曲「Standing In The Eyes Of The World」を発表している。マレーシアのエラという女性歌手が歌っているが、ゲイツ版もYouTubeに上がっていた。尚、ロイヤーは2010年以降の活動が明らかになっていない。

 

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.93

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[102枚目] ● ブラインド・ウィリー・ジョンソン 『ダーク・ワズ・ザ・ナイト』<SME>(99)

 

※ 本文を書くに当たり、ジャス・オブレヒトさん(hutz fujibayashiさん訳)、永井ホトケ隆さんのライナーノーツを大いに参考にしています。

 

98年に米<コロムビア>の<レガシー>からリリースされたのは22曲入り(489892 2)。ローレンス・コーンが企画した<ソニー・ミュージック>の<モジョ・ワーキン : ブルース・フォー・ザ・ネクスト・ジェネレーション>シリーズの一枚。私が所有するのは16曲入りの日本盤だが<モジョ・ワーキン>シリーズの表示は入っている(SRCS 9460)。尚、順序は逆になるが<レガシー>から日本盤と同内容の16曲入りも出ている(CK 65516)こちらも98年。コンプリートと銘打った<コロムビア>の<ルーツン・ブルース>シリーズ(472190 2)と2枚に分けた<ドキュメント>盤(DOCD-5690と5691)には30曲収録されている。

 

ハードな演奏や歌声を聴かせるミュージシャン、シンガーは多々居るが、ブラインド・ウィリー・ジョンソンほど、心臓に直接食い込んでくるような強烈さを放つ人物はそうそう居ない。地球を代表する音楽のひとつに選ばれ、宇宙探査機に搭載されたのもむべなるかなと思う。おそらく、他の惑星に住む生命体にもその強烈さは伝わるのではないだろうか。

 

ブラインド・ウィリー・ジョンソンは、1902年頃に生まれ、テキサス州のマーリンという町で育った(ウィキペディアによれば、1897年テキサス州ペンドルトン生まれ)。ここではライナーの時間軸を採用。幼い頃から教会に通い、5歳で葉巻の箱を使ったギター(シガーボックス・ギター)を演奏し、説教師を目指していたという。母親が亡くなり後妻が迎えられたが、浮気者の女だった為父親に殴られてしまう。彼女はその腹いせに7歳のウィリーの顔に洗剤をかけ、失明させた。しかし、彼は前進する。ピアノとギターを独学で覚え、主に古い讃美歌をモチーフにして曲を作り、教会主催の演奏会で披露するようになった。当時から、ポケットナイフを使ってスライドを駆使し、独特のしゃがれ声を駆使し人々を魅了した。20代半ばにはテキサス州ハーンの街角で演奏した。26年頃にウィリー・B・ハリスと結婚し、本盤には彼女の歌声もフィーチャーされている。27年12月3日にゴスペル・エヴァンジェリストとしては初の録音を実施した。30年4月まで録音は続いた。その後の人生についてはまた後ほど。

 

録音年月日、発表年、録音地の情報を先にまとめて記載しておく。1.2.5.9.13.14.は27年12月3日録音、28年発表、ダラス。3.16.が28年12月5日、29年発表、ダラス。6.7.が29年12月10日録音、30年発表、ニューオーリンズ。10.12.が29年12月11日録音、30年発表、ニューオーリンズ。4.8.11.が30年4月20日録音、同年発表、アトランタ。15.が30年4月20日録音、31年発表、アトランタ。

 

1. If I Had My Way I'd Tear The Building Down

 

旧約聖書のサムソンとデリラ(デライア)の物語を題材としたウィリーのオリジナル。物語のクライマックスで、敵対する民族の神殿をサムソンが破壊するが、その部分を膨らませた歌詞のようだ。ウィリーの強烈なダミ声は、まさに神殿を崩壊させるような迫力でせまってくる。一方、一定のパターンを持つギターリフは、歌う内容が伝わりやすいようなリズミカルさを感じる。サビの部分の歌詞が「もし、神様も手を貸してくれれば この建物を崩してやるのに」の繰り返しなのだが、最後だけ「もし、神様も手を貸してくれれば この世界を崩してやるのに」と変えているのが意味深である。「Mother's Children Have A Hard Time」と合わせて発表。

 

2. Dark Was The Night

 

独特のスライドは、どこまでも深い闇を感じる。さらに、言葉にならない呻きやため息が、怨念がこもったようなスライドに合わせて歌われる。黒々とした夜のとばりや冷え切った地面が目に見えてくる。そしてそれは、苦難に喘ぐ同胞たちをシンボライズしたものに思える。「It's Nobody's Fault But Mine」が裏面。

 

3. Lord I Just Can't Keep From Crying

 

吐き出すような歌い出しを妻ウィリーがフォローし、力強いスライドでさらにカバーする。66年には、アル・クーパーのザ・ブルース・プロジェクトがアルバム『Projections』の1曲目に「I Can't Keep From Crying」として取り上げている。他にも、ブラザー・ジョー・メイ、ゴールデン・ゲイト・カルテット、あるいはフィービ・スノウもカバーしている。

 

4. Church, I'm Fully Saved Today

 

「The Soul Of A Man」の裏面として発表されている。1911年に作られた、ウィリアム・J・ヘンリー作詞、クラレンス・E・ハンター作曲の「Fully Saved Today」が元になっている。妻ウィリーの合いの手のヴォーカルが、サラッとはしているが、ギターのスライド音のように良い味付けとなっている。「教会で救われた。これからも狭き道を歩み続ける」という偉大な神への信頼と感謝、そして困難に立ち向かう強力な意志を表明している。

 

5. Jesus Make Up My Dying Bed

 

「I Know His Blood Can Make Me Whole」とカップリング。語るようなスライドギターが特に素晴らしい。

 

6. Bye And Bye I'm Goin' To See The King

 

優しげな歌声に気分が落ち着いていく。本盤には収録されていないが「You'll Need Somebody On Your Bond」と共にディスク化されている。

 

7. Let Your Light Shine On Me

 

この曲もあまりハードに歌わず、カントリーソングに近い感覚で歌われる。ギターの爪弾きも軽快なフィーリングさえ感じる。たしかに28年にはケンタッキー州でカントリーソングとゴスペルソング(ブラインド・ウィリーのようなエヴァンジェリスト)を歌っていたアーネスト・フィップスが録音している。アーネストはストリング・バンドも率い手広く活動していたようだ。さらに、23年にはワイズマン・カルテットの録音がある。また、レッド・ベリーも「Let It Shine On Me」として取り上げている。本盤未収録だが「God Don't Never Change」とカップリング。

 

8. John The Revelator

 

新約聖書のヨハネの黙示録の著者について歌われた曲。ブラインド・ウィリー・ジョンソン以降にも、サン・ハウス、ゴールデン・ゲイト・カルテット、デペッシュ・モード、ジェリー・ガルシア・バンドなど多数のミュージシャンに取り上げられている。ウィリーと妻ウィリーのやり取りを中心に展開する。迫力あるダミ声が響き渡る。本盤未収録の「You're Gonna Need Somebody On Your Bond」とカップリング。

 

9. I Know His Blood Can Make Me Whole

 

過不足ないスライドギターが渾身の歌唱を引き立てる。

 

10. God Moves On The Water

 

タイタニック号の悲劇が歌い込まれている。65年にはマンス・リプスカムも歌っており、両名ともテキサス州出身のため、テキサス州で歌い継がれたのが元かとWikipediaには書いてあった。また、創世記の1章2節「そして神の霊が水面に動いた」という文言がタイトルに関連するのでは、とも紹介してあった。前の曲ではギタープレイが主体に近かったが、この曲では伴奏としてのギターの味わいが感じられる。本盤には入っていない「Take Your Burden To The Lord And Leave It There 」とカップリング。

 

11. Trouble Will Soon Be Over

 

ドロシー・ラブ・コーツ、ジェフ・マルダー、クリス・トーマス・キング、シネイド・オコナーのヴァージョンもある。「もうすぐ問題は解決する 悩みも薄れてゆく 神様がやすらぎを与えてくれる」と優しく歌っている。本アルバムには収録されていない「The Rain Don't Fall On Me 」とカップリング。

 

12. Praise God I'm Satisfied

 

本盤未収録の「When The War Was On」とカップリング。「神に感謝を 心から満たされた」と、心穏やかに神への感謝を歌い上げている。演奏、歌とも快活な空気に満ちている。

 

13. Mother's Children Have A Hard Time

 

怒りをぶつけるような歌い出しがいちだんと凄まじい。母親をなくした子供のつらい境遇を訴えるテーマにふさわしい。先に書いたウィリーの人生を考えても、母親を亡くし、しかも継母の行為で盲目にされている事実が訴求力を増している。ブルース研究家のサミュエル・チャーターズによれば、本来なら「Motherless Children」となるべきところ、ウィリー・ジョンソンの勘違いではないかと述べられている。

 

14. It's Nobody's Fault But Mine

 

迫力ある歌声に絡む、意思を持つかのごときスライドギターがここでも素晴らしい成果を上げている。レッド・ツェッペリンが76年のアルバム『プレゼンス』で取り上げた他、ニーナ・シモン、ライ・クーダー、グレイトフル・デッド、エリック・ビブ、ビル・フリーゼル、ルシンダ・ウィリアムスのヴァージョンもある。エリック・クラプトンも素晴らしいギター・テクニックと絶賛している。

 

15. The Soul Of A Man

 

マーティン・スコセッシが総指揮を執ったブルース生誕100周年を記念して作られたドキュメンタリー映画集『ザ・ブルース』(03)の内のひとつが『ザ・ソウル・オブ・ア・マン』だった(ヴィム・ヴェンダース監督)。ブラインド・ウィリー・ジョンソンがキーパーソンのひとりとして取り上げられて、本曲がタイトルとなっている。妻ウィリーと声を合わせ、彼にしては比較的淡々と歌われている。

 

 

16. Keep Your Lamp Trimmed And Burning

 

スライド・プレイを含め、ギターが生きているかのごとく、縦横無尽に走ったり跳ねたりしている印象だ。後には、ブラインド・ゲイリー・デイヴィス、ミシシッピ・フレッド・マクダウェル、スキップ・ジェームス、ホット・ツナ、テデスキ・トラックス・バンドなどがカバーしている。

 

1930年に録音活動を終えた後、アンジェリーヌという女性と再婚して、テキサス州ボーモントで暮らしていた。同地のフォーサイス通りで歌い続けていたらしい。だが、残念な事に悲劇的な死を遂げる。家が火災になり、その後湿って黒焦げになった新聞紙を重ねて寝ていたとの事。数日後に肺炎になったが、アンジェリーヌの言によれば盲目を理由に病院側から拒否されて落命したという。享年48歳。

 

敬虔な宗教家、伝道者であるブラインド・ウィリー・ジョンソンであれば、自分の身に降りかかった悲劇も運命として受け止めていたかも知れない。今は彼の素晴らしい遺産を聴き続けるしかない。

 

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.92(4)

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[101枚目]●フランク・ストークス『ザ・コンプリート・レコーディングス』<Pヴァイン>(11)

 

♪ 第一回

 

♪ 第二回

 

♪ 第三回

 

※本文を書くに当たり、小出斉さんのライナーノーツを大いに参考にしています。

 

【Disc 2】

 

メンフィス録音の<ヴィクター>盤。全て29年9月に収録されたもので、16、17が23日、18、19が25日(ここまでがヴァイオリン奏者ウィル・バッツとの共演)。残りの20~23が30日で単独名義である。そして、最後の録音となる。

 

ウィル・バッツは、ジャック・ケリー率いるサウス・メンフィス・ジャグ・バンド(ウィル・シェイドのメンフィス・ジャグ・バンドと紛らわしい)のメンバー。バンドとしては33年に初録音と書いてあったので、フランクとの録音が先になると思われる。ビッグ・ウォルター・ホートンとの52年のセッションが彼のラスト録音だそう。52年と言えば、ホートンがシカゴに移りマディ・ウォーターズのバンドでジュニア・ウェルズの代役を務めた頃なので、その直前の話と思われる。尚、フランクの相棒ダン・セインはフランクの前にウィル・バッツと活動しており、後にサウス・メンフィス・ジャグ・バンドの一員にもなる。

 

16. South Memphis Blues

 

ウィル・バッツとの録音曲全般に言える事だが、ヴァイオリンの物悲しげな調べが表に立っている。フランクのギターはコード・ストロークがほとんどである。ヴォーカルは切なく聴こえ、まるでスリーピー・ジョン・エスティスのようだ。

 

17. Bunker Hill Blues

 

ギターのパターンにさほど変化がないのに、ヴァイオリンと絡むと良質のアンサンブルになるのは、両者の音楽センスが発揮されている証左だ。

 

18. Right Now Blues

 

ウィル・バッツの演奏が主旋律を成す。音を震わせたり曲げたりする事で独特の哀切感が生まれている。

 

19. Shiny Town Blues

 

ここでのヴォーカルは、特にスリーピー・ジョンを思わせる。ヴァイオリンは時にブルース・ハープのような感触がある。

 

20. I'm Going Away Blues

 

ここからフランクの単独名義になっているが、本曲と次の曲は長らくSP盤が見つかっていなかったもので、ウィル・バッツが参加している。本曲は、ギター、ヴァイオリンともにゆったりとした演奏で、フランクのヴォーカルものんびり気味で、全体として牧歌的な趣きがある。

 

21. Old Sometime Blues

 

ヴァイオリンの調べをギターがフォローしている感じだ。ここのヴォーカルもスリーピー・ジョン的。

 

22. Frank Stokes' Dream

 

<ヤズー>盤のコレクターなら、本曲をタイトルとしたメンフィス・ブルースのアンソロジー集を思い出されるかも知れない。タイトルにして彼の写真のみジャケットにしている割には3曲しか選ばれていないのも微妙ではある。ここからソロ演奏に戻るので、再度細かいテクニックが披露される。

 

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23. Memphis Rounders Blues

 

いかにもフランクらしい、軽快なギターストロークからの味のある単弦奏法に、力強いヴォーカルを聴かせ、彼の録音経歴は閉じられる。

 

フランク・ストークスの録音は以上で終わりだが、音楽活動は続けている。30年代~40年代は、メンフィスのメディシン・ショウやテント・ショウで巡業したり、再びダン・セインとコンビを組んで、南部ツアーを行なったりしている。40年代後半は、ウィリー・ポーラムや

息子のルーズヴェルトとメンフィス~ミシシッピの南部辺りまで演奏して回っている。49年にはクラークスデイルでブッカ・ホワイトと演奏したりしているようだ。51年に音楽活動を引退。55年に尿毒症で亡くなっている。録音活動が終わってからも、演奏を20年以上続けられて、とても充実した音楽人生ではなかっただろうか。

 

(おわり)

 

 

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レコード棚を順番に聴いていく計画 Vol.92(3)

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[101枚目]●フランク・ストークス『ザ・コンプリート・レコーディングス』<Pヴァイン>(11)

 

♪ 第一回

 

♪ 第二回

 

※本文を書くに当たり、小出斉さんのライナーノーツを大いに参考にしています。

 

【Disc 2】

 

全23曲収録されている内、今回は15曲ご紹介。28年録音の曲群である。Disc 1 はシカゴ録音の<パラマウント>作品を纏めてあったが、Disc 2 はフランクの故郷とも言えるメンフィス(正確には近郊の生まれ)録音の<ヴィクター>作品である。細かく見ると1~4と11~15はダン・セインとのコンビで、5~10はフランクのソロである。

 

1. Downtown Blues (take 1)

 

ギターのフレーズと絡み具合いにメンフィス・ブルースらしい軽やかさがよく表れている。

 

2. Downtown Blues (take 2)

 

Take 1に比べてテンポアップした感じ。Take 1は和やかな軽みだが、本テイクは締まりがあり、心地良い乗りが生まれている。

 

3. Bedtime Blues

 

「Downtown Blues」をやや緩めにしたような曲。抜群のタイム感と絡みを見せるギターに、フランクの厚みのあるヴォーカルが沁みる。ライナーによれば<パラマウント>録音に比べ<ヴィクター>は、ダン・セインのギターが前に出ているとの事だ。

 

4. What's The Matter Blues

 

この曲もギタープレイの冴えが目立つ。

 

5. Mistreatin' Blues

 

ここから5曲はフランクひとりでの録音。本曲は、軽快なピッキングを聴かせてくれる。

 

6. It Won't Be Long Now (take 1)

 

牧歌的な感覚のギターワークがほのぼのとしたムードを醸し出す。

 

7. It Won't Be Long Now (take 2)

 

take 1 より緩やかなテンポで、ノイズのせいもあり、ヴォーカルの力強さが先立っている感じだ。

 

8. Nehi Mamma Blues

 

Nehiはニーハイと発音し、一時流行ったソフト・ドリンクにもあるらしい。同飲料の広告には、スカートの丈が膝上の女性の脚が使われていた。Knee Highとの掛け言葉を成していたとの事。本人のギター一本だとヴォーカルに耳が行きがちだが、もちろんギターも味が有る。

 

9. I Got Mine

 

古いミンストレル・ナンバー。エンターテインメント性を感じる歌いっぷりだ。61年にはピンク・アンダーソンが<ブルーズヴィル>に吹き込み、ライ・クーダーのカバーもある。

 

10. Stomp That Thing

 

ソロ名義だが、ダン・セインのギターがフィーチャーされている。次の11~15は、名義上もダンとのコンビだ。ホウカム調で田舎っぽさも感じる。

 

11. 'Tain't Nobody's Business If I Do - Part 1

 

ベッシー・スミスやジミー・ウィザースプーンを始め広く取り上げられているスタンダード・ナンバー。あくまでフランク・ストークス調に貫かれている。彼の声ならウィザースプーン調でも歌えただろう。

 

12. 'Tain't Nobody's Business If I Do - Part 2 (Take 1)

 

Part 1 より少しテンポを落としているようだ。小出さんによれば 11 はチューニングがおかしいとの事だが、確かにこちらの方がギターの調べが安定しているような。

 

13. 'Tain't Nobody's Business If I Do - Part 2 (Take 2)

 

演奏的にはTake 1 より優しい感じがする。本曲の3パターンはいずれも歌詞が微妙に違う。

 

14. Take Me Back

 

パパ・チャーリー・ジャクソンやブラインド・レモン・ジェファーソン版(曲名はBeggin' Back)も有り。プリ・ブルース的な感覚を持つトラディショナル・ソング。途中でリズムに乗った語り的な展開があったり、終盤には見事な2人のギターの絡みを聴かせる等乗りの良さを感じる。

 

15. How Long 

 

この曲も巧みなギターが堪能できる。ライナーによれば「Corrine Corrina」のバリエーションであるし、「How Long How Long Blues」との繋がりも気になる所と述べられている。

 

さて、残り8曲。ヴァイオリンのウィル・バッツとの共演等もあり、また違う感覚が楽しめる。

 

 

 

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